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醜い俺に、襲われてもいいから泊めてくれというんだが(ビックリ仰天)。
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雅人は入れ直したお茶を、愛羅に差し出して言った。
「事情は分かりました。まずは一緒に警察に行きましょう。そして、ストーカー対策を聞いて、あなたを保護してくれる施設か何かないかを尋ねてみましょう。電話や携帯の番号も変えた方がいいし、職場の上司にも事情を説明して......」
雅人が思いつく限りの救済策を話そうとしていたら、愛羅は顔を青ざめさせて会話を止めた。
「待ってください、警察はダメ!絶対ダメです!そ、それに、職場へも、言いたくありません」
「ですが、それでは解決策が立てられませんが......」
「ここに泊めてくれるだけでいいんです!しばらくしたら、あの人も諦めてくれるでしょうから......」
「ストーカーって、そんな簡単なものじゃないと思いますが」
「1ヶ月! 1ヶ月で良いんです! それでストーカーが諦めなかったら、ちゃんと警察にも職場にも言いますから......」
他へ被害を話すことを嫌がる愛羅を見て、雅人は仕返しを恐れているのだろうか、くらいにしかこの時は思わなかったので、とりあえず彼女の1ヶ月間の住まいを提案した。
「それなら、うちの実家に泊まれるように頼んであげましょう。1ヶ月くらいなら、母が面倒を見てくれますよ」
「えっ......。でも、あなたの実家って遠いんじゃ? 私、仕事続けなきゃならないし......」
またも青い顔をして言ってくる彼女に、何か違和感を感じてしまう雅人だったが、まさか男のマンションに泊めると言う選択肢は考えられなかった。
「大丈夫ですよ。車で行けば30分もかかりません。その間、俺が送迎してあげてもいいですし、そのくらい離れていた方が、ストーカーも手を出し辛くなるでしょう」
「い、いやっ!知らない人の家に泊まるなんて気兼ねです!私、ここに泊めてもらいたいんです!」
「え......。ですが、ここは俺一人で暮らしていますし、1LDKなんで、あなたを泊められる空き部屋もないですよ。それに知らない人の家に泊まるのが嫌って、俺だって、たった今知り合ったばかりの赤の他人じゃないですか」
雅人はどうして醜い俺なんかの家に泊まりたいのかわからず困惑しながらそう言った。
「あなたはもう赤の他人なんかじゃありません!私を助けてくれた恩人です!」
「恩人だなんて大げさな......。他人をそんなに簡単に信用してはいけませんよ、特に男は。......もしかしたら、俺だって、下心があって、あなたを助けた男かもしれませんよ? 男の一人暮らしのマンションに泊めてなんて言ったら、襲われても文句は言えないと思いますよ」
雅人は危機感のなさそうな彼女を少し懲らしめようと、自分が彼女を襲うかもしれないと示唆するような言い回しで脅して言ったのだが。
「分かりました! 襲われても文句は言いません! 約束します! だから1ヶ月だけ、ここに私を泊めてください!」
「はあ~?!」
雅人は彼女の言葉に仰天したのだった。
「事情は分かりました。まずは一緒に警察に行きましょう。そして、ストーカー対策を聞いて、あなたを保護してくれる施設か何かないかを尋ねてみましょう。電話や携帯の番号も変えた方がいいし、職場の上司にも事情を説明して......」
雅人が思いつく限りの救済策を話そうとしていたら、愛羅は顔を青ざめさせて会話を止めた。
「待ってください、警察はダメ!絶対ダメです!そ、それに、職場へも、言いたくありません」
「ですが、それでは解決策が立てられませんが......」
「ここに泊めてくれるだけでいいんです!しばらくしたら、あの人も諦めてくれるでしょうから......」
「ストーカーって、そんな簡単なものじゃないと思いますが」
「1ヶ月! 1ヶ月で良いんです! それでストーカーが諦めなかったら、ちゃんと警察にも職場にも言いますから......」
他へ被害を話すことを嫌がる愛羅を見て、雅人は仕返しを恐れているのだろうか、くらいにしかこの時は思わなかったので、とりあえず彼女の1ヶ月間の住まいを提案した。
「それなら、うちの実家に泊まれるように頼んであげましょう。1ヶ月くらいなら、母が面倒を見てくれますよ」
「えっ......。でも、あなたの実家って遠いんじゃ? 私、仕事続けなきゃならないし......」
またも青い顔をして言ってくる彼女に、何か違和感を感じてしまう雅人だったが、まさか男のマンションに泊めると言う選択肢は考えられなかった。
「大丈夫ですよ。車で行けば30分もかかりません。その間、俺が送迎してあげてもいいですし、そのくらい離れていた方が、ストーカーも手を出し辛くなるでしょう」
「い、いやっ!知らない人の家に泊まるなんて気兼ねです!私、ここに泊めてもらいたいんです!」
「え......。ですが、ここは俺一人で暮らしていますし、1LDKなんで、あなたを泊められる空き部屋もないですよ。それに知らない人の家に泊まるのが嫌って、俺だって、たった今知り合ったばかりの赤の他人じゃないですか」
雅人はどうして醜い俺なんかの家に泊まりたいのかわからず困惑しながらそう言った。
「あなたはもう赤の他人なんかじゃありません!私を助けてくれた恩人です!」
「恩人だなんて大げさな......。他人をそんなに簡単に信用してはいけませんよ、特に男は。......もしかしたら、俺だって、下心があって、あなたを助けた男かもしれませんよ? 男の一人暮らしのマンションに泊めてなんて言ったら、襲われても文句は言えないと思いますよ」
雅人は危機感のなさそうな彼女を少し懲らしめようと、自分が彼女を襲うかもしれないと示唆するような言い回しで脅して言ったのだが。
「分かりました! 襲われても文句は言いません! 約束します! だから1ヶ月だけ、ここに私を泊めてください!」
「はあ~?!」
雅人は彼女の言葉に仰天したのだった。
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