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シリル君の様子がおかしい
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最近、何だかシリル君の様子がおかしい。
私はミレーユ様の事で頭がいっぱいのように見えても、シリル君の事だけは別なのだ。
〈シリル君見守りセンサー〉がこのところ私の中で鳴り響く。
どこかおかしい、絶対おかしい。
それに、最近また、前に着ていた薄汚れたダブダブのシャツに、くたびれたズボン、穴の開きかけた靴を履いて来るのだ。
理由を聞いたら、洗濯をサボってしまって替えがないと言う。
シリル君が、そんなだらしないことするだろうか?
何より一番おかしいのは、授業が終わってから、教科書を机に入れたまま、持って帰らないのだ。
勉強熱心なシリル君が、教科書を置いて帰るなんて、尋常じゃない。
本人は「重くて面倒だから。帰ったら参考書を見るから問題ない」なんて言うのだけれど……。
「シリル君、そろそろ移動時間だよ。一緒に行こう?」
私が何気なく、後ろからシリル君の肩に手を当てた時ーー。
「ぐっ……! 」
シリル君が一瞬身体を硬くし、眉を寄せて呻いた。
……かと思ったら、すぐににっこりと微笑んで、
「はい、メイベル様。行きましょう。今日はメイベル様は当てられる番ですね。予習は出来ましたか?」
と、いつもどおりに明るく話をする。
私はシリル君を放っておけるはずもなく、今日はちゃんと原因を突き止めるつもりで用意して来たのだ。
私は授業が済むと、馬車の中で平民用の服に着替えた。そしてティナが用意してくれた色付きダテ眼鏡をつけ、フードを頭から被った。
これで変装は完璧ね。
「じゃあ、ティナ。馬車を河原の辺りまで進めて待っていて。それから護衛さんたち、目立たないように、間を開けて私について来てね。よろしく!」
そう言って、私はシリル君の後を追うべく走った。
「いたいた!」
私はシリル君の後ろ姿を発見し、距離を開けて通行人のふりをして歩いていた。
ちょうど河原の辺りまで差し掛かった時。
「おい、お前また、学校に行ったのか?お前みたいな平民エルフが、図々しいって言っただろ?しかも、美しいメイベル様に贔屓にされやがって。今日もどうなるか、分かってんだろうな?」
学園の制服を着たその男は、ニヤリと顔を歪めた。
「こんな事はもうやめて下さい!俺は、どんな目にあっても学校へ行きますし、メイベル様とも友達でいることはやめません!」
「うるせえ‼︎ みんな、いつもどおりに、顔や見える場所を避けて痛め付けてやれ!」
そういうと、平民のような人たちが、4、5人一斉にシリル君に襲いかかった。
シリル君は必死に応戦していたけれど、多勢に疲れ、動きが鈍くなって来た。
「もういい。お前らは消えろ」
指示した男は平民たちを下がらせ、またニヤリと顔を歪めた。
「へへっ、疲れたか?だがこれからが本番だぜ。一応念を押しておくが、平民が貴族に手を出したら、どうなるかわかっているな?」
そう言った後、彼はシリル君の腹部に拳を入れた。
「ぐうっ……!」
シリル君はお腹を抑えて倒れ込む。
「シリル君‼︎ 」
私はこれ以上見ていてはいけないと飛び出していた。
「やめて‼︎ シリル君を傷つけないで! 」
私はシリル君に覆い被さるようにして叫んだ。
変装しているため私だと分からない男は、
「なんだぁ?このアマ!一緒にボコってやろうか?」
そう言って男が拳を振り上げた。
「メイベル様、いけません!」
シリル君が私を抱きしめるように抱え反転した。
ドッ!ズン!ドッ!
シリル君が痛め付けられる振動と共に音が聞こえる。
「やめて!やめてぇっ!シリル君を傷つけないでーっ‼︎ 」
私はシリル君に抱き込まれたまま泣き叫んだ。
そうしているうちに離れて付いて来ていた護衛たちがかけつけ、その男を捉えた。
「シリル君!大丈夫⁈ シリル君⁈ 」
私は涙でよく見えないシリル君を抱えるようにして声をかけた。
「メイベル様……お怪我はありませんか……? 」
傷だらけになっても、私を案じてくれるシリル君が悲し過ぎる。
「どうして……?どうして教えてくれなかったの?こんな目に遭っていたのに!私たち、親友じゃなかったの⁈ 酷いよ、シリル君……」
私は悔し泣きでまた涙が溢れた。
「すみません……メイベル様。今日は俺、その涙を拭うハンカチを持っていなくて…… 」
そう言って、シリル君は私の目元を指先で拭った。
そのうち異常を察知したティナが私の元に駆けつけ、涙と鼻水を拭いてくれた。
暴行を働いた男は護衛さんに頼んで学園に連行してもらった。
そして別の護衛さんにシリル君を介助してもらい、馬車へのせ、近くの町医者へ連れて行った。
「新しい傷は大した事ないが、前の打ち身が酷いようだ。かなりしつこく痛め付けられたな。骨まではいっていないとは思うが、最低でも3日は安静にしていた方がいいでしょう」
町医者は、身体中アザだらけのシリル君に手当てをしてくれ、そのように指示を出した。
私はまた、シリル君を馬車に乗せ、シリル君の下宿先に連れ帰った。
◇◇◇
「シリル君。はい、あーんして」
私は下宿先で、消化に良さそうな食事をチャチャっと作ってシリル君に食べさせようとしている。
「え?あの、自分で食べられますよ?メイベル様」
困惑気味にシリル君が言う。
「ダメよ!先生が安静にって仰ったでしょ?」
「で、ですが…… 」
シリル君は、後ろに控えるティナや護衛さんをちらりと見て恥ずかしそうに俯いた。
「親友であるこの私に、困っている事を分けてくれなかった罰です!恥ずかしくても、我慢して下さい!」
「わ、分かりました…… すみませんでした、メイベル様」
「分かれば良いの。さ、あーんしてっ」
シリル君はおずおずと口を開いた。
可愛い……!雛に餌をあげているみたい!
私はにこにこしながらシリル君にご飯を食べさせた。
ティナたちは、生暖かい目で、その様子を眺めていた。
「メイベル様は、貴族なのに、料理がお上手なんですね。とても美味しかったです」
ふふん。中身おばさんだもの、料理はできて当たり前。
「だって、シリル君にお昼のお弁当食べて貰いたくて作ってたから、だいたいのものは作れるようになったのよ」
って事にしておいた。
私は食後の洗い物もささっと手際良く済ませた。
すると、それを見計らったようにティナが切り出した。
「メイベルお嬢様。そろそろお屋敷に戻りませんと。もうこんな時間になってしまいましたわ」
「嫌よ。私、帰らない」
「「えっ?」」
ティナとシリル君が同時に聞き返した。
「な、何を言っているんです?メイベル様」
シリル君が恐る恐る聞いて来た。
「だって!絶対安静のシリル君をひとりにしておけるはずないじゃない。私、三日間学校を休んでシリル君のお世話をするっ」
心配で心配でひとりぼっちになんてしておけないよ。
「それはいけません!メイベル様!未婚の男女が同じ屋根で寝泊まりするなど!そんな事したら、お嫁の貰い手がなくなりましてよ!」
ティナが必死で説得に当たる。
「なんでよ?私たちは親友で、へんな間柄じゃないのよ。シリル君だって、こんな状態なんだから、おかしな事になりっこないんだし」
「そういう問題ではありませんメイベル様。世間体と言うものがありましてですね」
ティナが更に言い募る。
「世間体なんかより、シリル君の方が大事なの!お嫁に行けなかったら、どこかから後継の養子をもらうから大丈夫!」
「お嬢様…… 」
ティナが困り果てているのを見て、シリル君が笑顔を見せて明るく言った。
「メイベル様、ご心配をお掛けしてすみませんでした。でも、俺はこう見えて野良仕事で鍛えていますから、この程度の怪我はすぐに良くなりますよ。ひとりでも最低限の事はできます。大丈夫です」
「嫌だ!シリル君は、ひとりで無理するタイプだから離れたくないっ!絶対一緒にいるからっ!」
貴族令嬢がなんたるかなんて、私は知らない。
大切な人を放っておくほど大切な事があるわけない。私はまた涙が出てどうしようもない。
おばさんだって、我が子のためなら非常識な事も言う事あるよね?
私の反応に、シリル君も対応に困っている。
そんな中、黙って様子を見ていた護衛さんが優しく声をかけて来た。
「メイベル様、よろしければ、私がシリルさんの家に泊まり、お世話を致しましょうか?」
「ゼンさん!そうして下さる⁈ 助かりますわ!メイベル様、それがよろしゅうございますよ!シリルさんは男性ですから、メイベル様にお世話されるよりも気兼ねがなくて喜ばれますわ!ねっ、シリルさん?」
ティナがこの機会を逃してなるものかとばかりに捲し立てた。
「は、はい、そうですね……メイベル様、それでは申し訳ないですが、そうさせて下さいますか?」
「……学校が終わってからなら、また来てもいい?」
「はい。授業の事など、教えて下さいますか?」
「……分かった。ノートはちゃんと取っておくから、任せてね」
私はシリル君から離れるのがもの凄く悲しかったけど、ティナと馬車に乗って屋敷に帰った。
私はミレーユ様の事で頭がいっぱいのように見えても、シリル君の事だけは別なのだ。
〈シリル君見守りセンサー〉がこのところ私の中で鳴り響く。
どこかおかしい、絶対おかしい。
それに、最近また、前に着ていた薄汚れたダブダブのシャツに、くたびれたズボン、穴の開きかけた靴を履いて来るのだ。
理由を聞いたら、洗濯をサボってしまって替えがないと言う。
シリル君が、そんなだらしないことするだろうか?
何より一番おかしいのは、授業が終わってから、教科書を机に入れたまま、持って帰らないのだ。
勉強熱心なシリル君が、教科書を置いて帰るなんて、尋常じゃない。
本人は「重くて面倒だから。帰ったら参考書を見るから問題ない」なんて言うのだけれど……。
「シリル君、そろそろ移動時間だよ。一緒に行こう?」
私が何気なく、後ろからシリル君の肩に手を当てた時ーー。
「ぐっ……! 」
シリル君が一瞬身体を硬くし、眉を寄せて呻いた。
……かと思ったら、すぐににっこりと微笑んで、
「はい、メイベル様。行きましょう。今日はメイベル様は当てられる番ですね。予習は出来ましたか?」
と、いつもどおりに明るく話をする。
私はシリル君を放っておけるはずもなく、今日はちゃんと原因を突き止めるつもりで用意して来たのだ。
私は授業が済むと、馬車の中で平民用の服に着替えた。そしてティナが用意してくれた色付きダテ眼鏡をつけ、フードを頭から被った。
これで変装は完璧ね。
「じゃあ、ティナ。馬車を河原の辺りまで進めて待っていて。それから護衛さんたち、目立たないように、間を開けて私について来てね。よろしく!」
そう言って、私はシリル君の後を追うべく走った。
「いたいた!」
私はシリル君の後ろ姿を発見し、距離を開けて通行人のふりをして歩いていた。
ちょうど河原の辺りまで差し掛かった時。
「おい、お前また、学校に行ったのか?お前みたいな平民エルフが、図々しいって言っただろ?しかも、美しいメイベル様に贔屓にされやがって。今日もどうなるか、分かってんだろうな?」
学園の制服を着たその男は、ニヤリと顔を歪めた。
「こんな事はもうやめて下さい!俺は、どんな目にあっても学校へ行きますし、メイベル様とも友達でいることはやめません!」
「うるせえ‼︎ みんな、いつもどおりに、顔や見える場所を避けて痛め付けてやれ!」
そういうと、平民のような人たちが、4、5人一斉にシリル君に襲いかかった。
シリル君は必死に応戦していたけれど、多勢に疲れ、動きが鈍くなって来た。
「もういい。お前らは消えろ」
指示した男は平民たちを下がらせ、またニヤリと顔を歪めた。
「へへっ、疲れたか?だがこれからが本番だぜ。一応念を押しておくが、平民が貴族に手を出したら、どうなるかわかっているな?」
そう言った後、彼はシリル君の腹部に拳を入れた。
「ぐうっ……!」
シリル君はお腹を抑えて倒れ込む。
「シリル君‼︎ 」
私はこれ以上見ていてはいけないと飛び出していた。
「やめて‼︎ シリル君を傷つけないで! 」
私はシリル君に覆い被さるようにして叫んだ。
変装しているため私だと分からない男は、
「なんだぁ?このアマ!一緒にボコってやろうか?」
そう言って男が拳を振り上げた。
「メイベル様、いけません!」
シリル君が私を抱きしめるように抱え反転した。
ドッ!ズン!ドッ!
シリル君が痛め付けられる振動と共に音が聞こえる。
「やめて!やめてぇっ!シリル君を傷つけないでーっ‼︎ 」
私はシリル君に抱き込まれたまま泣き叫んだ。
そうしているうちに離れて付いて来ていた護衛たちがかけつけ、その男を捉えた。
「シリル君!大丈夫⁈ シリル君⁈ 」
私は涙でよく見えないシリル君を抱えるようにして声をかけた。
「メイベル様……お怪我はありませんか……? 」
傷だらけになっても、私を案じてくれるシリル君が悲し過ぎる。
「どうして……?どうして教えてくれなかったの?こんな目に遭っていたのに!私たち、親友じゃなかったの⁈ 酷いよ、シリル君……」
私は悔し泣きでまた涙が溢れた。
「すみません……メイベル様。今日は俺、その涙を拭うハンカチを持っていなくて…… 」
そう言って、シリル君は私の目元を指先で拭った。
そのうち異常を察知したティナが私の元に駆けつけ、涙と鼻水を拭いてくれた。
暴行を働いた男は護衛さんに頼んで学園に連行してもらった。
そして別の護衛さんにシリル君を介助してもらい、馬車へのせ、近くの町医者へ連れて行った。
「新しい傷は大した事ないが、前の打ち身が酷いようだ。かなりしつこく痛め付けられたな。骨まではいっていないとは思うが、最低でも3日は安静にしていた方がいいでしょう」
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私はまた、シリル君を馬車に乗せ、シリル君の下宿先に連れ帰った。
◇◇◇
「シリル君。はい、あーんして」
私は下宿先で、消化に良さそうな食事をチャチャっと作ってシリル君に食べさせようとしている。
「え?あの、自分で食べられますよ?メイベル様」
困惑気味にシリル君が言う。
「ダメよ!先生が安静にって仰ったでしょ?」
「で、ですが…… 」
シリル君は、後ろに控えるティナや護衛さんをちらりと見て恥ずかしそうに俯いた。
「親友であるこの私に、困っている事を分けてくれなかった罰です!恥ずかしくても、我慢して下さい!」
「わ、分かりました…… すみませんでした、メイベル様」
「分かれば良いの。さ、あーんしてっ」
シリル君はおずおずと口を開いた。
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私はにこにこしながらシリル君にご飯を食べさせた。
ティナたちは、生暖かい目で、その様子を眺めていた。
「メイベル様は、貴族なのに、料理がお上手なんですね。とても美味しかったです」
ふふん。中身おばさんだもの、料理はできて当たり前。
「だって、シリル君にお昼のお弁当食べて貰いたくて作ってたから、だいたいのものは作れるようになったのよ」
って事にしておいた。
私は食後の洗い物もささっと手際良く済ませた。
すると、それを見計らったようにティナが切り出した。
「メイベルお嬢様。そろそろお屋敷に戻りませんと。もうこんな時間になってしまいましたわ」
「嫌よ。私、帰らない」
「「えっ?」」
ティナとシリル君が同時に聞き返した。
「な、何を言っているんです?メイベル様」
シリル君が恐る恐る聞いて来た。
「だって!絶対安静のシリル君をひとりにしておけるはずないじゃない。私、三日間学校を休んでシリル君のお世話をするっ」
心配で心配でひとりぼっちになんてしておけないよ。
「それはいけません!メイベル様!未婚の男女が同じ屋根で寝泊まりするなど!そんな事したら、お嫁の貰い手がなくなりましてよ!」
ティナが必死で説得に当たる。
「なんでよ?私たちは親友で、へんな間柄じゃないのよ。シリル君だって、こんな状態なんだから、おかしな事になりっこないんだし」
「そういう問題ではありませんメイベル様。世間体と言うものがありましてですね」
ティナが更に言い募る。
「世間体なんかより、シリル君の方が大事なの!お嫁に行けなかったら、どこかから後継の養子をもらうから大丈夫!」
「お嬢様…… 」
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「メイベル様、ご心配をお掛けしてすみませんでした。でも、俺はこう見えて野良仕事で鍛えていますから、この程度の怪我はすぐに良くなりますよ。ひとりでも最低限の事はできます。大丈夫です」
「嫌だ!シリル君は、ひとりで無理するタイプだから離れたくないっ!絶対一緒にいるからっ!」
貴族令嬢がなんたるかなんて、私は知らない。
大切な人を放っておくほど大切な事があるわけない。私はまた涙が出てどうしようもない。
おばさんだって、我が子のためなら非常識な事も言う事あるよね?
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そんな中、黙って様子を見ていた護衛さんが優しく声をかけて来た。
「メイベル様、よろしければ、私がシリルさんの家に泊まり、お世話を致しましょうか?」
「ゼンさん!そうして下さる⁈ 助かりますわ!メイベル様、それがよろしゅうございますよ!シリルさんは男性ですから、メイベル様にお世話されるよりも気兼ねがなくて喜ばれますわ!ねっ、シリルさん?」
ティナがこの機会を逃してなるものかとばかりに捲し立てた。
「は、はい、そうですね……メイベル様、それでは申し訳ないですが、そうさせて下さいますか?」
「……学校が終わってからなら、また来てもいい?」
「はい。授業の事など、教えて下さいますか?」
「……分かった。ノートはちゃんと取っておくから、任せてね」
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