Decay

海棠 楓

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第1話

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 あなたは人造人間というものを知っているだろうか。アンドロイド、なんて言えば聞いたことがあるかもしれないね。
 僕らは科学の技術の進歩にあやかって出来た副産物だ。人類の進歩に必要不可欠なわけじゃない。でもあったら便利。そんな存在だと思っていてくれていい。

 金儲け目的の大量生産が可能になってからは、無味乾燥なおんなじ顔でおんなじ声でおんなじことしか喋らない奴らがそこかしこで幅をきかせているが、僕ら初期に造られた古い奴らは、一体一体無駄にこだわって造られていて、睫毛の数から爪の形から、一人として同じ奴はいない。それをちょっとばかり、自慢に思っている。
「最近の若い奴はみな同じ格好をして」
 と眉を顰める人間のじいさんばあさんと、僕は大差ないのかもしれないな。

 量産型と違って僕ら旧型のアンドロイドには、それぞれ特化した能力が備わっている者が多い。力自慢の奴は工事現場なんかでその腕を振るうし、少々無茶なプレイをしても大丈夫なセクサロイドだってたいそう重宝がられているし、頭脳がずば抜けている奴は教師として人間に学問を教えたりしていて。造ったものが造られたものから教えを乞うなんて、なかなか皮肉なもんだ。だけど、僕はどうにもごく標準の、何でも平均的にこなす、悪く言えば取り立てて秀でたところのないアンドロイドだ。だから昔は主にハウスキーパーとか、病気で学校に行けない子どもの話し相手兼世話係とか、あとはまあ人間よりはタフだから荷物の配送に一日中走り回ったりしたこともあったな。さすがに性処理専門だったことはないけど、若い頃は特定の人間と愛し合ったこともあった。一応男性の型で造られているけど、どっちの役割もこなすことができる。
 ……あ、『若い頃』なんて言ったけど、僕は今でも見た年齢は人間で言う所の二十代後半ぐらいだからね? 波打つ金髪に大きな碧眼をよく褒められるし、自分でも気に入ってる。男女どちらからも愛されるようにと、中性的なルックスに造られたそうだよ。確かに今まで男女どちらとも愛し合ったことがある。
 でもいつからか人間と愛し合うのはやめた。つまらない。どれだけ「ずっと一緒」だなんだと愛を囁いても、結局僕を置いていってしまうんだから。何人もの相手に遺された僕は、もう人間を愛さないと決めたし、なるべく人間との接触を避けて暮らすようになったんだ。ご近所さんなんかとは顔を合わせてしまうけど、年をとらない僕を見て察してくれるのか、必要以上には踏み込んでこないのでありがたい。
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