1 / 5
第1話
しおりを挟む
あなたは人造人間というものを知っているだろうか。アンドロイド、なんて言えば聞いたことがあるかもしれないね。
僕らは科学の技術の進歩にあやかって出来た副産物だ。人類の進歩に必要不可欠なわけじゃない。でもあったら便利。そんな存在だと思っていてくれていい。
金儲け目的の大量生産が可能になってからは、無味乾燥なおんなじ顔でおんなじ声でおんなじことしか喋らない奴らがそこかしこで幅をきかせているが、僕ら初期に造られた古い奴らは、一体一体無駄にこだわって造られていて、睫毛の数から爪の形から、一人として同じ奴はいない。それをちょっとばかり、自慢に思っている。
「最近の若い奴はみな同じ格好をして」
と眉を顰める人間のじいさんばあさんと、僕は大差ないのかもしれないな。
量産型と違って僕ら旧型のアンドロイドには、それぞれ特化した能力が備わっている者が多い。力自慢の奴は工事現場なんかでその腕を振るうし、少々無茶なプレイをしても大丈夫なセクサロイドだってたいそう重宝がられているし、頭脳がずば抜けている奴は教師として人間に学問を教えたりしていて。造ったものが造られたものから教えを乞うなんて、なかなか皮肉なもんだ。だけど、僕はどうにもごく標準の、何でも平均的にこなす、悪く言えば取り立てて秀でたところのないアンドロイドだ。だから昔は主にハウスキーパーとか、病気で学校に行けない子どもの話し相手兼世話係とか、あとはまあ人間よりはタフだから荷物の配送に一日中走り回ったりしたこともあったな。さすがに性処理専門だったことはないけど、若い頃は特定の人間と愛し合ったこともあった。一応男性の型で造られているけど、どっちの役割もこなすことができる。
……あ、『若い頃』なんて言ったけど、僕は今でも見た年齢は人間で言う所の二十代後半ぐらいだからね? 波打つ金髪に大きな碧眼をよく褒められるし、自分でも気に入ってる。男女どちらからも愛されるようにと、中性的なルックスに造られたそうだよ。確かに今まで男女どちらとも愛し合ったことがある。
でもいつからか人間と愛し合うのはやめた。つまらない。どれだけ「ずっと一緒」だなんだと愛を囁いても、結局僕を置いていってしまうんだから。何人もの相手に遺された僕は、もう人間を愛さないと決めたし、なるべく人間との接触を避けて暮らすようになったんだ。ご近所さんなんかとは顔を合わせてしまうけど、年をとらない僕を見て察してくれるのか、必要以上には踏み込んでこないのでありがたい。
僕らは科学の技術の進歩にあやかって出来た副産物だ。人類の進歩に必要不可欠なわけじゃない。でもあったら便利。そんな存在だと思っていてくれていい。
金儲け目的の大量生産が可能になってからは、無味乾燥なおんなじ顔でおんなじ声でおんなじことしか喋らない奴らがそこかしこで幅をきかせているが、僕ら初期に造られた古い奴らは、一体一体無駄にこだわって造られていて、睫毛の数から爪の形から、一人として同じ奴はいない。それをちょっとばかり、自慢に思っている。
「最近の若い奴はみな同じ格好をして」
と眉を顰める人間のじいさんばあさんと、僕は大差ないのかもしれないな。
量産型と違って僕ら旧型のアンドロイドには、それぞれ特化した能力が備わっている者が多い。力自慢の奴は工事現場なんかでその腕を振るうし、少々無茶なプレイをしても大丈夫なセクサロイドだってたいそう重宝がられているし、頭脳がずば抜けている奴は教師として人間に学問を教えたりしていて。造ったものが造られたものから教えを乞うなんて、なかなか皮肉なもんだ。だけど、僕はどうにもごく標準の、何でも平均的にこなす、悪く言えば取り立てて秀でたところのないアンドロイドだ。だから昔は主にハウスキーパーとか、病気で学校に行けない子どもの話し相手兼世話係とか、あとはまあ人間よりはタフだから荷物の配送に一日中走り回ったりしたこともあったな。さすがに性処理専門だったことはないけど、若い頃は特定の人間と愛し合ったこともあった。一応男性の型で造られているけど、どっちの役割もこなすことができる。
……あ、『若い頃』なんて言ったけど、僕は今でも見た年齢は人間で言う所の二十代後半ぐらいだからね? 波打つ金髪に大きな碧眼をよく褒められるし、自分でも気に入ってる。男女どちらからも愛されるようにと、中性的なルックスに造られたそうだよ。確かに今まで男女どちらとも愛し合ったことがある。
でもいつからか人間と愛し合うのはやめた。つまらない。どれだけ「ずっと一緒」だなんだと愛を囁いても、結局僕を置いていってしまうんだから。何人もの相手に遺された僕は、もう人間を愛さないと決めたし、なるべく人間との接触を避けて暮らすようになったんだ。ご近所さんなんかとは顔を合わせてしまうけど、年をとらない僕を見て察してくれるのか、必要以上には踏み込んでこないのでありがたい。
0
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
記憶の代償
槇村焔
BL
「あんたの乱れた姿がみたい」
ーダウト。
彼はとても、俺に似ている。だから、真実の言葉なんて口にできない。
そうわかっていたのに、俺は彼に抱かれてしまった。
だから、記憶がなくなったのは、その代償かもしれない。
昔書いていた記憶の代償の完結・リメイクバージョンです。
いつか完結させねばと思い、今回執筆しました。
こちらの作品は2020年BLOVEコンテストに応募した作品です
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる