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とうとう言ってしまった。ジュンを手放したくない、離れていって欲しくないという強い想いに突き動かされて。今までずっと我慢してきた気持ちを吐露した途端、堰を切ったように涙が溢れて止まらない。
「本当ですか?」
ジュンは驚き、史郎の涙をじっと見つめながら、史郎の細い腰に回した腕の力を強くした。史郎はしゃくり上げながら頷くのが精一杯で、そんな史郎を見てジュンはしばらく躊躇っていたが、やがてそっと唇を合わせた。不意のキスに戸惑い、史郎の涙も止まる。
「それは、僕の恋が成就した、ってこと、ですよね?」
「ブレーキかけてただけで、ずっと好きだったんだから、ジュンくんより僕の方が、ずっと、っ」
駄々っ子のような物言いにジュンは苦笑しながら、史郎の髪を撫でた。
「こんなに柔らかかったんだ……髪も、唇も」
「もっと他のところも、触って」
ジュンの表情がたちまち鋭くなり、喉が鳴った。
「ついにお試し解禁ですね」
「お試ししてイマイチだったどうなるの?」
「イマイチなはずないでしょ」
「あ、っ、灯り、消して」
「やだ」
「こんな体見たら萎えるんじゃないかって、怖い」
「そんなわけないのに……じゃあ、今夜だけね」
半年以上も恋し合ったまま触れることすらなかった互いの熱に、この夜初めて触れた。二回りも若いということと、弟子のような存在であるということから、勝手に軟弱で頼りないイメージを作ってしまっていたが、ジュンの体は予想外に逞しかった。着痩せするタイプなんだなあ、なんて冷静に分析していられたのは、はじめのほんの数分だけ。久々に与えられる快感に、長い間焦れに焦れた末に交わる悦びに、あっという間に飲まれてしまった。
コーヒーの芳ばしい香りがジュンの寝ぼけた鼻腔をくすぐる。初めて史郎の部屋にジュンが泊まったのだった。
「起きた?」
ベッドから少し離れたキッチンから、史郎の声がする。
「おはよう。今ちょうどコーヒーが……」
穏やかでどこか満ち足りたような史郎の声を、意味がわからないとでも言いたげに取り乱すジュンの声が遮る。
「どうして? なんで僕より先に起きてるんですか? なんでそんなに元気なんですか、昨夜あんなに……」
「年寄りの朝は早いんだよ」
「本当ですか?」
ジュンは驚き、史郎の涙をじっと見つめながら、史郎の細い腰に回した腕の力を強くした。史郎はしゃくり上げながら頷くのが精一杯で、そんな史郎を見てジュンはしばらく躊躇っていたが、やがてそっと唇を合わせた。不意のキスに戸惑い、史郎の涙も止まる。
「それは、僕の恋が成就した、ってこと、ですよね?」
「ブレーキかけてただけで、ずっと好きだったんだから、ジュンくんより僕の方が、ずっと、っ」
駄々っ子のような物言いにジュンは苦笑しながら、史郎の髪を撫でた。
「こんなに柔らかかったんだ……髪も、唇も」
「もっと他のところも、触って」
ジュンの表情がたちまち鋭くなり、喉が鳴った。
「ついにお試し解禁ですね」
「お試ししてイマイチだったどうなるの?」
「イマイチなはずないでしょ」
「あ、っ、灯り、消して」
「やだ」
「こんな体見たら萎えるんじゃないかって、怖い」
「そんなわけないのに……じゃあ、今夜だけね」
半年以上も恋し合ったまま触れることすらなかった互いの熱に、この夜初めて触れた。二回りも若いということと、弟子のような存在であるということから、勝手に軟弱で頼りないイメージを作ってしまっていたが、ジュンの体は予想外に逞しかった。着痩せするタイプなんだなあ、なんて冷静に分析していられたのは、はじめのほんの数分だけ。久々に与えられる快感に、長い間焦れに焦れた末に交わる悦びに、あっという間に飲まれてしまった。
コーヒーの芳ばしい香りがジュンの寝ぼけた鼻腔をくすぐる。初めて史郎の部屋にジュンが泊まったのだった。
「起きた?」
ベッドから少し離れたキッチンから、史郎の声がする。
「おはよう。今ちょうどコーヒーが……」
穏やかでどこか満ち足りたような史郎の声を、意味がわからないとでも言いたげに取り乱すジュンの声が遮る。
「どうして? なんで僕より先に起きてるんですか? なんでそんなに元気なんですか、昨夜あんなに……」
「年寄りの朝は早いんだよ」
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