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十八時四十五分、駅前の噴水。
緊張に胸が押しつぶされそうだ。
黒のパーカーにジーンズ、ヘッドホンをしていると書いてあったが、それらしき人物は見当たらない。
十五分も早く着いてしまったから、まだ着ていないのだろう……
十九時を過ぎた。
まだそれらしき人は来ない。
土壇場で怖じ気付いたのか、はなからイタズラだったのか、気が変わったのか。もっといいのを見つけたのか、それとも体調不良?
しかし今回は、会おうと約束するまでにかなりのやり取りがあった。話しているうちに楽しくなってきて、会って話したいなと思うようになって……
「あの、史郎さんですか」
俯いていたら、視界にスニーカーのつま先が現れ、続いて聞こえてきた声に目線を上げると。
「お待たせしました! 遅くなってごめんなさい」
顔の前で手を合わせて爽やかに謝る男は、黒のパーカーに同じく黒のスキニージーンズ、白のヘッドホンを首からかけている、
……どう見ても二十代の男だった。
真っ黒な髪を今風に後ろだけさっぱり刈り、前は目を覆うような長さのマッシュ。そこから覗く、切れ長の大きな瞳と色白であどけない顔立ち。
「……君、は」
「ジュンですよ、十九時に約束してますよね」
何事もなく、無邪気に微笑みかけてくる男が名乗ったのは、確かに今夜約束した相手の名。
「……いくつなの、君」
内心ドン引きしながら史郎が尋ねると
「あ、やっぱり気にしちゃいます? ごめんなさい、ほんとは二十七なんです」
二十七だってー?!
二回り違い、史郎の約半分である。これじゃあまるで親子ではないか、冗談じゃない。史郎は驚きよりも憤りを感じた。
「君はずっと、僕を騙していたの」
冷ややかに言い放つと、それまで愛想よく笑っていたジュンの表情がさっと硬くなった。
「……ごめんなさい、俺すっごい年上の人が好きで。だから四十代、五十代のところで相手探してて……それで史郎さんと知り合えて、会いたいなって」
「悪いけど、帰るよ」
「史郎さん」
ジュンが史郎の腕を咄嗟に掴んだ。史郎がきっと睨むと
「あっ、すみません……せめて、せめてお茶とかご飯とかだけでもっ」
「あいにく腹は減ってなくて立ってるんだ、騙されて。悪いけど帰らせてもらう」
緊張に胸が押しつぶされそうだ。
黒のパーカーにジーンズ、ヘッドホンをしていると書いてあったが、それらしき人物は見当たらない。
十五分も早く着いてしまったから、まだ着ていないのだろう……
十九時を過ぎた。
まだそれらしき人は来ない。
土壇場で怖じ気付いたのか、はなからイタズラだったのか、気が変わったのか。もっといいのを見つけたのか、それとも体調不良?
しかし今回は、会おうと約束するまでにかなりのやり取りがあった。話しているうちに楽しくなってきて、会って話したいなと思うようになって……
「あの、史郎さんですか」
俯いていたら、視界にスニーカーのつま先が現れ、続いて聞こえてきた声に目線を上げると。
「お待たせしました! 遅くなってごめんなさい」
顔の前で手を合わせて爽やかに謝る男は、黒のパーカーに同じく黒のスキニージーンズ、白のヘッドホンを首からかけている、
……どう見ても二十代の男だった。
真っ黒な髪を今風に後ろだけさっぱり刈り、前は目を覆うような長さのマッシュ。そこから覗く、切れ長の大きな瞳と色白であどけない顔立ち。
「……君、は」
「ジュンですよ、十九時に約束してますよね」
何事もなく、無邪気に微笑みかけてくる男が名乗ったのは、確かに今夜約束した相手の名。
「……いくつなの、君」
内心ドン引きしながら史郎が尋ねると
「あ、やっぱり気にしちゃいます? ごめんなさい、ほんとは二十七なんです」
二十七だってー?!
二回り違い、史郎の約半分である。これじゃあまるで親子ではないか、冗談じゃない。史郎は驚きよりも憤りを感じた。
「君はずっと、僕を騙していたの」
冷ややかに言い放つと、それまで愛想よく笑っていたジュンの表情がさっと硬くなった。
「……ごめんなさい、俺すっごい年上の人が好きで。だから四十代、五十代のところで相手探してて……それで史郎さんと知り合えて、会いたいなって」
「悪いけど、帰るよ」
「史郎さん」
ジュンが史郎の腕を咄嗟に掴んだ。史郎がきっと睨むと
「あっ、すみません……せめて、せめてお茶とかご飯とかだけでもっ」
「あいにく腹は減ってなくて立ってるんだ、騙されて。悪いけど帰らせてもらう」
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