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見知らぬ土地で
第55話
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「――で、今更罪悪感?」
あれだけのことを、しかも好きこのんでやっておいてから、真司はどっと落ち込んでいた。傍らの紫苑が煙草を吸いながらばかばかしそうに横目で見ている。
「出てってよ……顔見たくないんだから」
突っ伏したまま真司が涙声で訴える。
「……俺に惚れるのが怖いんだろ」
図星だった。頭ではこんなやつ大嫌いだ、野蛮で勝手で強引で。そう思っているのに、離れられなくなりそうな気がする。何しろ顔は晃司の流れを汲んでいる。有り得ないことではない。
紫苑が真司の上半身を抱き起こした。
「俺の犬になれよ真司……いでっ」
頬を触っていた紫苑の指を、真司が噛んだのだ。
「ほう……ついに犬になった、ってワケだな」
怒りを噛み殺しながら言うや、真司に殴りかかった。
「このクソガキ!」
「何すんのさ!」
真司も必死で抵抗を試みたが、あっという間に両手首を後ろ手に縛られてしまった。
「首輪よりマシだろ」
ざまぁ見ろ、と言わんばかりににやにやしながら紫苑は真司を眺めていた。一方真司は口を固く結んで、じっと紫苑を睨み付けていた。
「絶対不利な状況でもそーいう目をする……好きだよ。犯り殺したくなるね」
『こいつになら殺されてみたい』そんな考えが一瞬脳裏を過った自分に、真司は怒りを覚えた。
電話の呼び出し音が響く。
「ああ、紫苑、早く……」
電話を取る気配は全く無く、留守番電話につながった。
『もしもし、真司? 静流です。今ホテルに帰ってきました。お土産買って帰るので明日まで待っててね』
「ふっ……しずが泣くぜ。かわいい飼い犬が昔の彼氏に犯されてるなんてなぁ」
あれだけのことを、しかも好きこのんでやっておいてから、真司はどっと落ち込んでいた。傍らの紫苑が煙草を吸いながらばかばかしそうに横目で見ている。
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「このクソガキ!」
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電話の呼び出し音が響く。
「ああ、紫苑、早く……」
電話を取る気配は全く無く、留守番電話につながった。
『もしもし、真司? 静流です。今ホテルに帰ってきました。お土産買って帰るので明日まで待っててね』
「ふっ……しずが泣くぜ。かわいい飼い犬が昔の彼氏に犯されてるなんてなぁ」
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