ゴーストバスター幽野怜Ⅲ〜三つの因縁編〜

蜂峰 文助

文字の大きさ
25 / 62
第十四話『VS 霊王丿九――銀丿軍隊』

【6】

しおりを挟む

 救世主のように、この国へ現れたゴーストバスターは、冥だけではない。

 現在この国は、三分の二の領土を、【銀丿軍隊】に支配されている。
 ぐるっと、主要都市を中心に、ドーナツ状に、じわじわと侵略され続けている。

 その中央都市から見て、東西南北にそれぞれに街があり、その四つの街が、最後の砦となっている訳だ。

 そんな四つの街、それぞれにゴーストバスターは降り立っている。

 東の街――幽野 冥。
 西の街――鬼森田 命吉。
 南の街――墓守 見舞と末代 彩乃。
 北の街――国獄 天地。

 それぞれが、それぞれの街で、銀色の人型ロボットとの戦闘を開始している。

 その最中、四つの街を、駆け巡るゴーストバスターの面々がいた。

 札月 三月、貼薙 遥、そして――――

 小葉焚 剣一郎の三名である。

 目的は――一般市民の避難――瞬間移動だ。



 作戦開始直前、冥は言った。

「まずは、生き残っている国民全員を、中央都市へと避難させるわ」

「なるほど……【銀丿軍隊】の矛先を、絞らせるって訳ね」見舞は、即座にその作戦の意図を理解した。冥は頷く。

「さすが見舞、察しがいいわね。その通りよ、現在、東西南北全ての街に対して、【銀丿軍隊】は侵略を仕掛けている。バラけている戦況を、私達までバラけて応戦していては、当然本体まで辿り着くことなんてできず、ジリ貧になるだけよ。だから――あえて、人だけを守り、街は捨てる作戦に出る。そうすることにより、【銀丿軍隊】の攻撃の手を、絞らせることができる」

「なるほどなぁ……【銀丿軍隊】の全戦力と向かい合うことにはなるがぁ、国民を一箇所に集めておくことで護りやすくなるし、オレら全員で向かい撃つことが出来るってことかぁ」と命吉。

「シンプルで良いでしょ?」

「あぁ、分かりやすくて良いなぁ。要するに、【銀丿軍隊】をぶっ潰せば良いって訳だぁ」

「そういうこと。だからこそ、この作戦には、国民達の移動手段が鍵になってくる。私の移動札で……と言いたいところだけれど、私は全戦に出て、【銀丿軍隊】の人形を迎え撃つ役割をしなくちゃいけない。そこで、三月、遙」

「「は、はいっ!」」弟子二人が返事をする。

「そして、剣一郎」

「おっけー。瞬間移動系の力を使えるオイラ達が、順に街を回って、国民達を避難させて行くって訳だねー」

「そ。だから、剣一郎達が動いてる間、私達全線に出る者は、時間稼ぎをすることが大切となってくる。倒そうとするのではなく、時間稼ぎが」冥は続ける。

「恐らく、今の状況としては、各街を一体、銀の人形が襲っている状況だと考えられるわ。ソレを倒すことで、【銀丿軍隊】は更に援軍を寄越すはず……。十体程の。ここでその援軍を倒しきっちゃうと……」

「今度は、倒し切れないほどの援軍が来ちゃうって訳ねぇ……」彩乃が答えた。

 冥は頷く。

「と、なると……」剣一郎が笑って言う。

「先ずは命吉さんの所から避難させないとだねー。どうせ、倒しちゃうっしょ?」

「オレってそんな信用ねぇか!?」

 笑い声がこだます。

 そんな中で、冥は天地の肩に優しく手を置いた。
 天地の視線が、手の置かれた方へと向く。
 向いた先には、人差し指があった。
 天地の柔らかいほっぺたに、冥の人差し指が食い込む。

「冥さん……?」こんな子供みたいな真似をする冥を見て、少し驚く天地。

「あははっ、天地の頬ぷにぷに~、若いって良いわねぇ」

「ちょっ! 冥さん!」

 笑いながら、天地の頬をツンツンツンツンする冥。

 頬っぺたツンツンが終わると、そっとその手を、彼女の頭へと持っていった。
 そして優しく撫でながら、冥は言う。

「頼んだわよ、最年少」

 頼んだ――と、そう言った。

 少し伏せ目がちに、天地は答えた。


「……はい、任せてください……」と。


 そんな訳で――ヘリコプターは目的地まで到着し、作戦開始となったという訳である。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった! 木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。 「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」 そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。

洒落にならない怖い話【短編集】

鍵谷端哉
ホラー
その「ゾワッ」は、あなたのすぐ隣にある。 意味が分かると凍りつく話から、理不尽に追い詰められる怪異まで。 隙間時間に読める短編ながら、読後の静寂が怖くなる。 洒落にならない実話風・創作ホラー短編集。

霊和怪異譚 野花と野薔薇[改稿前]

野花マリオ
ホラー
その“語り”が始まったとき、世界に異変が芽吹く。 静かな町、ふとした日常、どこにでもあるはずの風景に咲きはじめる、奇妙な花々――。 『霊和怪異譚 野花と野薔薇』は、不思議な力を持つ語り部・八木楓と鐘技友紀以下彼女達が語る怪異を描く、短編連作形式の怪異譚シリーズ。 一話ごとに異なる舞台、異なる登場人物、異なる恐怖。それでも、語りが始まるたび、必ず“何か”が咲く――。 語られる怪談はただの物語ではない。 それを「聞いた者」に忍び寄る異変、染みわたる不安。 やがて読者自身の身にも、“あの花”が咲くかもしれない。 日常にひっそりと紛れ込む、静かで妖しいホラー。 あなたも一席、語りを聞いてみませんか? 完結いたしました。 タイトル変更しました。 旧 彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる ※この物語はフィクションです。実在する人物、企業、団体、名称などは一切関係ありません。 本作は改稿前/改稿後の複数バージョンが存在します 掲載媒体ごとに内容が異なる場合があります。 改稿後小説作品はカイタとネオページで見られます

(ほぼ)5分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ5分で読める怖い話。 フィクションから実話まで。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

百物語 厄災

嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。 小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。

処理中です...