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4.抵抗と情動
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「…なんか、今日のまーちゃん、やる気満々だったっしょ?」
午後9時過ぎ。
夜が更けてきて、歓楽街の染井吉野はまだまだこれから、とゆう時間帯。
ワイシャツを着ながら、蓮二さんがそんなことを言ってきた。
蓮二さんの左肩らへんにある刺青が目に入る。
もう見慣れてしまったけれど、その大きな花のような植物のような何の意味があるのかはよくわからない。
「そう?別に」
脱ぎ散らかした蓮二さんのジャケットとズボンを私が拾い上げて、シワを伸ばす。
蓮二さんは、夜が更けてきたこれからがお仕事なのだ。
あれからいいだけ苛め倒し、蓮二さんはもう一度欲を出した。
二回射精したおかげなのか、先ほどの疲れ切った蓮二さんではなく、スッキリとした顔つきの私たちの社長が出来上がった。
「んー、超よかった。今までももちろんよかったけど…なんかいつもと違ったんだよね。俺がしてほしいことや言ってほしいことをドンピシャで次々としてくれたって感じ?」
と言いながら、サンキュー、と言って蓮二さんは私からジャケットを受け取った。
「………まあね。私はドMの気持ちがわかるドSなのよ」
「…ほおほお、腕を上げましたね~さすがですっ!でも、それなんかで勉強したの?」
「…え?」
風俗嬢とゆう仕事も適当にこなして人気が出るわけない。
それなりの勉強と経験が必要なのだ。
うちの店では、ビギナー風俗嬢はみんなAVを見させられたり、先輩風俗嬢のプレイを教えこまれたり、いろいろと勉強させられる。
それが身になるかどうかは、この子次第なのだけれど。
「じゃあやっぱまーちゃんはただの天才っしょ」
「…こんな分野で天才って言われてもね」
ジャケットをきっちり着こなした蓮二さんは、ふふ、と苦笑する。
「…まあ、でもSとMは表裏一体って言うもんね」
…聞こえてきたどこかで聞いたセリフ。
「ドMはドSになれるし、ドSはドMにもなれるって言うしね。…ってことは、まーちゃんもドMになれるわけだ」
「…なるわけないでしょ、このまひる様が」
フン、と鼻で笑ってやった。
「SとM、両刀ってことで売り込んでもいいんだよ?」
「…たった今に言ったこと、聞いてた?Mにはならないって言ってんの」
蓮二さんは、ネクタイを締めながら、ははっと笑っている。
そんなことを強めに言っていても、実際は藤宮に翻弄される自分が脳裏によぎっている。
…仕事の時の私、藤宮の前での私、
どちらが本来の私の姿なのだろう。
人の優位に立つのは確かに好きだ。
男の惨めな姿も、懇願する姿も好きだ。
…Mの気持ちの勉強などしていない。
でも、今日は特に蓮二さんのしてほしいことが手に取るようにわかってしまった。苛められてる自分を無意識に想像できてしまっていたのだろうか。
「…ねえ、それより。さっきのって本気?冗談?」
スーツをバッチリ着こなした蓮二さんが、急にそんなことを言ってきた。
「ん?さっきの、って何?」
私はソファで一服しながら、聞き返した。
「顔も仕事も中途半端、って」
「ああ」
ふう、と煙を吐き出す。
プレイ中に言ったそんなことを気にしてきたのか。
「ん、本気。」
「えっ」
軽くショックを受けたように、こちらを見る。
「…何その顔。…あのね、そもそもそんな風に思ってたら、蓮二さんの所で働いてない」
「………だっよねえ、あーびっくりしたわ」
蓮二さんは、アハハッと調子よく笑う。
実際、蓮二さんの仕事っぷりに不満を抱いたことはない。
罵るために適当に言ったことだ。
「これからもうちの店をお願いします、まひる様~」
「はいはい」
私は適当に返事をして、ゆったりとタバコを吸う。
「…あ、でも、まーちゃん。その…身体に痕を残すのは、いただけないねえ。客にやられたの?」
「……」
私の頭の中は、この跡がどの客のせいとゆうことにするのが一番いいのか、と言い訳を考えるためにフル回転し始めた。
午後9時過ぎ。
夜が更けてきて、歓楽街の染井吉野はまだまだこれから、とゆう時間帯。
ワイシャツを着ながら、蓮二さんがそんなことを言ってきた。
蓮二さんの左肩らへんにある刺青が目に入る。
もう見慣れてしまったけれど、その大きな花のような植物のような何の意味があるのかはよくわからない。
「そう?別に」
脱ぎ散らかした蓮二さんのジャケットとズボンを私が拾い上げて、シワを伸ばす。
蓮二さんは、夜が更けてきたこれからがお仕事なのだ。
あれからいいだけ苛め倒し、蓮二さんはもう一度欲を出した。
二回射精したおかげなのか、先ほどの疲れ切った蓮二さんではなく、スッキリとした顔つきの私たちの社長が出来上がった。
「んー、超よかった。今までももちろんよかったけど…なんかいつもと違ったんだよね。俺がしてほしいことや言ってほしいことをドンピシャで次々としてくれたって感じ?」
と言いながら、サンキュー、と言って蓮二さんは私からジャケットを受け取った。
「………まあね。私はドMの気持ちがわかるドSなのよ」
「…ほおほお、腕を上げましたね~さすがですっ!でも、それなんかで勉強したの?」
「…え?」
風俗嬢とゆう仕事も適当にこなして人気が出るわけない。
それなりの勉強と経験が必要なのだ。
うちの店では、ビギナー風俗嬢はみんなAVを見させられたり、先輩風俗嬢のプレイを教えこまれたり、いろいろと勉強させられる。
それが身になるかどうかは、この子次第なのだけれど。
「じゃあやっぱまーちゃんはただの天才っしょ」
「…こんな分野で天才って言われてもね」
ジャケットをきっちり着こなした蓮二さんは、ふふ、と苦笑する。
「…まあ、でもSとMは表裏一体って言うもんね」
…聞こえてきたどこかで聞いたセリフ。
「ドMはドSになれるし、ドSはドMにもなれるって言うしね。…ってことは、まーちゃんもドMになれるわけだ」
「…なるわけないでしょ、このまひる様が」
フン、と鼻で笑ってやった。
「SとM、両刀ってことで売り込んでもいいんだよ?」
「…たった今に言ったこと、聞いてた?Mにはならないって言ってんの」
蓮二さんは、ネクタイを締めながら、ははっと笑っている。
そんなことを強めに言っていても、実際は藤宮に翻弄される自分が脳裏によぎっている。
…仕事の時の私、藤宮の前での私、
どちらが本来の私の姿なのだろう。
人の優位に立つのは確かに好きだ。
男の惨めな姿も、懇願する姿も好きだ。
…Mの気持ちの勉強などしていない。
でも、今日は特に蓮二さんのしてほしいことが手に取るようにわかってしまった。苛められてる自分を無意識に想像できてしまっていたのだろうか。
「…ねえ、それより。さっきのって本気?冗談?」
スーツをバッチリ着こなした蓮二さんが、急にそんなことを言ってきた。
「ん?さっきの、って何?」
私はソファで一服しながら、聞き返した。
「顔も仕事も中途半端、って」
「ああ」
ふう、と煙を吐き出す。
プレイ中に言ったそんなことを気にしてきたのか。
「ん、本気。」
「えっ」
軽くショックを受けたように、こちらを見る。
「…何その顔。…あのね、そもそもそんな風に思ってたら、蓮二さんの所で働いてない」
「………だっよねえ、あーびっくりしたわ」
蓮二さんは、アハハッと調子よく笑う。
実際、蓮二さんの仕事っぷりに不満を抱いたことはない。
罵るために適当に言ったことだ。
「これからもうちの店をお願いします、まひる様~」
「はいはい」
私は適当に返事をして、ゆったりとタバコを吸う。
「…あ、でも、まーちゃん。その…身体に痕を残すのは、いただけないねえ。客にやられたの?」
「……」
私の頭の中は、この跡がどの客のせいとゆうことにするのが一番いいのか、と言い訳を考えるためにフル回転し始めた。
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