不定期エッセイ キッドさんといっしょ。

ダイナマイト・キッド

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#松山座 2023年8月公演 第2試合

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#松山座 2023年8月公演
第2試合
KONOHA選手VSしゃあ選手

気迫のこもった抑え込みの押収から無念の両者引き分け。
小綺麗ではなくとも、不格好でも崩れても何でも、なりふり構わず取っ組み合う。いまの自分が持っているものをとにかくぶつけてくような試合だった。
時間いっぱいまで諦めずに戦い続け、結果はどうあれ今の精一杯を出し尽くしたのではないだろうか。

この試合が「見れて良かった」と思う最大の要因は、KONOHA選手も、しゃあ選手も、全く全然ちっとも納得しておらず、物凄く悔しそうだったから。

鎌固め、急角度のテキサスクローバーホールド、ボディプレスにと得意技を繰り出すもダメ、ならばと最後は抑え込みにかかるも引き分け。
自分に足りないものや、お客さんに見せたかったこと、勝つために何をするべきか、とても実りのある試合だったのではないかなと思うし、この日のお客さんがいつか
「あの時のあの二人の試合が見れて良かった」
と思うのは、きっとこういう試合なのだと思う。

危険技や張り手、凶器攻撃に反則行為などに頼らずとも、気持ちの伝わる試合を見せてくれた。それでじゅうぶんだし、それがもっとも肝要とするところで、座長の狙いもそこにあったのではないかなと感じました。

スポーツには勝ち負けを越えたドラマがあるとはいえ、やっぱりそれぞれのファンは推してる選手に勝って欲しいもので。でも、勝ちにも勝ち方ってもんがある。
こんなにも「どんなでもいいから勝ちたい!」と思う二人の選手を素直に応援できたことはとても幸せなことだし、この先が楽しみになる一戦でした。

この日この試合が初めて観戦したレフェリーの良田ルビーさん。
私はプロレスに関しては松山勘十郎さんの審美眼に疑いや不信は微塵も無い。
何処のどんな人であろうと、選手・レフェリー・リングアナウンサー、みんな知らない人でもきちんと魅力を持つ人たちだった。私の好みは別として、そこは外さない。
私は私の基準というか、諦めた夢が伸び放題に絡みついて、田舎の廃墟みたいな、でもギリ誰か住んでそうな、ツタで壁が見えなくなってる木造住宅みてえになった部分があって。
だからその蔦が邪魔して、時々、視野が狭くなる。
大丈夫か、どんな奴だ、そういう疑念は試合を見る前にはとても邪魔で、あるべきものではない。でも、私は私の屈折のせいで、今でも学生やアマチュアのプロレスが嫌いだし、それを見て「プロレスが出来る」という奴の事も信用できない。

だけどこの試合を見ていて、良田さんが邪魔だったり至らないと思うことは、少なくとも私には殆どなかったし、数少ないそれすらも私がそう見ているだけで別に全然問題ないのかも知れない。

最後の数分間は、ひたすらにマットを叩き続けていた。そして高々と二本の指を立ててカウント2を告げる様は、とても眩しくカッコ良かった。
です。
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