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ラリアットが好き
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ラリアット。
皆さんもお好きですか?
私は大好きです。
もう今日はプロレス全然わからない人は置いていってしまうかもしれないので…最初にご説明しておきますと(懲りずにまた見てネ)
1.お好きな腕を横に伸ばす
2.お好きな相手の首ったま目掛けて思いっきりぶつける
コレがラリアットです。
一般的に知られたプロレス技と呼ばれる型や動作の中でも、かなり有名かつ簡単な技。それがゆえに奥が深く、誰でも使うけど、誰もがキメ技に出来るわけでもなく。元祖、名手と呼ばれる選手は数あれど、その中で誰が一番かを決めるのは至難の業。
皆さんはどなたのラリアットがナンバーワンだと思いますか?
私は、生で見た迫力と思い入れで言うと、やっぱり小橋建太さんだなあ。
現役晩年に差し掛かかり、全盛期ほどの突進力や馬力をぶつける代わりに剛刀一閃、一瞬の居合斬りみたいな超至近距離で思いっきり振り抜く形のラリアートを使い始めた始祖スタン・ハンセンのウエスタン・ラリアートを喰らい続け、それでもなお這い上がった男の剛腕ラリアットは、やはり一味違うと思う。
だって小橋建太さんだって186センチ120キロぐらいあるわけだよ。
それをさ、試合終盤のトドメに、ヘットヘトの状態でお見舞いしてもぶっ飛ばす威力があるんだもん。
それも50歳を過ぎていたにもかかわらず……ハンセン、とんでもねえな。
で、そのハンセン式のラリアットを会得し磨き抜いた小橋建太さんのラリアットは
剛腕ラリアット
と呼ばれ恐れられていた。
コレを喰らうと最強外人レスラー・ベイダー(193センチ200キロ)でも帝王・高山善廣さん(196センチ126キロ)でも問答無用でなぎ倒されてしまう。
ちなみにラリアートの始祖であるスタン・ハンセンからラリアットでフォールを奪ったのも小橋建太さんで、恐らくこれは日本マット唯一の金字塔といっていい記録と思われる。
ある意味、お相撲で言う恩返しに近いものを感じる。
全日本プロレス離脱前の三冠ヘビー級選手権なんか凄いぞ、倒れた相手を引きずり起こして、髪の毛を引っ掴んだままアーーッ!と叫んで、そのままゼロ距離でブチ込んでたもん。あんなの喰らったら立てないよ。キックアウトする川田利明さんや三沢光晴さんがおかしいんだよ。
ちなみに私はブレーンバスターも、元祖型として工夫を施した小橋建太さんの垂直落下式ブレーンバスターが好きなので、ブレーンバスターの話を書く時には、またいの一番に名前が上がると思う。(それはもう単に小橋建太さんのファンだからでは…?)
ラリアートといえばスタン・ハンセン。
日本イチ有名なアメリカ人の一人じゃなかろうか。この人のだけはラリアットじゃなく、ラリアートと呼びたいのは私だけか?
スタン・ハンセンがラリアートをプロレス技として定着させ、また唯一無二の恐怖の絶対的フィニッシュとして磨き上げた張本人であり、生けるラリアートの総本山である。
アメフト仕込みの強靭な足腰、馬力、巨体に似合わぬスピードと腕力以外の要素もバッチリ揃った、運命的にラリアートをするために産まれて来た男。それがスタン・ハンセンだ。
今、ラリアットというと自ら走り込んで決める方が多いけど、ハンセンのはカウンター式がよく見られた。したがって避けたり交わしたりも出来なくはなさそうだが、打つ前にハンセンも走って来る場合があるので、回避は困難だ。
だってあんな大きい、冷蔵庫か電話ボックスみたいな体で突っ込んでくるんだぜ、それもかなり速い。避ける前にぶっ飛ばされて終わりだろ。
下手に固まると顔面や脳天を振り抜かれるため、どっちみち喰らうしかないという恐怖のキメ技だ。現役バリバリの頃の、2メートル9センチ140キロのジャイアント馬場さんをもぶっ飛ばし、現役晩年に差し掛かっても前述のとおり全盛期に差し掛かった小橋建太さんやベイダー、ゲーリー・オブライトなどの巨漢レスラーをものともせず切り捨てたハンセンのラリアートは、もはや別格と言ってもいいかもしれない。
リキ・ラリアットで天下を獲った長州力さんもラリアットの名手であり、ハンセンのラリアートを喰らいに喰らって身に着け改良を重ねて行ったものがリキ・ラリアットだ。
長州さんの場合はハンセンよりもさらにスピード感があって、チャンスと見るや自ら突っ走ってブチ込んでいた。
この走り込んで決める型は長州さんのオリジナルではないかなと思う。
ただハンセンもエキサイトすると暴走機関車よろしく突進して仕掛けてたから、どっちが先かっていうより、そもそも
ブチ切れて相手に突進していくような奴を怒らせるな
ってハナシなんだけど。
リキ・ラリアットは、使い手の長州さんがカッコイイんだ。
長髪をなびかせて、相手に激突すると黒髪がブワーっと広がってさ。それにラリアットに行く前の、あの顔つき、目つき。ゾクゾクするぐらい色気がある。
佐々木健介さんが自伝で、初めて長州さんの試合をTVで見て
「わーっ!この人だ!」
と思っちゃったってのも納得がいく。そんぐらい、80年代の長州力さんのカッコよさは異常だ。アマレスのオリンピック選手でもあり、足腰には絶対の自信がある長州さんのラリアットを見るに、やはりラリアットに不可欠なのは腕力もさることながら、足腰の強さなのだと痛感する。
逆に言えば現役晩年のハンセンや小橋さんは膝の負傷もあり、腕力だけじゃなく体重移動とタイミングで持っていく「居合斬り」の型になったんだと思う。フツーに考えて、あの距離であの腕でブン殴られたら、そりゃひとたまりもないだろうけども。
いまチラっと出た佐々木健介さんのラリアットは豪快だった。叩き潰すような、武骨なラリアットは闘魂烈伝(昔そういうゲームがあったのだ)でもケンスケ式ラリアットとして個別に技が用意されてたぐらい。コレこそホントに腕でブン殴ってるという表現がぴったり来る。
新日本プロレス時代の佐々木健介さんは特に武骨、とにかく叩き潰す。
背丈を横幅でカバーするべく日本人屈指のパワーを手に入れたうえで、容赦なく叩きつけるような技が多かった。
越中詩郎さんとの合体技、ヒップアタックにトルネードボムとか好きだったな私。
懐かしいな。
小島聡選手のラリアットもいい。
小島選手は若手時代からダッシュして体ごとブチ当たるようなラリアットをしてて、明るく元気なキャラクターと相まって、あのラリアットがカッコイイんだなー。両国国技館でG1クライマックスを見た時、メインイベントで対戦したのが佐々木健介さんと小島聡選手だった。私ら砂被り席のお客さんは小島ファンが多かったらしく、私も小島選手が好きなので、誰からともなくその辺みんなでコジマ・コールをして応援した。すると2階席の方に佐々木健介さんのファンが大勢いたらしく、そっちからケンスケ・コールが飛んできた。あれは気持ちよかったねえ。勿論みんなで一緒にいっちゃうぞバカヤロー!も叫んだよ。ラリアットの使い手同士の試合は佐々木健介さんの勝ちだったけど、小島聡選手は当時から応援したくなっちゃうんだよな。それはベテランの域に達した今も変わらなくて、やっぱり鍛錬して変わらずファイトしてくれているから、ファンとしても嬉しくなっちゃうんだよな。ラリアットにしても小島選手はハンセンから直接手ほどきを受けた免許皆伝の使い手でもあるし、まだまだ元気に突っ走って欲しいね。
哲ちゃんこと黒田哲広選手のラリアットは創意工夫のアドリブ芸でもあった。
ビルドアップした肉体美を誇り常にお客さんを意識したプロフェッショナル。
どんなときもどんな会場の何処ででも試合が出来ちゃうインディープロレスの申し子みたいな選手。
この人は何処でもラリアットをする。エプロンサイドや場外だけでなく、花道だとか通路だとかひな壇席の階段だとか、下手すると後楽園ホールの南側の客席に雪崩れ込んで、反対側からダッシュしてキメてくれたりもする。それが地方の、私の地元みたいな田舎の試合でも全力疾走からの全力ファイトをしてくれるから嬉しくなっちゃう。黒田選手の見せ場は色々あるけど、このラリアットもお客さんとの一体感があって好きだなあ。
理不尽大王、冬木弘道ボスの地団駄ラリアット。
別格。
私は多感な時期にFMWに触れ、よりによって冬木弘道さんから悪の薫陶を受けてしまったために、今でもウェルダンで火の通った冬木信者である。プロレスという文化の浸透度は高くとも、知名度の高い選手は限られている。残念ながら田舎のガキどもに冬木ボスの偉大さが理解出来る奴は少なく、その点で私は孤独だった。
で、地団駄ラリアット。
冬木さんは若い頃、中軽量級の選手だった。フットルースの頃の体つきや試合を見たり、自伝でも書かれていた通り、80年代にアメリカで人気絶頂だったロックンロール・エキスプレスやミッドナイト・エキスプレスに代表される、ダイナミックでスピーディーな試合がしたかったのだとか。
だからラリアットも飛び込むようにして体ごとぶつかって、当たった瞬間に体を横に流していて見栄えもいい。
両ひざ立ちのような姿勢で飛び込んで当たった瞬間の、髪の毛がなびいて汗がパっと飛び散るところなんか一級品だと思う。
で、現役後期、理不尽大王となってからも時折この型のラリアットが出ていた。
癖なのかもしれないけど、あの「マッチョバディ」と化したボスがコレをやると、それはそれで迫力があって好きだった。
無駄だよ、私は信者だもん。何がどうあったって最後は褒めるよボスだもん。
相手が弱ってフラフラと立ち上がろうとするとき、
ボスが対角線上のコーナーポストに背中を預け、
ゆっくりと呼吸を整え、両手を高々と突き上げ、
大きく呼吸をしながらハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ・・・…!とタイミングを計って、
ギャーーー!とか、
アーーー!とか
ビャーーー!といった奇声を上げて地団駄を踏み、そのまま素早いステップで相手に向かって一直線に突撃、勢いそのままにラリアットをブチ込むボスの定番ムーブだ。
プロレスごっこでコレを真似しても誰もわかってくれなかった
(Don’t Try This at School)
まだまだラリアットを使う選手、皆さんの中でも名人・名手は沢山いると思うけど、私が自分なりの言葉で書き綴れる人たちは、いま上げた選手でした。JBLのクローズライン(アメリカではこのように呼ばれる)が好きだってフォロワーさんも居て、それも納得でした。あの人もタッパがあって突進力があるから、威力もあるし見栄えもするし、いいよねー。
皆さんのお気に入りのラリアットはどなたですか?
皆さんもお好きですか?
私は大好きです。
もう今日はプロレス全然わからない人は置いていってしまうかもしれないので…最初にご説明しておきますと(懲りずにまた見てネ)
1.お好きな腕を横に伸ばす
2.お好きな相手の首ったま目掛けて思いっきりぶつける
コレがラリアットです。
一般的に知られたプロレス技と呼ばれる型や動作の中でも、かなり有名かつ簡単な技。それがゆえに奥が深く、誰でも使うけど、誰もがキメ技に出来るわけでもなく。元祖、名手と呼ばれる選手は数あれど、その中で誰が一番かを決めるのは至難の業。
皆さんはどなたのラリアットがナンバーワンだと思いますか?
私は、生で見た迫力と思い入れで言うと、やっぱり小橋建太さんだなあ。
現役晩年に差し掛かかり、全盛期ほどの突進力や馬力をぶつける代わりに剛刀一閃、一瞬の居合斬りみたいな超至近距離で思いっきり振り抜く形のラリアートを使い始めた始祖スタン・ハンセンのウエスタン・ラリアートを喰らい続け、それでもなお這い上がった男の剛腕ラリアットは、やはり一味違うと思う。
だって小橋建太さんだって186センチ120キロぐらいあるわけだよ。
それをさ、試合終盤のトドメに、ヘットヘトの状態でお見舞いしてもぶっ飛ばす威力があるんだもん。
それも50歳を過ぎていたにもかかわらず……ハンセン、とんでもねえな。
で、そのハンセン式のラリアットを会得し磨き抜いた小橋建太さんのラリアットは
剛腕ラリアット
と呼ばれ恐れられていた。
コレを喰らうと最強外人レスラー・ベイダー(193センチ200キロ)でも帝王・高山善廣さん(196センチ126キロ)でも問答無用でなぎ倒されてしまう。
ちなみにラリアートの始祖であるスタン・ハンセンからラリアットでフォールを奪ったのも小橋建太さんで、恐らくこれは日本マット唯一の金字塔といっていい記録と思われる。
ある意味、お相撲で言う恩返しに近いものを感じる。
全日本プロレス離脱前の三冠ヘビー級選手権なんか凄いぞ、倒れた相手を引きずり起こして、髪の毛を引っ掴んだままアーーッ!と叫んで、そのままゼロ距離でブチ込んでたもん。あんなの喰らったら立てないよ。キックアウトする川田利明さんや三沢光晴さんがおかしいんだよ。
ちなみに私はブレーンバスターも、元祖型として工夫を施した小橋建太さんの垂直落下式ブレーンバスターが好きなので、ブレーンバスターの話を書く時には、またいの一番に名前が上がると思う。(それはもう単に小橋建太さんのファンだからでは…?)
ラリアートといえばスタン・ハンセン。
日本イチ有名なアメリカ人の一人じゃなかろうか。この人のだけはラリアットじゃなく、ラリアートと呼びたいのは私だけか?
スタン・ハンセンがラリアートをプロレス技として定着させ、また唯一無二の恐怖の絶対的フィニッシュとして磨き上げた張本人であり、生けるラリアートの総本山である。
アメフト仕込みの強靭な足腰、馬力、巨体に似合わぬスピードと腕力以外の要素もバッチリ揃った、運命的にラリアートをするために産まれて来た男。それがスタン・ハンセンだ。
今、ラリアットというと自ら走り込んで決める方が多いけど、ハンセンのはカウンター式がよく見られた。したがって避けたり交わしたりも出来なくはなさそうだが、打つ前にハンセンも走って来る場合があるので、回避は困難だ。
だってあんな大きい、冷蔵庫か電話ボックスみたいな体で突っ込んでくるんだぜ、それもかなり速い。避ける前にぶっ飛ばされて終わりだろ。
下手に固まると顔面や脳天を振り抜かれるため、どっちみち喰らうしかないという恐怖のキメ技だ。現役バリバリの頃の、2メートル9センチ140キロのジャイアント馬場さんをもぶっ飛ばし、現役晩年に差し掛かっても前述のとおり全盛期に差し掛かった小橋建太さんやベイダー、ゲーリー・オブライトなどの巨漢レスラーをものともせず切り捨てたハンセンのラリアートは、もはや別格と言ってもいいかもしれない。
リキ・ラリアットで天下を獲った長州力さんもラリアットの名手であり、ハンセンのラリアートを喰らいに喰らって身に着け改良を重ねて行ったものがリキ・ラリアットだ。
長州さんの場合はハンセンよりもさらにスピード感があって、チャンスと見るや自ら突っ走ってブチ込んでいた。
この走り込んで決める型は長州さんのオリジナルではないかなと思う。
ただハンセンもエキサイトすると暴走機関車よろしく突進して仕掛けてたから、どっちが先かっていうより、そもそも
ブチ切れて相手に突進していくような奴を怒らせるな
ってハナシなんだけど。
リキ・ラリアットは、使い手の長州さんがカッコイイんだ。
長髪をなびかせて、相手に激突すると黒髪がブワーっと広がってさ。それにラリアットに行く前の、あの顔つき、目つき。ゾクゾクするぐらい色気がある。
佐々木健介さんが自伝で、初めて長州さんの試合をTVで見て
「わーっ!この人だ!」
と思っちゃったってのも納得がいく。そんぐらい、80年代の長州力さんのカッコよさは異常だ。アマレスのオリンピック選手でもあり、足腰には絶対の自信がある長州さんのラリアットを見るに、やはりラリアットに不可欠なのは腕力もさることながら、足腰の強さなのだと痛感する。
逆に言えば現役晩年のハンセンや小橋さんは膝の負傷もあり、腕力だけじゃなく体重移動とタイミングで持っていく「居合斬り」の型になったんだと思う。フツーに考えて、あの距離であの腕でブン殴られたら、そりゃひとたまりもないだろうけども。
いまチラっと出た佐々木健介さんのラリアットは豪快だった。叩き潰すような、武骨なラリアットは闘魂烈伝(昔そういうゲームがあったのだ)でもケンスケ式ラリアットとして個別に技が用意されてたぐらい。コレこそホントに腕でブン殴ってるという表現がぴったり来る。
新日本プロレス時代の佐々木健介さんは特に武骨、とにかく叩き潰す。
背丈を横幅でカバーするべく日本人屈指のパワーを手に入れたうえで、容赦なく叩きつけるような技が多かった。
越中詩郎さんとの合体技、ヒップアタックにトルネードボムとか好きだったな私。
懐かしいな。
小島聡選手のラリアットもいい。
小島選手は若手時代からダッシュして体ごとブチ当たるようなラリアットをしてて、明るく元気なキャラクターと相まって、あのラリアットがカッコイイんだなー。両国国技館でG1クライマックスを見た時、メインイベントで対戦したのが佐々木健介さんと小島聡選手だった。私ら砂被り席のお客さんは小島ファンが多かったらしく、私も小島選手が好きなので、誰からともなくその辺みんなでコジマ・コールをして応援した。すると2階席の方に佐々木健介さんのファンが大勢いたらしく、そっちからケンスケ・コールが飛んできた。あれは気持ちよかったねえ。勿論みんなで一緒にいっちゃうぞバカヤロー!も叫んだよ。ラリアットの使い手同士の試合は佐々木健介さんの勝ちだったけど、小島聡選手は当時から応援したくなっちゃうんだよな。それはベテランの域に達した今も変わらなくて、やっぱり鍛錬して変わらずファイトしてくれているから、ファンとしても嬉しくなっちゃうんだよな。ラリアットにしても小島選手はハンセンから直接手ほどきを受けた免許皆伝の使い手でもあるし、まだまだ元気に突っ走って欲しいね。
哲ちゃんこと黒田哲広選手のラリアットは創意工夫のアドリブ芸でもあった。
ビルドアップした肉体美を誇り常にお客さんを意識したプロフェッショナル。
どんなときもどんな会場の何処ででも試合が出来ちゃうインディープロレスの申し子みたいな選手。
この人は何処でもラリアットをする。エプロンサイドや場外だけでなく、花道だとか通路だとかひな壇席の階段だとか、下手すると後楽園ホールの南側の客席に雪崩れ込んで、反対側からダッシュしてキメてくれたりもする。それが地方の、私の地元みたいな田舎の試合でも全力疾走からの全力ファイトをしてくれるから嬉しくなっちゃう。黒田選手の見せ場は色々あるけど、このラリアットもお客さんとの一体感があって好きだなあ。
理不尽大王、冬木弘道ボスの地団駄ラリアット。
別格。
私は多感な時期にFMWに触れ、よりによって冬木弘道さんから悪の薫陶を受けてしまったために、今でもウェルダンで火の通った冬木信者である。プロレスという文化の浸透度は高くとも、知名度の高い選手は限られている。残念ながら田舎のガキどもに冬木ボスの偉大さが理解出来る奴は少なく、その点で私は孤独だった。
で、地団駄ラリアット。
冬木さんは若い頃、中軽量級の選手だった。フットルースの頃の体つきや試合を見たり、自伝でも書かれていた通り、80年代にアメリカで人気絶頂だったロックンロール・エキスプレスやミッドナイト・エキスプレスに代表される、ダイナミックでスピーディーな試合がしたかったのだとか。
だからラリアットも飛び込むようにして体ごとぶつかって、当たった瞬間に体を横に流していて見栄えもいい。
両ひざ立ちのような姿勢で飛び込んで当たった瞬間の、髪の毛がなびいて汗がパっと飛び散るところなんか一級品だと思う。
で、現役後期、理不尽大王となってからも時折この型のラリアットが出ていた。
癖なのかもしれないけど、あの「マッチョバディ」と化したボスがコレをやると、それはそれで迫力があって好きだった。
無駄だよ、私は信者だもん。何がどうあったって最後は褒めるよボスだもん。
相手が弱ってフラフラと立ち上がろうとするとき、
ボスが対角線上のコーナーポストに背中を預け、
ゆっくりと呼吸を整え、両手を高々と突き上げ、
大きく呼吸をしながらハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ・・・…!とタイミングを計って、
ギャーーー!とか、
アーーー!とか
ビャーーー!といった奇声を上げて地団駄を踏み、そのまま素早いステップで相手に向かって一直線に突撃、勢いそのままにラリアットをブチ込むボスの定番ムーブだ。
プロレスごっこでコレを真似しても誰もわかってくれなかった
(Don’t Try This at School)
まだまだラリアットを使う選手、皆さんの中でも名人・名手は沢山いると思うけど、私が自分なりの言葉で書き綴れる人たちは、いま上げた選手でした。JBLのクローズライン(アメリカではこのように呼ばれる)が好きだってフォロワーさんも居て、それも納得でした。あの人もタッパがあって突進力があるから、威力もあるし見栄えもするし、いいよねー。
皆さんのお気に入りのラリアットはどなたですか?
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