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第975回。ようこそ!アマゾネス☆ポケット編集部へ
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セレベスト織田信長やMC紳士としての活動でもお馴染み、ジェントルメン中村先生の最新作
ようこそ!アマゾネス☆ポケット編集部へ
通販購入速攻読破完了であります!(紀乃子ちゃん風に)
なんと講談社の雑誌インポケットで連載されていたという異色の作品。駅構内の売店や書店に並んでいるとのことだったので大阪に行ったときや駅に用事があったときなんかに探してたけど結局見つからないままだったのでとても残念だったのですが、それがネット上での人気を受けてウェブで連載継続、さらに単行本発売とジェントルメン中村先生の人気と勢いを裏付けるカムバックを果たしたという伝説を持つ。アマゾネスさながらのしぶとさを物語るこの作品の主人公は、新人編集者の白柳紀乃子ちゃん。ジェントルメン中村先生の新人キャラではプロレスメンにおける虎馬俵太くんと同様に垂れ目の童顔、この初々しさと無垢な心が彼女の最大の強みでもある。
そしてもう一人の女傑(シュヤク)が才堂厚子さん。筋肉モリモリ、才気煥発、質実剛健な史上最強のアマゾネス編集長率いる歴史と伝統ある文芸誌アウト・ポケット編集部の日々を描いたハートウォーミングなホッコリ奮闘記。
文豪から気鋭の人気作家、校閲者(北条さんに似ている…!?)、装丁デザイナー、印刷会社のベテランDTPオペレーターなど小説を書いて集めて出版するまでの関係者とのエピソードから、ライバル誌とのし烈な企画合戦、文学賞の選考会議に受賞作のドラマ化とキャスティング、さらには異色の人気作家同士の対談、果ては取材旅行と出版界を縦横無尽に駆け回るアマゾネスたち。
ひと癖もふた癖もある剛腕、凄腕たちを向こうに回しての活躍に毎回ワクワク&ホッコリさせられる。
またエピソードごとの間のページには各文学賞の紹介と、そのイメージイラストが描かれていてこれも秀逸。
紀乃子ちゃんや才堂編集長のキャラが活かされたパロディやシュールなイラスト。これだけでもじっと見てたいようなものもあります。装丁のあの紀乃子ちゃんがど真ん中に来るデザインも良かったなあ…!
江戸川乱歩賞、メフィスト賞、群像新人文学賞のイラストと、日曜日に街をほっつき歩いている紀乃子ちゃんが特にお気に入りです。
この作品では主人公が新人で、頼りなく、ピンチやチャンスに一喜一憂する様子が描かれている。最近ジェントルメン中村先生を代表する作品となったセレベスト織田信長は初めから一端のツワモノ同士の戦いが描かれて、愛あるインフレーションの渦がやがて宇宙レベルのトンデモ竜巻(トルネード)となって読者を丸のみにしていくような展開だが、こちらは紀乃子ちゃんの成長と編集部のアマゾネスたちの活躍が見られる爽快な青春の記録となっていてジェントルメンワールドの幅広さが現れています。初めから強くて無敵、型破りなアイデアや人間離れした体力で難局を乗り越えるところでは織田信長会長と才堂厚子さんがダブるときもあるけれど、信長会長が自ら戦い成りあがっていくのに対し、才堂編集長はあくまでドッシリと構えて普段は紀乃子ちゃんに好きに戦わせ、どうにもならなくなったらスっと助けてくれる。その助け方が豪快かつオンセンスの塊なのではあるけれど。
上に立つものはこうであれ、という見本を、男女それぞれの経営者や編集長など責任ある立場でありながら人間味あふれるキャラクターに語らせている。
まさにジェントルメンワールドはすべての働く人に捧ぐ労働賛歌と言っていいと思います。あのオビに偽りなし!それを地で行く編集長の頼もしさと、彼女を信頼しつつも紀乃子ちゃんの奮闘と葛藤、懊悩と才能に一喜一憂する楽しみも併せ持つ。非常にバランスの優れた作品だと思います。
自分も小説を書かせて頂いたことがあったので(まだまだ書きたいのでお仕事募集中です)、出版社のシステムってこういう世界なのかーと思う一方で、こんな人が担当編集者だったら怖くて言う通りにしか書けないんじゃないかと…紀乃子ちゃんにタノシー!タノシー!してもらえるような小説を私も書きたいなと思います。
ライツ担当の雷田みどりさんは、ベッド・インの益子寺かおりさんに似てる気がするのは私だけ…?ノリは軽いC調だけれど仕事はバッチリという点もソックリでビックリ。
ラッパーであるという血肉(バックボーン)を活かしたジェントルメン中村先生の台詞、いやライムも光る。
そこかしこに仕掛けられた伏線が火を噴きまくる、豪快なだけでなく繊細なテクニックも駆使した文芸アクション作品でもあると思います。
プロレスラーで言えば巨漢で豪快なようで実は超本格派レスリングの申し子でもあり様々な小技・裏技も身に着けている往年の名選手ディック・マードックみたいな作品です。校閲者からの熱いメッセージ、プロポーズ。ダ・ヴィンチ・コードの解読、女流作家の過去と現在(いま)を結びつけるアイドルグループに未来の大作を生み出す史跡。文学とはこれほどフィジカルで超人的なセンスと用意周到さが必要とされるものなのか…!
私のデビュー作を担当して下さった宝島社のFさんも劇中の堀水さん(実は今作で一番の推しキャラです。黒髪ロングストレートがステキ)みたいな筋肉モリモリの豪快アマゾネスだったらどうしよう…!宝島社って社名も多々良島社とかに変わったりして。
でも本当に編集者さんって大変というか、ある意味で小説を書く側以上に文学や作品に対する愛着とビジネスに対する嗅覚を備えてなくちゃいけなくて、知られざる戦いはきっと数多く存在しているんだろうなあ。
まだ見ぬ編集者さんたちの世界を、ジェントルメンワールドを通して沢山の人がご覧になってくださることを願いつつ。
たまに私のツイッターも見て下さっているという宝島社のFさんだけは、このエッセイを見ないことも願いつつ。
ようこそ!アマゾネス☆ポケット編集部へ
講談社より発売中!!
ようこそ!アマゾネス☆ポケット編集部へ
通販購入速攻読破完了であります!(紀乃子ちゃん風に)
なんと講談社の雑誌インポケットで連載されていたという異色の作品。駅構内の売店や書店に並んでいるとのことだったので大阪に行ったときや駅に用事があったときなんかに探してたけど結局見つからないままだったのでとても残念だったのですが、それがネット上での人気を受けてウェブで連載継続、さらに単行本発売とジェントルメン中村先生の人気と勢いを裏付けるカムバックを果たしたという伝説を持つ。アマゾネスさながらのしぶとさを物語るこの作品の主人公は、新人編集者の白柳紀乃子ちゃん。ジェントルメン中村先生の新人キャラではプロレスメンにおける虎馬俵太くんと同様に垂れ目の童顔、この初々しさと無垢な心が彼女の最大の強みでもある。
そしてもう一人の女傑(シュヤク)が才堂厚子さん。筋肉モリモリ、才気煥発、質実剛健な史上最強のアマゾネス編集長率いる歴史と伝統ある文芸誌アウト・ポケット編集部の日々を描いたハートウォーミングなホッコリ奮闘記。
文豪から気鋭の人気作家、校閲者(北条さんに似ている…!?)、装丁デザイナー、印刷会社のベテランDTPオペレーターなど小説を書いて集めて出版するまでの関係者とのエピソードから、ライバル誌とのし烈な企画合戦、文学賞の選考会議に受賞作のドラマ化とキャスティング、さらには異色の人気作家同士の対談、果ては取材旅行と出版界を縦横無尽に駆け回るアマゾネスたち。
ひと癖もふた癖もある剛腕、凄腕たちを向こうに回しての活躍に毎回ワクワク&ホッコリさせられる。
またエピソードごとの間のページには各文学賞の紹介と、そのイメージイラストが描かれていてこれも秀逸。
紀乃子ちゃんや才堂編集長のキャラが活かされたパロディやシュールなイラスト。これだけでもじっと見てたいようなものもあります。装丁のあの紀乃子ちゃんがど真ん中に来るデザインも良かったなあ…!
江戸川乱歩賞、メフィスト賞、群像新人文学賞のイラストと、日曜日に街をほっつき歩いている紀乃子ちゃんが特にお気に入りです。
この作品では主人公が新人で、頼りなく、ピンチやチャンスに一喜一憂する様子が描かれている。最近ジェントルメン中村先生を代表する作品となったセレベスト織田信長は初めから一端のツワモノ同士の戦いが描かれて、愛あるインフレーションの渦がやがて宇宙レベルのトンデモ竜巻(トルネード)となって読者を丸のみにしていくような展開だが、こちらは紀乃子ちゃんの成長と編集部のアマゾネスたちの活躍が見られる爽快な青春の記録となっていてジェントルメンワールドの幅広さが現れています。初めから強くて無敵、型破りなアイデアや人間離れした体力で難局を乗り越えるところでは織田信長会長と才堂厚子さんがダブるときもあるけれど、信長会長が自ら戦い成りあがっていくのに対し、才堂編集長はあくまでドッシリと構えて普段は紀乃子ちゃんに好きに戦わせ、どうにもならなくなったらスっと助けてくれる。その助け方が豪快かつオンセンスの塊なのではあるけれど。
上に立つものはこうであれ、という見本を、男女それぞれの経営者や編集長など責任ある立場でありながら人間味あふれるキャラクターに語らせている。
まさにジェントルメンワールドはすべての働く人に捧ぐ労働賛歌と言っていいと思います。あのオビに偽りなし!それを地で行く編集長の頼もしさと、彼女を信頼しつつも紀乃子ちゃんの奮闘と葛藤、懊悩と才能に一喜一憂する楽しみも併せ持つ。非常にバランスの優れた作品だと思います。
自分も小説を書かせて頂いたことがあったので(まだまだ書きたいのでお仕事募集中です)、出版社のシステムってこういう世界なのかーと思う一方で、こんな人が担当編集者だったら怖くて言う通りにしか書けないんじゃないかと…紀乃子ちゃんにタノシー!タノシー!してもらえるような小説を私も書きたいなと思います。
ライツ担当の雷田みどりさんは、ベッド・インの益子寺かおりさんに似てる気がするのは私だけ…?ノリは軽いC調だけれど仕事はバッチリという点もソックリでビックリ。
ラッパーであるという血肉(バックボーン)を活かしたジェントルメン中村先生の台詞、いやライムも光る。
そこかしこに仕掛けられた伏線が火を噴きまくる、豪快なだけでなく繊細なテクニックも駆使した文芸アクション作品でもあると思います。
プロレスラーで言えば巨漢で豪快なようで実は超本格派レスリングの申し子でもあり様々な小技・裏技も身に着けている往年の名選手ディック・マードックみたいな作品です。校閲者からの熱いメッセージ、プロポーズ。ダ・ヴィンチ・コードの解読、女流作家の過去と現在(いま)を結びつけるアイドルグループに未来の大作を生み出す史跡。文学とはこれほどフィジカルで超人的なセンスと用意周到さが必要とされるものなのか…!
私のデビュー作を担当して下さった宝島社のFさんも劇中の堀水さん(実は今作で一番の推しキャラです。黒髪ロングストレートがステキ)みたいな筋肉モリモリの豪快アマゾネスだったらどうしよう…!宝島社って社名も多々良島社とかに変わったりして。
でも本当に編集者さんって大変というか、ある意味で小説を書く側以上に文学や作品に対する愛着とビジネスに対する嗅覚を備えてなくちゃいけなくて、知られざる戦いはきっと数多く存在しているんだろうなあ。
まだ見ぬ編集者さんたちの世界を、ジェントルメンワールドを通して沢山の人がご覧になってくださることを願いつつ。
たまに私のツイッターも見て下さっているという宝島社のFさんだけは、このエッセイを見ないことも願いつつ。
ようこそ!アマゾネス☆ポケット編集部へ
講談社より発売中!!
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