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第887回。フツーの街角
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見知らぬ街、別にそんな遠くじゃなくてもいいんだけどさ。
愛知県は県内っても程よく距離もあるし文化圏もそれなりに違っているので、東の端っこに住む私としては西へ西へ進んでいくだけで結構色々変わって面白いんだけど、そういうちょっと離れたフツーの街角ってのが面白い。
今日ふと、そういうフツーの住宅地と県道の間くらいのところで信号待ちしてたら、見上げた空がスカーン!と音がしそうなくらい青くてさ。んで高圧線の鉄塔がすいーっと伸びてて、向こうの田んぼで青い苗が風に揺れてる。なんか、こういう景色こそ二度とないものだし、多分フツーにしてたら二度と来ないかもしれない場所だからこそ何となく覚えちゃうし、次にまた忘れたころに通って
フッ
とその時の事を思い出すのが楽しかったりする。今の会社に入ってそれまであまり馴染みのなかった愛知県の西の方、南の方を走る機会が出来たんで猶更そういう場所が増えた気がする。遠くて見慣れない場所だったのが土地勘もついてきていつもの道になってって、でもまだまだ走ってない部分が残ってる。そういうのってちょっと楽しいというか豊かなことだと思うんだよな。
そこでフツーの生活をしているフツーの人々がたくさんいて、自分の住んでる場所だってその人たちからしたらちょっと遠くて見知らぬ街角の一部であって。
それがまた楽しいというか面白いというか。
そういえばメキシコに行く前の日の晩。
蒲田駅出て東急の踏切を渡ったとこにある東横イン(今でもあるのかな)に泊まって現地の知り合いに会いに行ったんだ。
このエッセイでもたまに出る私の姉さん(実の姉ではない)なんだけどね。
姉さんと蒲田駅の商店街にあったドトールでお茶して若貴って回転寿司のお店でご飯食べて、そのあとちょっと散歩してどっかの坂道か何かの下にある小さい公園で座って話込んで、解散して蒲田駅のすぐ近くの東横インだったんで余裕ぶっこいてたら見事に道に迷いましてね。土地勘に自信があるタチだったしまあいいか、そのうち着くだろ…と思ってうろうろ歩いているうちにさあココが何処だかわからない!
真夜中に一人、なんの縁もゆかりもない場所を歩いている。向こうからポリスメンが来たら職務クエスチョンは免れない。ホントに路地の、二階建ての家が立ち並んでるところでぼんやりと明るくて星も見えないような夜空を見上げて
「いまココにオレが居るなんて誰も思わないんだろうなあ」
って思ったら無性に面白くなっちゃってさ。まあホントにそこでなんかあってくたばってたら
どうしてコイツこんなとこで死んでるんだろ???
ってポリスメンはおろか私の身内だって思っただろうよ。確か姉さんが当時、蒲田駅の近くに住んでたんでそこに行っただけのことだったんだけどな。
そのまま歩き続けたら川崎まで行っちゃってさ。多摩川を渡っちゃったんだよ。何となく
もしかしてコレ多摩川だったりして
と思ったらビンゴ。で川崎駅まで来ちゃって。でもそっから線路を辿れば帰れるじゃーん!と前向きに考えて蒲田駅の近くまで帰ってきて、どうにか東横インに辿り着いたときにはもうヘトヘト。
机の引き出しに入ってた新約聖書をパラっとめくってそこに書いてあった
招かれるものは多いが、選ばれるものは少ない
なんてな言葉を今でも覚えている。
いま久しぶりに蒲田とか公園とか思い出したなあ。
ドトール行ったのとかはもしかすると記憶が混ざっているかもしれない。その後も何度か東京まで出向いて遊んでもらっているし、カラオケ行ったりマンガ喫茶入ったりもしてるんだっけか。
その時の事をモデルに小説を書いてみたりしたので、自分で作ったほうの情景も混じっているかもな。
今さら姉さんに答え合わせをしたところで
覚えてるわけねえだろバータレが!
と言われるか
お前んなことも忘れてるのかバータレ!
と言われるか、罵詈雑言の二択でしかないのでどうしようもないんだけどね…。
こないだ久しぶりに連絡したら姉さん元気そうで安心するやら、またまた人生の転機を迎えてて心配するやら。でもあんまり気を使って心配してると、またそれはそれでバータレと言われるので見守るしかないのである。
そういえば姉さんに最後に会ったのは小田原だった気がする。
ダイヤルQ2が廃止されるんだかなんだったかのニュースを新幹線で見た。
そのぐらいの時期。
あの時は駅前で飲んで、やっぱり散歩して、ドン・キホーテが閉まってたことに姉さんがキレてた。
そのあとでネカフェだかマンガ喫茶だか入ってダベって朝になって帰った。
あの時も真夜中に見知らぬ街、それも小田原駅周辺をうろうろ歩いてて。冬だったか11月ぐらいだったか。懐かしいな。
というか私は姉さんと会うたびに夜中どこぞを出歩いては罵倒されてるんだな。よっぽどこの姉さんがスキらしい私。
あんまり言うとまた気持ち悪いなお前は!とか言われるんだろうけど…それもまたよし!
と思ったら年々お互い丸くなってるらしく、最近ラインしても案外優しかったりする。
怒るまで懐いておこう。
愛知県は県内っても程よく距離もあるし文化圏もそれなりに違っているので、東の端っこに住む私としては西へ西へ進んでいくだけで結構色々変わって面白いんだけど、そういうちょっと離れたフツーの街角ってのが面白い。
今日ふと、そういうフツーの住宅地と県道の間くらいのところで信号待ちしてたら、見上げた空がスカーン!と音がしそうなくらい青くてさ。んで高圧線の鉄塔がすいーっと伸びてて、向こうの田んぼで青い苗が風に揺れてる。なんか、こういう景色こそ二度とないものだし、多分フツーにしてたら二度と来ないかもしれない場所だからこそ何となく覚えちゃうし、次にまた忘れたころに通って
フッ
とその時の事を思い出すのが楽しかったりする。今の会社に入ってそれまであまり馴染みのなかった愛知県の西の方、南の方を走る機会が出来たんで猶更そういう場所が増えた気がする。遠くて見慣れない場所だったのが土地勘もついてきていつもの道になってって、でもまだまだ走ってない部分が残ってる。そういうのってちょっと楽しいというか豊かなことだと思うんだよな。
そこでフツーの生活をしているフツーの人々がたくさんいて、自分の住んでる場所だってその人たちからしたらちょっと遠くて見知らぬ街角の一部であって。
それがまた楽しいというか面白いというか。
そういえばメキシコに行く前の日の晩。
蒲田駅出て東急の踏切を渡ったとこにある東横イン(今でもあるのかな)に泊まって現地の知り合いに会いに行ったんだ。
このエッセイでもたまに出る私の姉さん(実の姉ではない)なんだけどね。
姉さんと蒲田駅の商店街にあったドトールでお茶して若貴って回転寿司のお店でご飯食べて、そのあとちょっと散歩してどっかの坂道か何かの下にある小さい公園で座って話込んで、解散して蒲田駅のすぐ近くの東横インだったんで余裕ぶっこいてたら見事に道に迷いましてね。土地勘に自信があるタチだったしまあいいか、そのうち着くだろ…と思ってうろうろ歩いているうちにさあココが何処だかわからない!
真夜中に一人、なんの縁もゆかりもない場所を歩いている。向こうからポリスメンが来たら職務クエスチョンは免れない。ホントに路地の、二階建ての家が立ち並んでるところでぼんやりと明るくて星も見えないような夜空を見上げて
「いまココにオレが居るなんて誰も思わないんだろうなあ」
って思ったら無性に面白くなっちゃってさ。まあホントにそこでなんかあってくたばってたら
どうしてコイツこんなとこで死んでるんだろ???
ってポリスメンはおろか私の身内だって思っただろうよ。確か姉さんが当時、蒲田駅の近くに住んでたんでそこに行っただけのことだったんだけどな。
そのまま歩き続けたら川崎まで行っちゃってさ。多摩川を渡っちゃったんだよ。何となく
もしかしてコレ多摩川だったりして
と思ったらビンゴ。で川崎駅まで来ちゃって。でもそっから線路を辿れば帰れるじゃーん!と前向きに考えて蒲田駅の近くまで帰ってきて、どうにか東横インに辿り着いたときにはもうヘトヘト。
机の引き出しに入ってた新約聖書をパラっとめくってそこに書いてあった
招かれるものは多いが、選ばれるものは少ない
なんてな言葉を今でも覚えている。
いま久しぶりに蒲田とか公園とか思い出したなあ。
ドトール行ったのとかはもしかすると記憶が混ざっているかもしれない。その後も何度か東京まで出向いて遊んでもらっているし、カラオケ行ったりマンガ喫茶入ったりもしてるんだっけか。
その時の事をモデルに小説を書いてみたりしたので、自分で作ったほうの情景も混じっているかもな。
今さら姉さんに答え合わせをしたところで
覚えてるわけねえだろバータレが!
と言われるか
お前んなことも忘れてるのかバータレ!
と言われるか、罵詈雑言の二択でしかないのでどうしようもないんだけどね…。
こないだ久しぶりに連絡したら姉さん元気そうで安心するやら、またまた人生の転機を迎えてて心配するやら。でもあんまり気を使って心配してると、またそれはそれでバータレと言われるので見守るしかないのである。
そういえば姉さんに最後に会ったのは小田原だった気がする。
ダイヤルQ2が廃止されるんだかなんだったかのニュースを新幹線で見た。
そのぐらいの時期。
あの時は駅前で飲んで、やっぱり散歩して、ドン・キホーテが閉まってたことに姉さんがキレてた。
そのあとでネカフェだかマンガ喫茶だか入ってダベって朝になって帰った。
あの時も真夜中に見知らぬ街、それも小田原駅周辺をうろうろ歩いてて。冬だったか11月ぐらいだったか。懐かしいな。
というか私は姉さんと会うたびに夜中どこぞを出歩いては罵倒されてるんだな。よっぽどこの姉さんがスキらしい私。
あんまり言うとまた気持ち悪いなお前は!とか言われるんだろうけど…それもまたよし!
と思ったら年々お互い丸くなってるらしく、最近ラインしても案外優しかったりする。
怒るまで懐いておこう。
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