930 / 1,299
旧共産遺産
しおりを挟む
以前、外国を回って遺跡や廃墟の写真を撮っているカメラマンさんの個展を、大阪は日本橋にある画廊モモモグラさんで催すよ!というお知らせと共に見た写真。巨大な、なんだかよくわからない建造物の内部で撮られたであろう、そのインパクトが凄くって。その後に出版された、そのカメラマン星野藍さんの写真集
旧共産遺産
は、そん時に展示された写真が載っている本だったはずだ。あの写真、パネルで見たらもっと迫力あったんだろうなーと思いつつ。その異様な威容を放つ建物のことがずっと頭に残っていた。あの本、欲しいなあ。と思ってから暫く経って。
久しぶりに訪れた名古屋の特殊書店ビブリオマニアさんで、不意にその表紙と再会してしまった。しかも今度は画面越しではなく、目の前に新品で置かれていて、私はその本を買うお金をちゃんと持ってて、レジまで2メートルしか離れていない。両手両足すこぶる健康、このあと時間もたっぷりある。
本屋さんの片隅で読書の神様(たぶん荒俣宏さんに激似)が加藤保憲のコスプレで
読め!!!!
と言ってくれたんだと思う。ドーマンセーマンの手袋して。お前どんだけ帝都大戦好きなんだ。
で旧共産遺産。表紙になっているのはハンガリーのケレンフェルド発電所の内部。無数のパネルにスイッチや配線、メーターが並んでいる。びっしりと、キッチリと。実相寺昭雄が監督した円谷特撮みてえだな…と、ウルトラマンが好きな人なら思うんじゃないかな。私の第一印象はソレだったもん。ウルトラセブンのシブいエピソードにありそう、って。
この本に収録されているのは旧共産圏と呼ばれるバルカン半島周辺の国々で、かつて無数に建造された施設やモニュメントの現在の姿。そしてギリシャやキプロスの廃墟も。星野藍さんいわくオマケ的に収録したとのことだが、それにしたって凄まじい写真の数々。
日本の常識、様式、形式には似ても似つかない、ホントに突拍子もないモノを撮る映画監督が用意させたようなものが平然と佇み月日を経て朽ちたり錆びたり緑にうずもれたりしているのだ。
こんな場所が、この地球の何処かに存在しているんだ…
それもキャプションによれば立ち入りが困難な場所もあれば、近所の人々がフツーにジョギングや散歩に訪れていたり、定期的なイベントが開かれていたりと馴染のある場所として残っているものもある。海外の人が日本でもお城とか木造建築のお屋敷を見て思う事と近いのかも知れない。たぶん。
その国の成り立ち、歴史、プロパガンダ、事件、戦争、そこにかかわった無数の人間の念が具現化したような形と姿をしている。中にはスポメニックと呼ばれる戦争記念碑もあり、これがまた色んなものを象徴しているということで…どれもこれも、まあ不思議な形をとっている。宇宙人の顔みたいだったり、巨大な宇宙生物みたいだったり(ウルトラセブンに出てくるアイロス星人みたいなやつがある)魔法使いの家みたいだったり。
圧巻なのがマケドニアのイリンデンモニュメントと、ブルガリアの共産党ホールの廃墟。この2つと、表紙にもなっているトップバッターのハンガリーはケレンフェルド発電所が特にお気に入りだ。
この旧共産遺産という本に、どんな形のどんな建造物が載っているかを、正直ここで説明するのは不可能に近い。筆舌に尽くしがたい、という言葉をリアルに使うことになるとは。熱が出た時の夢の話をするようなもので、野暮だし無駄だと思う。興味がわいた方は、是非お買い求めになられるか、名古屋市は栄にある特殊書店ビブリオマニアさんでご覧になってみるといいと思う。このデカさ、厚さ、重さ、そして中身の迫力。良い買い物をした。この前も書いたけど、ホントに大概のマニアックなジャンルはビブリオマニアさん行けば何とかなる。少なくとも団地や建物に関しては、今回なんとかなった。そして鉄道も、なった。ホラーにオカルト宗教、映画怪獣性にエロスに文学にと。多分、私が見てもわからない棚が誰かにとっては宝の山なんだろうなって思うと。あの空間が全部愛おしくなる。その愛すべき宝箱のドアを再び開ける日が楽しみだ。
旧共産遺産
は、そん時に展示された写真が載っている本だったはずだ。あの写真、パネルで見たらもっと迫力あったんだろうなーと思いつつ。その異様な威容を放つ建物のことがずっと頭に残っていた。あの本、欲しいなあ。と思ってから暫く経って。
久しぶりに訪れた名古屋の特殊書店ビブリオマニアさんで、不意にその表紙と再会してしまった。しかも今度は画面越しではなく、目の前に新品で置かれていて、私はその本を買うお金をちゃんと持ってて、レジまで2メートルしか離れていない。両手両足すこぶる健康、このあと時間もたっぷりある。
本屋さんの片隅で読書の神様(たぶん荒俣宏さんに激似)が加藤保憲のコスプレで
読め!!!!
と言ってくれたんだと思う。ドーマンセーマンの手袋して。お前どんだけ帝都大戦好きなんだ。
で旧共産遺産。表紙になっているのはハンガリーのケレンフェルド発電所の内部。無数のパネルにスイッチや配線、メーターが並んでいる。びっしりと、キッチリと。実相寺昭雄が監督した円谷特撮みてえだな…と、ウルトラマンが好きな人なら思うんじゃないかな。私の第一印象はソレだったもん。ウルトラセブンのシブいエピソードにありそう、って。
この本に収録されているのは旧共産圏と呼ばれるバルカン半島周辺の国々で、かつて無数に建造された施設やモニュメントの現在の姿。そしてギリシャやキプロスの廃墟も。星野藍さんいわくオマケ的に収録したとのことだが、それにしたって凄まじい写真の数々。
日本の常識、様式、形式には似ても似つかない、ホントに突拍子もないモノを撮る映画監督が用意させたようなものが平然と佇み月日を経て朽ちたり錆びたり緑にうずもれたりしているのだ。
こんな場所が、この地球の何処かに存在しているんだ…
それもキャプションによれば立ち入りが困難な場所もあれば、近所の人々がフツーにジョギングや散歩に訪れていたり、定期的なイベントが開かれていたりと馴染のある場所として残っているものもある。海外の人が日本でもお城とか木造建築のお屋敷を見て思う事と近いのかも知れない。たぶん。
その国の成り立ち、歴史、プロパガンダ、事件、戦争、そこにかかわった無数の人間の念が具現化したような形と姿をしている。中にはスポメニックと呼ばれる戦争記念碑もあり、これがまた色んなものを象徴しているということで…どれもこれも、まあ不思議な形をとっている。宇宙人の顔みたいだったり、巨大な宇宙生物みたいだったり(ウルトラセブンに出てくるアイロス星人みたいなやつがある)魔法使いの家みたいだったり。
圧巻なのがマケドニアのイリンデンモニュメントと、ブルガリアの共産党ホールの廃墟。この2つと、表紙にもなっているトップバッターのハンガリーはケレンフェルド発電所が特にお気に入りだ。
この旧共産遺産という本に、どんな形のどんな建造物が載っているかを、正直ここで説明するのは不可能に近い。筆舌に尽くしがたい、という言葉をリアルに使うことになるとは。熱が出た時の夢の話をするようなもので、野暮だし無駄だと思う。興味がわいた方は、是非お買い求めになられるか、名古屋市は栄にある特殊書店ビブリオマニアさんでご覧になってみるといいと思う。このデカさ、厚さ、重さ、そして中身の迫力。良い買い物をした。この前も書いたけど、ホントに大概のマニアックなジャンルはビブリオマニアさん行けば何とかなる。少なくとも団地や建物に関しては、今回なんとかなった。そして鉄道も、なった。ホラーにオカルト宗教、映画怪獣性にエロスに文学にと。多分、私が見てもわからない棚が誰かにとっては宝の山なんだろうなって思うと。あの空間が全部愛おしくなる。その愛すべき宝箱のドアを再び開ける日が楽しみだ。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
天涯孤独のアーティスト
あまゆり
エッセイ・ノンフィクション
はじめに…
自分自身の波瀾万丈の人生を書いてます。 こんな生き方も参考にしてください。
学もない私が書いていきますので読みづらい、伝わりづらい表現などあるかもしれませんが広い心でお付き合い頂ければと思います。
平成や令和の方などには逆に新鮮に思えるような昭和な出来事などもありますので不適切な表現があるかもせれませんが楽しんでもらえたらと思います。
両親が幼い頃にいなくなった私
施設に行ったり、非行に走ったり
鑑別所や、少年院に入ったり
音楽を始めたり、住む家がなくフラフラして生きて、いつの間にか会社を経営して結婚して子どもが生まれたり、女装を始めたり
こんな生き方でも今生きている自分がいるってことを伝えたいと思います。
過去を振り返ることで今の自分が怠けずに生きられているのか、自分を見つめ直すことができるので頑張って書いていこうと思います。
この物語に出てくる登場人物は本人を除いて一部の人は仮名で表現しております。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる