880 / 1,299
冷たい強風の日曜日だった
しおりを挟む朝、遅く起きて少し出かけることに。動物園で植物やカバやペンギン、珍しいおサルさんなんかを見る。マンドリルと目が合って、しばし見つめ合う。マンドリルは非常にコミュニケーション豊かで、もしかすると心が通じたりするかな…?と、マンドリルに向かって心の中で独り言をつぶやいて聴いてもらった気分になってみる
動物園は広く、風通しがいいので、心の中まで突風が吹き込んでくるような青空が物悲しく寂しかった
周囲には笑ったり走ったり転んだりする小さな子供たち
それを見つめたり心配したり叱り飛ばす親や祖父母らしき人たち
俺これからどうなるんだろう
最近、夜は考え事をしないことにしている。Twitterで、やめた方がいいって再三見たので、意識的にやめることにしてたのが、昼間ツケが回ってくるかのように背中にのしかかってくる
あの親子だって夫婦だって、結婚してたって幸せとは限るまい。日々いろんな不安や不満や問題が大小様々に絡み合い積みあがっているのを、なんとかこらえて暮らしているのだろう
自分もこらえて暮らさねば、と思うものの、新しい仕事や職場への不安や、転職を重ねたことでの疲れや、摩耗した心と支えをなくした喪失感で、ぼんやりと足だけが歩く。風のあまり吹かない、背もたれのあるベンチから噴水が見える
カバや植物園の天井、メリーゴーランド、懐かしいコインゲーム。アイキャッチ画像の素材になりそうな写真を幾つか撮って、動物園を後にする。でもまだぼんやりしたかったので伊良湖岬へ行ってみる。久しぶりに国道42号線を南下し赤羽から渥美へ入る。10年ぐらい前は毎週、ほとんど1日おきに走っていた道。様変わりした区画もあれば、変わらずに佇む建物もある
伊良湖岬に着くと道の駅は閉鎖中で、入り口のところで猫がのんびり昼寝をしていた。灯台まで遊歩道をポクポク歩く。冬の儚げな陽射しが黄色味を帯びて傾いているなかを駆け抜ける冷たい強風に煽られるように、ポケットに手を突っ込んでポクポク歩く
灯台周辺には自転車に乗って来た人や、夫婦、カップルなんかもチラホラ
物好きな奴等だ、と自分の事を棚に上げて、遠くに見える島や三重県側の山地の陰や、知多半島なんかを見つめて、ココでも写真を撮ってきた
帰ってきたら夕方だった
ゲンキーで買ってきた味噌ラーメンにピリ辛チョリソーを炒めたやつを入れて早めの晩飯を食ってて気が付いたが、朝から何も食べてなかった
けど別に、腹は減ってなかった
空っぽなのは心だけだった
背中に重たくのしかかる不安や責任もキツいが、胸の中に空っぽの心を抱えているのも、またキツいものなのだなあ
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる