不定期エッセイ キッドさんといっしょ。

ダイナマイト・キッド

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冷たい強風の日曜日だった

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朝、遅く起きて少し出かけることに。動物園で植物やカバやペンギン、珍しいおサルさんなんかを見る。マンドリルと目が合って、しばし見つめ合う。マンドリルは非常にコミュニケーション豊かで、もしかすると心が通じたりするかな…?と、マンドリルに向かって心の中で独り言をつぶやいて聴いてもらった気分になってみる
動物園は広く、風通しがいいので、心の中まで突風が吹き込んでくるような青空が物悲しく寂しかった
周囲には笑ったり走ったり転んだりする小さな子供たち
それを見つめたり心配したり叱り飛ばす親や祖父母らしき人たち

俺これからどうなるんだろう
最近、夜は考え事をしないことにしている。Twitterで、やめた方がいいって再三見たので、意識的にやめることにしてたのが、昼間ツケが回ってくるかのように背中にのしかかってくる
あの親子だって夫婦だって、結婚してたって幸せとは限るまい。日々いろんな不安や不満や問題が大小様々に絡み合い積みあがっているのを、なんとかこらえて暮らしているのだろう
自分もこらえて暮らさねば、と思うものの、新しい仕事や職場への不安や、転職を重ねたことでの疲れや、摩耗した心と支えをなくした喪失感で、ぼんやりと足だけが歩く。風のあまり吹かない、背もたれのあるベンチから噴水が見える

カバや植物園の天井、メリーゴーランド、懐かしいコインゲーム。アイキャッチ画像の素材になりそうな写真を幾つか撮って、動物園を後にする。でもまだぼんやりしたかったので伊良湖岬へ行ってみる。久しぶりに国道42号線を南下し赤羽から渥美へ入る。10年ぐらい前は毎週、ほとんど1日おきに走っていた道。様変わりした区画もあれば、変わらずに佇む建物もある

伊良湖岬に着くと道の駅は閉鎖中で、入り口のところで猫がのんびり昼寝をしていた。灯台まで遊歩道をポクポク歩く。冬の儚げな陽射しが黄色味を帯びて傾いているなかを駆け抜ける冷たい強風に煽られるように、ポケットに手を突っ込んでポクポク歩く
灯台周辺には自転車に乗って来た人や、夫婦、カップルなんかもチラホラ
物好きな奴等だ、と自分の事を棚に上げて、遠くに見える島や三重県側の山地の陰や、知多半島なんかを見つめて、ココでも写真を撮ってきた

帰ってきたら夕方だった
ゲンキーで買ってきた味噌ラーメンにピリ辛チョリソーを炒めたやつを入れて早めの晩飯を食ってて気が付いたが、朝から何も食べてなかった
けど別に、腹は減ってなかった
空っぽなのは心だけだった

背中に重たくのしかかる不安や責任もキツいが、胸の中に空っぽの心を抱えているのも、またキツいものなのだなあ

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