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第779回。これで今日からキミも童貞だ!
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年々、童貞だったことを恥じたり忘れたり誇ったりと、過去の童貞歴、童貞という称号との付き合い方が難しく、ぶれ幅が大きくなってきている気がする。
童貞であるということはある一時期までは当然のことであり、いつ如何なるときであっても恥じるようなことなどないはずなのに。何故かたまらなく恥ずかしいと思ったり、むしろ開き直って胸を張ってみたり、揶揄したり、誹謗中傷したり、性欲を持て余したり、意味もなくチャリを漕いだりしてしまうものだ。
キッドさんが童貞喪失したのは14歳だったけど、実はそこから次の試合までが長かった。
伊集院光さんいうところのセカンド童貞というのは実際のところ、味を占めた分だけキツイ。
一度もなければ我慢も出来る、と言うか、生きてるだけで我慢している。天然ストイックであるからして苦労も我慢もへったくれもないのだ。欲求不満にはなるのだろうし、抱きたい触れたい吸いつきたいお気持ちというものは湧くだろう。
あのちょっとワキガの女の子の剃り残しが結構ある腋の下とか舐めたいじゃん誰だって(お前と一緒にするな)
でさ。
セカンド童貞であるとはいえ経験はさせてもらっている(そんな殊勝な心持などではなく、経験を済ませた、くらいに思っていた)のでヘンなプライドだけはある。だけど、いざとなるとがっついてしまうし浮足立ってしまう。そこで落ち着いてドンと構えるだけの経験なんか積んでいないのだ。
ああいう年輪とか地層のようになった経験則、物凄く落ち着いた物腰なのに漲るエネルギーってのは一体どうやって蓄積され発露されるのか。そんなもん今もってよくわかんねえんだけどさ。
問題は童貞っていう烙印を消したくて消したくて震えるくらいの頃の心持ちにあるんじゃねえかな。と思う。
落ち着いててスマートでどうにも隙のない人、場合によっちゃイケ好かない奴ってのは、もうその段階から結構落ち着いてたり諦めてたりするんじゃねえのかな。
よく言えば自分をよくわかってる、そうじゃなければスカしているとか、悲観的であるとすら言えてしまうかもしれない。
ツイッターとかフェイスブックによくいるイケ好かない、クルーザーでスーツ着てションベンみてえなの注いだグラス持ってるクソみてえなのは、アレはインチキだからきっと後者だ。
サクセスとか絆とかビジネスとか起業とか脱社畜とか、そんなもんクルーザー乗るのになんもカンケーねえよって。お金工面して申し込めば誰でも乗せてもらえるだろクルーザーぐらい。
ウルティモ・ドラゴン校長みたいにフツーに空港行くだけでなんか高級ラウンジにすっと通してもらって、そこで落ち着いて高そうなお酒をちょっと嗜んでたりとか、そういうのが本当のセレブリティであって。
童貞ってのはこの対極にある存在なのだ。
世界のセレブリティが夜な夜な煌びやかな世界で高いお酒とか葉巻とかを嗜んで、なんかスティーブ青木さん(最近ハマっているのだ)みたいな人がいっぱいいるクリエイティブな場所で有意義な時間を過ごしている。
その同じ時間、同じ空の下、同じ地球の地面の上で、男くさい友達の部屋(この場合丸山君の部屋)でウダツの上がらない男子ばっかり集まってウダウダして高校生にもなってニンテンドー64ではしゃいだりして。
んで自分の家に帰って二階の自分の部屋(畳の茶色くなった和室)で弾けもしないギターを拭いたり、ちょっと鳴らしてみて指痛いんで辞めたり、腕立て伏せするけどすぐ辞めたり、階段の下からバアさんが
ご飯だよ!!!
ってキレながら叫んでたり、飯食って風呂入ってシコって寝る。
これが同じ人間のやることか!?
とか思うウチが華。
そこから諦めに入るともう本当に長いこと立ち直れないぞ。
そんな高校生の頃、アサクラ君がキッドさんこと佐野に言い放ったひと言を今も覚えている。
「なんでそれでも佐野には彼女出来るんだろうなー」
って。いい友達だよ彼は!!!
私はこう答えたね。
「バカ言え数少ないチャンスを死に物狂いで掴んでるんだよ」
実際はそれでも甘い、まだまだ地獄の一丁目。
イッチョメイッチョメ、ワァーーーーーーォ!
死に物狂いどころか溺れる者が藁を掴んだと思ったら火のついた導火線、ぐれえの生存率ではあったもののなんとか生き長らえさせてもらえたまでのことで…。
世の中には小鼻の横っちょの脂を絞って匂い嗅いだこともねえような連中もいて、そのぐらいのレベルの違いになっちゃうと、もう図鑑に載ってもページが違うんだろうな、で済むけどさ。
そうじゃなくて、内なる声というか、衝動みたいなものが夜寝てたり授業中ヒマだったり(勉強しろよ)柔道とか少林寺拳法やって死ぬほど疲れてたり、バイトでやっぱりグッタリしてたり、そういう時に心と頭のあいだの奥深くから湧き上がってくるんだよな。
それが何を意味するのか、なんでそんなものがこみ上げるのか。セカンド童貞には痛いほどわかってしまう。だからツライ。
童貞は弾きもしないギターを、来もしない女の子に見栄を張るため部屋に置く。
童貞であるということはある一時期までは当然のことであり、いつ如何なるときであっても恥じるようなことなどないはずなのに。何故かたまらなく恥ずかしいと思ったり、むしろ開き直って胸を張ってみたり、揶揄したり、誹謗中傷したり、性欲を持て余したり、意味もなくチャリを漕いだりしてしまうものだ。
キッドさんが童貞喪失したのは14歳だったけど、実はそこから次の試合までが長かった。
伊集院光さんいうところのセカンド童貞というのは実際のところ、味を占めた分だけキツイ。
一度もなければ我慢も出来る、と言うか、生きてるだけで我慢している。天然ストイックであるからして苦労も我慢もへったくれもないのだ。欲求不満にはなるのだろうし、抱きたい触れたい吸いつきたいお気持ちというものは湧くだろう。
あのちょっとワキガの女の子の剃り残しが結構ある腋の下とか舐めたいじゃん誰だって(お前と一緒にするな)
でさ。
セカンド童貞であるとはいえ経験はさせてもらっている(そんな殊勝な心持などではなく、経験を済ませた、くらいに思っていた)のでヘンなプライドだけはある。だけど、いざとなるとがっついてしまうし浮足立ってしまう。そこで落ち着いてドンと構えるだけの経験なんか積んでいないのだ。
ああいう年輪とか地層のようになった経験則、物凄く落ち着いた物腰なのに漲るエネルギーってのは一体どうやって蓄積され発露されるのか。そんなもん今もってよくわかんねえんだけどさ。
問題は童貞っていう烙印を消したくて消したくて震えるくらいの頃の心持ちにあるんじゃねえかな。と思う。
落ち着いててスマートでどうにも隙のない人、場合によっちゃイケ好かない奴ってのは、もうその段階から結構落ち着いてたり諦めてたりするんじゃねえのかな。
よく言えば自分をよくわかってる、そうじゃなければスカしているとか、悲観的であるとすら言えてしまうかもしれない。
ツイッターとかフェイスブックによくいるイケ好かない、クルーザーでスーツ着てションベンみてえなの注いだグラス持ってるクソみてえなのは、アレはインチキだからきっと後者だ。
サクセスとか絆とかビジネスとか起業とか脱社畜とか、そんなもんクルーザー乗るのになんもカンケーねえよって。お金工面して申し込めば誰でも乗せてもらえるだろクルーザーぐらい。
ウルティモ・ドラゴン校長みたいにフツーに空港行くだけでなんか高級ラウンジにすっと通してもらって、そこで落ち着いて高そうなお酒をちょっと嗜んでたりとか、そういうのが本当のセレブリティであって。
童貞ってのはこの対極にある存在なのだ。
世界のセレブリティが夜な夜な煌びやかな世界で高いお酒とか葉巻とかを嗜んで、なんかスティーブ青木さん(最近ハマっているのだ)みたいな人がいっぱいいるクリエイティブな場所で有意義な時間を過ごしている。
その同じ時間、同じ空の下、同じ地球の地面の上で、男くさい友達の部屋(この場合丸山君の部屋)でウダツの上がらない男子ばっかり集まってウダウダして高校生にもなってニンテンドー64ではしゃいだりして。
んで自分の家に帰って二階の自分の部屋(畳の茶色くなった和室)で弾けもしないギターを拭いたり、ちょっと鳴らしてみて指痛いんで辞めたり、腕立て伏せするけどすぐ辞めたり、階段の下からバアさんが
ご飯だよ!!!
ってキレながら叫んでたり、飯食って風呂入ってシコって寝る。
これが同じ人間のやることか!?
とか思うウチが華。
そこから諦めに入るともう本当に長いこと立ち直れないぞ。
そんな高校生の頃、アサクラ君がキッドさんこと佐野に言い放ったひと言を今も覚えている。
「なんでそれでも佐野には彼女出来るんだろうなー」
って。いい友達だよ彼は!!!
私はこう答えたね。
「バカ言え数少ないチャンスを死に物狂いで掴んでるんだよ」
実際はそれでも甘い、まだまだ地獄の一丁目。
イッチョメイッチョメ、ワァーーーーーーォ!
死に物狂いどころか溺れる者が藁を掴んだと思ったら火のついた導火線、ぐれえの生存率ではあったもののなんとか生き長らえさせてもらえたまでのことで…。
世の中には小鼻の横っちょの脂を絞って匂い嗅いだこともねえような連中もいて、そのぐらいのレベルの違いになっちゃうと、もう図鑑に載ってもページが違うんだろうな、で済むけどさ。
そうじゃなくて、内なる声というか、衝動みたいなものが夜寝てたり授業中ヒマだったり(勉強しろよ)柔道とか少林寺拳法やって死ぬほど疲れてたり、バイトでやっぱりグッタリしてたり、そういう時に心と頭のあいだの奥深くから湧き上がってくるんだよな。
それが何を意味するのか、なんでそんなものがこみ上げるのか。セカンド童貞には痛いほどわかってしまう。だからツライ。
童貞は弾きもしないギターを、来もしない女の子に見栄を張るため部屋に置く。
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