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三沢光晴さんの思い出
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6月13日は、ある年代・ある世代までのプロレスファンにとって忘れたくても忘れられない日
三沢光晴さんの御命日だ
今年で何年になるのかな…ふと思い出したり指折り数えたりすることは増えたけど
三沢光晴さんの試合や、様々な媒体を通して伝わってくる人となりに関しては、いつも思い出すというよりは頭の片隅にちゃんとコーナーが出来ていて
その脳内武道館メインイベントの赤コーナーには常に、三沢光晴さんの雄姿がある
青コーナーに立っているのは、川田利明さんだろうか。小橋建太さんだろうか。
それともハンセン、ウィリアムス、ジャイアント馬場さん…?
私は往年の初代タイガーマスクVSダイナマイト・キッドを見てプロレスが好きになった。だから最初は、この世の中でプロレスと言えばこの二人だったし、それから新日本プロレスや他の選手にも興味がわき、知見を広げていった
全日本プロレスにも、新日本プロレスと同じぐらい熱いファンが居て
全日本プロレスも、新日本プロレスの熱いファンと同じぐらい片方を熱烈に支持し、もう片方を激烈にコキ下ろしていた
私の周りには、新日本プロレスを持ち上げる人が多かった
だけど全日本プロレスの試合を実際にテレビで見て、私の洗脳は呆気なく解けた
それは馬場さんが亡くなる直前の、99年1月に大阪府立体育会館で行われた三沢光晴さんと川田利明さんの三冠ヘビー級選手権。壮絶な死闘の末、勝ったのは川田利明さんだった
しかし両者の熾烈な戦いはきっちりと中学生だった私の脳裏に刻み込まれた
そして念願かなっての三沢光晴さんの試合を生観戦したのはそれから数年後の有明コロシアム
プロレスリングノアのビッグマッチ
私が当時、誰よりも心酔していた理不尽大王・冬木弘道さんとの一騎打ちだった
この試合が目当てで東京まで鈍行を乗り継いで見に行った
私にとって初めてのノア観戦、初めての有明コロシアム、そして最初で最後のボスと三沢さんの一騎打ちになってしまった
この試合直後に冬木ボスは引退を表明、そして三沢さんとの深い友情が示されることとなる
二回目の三沢さん生観戦は、地元の体育館でのプロレスリングノア豊橋大会だった
今でも部屋に当日のポスターが貼ってある
「The First Navigation’05」
1月12日豊橋大会
あの有明コロシアムの盛り上がりには遠く及ばず、正直ずっとテンションの低い感じで試合が行われていた
悪かったとは言わないけど、物足りなかった、とは思う
ずっとファンだった斎藤彰俊選手にも会えたし、握手をしてダークエージェントの名刺も頂いた
そしてその日の三沢さんは、巷間伝えられているように
もはや限界をとっくに超えた身体で試合をしていたのだった
あの事故が起きたのは、それから4年後の事だった
地上波での中継が終わり、プロレス業界全体も低空飛行が続いていた
そして三沢さんは「あの三沢光晴」であり続けようとしていた
それは小橋建太さんも「あの小橋建太」として現役を全うしたように
ファンの為、団体の為、だけど一番は、自分で自分が許せないからだったのかもしれない
四天王プロレスの夜明け前、それまでの全日本プロレスには化け物じみたレスラーや文字通りの怪物が跋扈していた
総帥ジャイアント馬場さんは類まれな巨体と運動神経を持ち、一番弟子でありエースにジャンボ鶴田さんがいて
スティーブ・ウィリアムス
テリー・ゴディ
ゲイリー・オブライト
そしてなんといってもスタン・ハンセン
あの化け物揃いの逸材たちの中に入ってしまえば、幾らプロレスラーとしての資質を備えた人間であったとしてもやはり小さく軽いと思われがちだ
だが三沢さんが小さくて軽いんじゃなく、他が有り得ないぐらいデカくてヘヴィーだったのだ
三沢光晴さん、川田利明さん、小橋建太さん、田上明さん、そしてのちに頭角を現す秋山準選手
この五人に共通するのは
等身大のプロレスラーだった
事だろう。本名で、マスクやメイクもなく、設定や特殊なアピールもない
凶器、毒霧、マイクアピールに舞台裏でのやり取りもなく
リングの上に居るのは普通の人間「三沢光晴さん」であり、それと同時に
プロレスラー「三沢光晴」
だった
だから、彼らの戦いは見るモノの胸を打った。現実的過ぎるのに、非日常にどっぷり浸かれた。物凄く繊細で、物凄く先鋭化し過ぎた結果
四天王プロレスはその等身大の人間であるがゆえのリアルさによって
「あまりの許されない割り算」
になってしまったのではないだろうか
それは試合のクリーンさ、極限の戦いを求めるストイックさもさることながら
見る側の遣る瀬無さ、怒りや不満や悲しみ、後悔、不信などを背負いきれないほど背負って戦ってくれたからこその極限の境地だったのではないだろうか
私自身は、あの四天王プロレスと呼ばれるものに対しては最初こそスゲエ!と思ったけど、一時期は否定的に思っていた
失ったもの、払った代償が大きすぎたからだ
だけど今は、偉大なる遺産、ということにしている
だから触れることなく、眺めていたい
そして6月13日は、プロレスファンにとっての緑の日として
在りし日の思い出や激闘の数々を語り合う日にしてもいいのではないだろうか
三沢光晴さんが愛したウルトラマンレオ、その故郷は宇宙にきらめくエメラルド
三沢光晴さんの思い出は、まさに天空に輝くエメラルドグリーンの星となって
今でもマットに降り注ぐ光で在り続けているのだ
三沢光晴さんの御命日だ
今年で何年になるのかな…ふと思い出したり指折り数えたりすることは増えたけど
三沢光晴さんの試合や、様々な媒体を通して伝わってくる人となりに関しては、いつも思い出すというよりは頭の片隅にちゃんとコーナーが出来ていて
その脳内武道館メインイベントの赤コーナーには常に、三沢光晴さんの雄姿がある
青コーナーに立っているのは、川田利明さんだろうか。小橋建太さんだろうか。
それともハンセン、ウィリアムス、ジャイアント馬場さん…?
私は往年の初代タイガーマスクVSダイナマイト・キッドを見てプロレスが好きになった。だから最初は、この世の中でプロレスと言えばこの二人だったし、それから新日本プロレスや他の選手にも興味がわき、知見を広げていった
全日本プロレスにも、新日本プロレスと同じぐらい熱いファンが居て
全日本プロレスも、新日本プロレスの熱いファンと同じぐらい片方を熱烈に支持し、もう片方を激烈にコキ下ろしていた
私の周りには、新日本プロレスを持ち上げる人が多かった
だけど全日本プロレスの試合を実際にテレビで見て、私の洗脳は呆気なく解けた
それは馬場さんが亡くなる直前の、99年1月に大阪府立体育会館で行われた三沢光晴さんと川田利明さんの三冠ヘビー級選手権。壮絶な死闘の末、勝ったのは川田利明さんだった
しかし両者の熾烈な戦いはきっちりと中学生だった私の脳裏に刻み込まれた
そして念願かなっての三沢光晴さんの試合を生観戦したのはそれから数年後の有明コロシアム
プロレスリングノアのビッグマッチ
私が当時、誰よりも心酔していた理不尽大王・冬木弘道さんとの一騎打ちだった
この試合が目当てで東京まで鈍行を乗り継いで見に行った
私にとって初めてのノア観戦、初めての有明コロシアム、そして最初で最後のボスと三沢さんの一騎打ちになってしまった
この試合直後に冬木ボスは引退を表明、そして三沢さんとの深い友情が示されることとなる
二回目の三沢さん生観戦は、地元の体育館でのプロレスリングノア豊橋大会だった
今でも部屋に当日のポスターが貼ってある
「The First Navigation’05」
1月12日豊橋大会
あの有明コロシアムの盛り上がりには遠く及ばず、正直ずっとテンションの低い感じで試合が行われていた
悪かったとは言わないけど、物足りなかった、とは思う
ずっとファンだった斎藤彰俊選手にも会えたし、握手をしてダークエージェントの名刺も頂いた
そしてその日の三沢さんは、巷間伝えられているように
もはや限界をとっくに超えた身体で試合をしていたのだった
あの事故が起きたのは、それから4年後の事だった
地上波での中継が終わり、プロレス業界全体も低空飛行が続いていた
そして三沢さんは「あの三沢光晴」であり続けようとしていた
それは小橋建太さんも「あの小橋建太」として現役を全うしたように
ファンの為、団体の為、だけど一番は、自分で自分が許せないからだったのかもしれない
四天王プロレスの夜明け前、それまでの全日本プロレスには化け物じみたレスラーや文字通りの怪物が跋扈していた
総帥ジャイアント馬場さんは類まれな巨体と運動神経を持ち、一番弟子でありエースにジャンボ鶴田さんがいて
スティーブ・ウィリアムス
テリー・ゴディ
ゲイリー・オブライト
そしてなんといってもスタン・ハンセン
あの化け物揃いの逸材たちの中に入ってしまえば、幾らプロレスラーとしての資質を備えた人間であったとしてもやはり小さく軽いと思われがちだ
だが三沢さんが小さくて軽いんじゃなく、他が有り得ないぐらいデカくてヘヴィーだったのだ
三沢光晴さん、川田利明さん、小橋建太さん、田上明さん、そしてのちに頭角を現す秋山準選手
この五人に共通するのは
等身大のプロレスラーだった
事だろう。本名で、マスクやメイクもなく、設定や特殊なアピールもない
凶器、毒霧、マイクアピールに舞台裏でのやり取りもなく
リングの上に居るのは普通の人間「三沢光晴さん」であり、それと同時に
プロレスラー「三沢光晴」
だった
だから、彼らの戦いは見るモノの胸を打った。現実的過ぎるのに、非日常にどっぷり浸かれた。物凄く繊細で、物凄く先鋭化し過ぎた結果
四天王プロレスはその等身大の人間であるがゆえのリアルさによって
「あまりの許されない割り算」
になってしまったのではないだろうか
それは試合のクリーンさ、極限の戦いを求めるストイックさもさることながら
見る側の遣る瀬無さ、怒りや不満や悲しみ、後悔、不信などを背負いきれないほど背負って戦ってくれたからこその極限の境地だったのではないだろうか
私自身は、あの四天王プロレスと呼ばれるものに対しては最初こそスゲエ!と思ったけど、一時期は否定的に思っていた
失ったもの、払った代償が大きすぎたからだ
だけど今は、偉大なる遺産、ということにしている
だから触れることなく、眺めていたい
そして6月13日は、プロレスファンにとっての緑の日として
在りし日の思い出や激闘の数々を語り合う日にしてもいいのではないだろうか
三沢光晴さんが愛したウルトラマンレオ、その故郷は宇宙にきらめくエメラルド
三沢光晴さんの思い出は、まさに天空に輝くエメラルドグリーンの星となって
今でもマットに降り注ぐ光で在り続けているのだ
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