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第722回。おばあちゃんゼリー
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ゼリーうめえよなゼリー。
昔売ってたフルーツインゼリーって今でもあるのかね?安達祐実さんがコマーシャルやってたやつ。
あれが近所の小さな八百屋さんがやってたスーパーに売っててさ。
キウイとオレンジとサクランボと、あと何かあったと思うんだけど…。
何故かサクランボがお気に入りで、よく買って食ってたな。子供ってサクランボ好きよね。何故かやたらと。しかもあの度を越して赤くしたやつ。パフェとかクリームソーダとか、下手すると冷やし中華とかに乗ってるやつね。
冷やし中華ってのは味より彩りとか季節感だけで食わせにきてるよな。黄色い麺にキュウリ、ハム、錦糸卵にサクランボってわけわかんねえもん。あれにマヨネーズ垂らすのとか言語道断だよ。
ゴマダレにマヨネーズなんかかけた日にゃ、もう別にその食い物が冷やし中華だろうが真鯛の活け造りだろうが同じ味になるじゃん絶対。私だって冷やし中華に恨みはねえし嫌いじゃないけど、なーんかあの
冷やし中華
という食い物にまとわりつく作り物くささが拭えない。天才てれびくんみてえなもんで、テレビ番組の中で作られた人気キャラクターという位置づけ、というのかな。エンタの神様のが近いかもしれない。
「そういうこと」
にされたものをそのまま受け入れさせられることへの抵抗感と違和感みてえな。夏の風物詩、冷やし中華!って。全国民が感動した冬季五輪、とかもそう。
夕方の情報番組のナレーションっぽく読んでみ?
夏の風物詩、冷やし中華!
全国民が感動した、冬季五輪。
ほらほら。
にっぽんの伝統的な節分料理といえば、恵方巻。今年も都内のデパ地下では、様々な工夫を凝らした恵方巻が並び買い物客の注目を集めています。
ほらほらほら!
部屋中にずらっと並んだチューハイの空き缶が一斉にこっちを見てゲラゲラ嘲笑したり、過去の忘れたいことや嫌な思い出を大声で喚き散らしたり、その缶の口から小さな大名行列がゾロゾロ出てきて足の親指をかじり出してよく見たらそれが背中に大嫌いなアイツの顔にそっくりな模様のあるクモでそいつがお前はホントは地方局の夕方の情報番組で地域の顔として愛される女子アナなんかじゃなく、ただの三十路に差し掛かった無職のボンクラごく潰しだってことを告発してくる!やめろ!!黙れ!!!誰だ!!!!!!
でゼリーだよ。
こんな余計な話で1000文字近く使っちゃってどうするんだ。お前は夕方の情報番組でこれ見よがしに流してる地方都市のデパ地下グルメ情報か。
でゼリーだよ。おばあちゃんがくれるゼリー。
ゼリーに限らずだけどさ、お年寄りは子供にお菓子あげるの好きじゃん。特に肥満児には手厚くしてくれるじゃん。それも自分のじいちゃんばあちゃんじゃなくても、近所に住んでるおばあちゃんとか普通に道で会うとお菓子くれたりしてさ。今はアレルギーのこともあるんで下手な事出来ないんだろうけど、私が子供のころは近所にお菓子くれるおばあちゃん、おじいちゃんが何人もいたんだよ。お菓子の問屋さんをやってたナカムラさんのおじいちゃんとか、クリーニング屋さんのフクイさんのおばあちゃんとか、自転車屋さんのマルヤマさんとか。
でさ、おせんべいとかそういうのは良いのさ。あとアガタくんのお母さんも、いつもママチャリ漕いでるところに行き合うと肩掛けカバンからガムとかアラレを出してくれたっけな。
フクイさんは特に家が三軒ぐらい隣なんでお裾分けとか持ってきてくれたりしたんだよ。アガタくんというのがこのフクイさんの孫でもあるんで、そのよしみもあって。
その時に戴いたゼリーの中に、いっぺん物凄い強烈な味するやつがあってさ。
よく言うおばあちゃんにもらうゼリーはゼリーじゃなくみすず飴だった、みたいな話があるけど、その時に戴いたのは普通にゼリー。ビニールのカップに入ってフィルムがしてある。
鮮やかな黄色とかグリーンとかピンク色した、大きさも件のフルーツインゼリーみたいな、よくあるゼリー。
だもんで(三河弁)もう受け取った時には大喜びさ。
で、イザ食べようって思ってフィルムを開けて、あのちょっと浮いてる汁を飲んでビックリ。
もんのすごいニッキの味と香り。ニッキ水ってあるじゃん。あれのもっと凝縮された物凄いやつ。
ニッキ水もそういえば同じような色合いのやつが置いてあったけど、ひと口飲んであとは家族全員猫またぎだったんだよな。私わりとエグいものとか匂いの強いものも平気だしむしろ美人のワキガとか大好きだけど、あのニッキのキツいゼリーは辛かったなあ。
別に家の中に入っちゃえば外からは見えないんだからどうしたっていいんだけど、大喜びして受け取っちゃった手前、ムゲにすることも出来なくてね…。とりあえず開けちゃったそのゼリーは深呼吸して一気飲み、いやむしろ味的にはニッキ飲み。
で、残り幾つかは随分長い間冷蔵庫の片隅に置かれていたような気がする…。
今でもあのニッキ水って売ってるのかね?
八百屋さんの小さなスーパーもなくなっちゃったし、世代も移り変わったけれども。
懐かしい味というのは変わらないね。
っていう綺麗なまとめで、どーよ?
昔売ってたフルーツインゼリーって今でもあるのかね?安達祐実さんがコマーシャルやってたやつ。
あれが近所の小さな八百屋さんがやってたスーパーに売っててさ。
キウイとオレンジとサクランボと、あと何かあったと思うんだけど…。
何故かサクランボがお気に入りで、よく買って食ってたな。子供ってサクランボ好きよね。何故かやたらと。しかもあの度を越して赤くしたやつ。パフェとかクリームソーダとか、下手すると冷やし中華とかに乗ってるやつね。
冷やし中華ってのは味より彩りとか季節感だけで食わせにきてるよな。黄色い麺にキュウリ、ハム、錦糸卵にサクランボってわけわかんねえもん。あれにマヨネーズ垂らすのとか言語道断だよ。
ゴマダレにマヨネーズなんかかけた日にゃ、もう別にその食い物が冷やし中華だろうが真鯛の活け造りだろうが同じ味になるじゃん絶対。私だって冷やし中華に恨みはねえし嫌いじゃないけど、なーんかあの
冷やし中華
という食い物にまとわりつく作り物くささが拭えない。天才てれびくんみてえなもんで、テレビ番組の中で作られた人気キャラクターという位置づけ、というのかな。エンタの神様のが近いかもしれない。
「そういうこと」
にされたものをそのまま受け入れさせられることへの抵抗感と違和感みてえな。夏の風物詩、冷やし中華!って。全国民が感動した冬季五輪、とかもそう。
夕方の情報番組のナレーションっぽく読んでみ?
夏の風物詩、冷やし中華!
全国民が感動した、冬季五輪。
ほらほら。
にっぽんの伝統的な節分料理といえば、恵方巻。今年も都内のデパ地下では、様々な工夫を凝らした恵方巻が並び買い物客の注目を集めています。
ほらほらほら!
部屋中にずらっと並んだチューハイの空き缶が一斉にこっちを見てゲラゲラ嘲笑したり、過去の忘れたいことや嫌な思い出を大声で喚き散らしたり、その缶の口から小さな大名行列がゾロゾロ出てきて足の親指をかじり出してよく見たらそれが背中に大嫌いなアイツの顔にそっくりな模様のあるクモでそいつがお前はホントは地方局の夕方の情報番組で地域の顔として愛される女子アナなんかじゃなく、ただの三十路に差し掛かった無職のボンクラごく潰しだってことを告発してくる!やめろ!!黙れ!!!誰だ!!!!!!
でゼリーだよ。
こんな余計な話で1000文字近く使っちゃってどうするんだ。お前は夕方の情報番組でこれ見よがしに流してる地方都市のデパ地下グルメ情報か。
でゼリーだよ。おばあちゃんがくれるゼリー。
ゼリーに限らずだけどさ、お年寄りは子供にお菓子あげるの好きじゃん。特に肥満児には手厚くしてくれるじゃん。それも自分のじいちゃんばあちゃんじゃなくても、近所に住んでるおばあちゃんとか普通に道で会うとお菓子くれたりしてさ。今はアレルギーのこともあるんで下手な事出来ないんだろうけど、私が子供のころは近所にお菓子くれるおばあちゃん、おじいちゃんが何人もいたんだよ。お菓子の問屋さんをやってたナカムラさんのおじいちゃんとか、クリーニング屋さんのフクイさんのおばあちゃんとか、自転車屋さんのマルヤマさんとか。
でさ、おせんべいとかそういうのは良いのさ。あとアガタくんのお母さんも、いつもママチャリ漕いでるところに行き合うと肩掛けカバンからガムとかアラレを出してくれたっけな。
フクイさんは特に家が三軒ぐらい隣なんでお裾分けとか持ってきてくれたりしたんだよ。アガタくんというのがこのフクイさんの孫でもあるんで、そのよしみもあって。
その時に戴いたゼリーの中に、いっぺん物凄い強烈な味するやつがあってさ。
よく言うおばあちゃんにもらうゼリーはゼリーじゃなくみすず飴だった、みたいな話があるけど、その時に戴いたのは普通にゼリー。ビニールのカップに入ってフィルムがしてある。
鮮やかな黄色とかグリーンとかピンク色した、大きさも件のフルーツインゼリーみたいな、よくあるゼリー。
だもんで(三河弁)もう受け取った時には大喜びさ。
で、イザ食べようって思ってフィルムを開けて、あのちょっと浮いてる汁を飲んでビックリ。
もんのすごいニッキの味と香り。ニッキ水ってあるじゃん。あれのもっと凝縮された物凄いやつ。
ニッキ水もそういえば同じような色合いのやつが置いてあったけど、ひと口飲んであとは家族全員猫またぎだったんだよな。私わりとエグいものとか匂いの強いものも平気だしむしろ美人のワキガとか大好きだけど、あのニッキのキツいゼリーは辛かったなあ。
別に家の中に入っちゃえば外からは見えないんだからどうしたっていいんだけど、大喜びして受け取っちゃった手前、ムゲにすることも出来なくてね…。とりあえず開けちゃったそのゼリーは深呼吸して一気飲み、いやむしろ味的にはニッキ飲み。
で、残り幾つかは随分長い間冷蔵庫の片隅に置かれていたような気がする…。
今でもあのニッキ水って売ってるのかね?
八百屋さんの小さなスーパーもなくなっちゃったし、世代も移り変わったけれども。
懐かしい味というのは変わらないね。
っていう綺麗なまとめで、どーよ?
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