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第716回。抹茶アイスとダイエーの地下
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が、子供の頃やたらと好きだった。
きっかけは近所に住んでたおばあちゃんが幼稚園にお迎えに来てくれたとき、帰りに必ず立ち寄ってくれたダイエーの地下にあったフードコートで食べたことだったと思う。
あの頃、おばあちゃんは私の家からすぐ近所の県営住宅に住んでいて、幼稚園からも近かった。幼稚園児とおばあちゃん(といっても当時まだ五十代だったと思うが)の足でも歩けるぐらいで、その幼稚園のすぐ近くにダイエーがあった。
このダイエーは豊橋でも街なかの繁華街に聳え立っていたので敷地は狭いが上下にデカかった。どっちかというとデパートみたいな感じだ。
入り口はいってすぐ正面がエスカレーターで、一階は洋服とか日用品とか色んなものを売ってた。裏口もあって、そっちを抜けていくと目の前は墓地だった。
寺町と市電通りに挟まれた広小路通りにダイエーが建っていたのだ。
でそのエスカレーターを正面に見て右にコキっと曲がると濃いオレンジ色の階段があって、それを降りてくと地下の食品コーナーだった。んで階段の真横がフードコート。
確か三つか四つお店が入っていて、いちばん右がラーメン、真ん中にうどんと蕎麦、一番左がアイスとかフライドポテトとかのお店だった…何しろ二十年以上前の記憶を掘り下げながら頭の中で脳内ダイエーを展開しつつHALOみたいな視点で進んでいるので最早曖昧なところのが多い。
やってることはサイコブレイクでルヴィクが作った装置に近い。けど、こういう記憶の引き出しを開けて中を覗いて歩きまわるの面白いよね。
お店がずらっと横に並んでて、階段側の壁には野球のメダルゲームと、今でも皆さんにお馴染みな
じゃん、けん、ぽん!
ズコー
のメダルゲームがあった。あとマリオに電話すると最後にカードがもらえるやつ。
ぼく、マリオ!一緒に冒険しよう!!
って、あの声。誰だったんだろうな。この何十年後にホントにマリオに声を当てるとは思いもしない頃のはなし。もちろんハリウッドで「ある意味」キノコで大きくなったり小さくなったりするのも可能だったデニス・ホッパーがクッパを演じるよりも前だ。たぶん。
あ、でも同時期に幼馴染のマサくんのおばあちゃん家でビデオを見た記憶があるからもしかすると公開年は近しいところにあるのかもしれない。
でそのフードコートで、いつもおばあちゃんは色んなものを食べさせてくれた。
お年寄りは肥満児にものを食わせるのが大好きだ。
そして肥満児はそんなお年寄りが大好きだし、ラーメンもアイスも大好きだ。
私が腰掛けると間もなく、目の前のテーブルにはラーメンとみたらし団子、五平餅、ほか色々と並んだ。それをモリモリ食っている私を、おばあちゃんはいつもニコニコしながら見ていた。
アレも食べるか、コレも食べるか、と聞いてくれるが肥満児の答えはいつも高須クリニックばりの
YES!!
だったし、まあ店のおばちゃんも驚くぐらい毎回キッチリ平らげていた。
今もしも自分があれだけ食ってるどこぞの子供を見たらやっぱりビックリすると思う。よく食べてたなあ。
んで仕上げがアイスだった。
子供のくせにバニラアイスじゃ普通で嫌だったのと、なんとなく目についた抹茶アイスが大人っぽくてカッコよかったのでそれを頼んだ。したらまあコレが美味いのなんの。
それから毎回必ずダイエーの地下で抹茶アイスを食べていた。
他にもアイスはあったのだけれど、抹茶アイスの一点張り。
多分まだそんなにコンビニやスーパーで売ってるなかには抹茶って無かった気がするんだ。はっきり覚えてるわけじゃないけど。
でしまいには、そのお店のおばちゃんに顔を覚えてもらって、何も言わなくてもお金を出すと抹茶アイスが出てくるようになった。行きつけのスナックで阿吽の呼吸で注文が出来るなんて、アブラハゲでダブルのスーツに蝶ネクタイのガッハッハオヤジみてえだ。
よっぽど抹茶アイスが好きだったのだろう、飽きもせず毎回食べていた。
おばあちゃんが迎えに来てくれることも嬉しかったし、そのテンションも手伝っていたんだろうなあ。
小学校に入って幼稚園からの帰り道というイベントがなくなってしまってからは、おじいちゃんの車でジャスコに行った時に見た
青と赤と緑と紫とピンクが混じったすんごい色のアイス(味はバニラ)
にハマってしまい、そっちばかり食べていた。あれ結局なんだったんだろう。
今もうジャスコ自体なくなってしまったし、閉店する寸前のジャスコはフードコートもなくなっちゃってたのでもう食べられないんだよな…。
ダイエーも私が中学生になるかそこらの時になくなってしまった。
今は立派なマンションが建っている。
閉店する寸前どころか、いつ行ってもダイエーの一番上の階にあったゲームコーナーとレストランにはお客さんがいなかったので、学校に行きたくないけど学校に行くと言って家を出なくてはいけなかった時期にはよくそこで時間を潰していた。あのダイエーにはお世話になってたんだな。
最近の抹茶アイスではSUNAOのが好きです。
きっかけは近所に住んでたおばあちゃんが幼稚園にお迎えに来てくれたとき、帰りに必ず立ち寄ってくれたダイエーの地下にあったフードコートで食べたことだったと思う。
あの頃、おばあちゃんは私の家からすぐ近所の県営住宅に住んでいて、幼稚園からも近かった。幼稚園児とおばあちゃん(といっても当時まだ五十代だったと思うが)の足でも歩けるぐらいで、その幼稚園のすぐ近くにダイエーがあった。
このダイエーは豊橋でも街なかの繁華街に聳え立っていたので敷地は狭いが上下にデカかった。どっちかというとデパートみたいな感じだ。
入り口はいってすぐ正面がエスカレーターで、一階は洋服とか日用品とか色んなものを売ってた。裏口もあって、そっちを抜けていくと目の前は墓地だった。
寺町と市電通りに挟まれた広小路通りにダイエーが建っていたのだ。
でそのエスカレーターを正面に見て右にコキっと曲がると濃いオレンジ色の階段があって、それを降りてくと地下の食品コーナーだった。んで階段の真横がフードコート。
確か三つか四つお店が入っていて、いちばん右がラーメン、真ん中にうどんと蕎麦、一番左がアイスとかフライドポテトとかのお店だった…何しろ二十年以上前の記憶を掘り下げながら頭の中で脳内ダイエーを展開しつつHALOみたいな視点で進んでいるので最早曖昧なところのが多い。
やってることはサイコブレイクでルヴィクが作った装置に近い。けど、こういう記憶の引き出しを開けて中を覗いて歩きまわるの面白いよね。
お店がずらっと横に並んでて、階段側の壁には野球のメダルゲームと、今でも皆さんにお馴染みな
じゃん、けん、ぽん!
ズコー
のメダルゲームがあった。あとマリオに電話すると最後にカードがもらえるやつ。
ぼく、マリオ!一緒に冒険しよう!!
って、あの声。誰だったんだろうな。この何十年後にホントにマリオに声を当てるとは思いもしない頃のはなし。もちろんハリウッドで「ある意味」キノコで大きくなったり小さくなったりするのも可能だったデニス・ホッパーがクッパを演じるよりも前だ。たぶん。
あ、でも同時期に幼馴染のマサくんのおばあちゃん家でビデオを見た記憶があるからもしかすると公開年は近しいところにあるのかもしれない。
でそのフードコートで、いつもおばあちゃんは色んなものを食べさせてくれた。
お年寄りは肥満児にものを食わせるのが大好きだ。
そして肥満児はそんなお年寄りが大好きだし、ラーメンもアイスも大好きだ。
私が腰掛けると間もなく、目の前のテーブルにはラーメンとみたらし団子、五平餅、ほか色々と並んだ。それをモリモリ食っている私を、おばあちゃんはいつもニコニコしながら見ていた。
アレも食べるか、コレも食べるか、と聞いてくれるが肥満児の答えはいつも高須クリニックばりの
YES!!
だったし、まあ店のおばちゃんも驚くぐらい毎回キッチリ平らげていた。
今もしも自分があれだけ食ってるどこぞの子供を見たらやっぱりビックリすると思う。よく食べてたなあ。
んで仕上げがアイスだった。
子供のくせにバニラアイスじゃ普通で嫌だったのと、なんとなく目についた抹茶アイスが大人っぽくてカッコよかったのでそれを頼んだ。したらまあコレが美味いのなんの。
それから毎回必ずダイエーの地下で抹茶アイスを食べていた。
他にもアイスはあったのだけれど、抹茶アイスの一点張り。
多分まだそんなにコンビニやスーパーで売ってるなかには抹茶って無かった気がするんだ。はっきり覚えてるわけじゃないけど。
でしまいには、そのお店のおばちゃんに顔を覚えてもらって、何も言わなくてもお金を出すと抹茶アイスが出てくるようになった。行きつけのスナックで阿吽の呼吸で注文が出来るなんて、アブラハゲでダブルのスーツに蝶ネクタイのガッハッハオヤジみてえだ。
よっぽど抹茶アイスが好きだったのだろう、飽きもせず毎回食べていた。
おばあちゃんが迎えに来てくれることも嬉しかったし、そのテンションも手伝っていたんだろうなあ。
小学校に入って幼稚園からの帰り道というイベントがなくなってしまってからは、おじいちゃんの車でジャスコに行った時に見た
青と赤と緑と紫とピンクが混じったすんごい色のアイス(味はバニラ)
にハマってしまい、そっちばかり食べていた。あれ結局なんだったんだろう。
今もうジャスコ自体なくなってしまったし、閉店する寸前のジャスコはフードコートもなくなっちゃってたのでもう食べられないんだよな…。
ダイエーも私が中学生になるかそこらの時になくなってしまった。
今は立派なマンションが建っている。
閉店する寸前どころか、いつ行ってもダイエーの一番上の階にあったゲームコーナーとレストランにはお客さんがいなかったので、学校に行きたくないけど学校に行くと言って家を出なくてはいけなかった時期にはよくそこで時間を潰していた。あのダイエーにはお世話になってたんだな。
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