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第644回。#松山座 観戦記「大畠美咲という波」編。

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皆さんこんばんは!
ダイナマイト・キッドです。
深夜エッセイ・キッドさんといっしょ。でこのところ立て続けにご紹介しております、大衆プロレス松山座の大一番。松山流女子祭典での試合や出場選手の模様で御座いますが。

今回は休憩明けの第五幕。
遂に来ました。
諸行無常波之音。
プロレスリングWAVE提供試合
大畠美咲選手
VS
長浜浩江選手
のシングルマッチ。

私はこのカードが決まった時小躍りしました。
引退前の大畠美咲選手が、ここにきてまた見られる!なんたる偶然、なんたる僥倖。
9月30日のプロレスリングWAVEさんの名古屋大会を台風のため断念した、あの忸怩たる思いを晴らすことはもちろん。大畠美咲選手というプロレスラーは引退前に何度でも見るに値する選手なのです。

私は元々WAVEさんが箱推しというやつで。
思えば色んな選手がデビューし、出世したり、また引退してしまわれたり退団したりで長いこと応援し続けております。
最初の切っ掛けは渋谷シュウさんで、次に紫雷美央(現在はレフェリー・MIO)さん、同じグループの団体ではOSAKA女子プロレスさんも良かった。お休み中の下野佐和子選手も、現在大活躍の山下りな選手も。
そしてこのあとの第六幕に出場するフェアリー日本橋選手はついこの前までこのOSAKA女子プロレスの選手だった。

とにかく個性的で選手のキャラが立っているのがWAVEさんの特色で。
その中でも群を抜いて人気・実力ともに高いのが大畠美咲選手だ。
大畠選手は元ひきこもり、というプロレスラーにしてはもっとも異色の経歴?の持ち主でありながら不断の努力と不屈の闘志で今日(こんにち)の地位を築いた努力型の選手。
セクシーかつ顔も可愛く、試合は激しく容赦なく。老若男女問わず人気が高いのだけれど、今年限りで惜しまれまくりつつ引退してしまう…。

対戦相手には同じWAVEさんの生え抜きレスラー、長浜浩江選手。
新潟出身でスポーツ経験もあり、明るい笑顔とイキのいいファイトが持ち味。
まだ二十代前半で若々しく、これからが期待されている選手だ。

さて試合は当然というべきか、大畠選手が始終リード。
引退前にどれだけ食いついていけるか、どれだけ爪痕を残せるか、どれだけアピールできるか。
どちらの選手にも同じこと。
ならば体力、経験値、技の引き出しからここ一番の勝負強さまで上回る大畠選手の独壇場かと思いきや、長浜選手も負けてはいない。
私は長浜選手のポン!と飛んで的確に当てるドロップキックが大好きだ。高さや素早さはこれからもっともっと伸ばしていけるだろうけど、それよりもいい間合いでいいタイミングで
ポン!
と出して当てる。これは技術よりセンスの問題で、長浜選手のはとてもいい。
蹴るとき、飛び上がるときの動作も含めて大好きな一発を見舞ってゆく。

大畠選手は物凄く手厳しい攻めを展開するうえ、自分がそれ以上の倍返し、3倍返しを食らっても胸を張って受け止め、そのうえでさらに上を行く…と口で言うのは簡単だがやれと言われたら絶対出来ない、プロレスラーのプロレスラーたる強さを持っている。
優等生というか、何でも出来るし何でもやる。常にベストのさらに上を尽くす。
私は何年も前に西川口にあるプロレス団体アイスリボンさんの道場マッチでも大畠選手を見た。この時は小さな会場に限られたお客さん、さらに試合時間も10分と非常に短かったけれど、その中に物凄い凝縮された試合を展開。あんまり濃い10分であっという間だった。
動きっぱなし、攻めて受けて飛んで受けて。
このプロ意識の高さ、志の高さが何より大事だし大畠選手は高レベルで持ち合わせているんだけど、何しろ隙が無い。なさ過ぎたのが唯一にして最大のウィークポイントだったのかも知れないな、と女子祭典での試合に完勝した大畠選手を見て思った。
顔も良くてスタイルも良くて、小柄だけどガッツとスピードとテクニックを兼ね備え、大物選手・大型選手にも当たり負けしない鍛え方で、相手の技も真っ向から受け止める。そして最後は自分が勝つために何が何でも立ち上がる。大畠選手の試合はいつどんな時も激戦になるし、勝っても負けても
大畠美咲
という四文字はお客さんに強く残る。それだけに、もっと名前が知れ渡って欲しいし、引退が惜しい。でも、これほどプロレスに、お客さんに尽くした選手なのだから、これからは一人の大畠美咲さんとしての幸せを大事にしてほしいし、それはそれでいいことだと思う。若いうちにキリをつけてスパっと辞める。それもまた大畠美咲というプロレスラーらしいな、と。

一方の長浜選手。
これだけ列挙した強さを持つ大畠選手との対戦、それも他団体でアピール出来るとあってまたとないチャンス!
欲を言えばもっと粘ったり攻め立てて欲しかったけれど、それでも大畠選手の必殺技を幾つも出させたし、お客さんにも印象深かったと思う。女子祭典というぐらいだから目の肥えた女子プロレスファンも多いなか、大畠選手のことも、長浜選手のことも知っているお客さんが結構居たと思う。だけどそれ以外の、例えば小さなお子さんとか、おじいちゃんおばあちゃんとか、そういったお客さんには長浜選手は凄く親しみやすいし、人気が出ると思う。
今は色んなお客さんにアピールして、支持層を固めていってほしいし、気が付けば技も増えてスタミナも付いたと思う。GAMIさんを相手にエキシビションで戦う様子をニコ生だか何かで見ていたことが懐かしい。

大畠選手の話が多くなってしまったけれど、それだけのことを大畠選手は見せてくれてきたし、その壁を、歴史を超えて行かなくちゃならないのは物凄いことだ。だけど、チャレンジする価値は十分にある。
長浜選手だけでなく、青いマットを走る大畠美咲という波を超えていくことがこれからの選手みんなの一つの目標なのではないだろうか。
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