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第635回。キッドさんハイビスカスの水。

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皆さんこんばんは!!
ダイナマイト・キッドです。
アルファポリスのエッセイ・ブログ大賞は終了しましたが、この書式が気に入ったのでこれでいきます。
このエッセイを始めたころなんてえのは書き散らかすだけ書き散らかしてタイトルも内容もなーんも考えずにやりっぱなしでしたが、流石にコンテストだのランキングだの言い出すと多少は考えるもので。
結果として内容についてもメモを取ったり書き出しの部分だけちょっと別に書き起こしてみたり。んでエッセイのタイトルに統一性を持たせるとか、まず記事の最初はフリートークにしようとか色々やりました。
基本的に頭の中で一人で喋ってるのを書き起こしている、と言った感じが一番近いかな…?そんな記事なのであとで読み返すとよくわからない箇所もあったりして。まあ良し悪しですわな。藤原良し悪しですわな。関節技の鬼の。

で味水。
あじみず、と読む。そういう言葉があるかはわからない。
メキシコの寮で同期だったオタニ君がそう呼んでいた。

最近じゃミネラルウォーターに色んな味と香りがついたの売ってて。
いろはすみかん、とか。
炭酸水にもレモンとかオレンジとかあって。
透明なコーラなんて、なんじゃそらってのもあって。

そういうものにまだあまりなじみのなかった18歳のキッドさん。
メキシコのスーパーや商店でお水を買って、練習中に飲んでおりました。
水道水が飲めないので、飲み水は買うもの、と決まっていました。現地の人は平気だったのかな…?
普通に今あちこちで見かけるウォーターサーバー用のデカいペットボトルが売ってた(ひとつで25キロぐらいある)のを一人でふたつみっつ持って買ってきたもんだ。あれも立派なトレーニングだったと思う。巨大な25キロのダンベルだものあんなん。
寮から5分くらいのところにある日陰の雑貨屋さんで売っててね。んでたまに明らかに蓋を開けた後があるんだよ。まあそれでも飲んで下痢することはなかったけども…。
20ペソだったかな?日本円で200円くらい。
ルチャの先生だったネグロ・ナバーロさんがたまに車で運んできてくれて、助かったっけなあ。何しろ暑いし重いし…。ネグロ・ナバーロさんの茶色いデカい車のトランクからあの巨大ボトルが幾つも出てきた。ブザーが鳴って出迎えに行くと
「サノ、アグア!」(佐野君、水を持ってきたよ!)
と言って顔をクイっとトランクに向ける。映画とかでよく見る仕草だ。
んでこのお水をまたみんなで飲むのだが、練習中はそうそう汲みにも行けない。
リングは1階でお水は2階のリビングにあった。

でミネラルウォーターのペットボトルを買っておいて、水分補給のときに飲むわけだ。
それも結構な量が入ってる。2リットルで10ペソ、約100円くらいじゃなかったかな…?ちょっと忘れてしまった。
んで、この水にも色んな種類があると見えて。
寮の近くのメルカド(マーケット=小さな市場)に行った時にみんなでアレコレ選んで買ってきて、いざ練習!
ストレッチ、マット運動、筋トレ、タオル引きなどの運動も。
その合間に水分補給タイム。
よくあるイメージのスパルタ指導どころか、逆に「ちゃんと水を飲め!」と言われていたのでかなり先進的だった。
んでペットボトルを開ける。猛烈に熱い、喉もカラカラ息も絶え絶え。
ひと口ガブリと飲む。
猛烈に甘い…!

そう、コレは砂糖と香料の入ったミネラルウォーターもどきのジュース。
いやジュースに近いミネラルウォーター…?
どっちだか定かじゃないが、とにかく物凄く甘かった。
またあんだけ汗かいて水を欲してるときにジュースってのは喉にへばりついて余計に乾く。
ガソリンスタンドでバイトしてた時にそれを聞いて以来、デブのくせに意外と気にしていたことがそのまま降りかかってきた。
それもオレンジやレモンならまだいい。

私が買ったのは赤い綺麗なお花の写真が載ったボトル。
見るとJamaicaと書いてある。ハマイカ、ジャマイカということで。
なんとジャマイカ味のミネラルウォーター。
具体的にはハイビスカスの味と香り。
男はつらいよ、キッドさんハイビスカスの水。

もちろんちゃんと飲みましたが、あんまりマズいんでみんなでもう一本買って回し飲みしたぐらい凄い味がした。あんなもん買う人いるんだろうか…と思ったけど、メキシコの人には好評だったのかな?

この味付きの水を、オタニ君が
味水(あじみず)
と呼んでいたのを、今でもよく覚えている。
私が部屋で塞ぎ込んでいるとよく訪ねてきてくれて、
佐野っち、味水飲むちや?
と声をかけてくれたっけな。顔はコワいが心の優しいオタニ君だった。元気にしてるだろうか。

オタニ君は明るめの茶髪をオールバックにしていて、地元は福岡県。
面接の時も白いセーターをオシャレに着こなしていたがどう見ても未成年には見えず、なぜ母親連れなんだろう?と思っていた。
後で聞いたらオタニ君も私を見て、まったく同じ事を考えていたそうな。

あの味水、また飲んでみたいな。
マズイとか苦いとか臭いとか甘いとかじゃないんだよ。
とにかく、凄い味だったんだ。ハイビスカスの水。
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