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第631回。キッドさんは旅が好き
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皆さんこんばんは!!
ダイナマイト・キッドです。
ちゃんと名前のダイナマイトとキッドとの間には・(ナカグロって言うんだよね)が入ります。
空と君との間には今日も冷たい雨が降ります。なに島みゆきだお前は。
そらニューヨークは粉雪の中だし夜明け間際の吉野家ではマリコの部屋に電話をかけてあの桟橋にはもう桟橋に灯りは点らないわ。
最後のもう桟橋に灯りは点らない、を知ってる人は結構なみゆきファンだ、と私の姉さん(と呼んでいる長年の知人。血縁関係はない)が言っていたが皆さんはご存知でしょうか。
私は21歳のころ付き合ってた横浜のミキちゃんという大変お綺麗な当時女子大生だった女の子が中島みゆきさんの歌が好きで、若干二十歳にしてカラオケで上手に歌っていたのを聴いたのがきっかけで聞き始めました。んで私も今でもカラオケで歌います。
永遠の嘘をついてくれ、とか。これは中島みゆきさんが作って吉田拓郎さんが歌った曲でもありますね。
んで、そんな中島みゆきブームが個人的に来ていた二十歳前後のキッドさんは、よく友人のヒラマツ君とアサクラ君と3人でアチコチ無為な旅行をして遊んでいた。
ホントにただ何の目的も目標も人生の指針も夢も投資プランもアジェンダもマニフェストもスピニングトーホールドもなく、行きたいと思ったら行く。それだけだった。
でも、流石にそれじゃ面白くないのと、当時は3人とも無職がちだった(特にキッドさん)のでお金があまりないってんで高速道路をなるべく使わないで移動していた。
そもそものきっかけはある年の暮れに、無為に過ごしていたキッドさんが朝からバイクで焼津まで行って魚も食わずに夕方帰ってきて、さらに無為にレンタルビデオをたんまり借りて(まだ世の中にVHSが出回っていたころの話だ)ゴロ寝しながら見ようとしてたときにかかってきた一本の電話。
同じく無為で無意味にヒマしていたヒラマツ君が
「どっか行こうぜ。お前、いま東に行ってきたんなら今度は西じゃね?」
それを聞いたキッドさんが
「西ねえ…琵琶湖?」
即決だった。そのままキッドさんの当時の愛車・ぼろっぼろの日産マーチ(旧型)でヒラマツ君を迎えに行ってそのまま西に向かって走り出した。
ウルトラ警備隊・西へ なら、カッコよくポインター号なんだがなあ。
こちとら車検費用から全部コミコミ20万円で買ったマーチである。その後に買ってついさっき焼津まで行ってたバイク(ヤマハ・マジェスティ)は訳40万円。
タイヤの数は半分なのに値段が倍違うっていうね。
当時まだ二人とも琵琶湖どころか滋賀県に行ったことがなく、キッドさんのおじいちゃんは自動車旅行が趣味だったり元トラック運転手だったりするんで二人に電話して聞いてみた結果、そんなもん国道1号線をひたすら走れば着く、とのこと。
そんなわけでひたすら走った。まだ家から近いところを年の瀬で混みあうなか走っていると、なんだかエライことになったなあ、大丈夫かなあ、と漠とした不安が心をよぎるものの。
三重県に入るころにはとっくに肚も決まって、そのまま真っ暗になった1号線を走る走る。
まだ新名神も名二環も無いころでホントに地獄のように混んでいた…対向車線が事故で。
四日市辺りだったかな、ずーーーーーっと渋滞。もうしまいにはなんでこんな渋滞してんだかもわからないような有様で。
んでこっちの心配事といえばガソリンの残量。大丈夫かなあという漠とした不安は燃料ランプの点灯という形で急に具現化した。
真夜中の鈴鹿峠のど真ん中で。
こんなところでガス欠なんかしたら、車おっぽりだして殴り合いの喧嘩をするかヒッチハイクしかない。
何しろ古くてオンボロの車で運転してるのは当時すでに90キロぐらいあったデブ。しかも、もう一人乗っている(ヒラマツ君は中肉中背だ)とあって不安は膨らみガソリンは減る一方。
なんとか登り切って、下り坂の遥か向こうに昭和シェルの貝殻を見つけた時は、その看板をぶっちぎって股間に貼り付けて21世紀の武田久美子ルックで鈴鹿峠を練り歩いてやろうかと思うぐらい嬉しかった。大喜びで走って行くと、23時閉店。
現在時刻午前0時ちょいすぎ。
電気、消しとけ!!!!!!
見ず知らずのガソリンスタンドの経営者を散々にバトーしながら、なんとかその近くのガソリンスタンドに入って給油。
そこから滋賀県まではすぐだった。山と田んぼばかりで、この先にはさらに湖が追加される。というか滋賀県のメインコンテンツがそれだ。
この日は結局、琵琶湖まで到達して
よし、着いた!
っつって帰った。
その話をアサクラ君が聞いて
「なんだよ、オレも連れてけよ!」
と言ったのでメンバーが固まった。というわけ。
んでこっからあちこちに旅を…
えええええええええええコレ全部丸ごと前説!?
そうだよ?
これでもだいぶ端折ったんだから。
このあと3人は車で無意味な旅に出ては罵り合い、道を間違えてはキッドが罵倒され、いびきがうるさい!とキッドが罵倒され、いちばん張り切って強行軍を決めたくせに真っ先に爆睡したキッドがつるし上げに遭ったりするのである。
その話は、またいつか。
ではまたあした!
ダイナマイト・キッドです。
ちゃんと名前のダイナマイトとキッドとの間には・(ナカグロって言うんだよね)が入ります。
空と君との間には今日も冷たい雨が降ります。なに島みゆきだお前は。
そらニューヨークは粉雪の中だし夜明け間際の吉野家ではマリコの部屋に電話をかけてあの桟橋にはもう桟橋に灯りは点らないわ。
最後のもう桟橋に灯りは点らない、を知ってる人は結構なみゆきファンだ、と私の姉さん(と呼んでいる長年の知人。血縁関係はない)が言っていたが皆さんはご存知でしょうか。
私は21歳のころ付き合ってた横浜のミキちゃんという大変お綺麗な当時女子大生だった女の子が中島みゆきさんの歌が好きで、若干二十歳にしてカラオケで上手に歌っていたのを聴いたのがきっかけで聞き始めました。んで私も今でもカラオケで歌います。
永遠の嘘をついてくれ、とか。これは中島みゆきさんが作って吉田拓郎さんが歌った曲でもありますね。
んで、そんな中島みゆきブームが個人的に来ていた二十歳前後のキッドさんは、よく友人のヒラマツ君とアサクラ君と3人でアチコチ無為な旅行をして遊んでいた。
ホントにただ何の目的も目標も人生の指針も夢も投資プランもアジェンダもマニフェストもスピニングトーホールドもなく、行きたいと思ったら行く。それだけだった。
でも、流石にそれじゃ面白くないのと、当時は3人とも無職がちだった(特にキッドさん)のでお金があまりないってんで高速道路をなるべく使わないで移動していた。
そもそものきっかけはある年の暮れに、無為に過ごしていたキッドさんが朝からバイクで焼津まで行って魚も食わずに夕方帰ってきて、さらに無為にレンタルビデオをたんまり借りて(まだ世の中にVHSが出回っていたころの話だ)ゴロ寝しながら見ようとしてたときにかかってきた一本の電話。
同じく無為で無意味にヒマしていたヒラマツ君が
「どっか行こうぜ。お前、いま東に行ってきたんなら今度は西じゃね?」
それを聞いたキッドさんが
「西ねえ…琵琶湖?」
即決だった。そのままキッドさんの当時の愛車・ぼろっぼろの日産マーチ(旧型)でヒラマツ君を迎えに行ってそのまま西に向かって走り出した。
ウルトラ警備隊・西へ なら、カッコよくポインター号なんだがなあ。
こちとら車検費用から全部コミコミ20万円で買ったマーチである。その後に買ってついさっき焼津まで行ってたバイク(ヤマハ・マジェスティ)は訳40万円。
タイヤの数は半分なのに値段が倍違うっていうね。
当時まだ二人とも琵琶湖どころか滋賀県に行ったことがなく、キッドさんのおじいちゃんは自動車旅行が趣味だったり元トラック運転手だったりするんで二人に電話して聞いてみた結果、そんなもん国道1号線をひたすら走れば着く、とのこと。
そんなわけでひたすら走った。まだ家から近いところを年の瀬で混みあうなか走っていると、なんだかエライことになったなあ、大丈夫かなあ、と漠とした不安が心をよぎるものの。
三重県に入るころにはとっくに肚も決まって、そのまま真っ暗になった1号線を走る走る。
まだ新名神も名二環も無いころでホントに地獄のように混んでいた…対向車線が事故で。
四日市辺りだったかな、ずーーーーーっと渋滞。もうしまいにはなんでこんな渋滞してんだかもわからないような有様で。
んでこっちの心配事といえばガソリンの残量。大丈夫かなあという漠とした不安は燃料ランプの点灯という形で急に具現化した。
真夜中の鈴鹿峠のど真ん中で。
こんなところでガス欠なんかしたら、車おっぽりだして殴り合いの喧嘩をするかヒッチハイクしかない。
何しろ古くてオンボロの車で運転してるのは当時すでに90キロぐらいあったデブ。しかも、もう一人乗っている(ヒラマツ君は中肉中背だ)とあって不安は膨らみガソリンは減る一方。
なんとか登り切って、下り坂の遥か向こうに昭和シェルの貝殻を見つけた時は、その看板をぶっちぎって股間に貼り付けて21世紀の武田久美子ルックで鈴鹿峠を練り歩いてやろうかと思うぐらい嬉しかった。大喜びで走って行くと、23時閉店。
現在時刻午前0時ちょいすぎ。
電気、消しとけ!!!!!!
見ず知らずのガソリンスタンドの経営者を散々にバトーしながら、なんとかその近くのガソリンスタンドに入って給油。
そこから滋賀県まではすぐだった。山と田んぼばかりで、この先にはさらに湖が追加される。というか滋賀県のメインコンテンツがそれだ。
この日は結局、琵琶湖まで到達して
よし、着いた!
っつって帰った。
その話をアサクラ君が聞いて
「なんだよ、オレも連れてけよ!」
と言ったのでメンバーが固まった。というわけ。
んでこっからあちこちに旅を…
えええええええええええコレ全部丸ごと前説!?
そうだよ?
これでもだいぶ端折ったんだから。
このあと3人は車で無意味な旅に出ては罵り合い、道を間違えてはキッドが罵倒され、いびきがうるさい!とキッドが罵倒され、いちばん張り切って強行軍を決めたくせに真っ先に爆睡したキッドがつるし上げに遭ったりするのである。
その話は、またいつか。
ではまたあした!
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