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第594回。理想のエッセイ

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このエッセイを長く読んでくださっている方にはたまにお馴染みの私の「姉さん」(実の姉ではなく、年上のお姉さんなので昔から姉さんと呼んでいる。本当は千夏さんという)と、このエッセイを始めたばかりのころか、始めるにあたってか、どんな記事にするかという相談に乗ってもらったことがあった。

私は昔から、それこそ小学生の時に初めて読んだ小説が椎名誠さんで、以降もずっと好きで読んでいるのでその影響を多分に受けている。柔道や映画やプロレス、旅、私も好きな要素が沢山入っているのもいい。
バカな話から切ない話まで何でも書けるし、時にはその合わせ技を食らわされたりもする。
世の中のモテている連中、映画マタンゴでぶっ殺されてるような連中のような、あんなの達に対するいわゆる
ドクダミ光線
もマスターしている。私のはコスモミラクルドクダミ光線なので普通のドクダミ光線の数倍の威力がある。グランドキングもイチコロである。

赤マントだけは、私は文句を言われる側の年代なので段々読まなくなったけど。
だけど、あの頃マニュアル対応ばかりで味気ないと言われていたコンビニやコーヒーショップ、ファミレスなんかがむしろ今は地域密着、土着のお店の役割も成り代わるようになって(近在の食堂とかを駆逐しちゃったんだろうけど)ずいぶんと人間味のある対応をするようになったのを見ると、あの頃の椎名さんのエッセイで散々言ってたことはみんな思ってたんだろうな。
それがまあ行き過ぎて、ワッケわかんないぐらいうるさい居酒屋チェーンとか雨後の筍だけども、あれも違うよな。

だいたい、安く飲み食いさせてもらえて、ダラダラとダベってられて、そこそこの味してればいいのであって。
笑顔と元気をもらいに行く居酒屋
とか気持ち悪(わり)いよ。そういうこと言い出す経営者からは、なるべく遠くに走って逃げろ、って思うね。
お好み焼き屋さんで
ぽんぽこぽーん!
って言ってたお店あったけど、もうああいうところにいって楽しめるのは自分とは図鑑の別のページに載ってる連中だと思ってコスモミラクルドクダミ光線の餌食にしようと決めている。まだ言ってるのかな、ぽんぽこぽーん!って。
アントニオ猪木酒場とかも、きっついわーあれ。
プロレスファンとかプロレスマニアほど、あそこ行かないんじゃないか。そんなコミュニケーションが出来るぐらいならプロレスマニアなんかにならねえって実際。アントニオ猪木ドンズバの世代は特に。

椎名さんの周りでも、なんかドレイ部隊とか本の雑誌配本部隊とかは無給でかつ丼だけでやってたとか言うけど読んでくと家が絶対金持ちなんだよアイツら。就職先も大学もいいとこばっかりでさ、そりゃバイト代なんかもらわなくても食ってけるし文学のお遊びにしちゃ泥臭いやつをお楽しみになる余裕も御座いますでしょうよ!ヘッ!またはケッ!とまたしてもケーベツ的ヒガミネタミ的コスモミラクルドクダミ光線を発射するのだ。

んで冷めちゃった頃があるんだよシーナ世界に。
相変わらず意味わかんないSFとかのキレッキレの世界は大好きだけど、あの人の作品が全部じゃないな、と。元々他の本も読むけどさ、太宰とか乱歩も、アレばっかりゴリゴリの世界観ってキツイじゃん。
あーーーそこまではついていけないわ、っていう瞬間が絶対来る。それが私にとってのシーナワールドでも起こっただけで。

そこに深夜ラジオ、最初は地元のFM局の21時からの番組で、そっからCBCの松村邦洋さんの本気汁(マジる)とタングショー、オールナイトニッポンときて、伊集院光 深夜の馬鹿力に落ち着いた。
伊集院光さんのトーク大好きなんだよねえ。
しつっこいぐらい愚痴ったり、知らないものをワーワー喚くのだって、普通の人じゃ出来ないじゃん。わかんないものを、わからないまま話すのって凄い難しいと思う。カッコだってつけたいし知ったかぶりしちゃうところを
「なんかわかんねえけどお、変な話、まあ俺と、いま前で笑ってる構成の渡辺なんかそうなんですよ!」
って言われたら、聞いてるこっちはそうなのかと思うしかねえもんな。

抜群の瞬発力とボキャブラリーが発想と発語の源泉にあって、さらにその話をまとめて笑わせる構成力があって。
伊集院さんのトークは話じゃなく噺なんだな、とやっぱり思う。六代目三遊亭円楽仕込みの話術はダテじゃない。
姉さんにも、伊集院さんのエッセイやトークみたいなのが書きたいと言ったことがあったけど、やっぱりあの人は噺家だから椎名さんみたいな方があってるんじゃないか、と言われたっけな。
それほどの技量・技術があるのに話が盛り上がり過ぎてコーナーも曲も飛ばしちゃったり、オープニングで40分ぐらい喋りまくったりするのも、聞いてるこっちが気にならないぐらい夢中になっちゃうので結局はアリなのだ。
ホント、アマゾンミュージックとかで伊集院さんの昔のトークを一つ幾らで配信してくれないかなあ。
あのトーク、また聞きたいなと思うのが沢山ある。
奥さんの誕生日を寝過ごしてしまい、慌てて機嫌を取るためにテリー・ギリアムの最新作を見せたらよりにもよって「ローズ・イン・タイドランド」だった話とか。
自転車で益子焼を買いに行ったら土砂降りに見舞われた話とか。
あとやっぱり噺家時代のエピソードも大好きだ。

なんていうか、やっぱり結局は文学とか文芸とかスカしてる連中がイケ好かなくて、もっと乱暴なテイストのものが好きなんだなあ私は。水が合うというのか。
アッチはアッチで色々あるんだろうけどさ、この年になると親が金持ちで良い大学いってるような奴がいれば、そいつほっといたってよっぽどのことしなきゃそのままずっと私よりいい生活していい仕事して良いご身分だろ。そんなもん。
だったらいいや、こっちはもっとバカやっちゃえ。
という精神である。

そういうドクダミエッセイとしてこれからも小説家になろう、の日陰で生い茂って行こうと思うのでよろしく。
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