不定期エッセイ キッドさんといっしょ。

ダイナマイト・キッド

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第534回。売れないバンドは楽しいな

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二十歳から数年だけバンドをやっていた。
たぶん二年か三年ぐらいだったけど、結果として今でも仲のいい友達が残って、色々とズッコケ珍道中も繰り広げ、楽しい思い出として記憶されている。
もちろんズッコケたし、当時は結構しんどい思いもした。

何しろチケットなんか売れないからライブに出るだけ赤字、しかも最初のほうは地元じゃなく名古屋まで車で行っていたのでその分のお金も出て行って。
清算の時に一枚も売れてないのは、寂しかったなあ…。

名古屋について先ず困るのは駐車場。
会場から近いところは軒並み埋まっているので、一旦荷物を降ろして車だけ置きに行く。
この当時はギターの丸山君のエブリィにベースの私、ドラムのオヨベさんの三人で移動していた。
私のマーチではアンプや楽器が乗らないし、オヨベさんはそもそも自動車を持っていなかった。

んで、顔合わせとリハーサルをして一旦外へ。
当時はミクシィとかで出演者募集を探してて、名古屋のザイオンさん、サンセットストリップさん、デイトリップさんに出演させて頂いた。
デイトリップさん、こないだ名古屋に講習に行った時に通ったらまだあったよ。
JR鶴舞駅から千種方面に向かっていくと線路沿いにある地下のライブハウスで、ここが名古屋初登場のライブだった。ここで知り合ったバンドの皆さんとマイミクになったり、イベンターさんに声をかけてもらってそれで上前津のザイオンに出れたんだっけな。

そのデイトリップのライブで大トチをやらかして、あまりの不甲斐なさに丸山君に頼んでビンタしてもらったっけな私。
丸山君は高校生のときに正道会館の愛知県大会で優勝しているので私なんかよりはるかに強いんで脳が揺れた。でも、そのぐらいしてもらわないと気が済まなかった。当時は血が燃えていたんだ。

んで、その場で別件で会場を回ってお声掛けなんぞをしているときに、上前津のイベンターさんに当たって。そのまま丸山君に引き合わせて、ライブ出演と、フリーペーパーの誌面にも載せてもらえることになった。幾らかお金はかかったけどね。音源も作って貰えたので、簡単だけどレコーディングというのもやらせてもらった。
この時の音源をまだ持ってる人が居たらびっくりだけど、流石にいねえだろうな…。

ザイオンでのライブでも若いバンドマンの子と仲良くなった。っても私も二十歳そこそこだったけど。
明るくて元気でバイト頑張ってる、私よりはるかに男前だし可愛い系の顔したパンク男子で、先輩からは可愛がられてたし他人と打ち解けるのが凄く早かったな。今幾つになったんだろう。
MJ!元気か!?
そうそうMJだよ、いま久しぶりに思い出した。たぶん本名も聞いてたか知ってたか、でも今となってはニックネームのMJだけ覚えてる。
マイケルジャクソンとか、イニシャルがMJなんじゃなく、
マンジュウ(饅頭)
のMとJらしい。白くてぽっちゃりしてるから、だとさ。

私はいつも思う。
私よりはるかに軽くて小さくて全然そうでもなさそうな子がぽっちゃりキャラをやっていると、いたたまれない反面…ああ自分のは洒落にならないのではないだろうか、と。
他人からネタにしにくい程度の肥満がデブ、そうじゃないとぽっちゃり、なのかな…?
まあそんなわけで元気なバンド友達も出来まして。

この頃、新栄と上前津のライブに、知り合いだったニューハーフさんが見に来てくれてました。
丸山君には黙ってたけどね…なんかそういうの持ち込むの悪い気がして。
自分のカノジョがライブ見に来るとかイケ好かねえなって思うじゃん。
文学サークル内でくっ付いたり離れたりするとか、バンドの中で付き合うとか。
なんか、そういうのと似てて。
結局は僻みなんだけどね。私だって可愛い彼女とあとでヤってるくせに現場ではしれっと爽やかに青春したりする日々が良かった!!
まあそんな連中が本分たる文学なり音楽なりを差し置いて、誰が何をどんだけやってるのにお前はどうだ、私はこんなに頑張ってますよあなたはどうですか?だの言い出したらとっくに終わってるし、そういう風に大抵はグッズグズになって終わってくので、そういうのは心底ザマミロバァカ!と思うけどね。
思わなきゃやってられねえよ、いつ終わったっていいじゃねえかそんな可愛い彼女に好き放題させてもらってたんだからよ!
私にもやらせろ!!!!!!!!!!!!!

ぜー、はー…
ぜー、はー…

何の話だっけ。
そう、売れないバンドなんかやってますとね、おっかけの居るバンドとかも見るんですよ。
本当に全然売れてないバンドなのはお互い一緒なのに、最前列に陣取ってガンガン首振ってくれるお姉さんとか居るわけ。しかもそのバンド全然大したことねえの。これは僻みとかひいき目なしで。
掛け値なしにくだらねえバンドでも、それでいいっつって首も腰も振ってくれるなら全然それでいいわ私だって。
でも、そのお姉さんに好かれて関係を持つと終わる、っていうジンクスをお持ちの方とかもいらして。
ひえーと思ったけど、歯牙にもかけられず、バンドも結局おのおの忙しくなって自然消滅してしまいましたとさ。

まあ細かい顛末は色々あるんだけどね。
結論としては、キッドさんはバンドやっててもちっともモテませんでした!
ベースは今、友達のバンドのベースやってる子に使ってもらっている。
大事にしてくれているようでとても嬉しい。
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