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第522回。リッキー・フジ選手のはなし。
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SEXY STORM!
今年デビュー30周年を迎えてますます元気!
そんなプロレスラーでロックンローラー!
リッキー・フジ選手のはなし。
松山座8月12日生野区民センター公演に、日本インディープロレス界の生きる伝説。
邪道の生き証人。
リッキー・フジ選手が参戦する。
見に行けないのが死ぬほど悔しいのでここでリッキー・フジ選手への思いをぶつける。
今日のキッドさんといっしょ。は、田舎住まいの地方プロレスマニアのガキの頃の思い出話という名の八つ当たりである。
1997年の夏、キッドさん中学1年生。
その年の私の誕生日祝いは、人生初のプロレス生観戦。
特別リングサイド7000円のチケットだった。
それが、FMW豊橋大会。
近所のスポーツ用品店の店先に貼られたポスターには、今は亡くなられたハヤブサ選手の雄姿が。
これが!いつもプロレス雑誌で見ているハヤブサ…不死鳥ハヤブサ。
見たい。プロレスを見に行きたい!と心の底から思ったのはこの時が最初だった。
大会はもうすぐだ。
私の誕生日ももうすぐだ。
その時は少林寺拳法の帰り道で母の車で迎えに来てもらっていた。
その場で母に直談判し、見事にチケット購入を勝ち取った。
次の日、学校から帰ってすぐにそのスポーツ用品店、その名もスポーツ堂さんに出向いた。
ここは古くから豊橋で開催されるプロレス興行のチケットを取り扱っている老舗で、チケット購入者には必ずオマケとして何かしらの特典を付けてくれることもこの時に知った。
チケット購入を申し出ると、印刷された座席表を取り出してどこが良いか選ばせてくれた。
今でもプロレス興行の選手、団体の売店などで普通に見られる光景だが、この時はまさか自分で選べるとは思ってもおらず、しかも!角っこのかなりいい席が取れた。
ここは選手が入場してくるから、いい場所だよ!
とお店のおじいさんが教えてくれた。
そのチケットをもって大会当日、豊橋市総合体育館サブアリーナに私は居た。
それまで色んなことを考えて、夜も眠れないことすらあった。
どんな試合になるのだろう、エンタメ要素はあるのか、それとも田舎だから、そんなに盛り上がらないのか…?お客さんは入るのか、選手はみんな無事に出てくれるのか。
何度も当時愛読していた週刊ゴングの試合スケジュールを見て、豊橋市総合体育館サブアリーナと書いてあるのを確認してニヤニヤニヤニヤしていた。
そして当日。
私は試合開始よりずっと早く到着して、開場を待ちきれずに会場の周りをウロウロウロウロしていた。
多分他のスポーツや音楽でもそうだけど、開場から開始までちょっと時間があるんで。
そのさらに前の段階から、もう結構な数のお客さんが詰めかけていた。
ロビーにはお弁当、お団子、ビールにジュースなどを売る売店も出ていた。
私はテンションが上がってしまい、ついみたらし団子を買ってモグモグモグモグやっていた。
コーラも飲んだ。
やがてそれも食べ終わり、また会場をうろついていたら…体育館に併設されたジムのなかで、ルームランナーでトレーニングをする金髪の頭が見えた。
リッキー・フジだ!
そう思って、何度もジャンプしたけどそれ以上は見えなかった。
それでも飽き足らずに再び体育館の外をウロウロしていると、ダフ屋のお兄さんも結構居た。
といっても、近在の不良のお兄さんがやらされている感じで、後年に東京の大興行で見かけたようなドスの効いたおじさんではなかった。
チケット余ってないですかー、チケットありますかー
と気のない感じで営業しているだけだったな。
豊橋市総合体育館は外の階段から二階に上がってそのまま入れるんだけど、そこにどうも選手の控室があったらしい。
さっき飲んだコーラが効いてきたのでトイレに、と思ったら、ちょうどそこにフライングキッド市原選手が出てきた!
生まれて初めて目の前で見たプロレスラーにビックリするやら興奮するやらで固まっている13歳のガキに、市原選手は優しく
「ごめんね、トイレなら1階でお願いね」
と言ってどこかへ去って行った。
うわあー、フライングキッド市原だ…すげえ、すげえ、と思っていたら開場の時間になった。
受付も当日券の購入と前売り券の入場とでテーブルが分かれていて、それがわからずにテーブルを間違えたりして恥ずかしかった。
会場に入って座席を確認する。青コーナー側の鉄柱が目の前にあった。
リングは思ってたより巨大に見えた。
勇ましいBGMと売店の呼び込みの声。
私もパンフレットを購入し席で貪り読んでいるうちに試合が始まった。
リングアナウンサーは巨漢の中村吉佐(なかむらきちすけ)さんだ。
第一試合は、さっき見かけたフライングキッド市原さんと、リッキー・フジさんのシングルマッチ。
中村さんのバリトンボイスが体育館に響き渡る。
フ~~~ライングキッドォ~~~~市原~~~!
リッキ~~~~~フゥ~~~~ジィ~~~~!!
声援は互角。
試合は静かなレスリングから始まった。
今でも鮮明に覚えている。
キュッキュっとシューズが鳴る。
眼差しと指先が交錯し、グラウンドの展開が続く。
共に小柄だが長髪をなびかせ、パンプアップした見事な肉体を誇っていた。
やがてピンと張りつめた緊張を、リッキー・フジ選手の豪快なボディスラムが
バァアアアン!
と打ち破った。
その音に驚いた。いつも遊んでいるプロレスゲームでは、ボディスラムなんか全然痛そうじゃないし、ダメージもないし、出すだけ無駄な技だと思ってた。だけど現実は違った。
これがプロレス。
これが現実(リアル)のプロレス。
私の中で、プロレスがバーチャルから現実(リアル)になった瞬間だった。
そしてそれ以来、リッキー・フジ選手もフライングキッド市原選手も大好きだ。
いつかまた、アリーナの片隅の席でリッキー・フジ選手のボディスラム、そして十八番の
カミカゼ
をこの目で拝むまで、私の心を吹き荒れるSEXY STORMがやむことは無い。
今年デビュー30周年を迎えてますます元気!
そんなプロレスラーでロックンローラー!
リッキー・フジ選手のはなし。
松山座8月12日生野区民センター公演に、日本インディープロレス界の生きる伝説。
邪道の生き証人。
リッキー・フジ選手が参戦する。
見に行けないのが死ぬほど悔しいのでここでリッキー・フジ選手への思いをぶつける。
今日のキッドさんといっしょ。は、田舎住まいの地方プロレスマニアのガキの頃の思い出話という名の八つ当たりである。
1997年の夏、キッドさん中学1年生。
その年の私の誕生日祝いは、人生初のプロレス生観戦。
特別リングサイド7000円のチケットだった。
それが、FMW豊橋大会。
近所のスポーツ用品店の店先に貼られたポスターには、今は亡くなられたハヤブサ選手の雄姿が。
これが!いつもプロレス雑誌で見ているハヤブサ…不死鳥ハヤブサ。
見たい。プロレスを見に行きたい!と心の底から思ったのはこの時が最初だった。
大会はもうすぐだ。
私の誕生日ももうすぐだ。
その時は少林寺拳法の帰り道で母の車で迎えに来てもらっていた。
その場で母に直談判し、見事にチケット購入を勝ち取った。
次の日、学校から帰ってすぐにそのスポーツ用品店、その名もスポーツ堂さんに出向いた。
ここは古くから豊橋で開催されるプロレス興行のチケットを取り扱っている老舗で、チケット購入者には必ずオマケとして何かしらの特典を付けてくれることもこの時に知った。
チケット購入を申し出ると、印刷された座席表を取り出してどこが良いか選ばせてくれた。
今でもプロレス興行の選手、団体の売店などで普通に見られる光景だが、この時はまさか自分で選べるとは思ってもおらず、しかも!角っこのかなりいい席が取れた。
ここは選手が入場してくるから、いい場所だよ!
とお店のおじいさんが教えてくれた。
そのチケットをもって大会当日、豊橋市総合体育館サブアリーナに私は居た。
それまで色んなことを考えて、夜も眠れないことすらあった。
どんな試合になるのだろう、エンタメ要素はあるのか、それとも田舎だから、そんなに盛り上がらないのか…?お客さんは入るのか、選手はみんな無事に出てくれるのか。
何度も当時愛読していた週刊ゴングの試合スケジュールを見て、豊橋市総合体育館サブアリーナと書いてあるのを確認してニヤニヤニヤニヤしていた。
そして当日。
私は試合開始よりずっと早く到着して、開場を待ちきれずに会場の周りをウロウロウロウロしていた。
多分他のスポーツや音楽でもそうだけど、開場から開始までちょっと時間があるんで。
そのさらに前の段階から、もう結構な数のお客さんが詰めかけていた。
ロビーにはお弁当、お団子、ビールにジュースなどを売る売店も出ていた。
私はテンションが上がってしまい、ついみたらし団子を買ってモグモグモグモグやっていた。
コーラも飲んだ。
やがてそれも食べ終わり、また会場をうろついていたら…体育館に併設されたジムのなかで、ルームランナーでトレーニングをする金髪の頭が見えた。
リッキー・フジだ!
そう思って、何度もジャンプしたけどそれ以上は見えなかった。
それでも飽き足らずに再び体育館の外をウロウロしていると、ダフ屋のお兄さんも結構居た。
といっても、近在の不良のお兄さんがやらされている感じで、後年に東京の大興行で見かけたようなドスの効いたおじさんではなかった。
チケット余ってないですかー、チケットありますかー
と気のない感じで営業しているだけだったな。
豊橋市総合体育館は外の階段から二階に上がってそのまま入れるんだけど、そこにどうも選手の控室があったらしい。
さっき飲んだコーラが効いてきたのでトイレに、と思ったら、ちょうどそこにフライングキッド市原選手が出てきた!
生まれて初めて目の前で見たプロレスラーにビックリするやら興奮するやらで固まっている13歳のガキに、市原選手は優しく
「ごめんね、トイレなら1階でお願いね」
と言ってどこかへ去って行った。
うわあー、フライングキッド市原だ…すげえ、すげえ、と思っていたら開場の時間になった。
受付も当日券の購入と前売り券の入場とでテーブルが分かれていて、それがわからずにテーブルを間違えたりして恥ずかしかった。
会場に入って座席を確認する。青コーナー側の鉄柱が目の前にあった。
リングは思ってたより巨大に見えた。
勇ましいBGMと売店の呼び込みの声。
私もパンフレットを購入し席で貪り読んでいるうちに試合が始まった。
リングアナウンサーは巨漢の中村吉佐(なかむらきちすけ)さんだ。
第一試合は、さっき見かけたフライングキッド市原さんと、リッキー・フジさんのシングルマッチ。
中村さんのバリトンボイスが体育館に響き渡る。
フ~~~ライングキッドォ~~~~市原~~~!
リッキ~~~~~フゥ~~~~ジィ~~~~!!
声援は互角。
試合は静かなレスリングから始まった。
今でも鮮明に覚えている。
キュッキュっとシューズが鳴る。
眼差しと指先が交錯し、グラウンドの展開が続く。
共に小柄だが長髪をなびかせ、パンプアップした見事な肉体を誇っていた。
やがてピンと張りつめた緊張を、リッキー・フジ選手の豪快なボディスラムが
バァアアアン!
と打ち破った。
その音に驚いた。いつも遊んでいるプロレスゲームでは、ボディスラムなんか全然痛そうじゃないし、ダメージもないし、出すだけ無駄な技だと思ってた。だけど現実は違った。
これがプロレス。
これが現実(リアル)のプロレス。
私の中で、プロレスがバーチャルから現実(リアル)になった瞬間だった。
そしてそれ以来、リッキー・フジ選手もフライングキッド市原選手も大好きだ。
いつかまた、アリーナの片隅の席でリッキー・フジ選手のボディスラム、そして十八番の
カミカゼ
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