上 下
506 / 1,299

第492回。抹茶ソフトと思いきや

しおりを挟む
こないだの木曜にさ、夕方4時前ぐらいにミニストップでジュース買ってたの。
キーバってやつ。モンスターエナジーとかああいう系統のなんだけどね。
でさ、駐車場でトラック乗って、パキッ!ってプルタブ開けてさ。
待ってたわけ。目の前をジイさんがポクポク歩いてったから。んで、さて、と改めて周りを見たら今度はお店からバアさんが出てきてポクポク歩いてくるわけ。

でソフトクリーム食ってるんだよ。
ミニストップといえばソフトクリーム。
ゲッツ板谷さんの作品にも
「はああ~~~~ミニストップのソフトクリームになりてえ」
って表現が出てくるのでお馴染みのミニストップのソフトクリーム。
いや食いてえ、じゃなくてなりてえ、って何だよと思うけどこっちの勘違いかも知れないし、むしろ本当に書いてあったところでなおさら面白いのでいい。
ああ、もしかしたら
「あーーーーースウェーデンの赤ちゃんになりてえ」
とごっちゃになってるかもしれない。
多分、タイ怪人紀行とかインド怪人紀行で使ってた。

んでその私の目の前をポクポク歩いてくバアさんが食ってるのが抹茶ソフトなんだよ。
いいやなー抹茶ソフト。
オヤツにソフトクリーム食うバアさんってのがもうとてもいい。
それに加えて食ってるソフトクリームが抹茶だもん。
「いい」の二乗、三乗だよね。
バアさんは抹茶味のもんが好き。なんでだろうな、やっぱ甘すぎないのと、バアさんって呼ばれるような年齢になるとああいう味わいが恋しくなるのかね。

私のバアさんも抹茶味のものが好きだった。
ただし買うのが好きで、食わせるのが好きで、食うのは私の仕事だった。
たぶん私が子供のころ抹茶のアイスやソフトクリームが好きだったのは、普通にバニラを食うのに飽きたこと、普通にバニラを食うことへのそこはかとない抵抗のほかに、抹茶ソフトの供給があったと思う。
イチゴやチョコでもなく、抹茶である。
また子供が抹茶アイスとか頼むと、お店のおばちゃんとかのリアクションが良かったんだよ。
抹茶アイス頼むだけで褒められたりチヤホヤしてもらえる5歳の頃に戻りてえなあ…。
まあそれはともかく、とっくに取り壊されちゃったけど昔は我が家の近所にダイエーがあって。
7階建てぐらいの細長いデパートで、だけどダイエーってスーパーマーケットなんだよな。あの頃は西武百貨店も丸栄百貨店もすぐ近くにあって、ダイエーも同じノリで考えてたけども。
よく考えたら、ダイエーだけ上の方の売り場で売ってるものがそんな高いものじゃなかったんだよな。
田舎のスーパーマーケットは大きくて、1階が食品売り場とファストフードとか飲食店が入ってて、2階で衣類だとかゲーム・おもちゃだとか本、あとゲームコーナーなんかが置かれてて。
まあこれの並びはお店によりけりだけれども、基本的にはデカい2階建ての建物になることが多い。あと立体駐車場とかあるともっと上に伸びるけど。

だけどもこのダイエーは駅前の繁華街の中にあったんで、もっと細長かった。
駐車場もタワー型の古いやつがあって、車で入ってくとウルトラマンタロウのオープニングみたいでカッコよかったな。

でこのダイエーは入り口の正面にエスカレーターがあって、右に折れると階段。でこの階段で地下に降りてすぐのところにフードコートがあってさ。
フードコートだって。あの時はなんて呼んでたのかな、あの場所。普通にダイエーの地下、って言ったら私らのなかではダイエーの地下にあるフードコート、のことを指してたんだけどもね。

リニューアルされる前の豊橋競輪のフードコートのところにはでっかく
軽食
って書かれてたはずだから、あっちは多分そんな洒落た言い回ししてなかったと思う。
あと洒落にならなくなってそこで昼間からお酒を召し上がってる紳士も居たと思う。
というか居た。

んでそのダイエーの地下のフードコート。確か左からラーメン、アイス、ポテトとかスナック、うどん、って感じで小さなブースが4つ並んでた。もしかするとラーメンとアイスは逆かもわからん。
もう確かめようもないけど。

で、このフードコートにバアさんといっしょに行くと、私が椅子で待ってるか近くにあったマリオに電話をする設定でボタンを押してゲームを進めて、終わるとカードがもらえる機械(あったよな昔)で遊んでるあいだにまずみたらし団子が来る。バアさんという種族はみたらし団子が好きだ。あると買ってしまう習性なのだと思う。そしてそれをモムモム食っていると、今度はラーメンやらうどんやらの麺類が来る。ポテトやフランクフルトソーセージも。
でそれを平らげると、今度は300円持たせてくれて、アイス買って来い、と言う。

私のバアさんは私に何か食わせてくれるのが大好きだった。
私が31歳の今もデブなのは完全に自分のせいだけど、子供のころってさ、今よりもずっと食欲に対して純粋で真っすぐじゃん?
うわあいい方に捉えた言い回しだなあ。
でそんな真っすぐな想いをバアさんから賜った300円玉にこめて、アイスクリームと向き合ってた。その時よく食べてたのが抹茶アイスだったなーーーーー…とミニストップの駐車場で見知らぬバアさんが食ってるソフトクリームを見て思い出した。

そしてミニストップの駐車場にはためく幟にはメロンソフト、と書かれていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

50歳の独り言

たくやす
エッセイ・ノンフィクション
自己啓発とか自分への言い聞かせ自分の感想思った事を書いてる。 専門家や医学的な事でなく経験と思った事を書いてみる。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

6年生になっても

ryo
大衆娯楽
おもらしが治らない女の子が集団生活に苦戦するお話です。

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

処理中です...