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第421回。経験と居場所のはなし

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新年度だ。
今日はずっと友達で居てくれる女の子が入籍する日だ。
中学生だったのになあ。
元々利発で可愛らしかった少女が女の子になり、大人の女性になった。
綺麗になって、素敵になって、奥さんになった。
おめでとう。

さて。
ネットをやっているとつくづく思うのは
「その場所以外に活動する場所を持っているか」
「その人たち以外にも仲間は居るか」
ということ。

その場所でその人たちばかりを相手にしていると、遅かれ早かれ行き詰まってしまってロクなことにならない。
みんなが他で色んな経験をしたものを持ちこんで来たり、またその逆に持って行ったりするのに対して、自分はここにしかおらず、ここでしか話をしないと視野の広がりが全然違ってゆく。自然と離れてゆく人も出てくるし、ふと戻って来たりもする。そういう時に、外との違いに愕然とするときがある。

そりゃたまには気を配って接することも出来るさ。でもそれが毎日毎回それじゃどんな聖人君子でも疲れるだろう。

で、結局いまその場所にしか居場所が無い人は、これまでも他に居場所も無かったことが多いわけで。
そうなると必然的に様々な経験も少なくて。
何か一つでも、他に代え難い経験をしている場合もあるけどね。
けどやっぱりそれだけじゃ無理がある。万遍ない経験ってのは人付き合いをするうえで絶対にある程度必要なんだ。

私はいつも、何かを表すのに自分の中に無いものは書けないと思っている。
だから、経験が何より大事だと思う。
まあ文章の基本も何も知らないで書いてきたから、とりあえず
「基本を知ってるであろういい子ちゃんたち」
より何か一つでも上に立ちたかったのだろうと自分では思う。
「幾ら何をどんだけ書いたって絵空事じゃつまらねえよ」
「じゃあお前にこんな想いをした経験があるかよ」
とまあ、結局そんな不遜な考えを持つようになった。

バイオSFとかタイムスリップならまだ映画や小説を読んだり自分なりに空想を練っていくことや色んな学問を積むことも出来る…つまり元から机の上に広がるものであるからして、実践するにも限りがある。

だけどみんな大好き恋愛作品に関しては、特に童貞の書いたキラキラした上っ面だけのエロい言い回し満載の140字SSなんか書いた奴のケツを強めに蹴りたくなるくらいくだらない。
ああいうものに限って言えば、何の経験も無しに大真面目に何かを書いてる気でいるとホントにバカみてえだから今すぐやめろ。
小指の一本でも触れさせてもらってから書け。

キッドさんが、まだキッドと名乗ってなかった頃。
出入りしていた作詞サイトに居た当時自称理系の大学生っていうメンドクサイ奴がそうだった。
僕は童貞ですが綺麗な恋愛作品が書きたいんです!っつって。
そのくせある歌手が好きで他の歌手をくさしたりしてたので、今思えば童貞のやっかみだったのだろうなあれは。
他の連中も基本的にモテなくて、他にやることないから創作しているようなもんだった。
キッドさんも同じだった。女の子に費やす時間が丸々余ってるわけだ。
で、その狭い人間関係の中でくだらないことを始める奴が居た。
まあ管理人だったんだけどね。
あっちにコレを吹き込み、こっちにコレを吹き込み。自分が中心になって何か大したことをしている気になっていた。
私のところにも散々色んなことを言ってきたし、私のことも散々言っていた。
全体公開のミクシィ日記のコメント欄で。読むっちゅうねんそんなとこ私も。

何度か会ったけれど、その時の事を大げさに、さも面白そうに書くけれど正直超つまんなかった。
普通にカラオケ行ったりご飯食べたことを書くのに余計なことをゴタゴタ書いてるんだけど、なんつーか文章がぶよぶよで読みにくい。
売れている歌手や作家のまねごとをするのはいいけど、こっちを巻き込まないでほしかった。

そのサイトは掲示板に張り出した作品へのコメントや、それに対する返信などから細かくポイントを計算して毎回ランキングを作っていた。今考えたらこれは他のサイトでやるより早かったと思う。
管理人のCDTVごっこが奏功したケースだった。
で、この作業も管理人がやっていたのだが、ある日私にお鉢が回ってきた。
なんか管理人のお気に召さないことがあったのか、それまで随分と持ち上げてくれていたのが急変。

なんだろうな、映画「善き人のためのソナタ」でシュタージのエリートから地下室で手紙の仕分けをさせられてる東ドイツの主人公の気分だった。

まあ結局その後ちょっとして私もそのサイトを離れた。

この管理人、気の毒にその後どこぞに晒しあげられてしまったというが…今はどうしているのだろう。
その頃のサイトの仲間の近況も、とうとう一人しか知らなくなった。

たった一人残った、その古い仲間が、4月1日。
今日入籍するという。
おめでとう。

そのよき日にまだ君の仲間で居られて、お祝いをさせて頂けて光栄です。

貴重な経験を色々沢山させてもらってます。
これからもよろしくね。
応援しているよ。

僕の最初で最後のアイドルは貴女でした。
新しい門出が君のあの素敵な笑顔で満ち足りたものでありますように。
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