上 下
414 / 1,301

第387回。バカ仙人と呼ばれたい。

しおりを挟む
前にも書いたかもしれないけど、私キッドの理想の老後はバカ仙人。
どういう状態かというとまず70とか80くらいでも元気で、自分で立って歩けること。
話すことも物忘れとか都合の悪いことは忘れてるけど、まあ支障はない。
白髪でハゲてて顎ヒゲが胸まで伸びてるといいな。

カンフー映画の老師が落ちぶれたみてえな感じか。
あーでも服装は多少きちんとしておきたい。
地図の調査員なんかやってて田舎に行くと、ノーブラで白い肌着のランニングにステテコかモンペ穿いただけの婆さんが畑を耕してたりするし…そういう婆さんにはもれなく髭も生えてるから、バカ仙人がああだとすると、こっちも天女の類なのかもしれんな…夢のねえ話だな。

でさ、そういう典型的な老師(ジジイ)になったらやりたいのが、近所の子供にデタラメ教えるの。
ほら吹きジジイっていうのかな。
あれの、もっとバカなやつ。ウソとか誤解をさせるんじゃなく、デタラメ。
なんつーのかなー、いい温度の。バカな子供は信じちゃうこともあるけど、もう小学校高学年くらいになると見破られちゃうの。12歳のガキに70歳でムキになって嘘吐いてるの面白くね???
お菓子なんかあげたりしてさ。

坊や知ってるか?ウィンナーソーセージってのはな、普通のウィンナーに酢を入れたものなんじゃよ。ウィーンでは腸詰を作るときに酢を混ぜたんで、ウィンナーソーセージというんじゃ。
ウィンナーコーヒーってあるだろ、コーヒーに生クリーム乗せるやつ。
ウィーン式のコーヒーだからウィンナーコーヒー。
ウィーン式のソーセージはウィンナーソーセージ。

どうかね、コレ信じないかね?
ウィンナーとソーセージの違いは?って聞かれたら、教えてみ?
なんて言ってさ、その子が家に帰って母ちゃんに話して聞かせたらデタラメだってバレて。
次の日に
まーた嘘吐いたなこのジジイ!とか言われてケツ蹴られたりしてさ。
で、
わかったわかった悪かった。今度はホントだから。
あのな、キュウリあるだろ野菜の。あれ収穫しないで育て続けたのがヘチマで、それがさらに進化するとヒョウタンになるんじゃよ。
ってまた嘘ついて蹴られてやんの。

でもたまに
明治時代に国民の食生活を改善しようっていうんで羊の肉を普及させようとしたけどイマイチ流行らんくってな。でもって北海道に牧場を作ったんで今でも北海道ではその名残でジンギスカン鍋が名物なんじゃよ。
とかホントのこと言うの。

そんなことばっかり長年やってるもんで、ついたあだ名がバカ仙人。
ポンコツ仙人と割とマジで迷ってるんだけどな。どっちがいいかな。
どっちも可愛いじゃんな。
でも、長生きしてるだけで頭はたいして良くないし、なんつーか近所のご婦人方には浅からず疎まれてる雰囲気が欲しいんだよな。

さっきの坊やなんかは懐いてくれてるんだろうな、道で会ったら挨拶してくれたりしてさ。
でも中学生くらいになると大抵の子供からは見向きもされなくなって。
そんで寂しいから懐いてくる子には色々教えるんだ。嘘もホントも作り話も妄想も。
ワシのじいちゃんはドイツ人、とか。
ワシは5つ子の下から2番目だ、とか。
昔はプロレスラーでメキシコの覆面レスラーのマスクを1000枚剥がした、とか。
でもそうなると多少のドイツ語を覚えなくちゃならないし、メキシコ人レスラーの名前も覚えなくちゃならないな…まあこっちは結構知ってるしなんとかなるか。
というか外国の話ならバレねえだろっていう考えが、小学校の時ひとりは居た
「オレ、昨日ハワイ行ってきた!」
って木曜日なのに言い出す奴みてえだな。お前昨日も普通に学校来てたろって。

まあ私も
俺のばあちゃんは中国の山東省で鳳凰を乗りこなした
ってバカなこと言って、あとで吊し上げに遭ったけども。
じゃあ私のことじゃねえかそのハワイバカ。
中国的馬鹿的小学五年生の豚骨湯運搬車(とんこつタンクローリー)!

でもさ、まあ仮にホントに私が80の山羊髭の真っ白いジジイになったとしてだよ。
近所の子供を集めてお菓子配って
坊や知ってるか?昔ゃ蛇みたいなヌルヌルしてて細長い真っ黒の魚がようけ取れてな。そりゃもう美味いもんじゃった、とか言っても、もう子供たちにはそもそも伝わらないかもしれないな。
ウナギ、その頃まで食べられるのかな…ウナギが食べられるジジイで居るより、ウナギが食べられる時代である方が難しいような気がする。なくなっちゃうのかな。

だって今、5歳の私に
オイ坊や、あと30年もしたら手のひらサイズの電話でテレビも見れるし歌も聞けるし手紙も書けるし、あとお前がやってるゲームよりもっと綺麗で面白いのいっぱい出るし、その西武ライオンズのホームランバッターは逮捕されちゃうし、牛肉の刺身(当時、大好物だった)は売らなくなるし、お前がいつも遊んでる公園は閉鎖されて、その隣のジュース屋さんが入ってるビルもなくなるよ。
あと、お前、初めての彼女、ブラジル人!
って教えてやっても信じないだろ。

意外と、嘘みたいなホントの話に囲まれて生きているのかもしれないな。
そんな世俗に晒され続けてついに悟りを開いた、ワシの名はポンコツ老人バカ仙人!!
さあ今こそ青空に向かって凱旋だ!
進め!集まれ!!私こそが、バカ仙人様!!!!!
ハーーーハッハッハッハ!
アーーーハッハッハ!

あっ痛い、ケツ蹴らないで。
お菓子あげるから
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

カクヨムでアカウント抹消されました。

たかつき
エッセイ・ノンフィクション
カクヨムでアカウント抹消された話。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

男性向け(女声)シチュエーションボイス台本

しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。 関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください ご自由にお使いください。 イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...