不定期エッセイ キッドさんといっしょ。

ダイナマイト・キッド

文字の大きさ
上 下
388 / 1,301

第360回。めぐのやすっ!

しおりを挟む
モテない男は安めぐみさんが好きだ。
特に今30歳前後の男性諸君にはご賛同いただけるのではないかと思う。

だって中学高校とモテてないときに内村プロデュース見てたもん。
略称:内Pとも呼ばれるこの深夜番組は、ウッチャンナンチャンの内村さんの番組で。
ブレイクしたか直前ぐらいのさまぁ~ず(もしかしたらギリギリでバカルディだったかも)とTIMと、ふかわりょうさんが主に出ていた。
あと他に土田晃之さんとか、まだ今みたいに再ブレイクしてない有吉弘行さんもたまに出ていて。

基本的にはクラスの隅っこで、休み時間にあまり女子からは人気のない男子数名が面白いことを考えて遊んでいるような、そんな番組だった。
企画ものもよかったけど、とにかく困ったときは大喜利で。
やれ本日のゲストの素性を全部紹介して持参した写真をどんな時に撮影したものか、まで話しておいてから問題として
「さて、この今日のゲストは誰でしょう?」
「この写真に写っている場所はどこでしょう?」
とやる。

とにかく毎週楽しみで、欠かさず見てビデオにも撮っていた。
あまりに熱中しているので母親から
「アンタ内Pと週刊ゴングが亡くなったらどーすんの!?」
と呆れられたほどだった。
両方ともなくなったりしたけれど、私は元気です。

で、このモテない集団の休み時間もしくは文科系の部室にも、気取らず優しく自然な感じで
「ねーねー何の話してるの?」
と話しかけてくれそうだったのが、安めぐみさんだった。

内P最多出演の番組アシスタントだったが、説明文を噛んだり読み間違えたりする方も番組最多だったと思う。でも天然なのかおっとりしてるのか、なんかそれも許されていた。
まあ元々そこにうるさい番組でもなかったしそれすらネタになっていったので問題がなかったってのもあるだろうけど、それにしたってよく噛んだ。
でも可愛いから許す。
噛まれたい。遠慮がちに、かぷ、いや、はみっ、くらいの甘噛みで。

とにかく大喜利、体当たり、滅茶苦茶な企画もあった。
露天風呂でだるまさんがころんだをする、といって全員素っ裸でタマキン丸出しで這いつくばってる人とか大勢いたりする下劣極まりないときもあれば。
スポーツや舞台に真剣に取り組んだりもしていた。
とにかく内Pさえあれば、あとはなんとか乗り切れた。
何度か放送日と時間帯が変わっていたと思うんだけど、月曜の深夜が長かった気がする。
まだ馬鹿力も聞いてないころだから、本当にこの番組には助けられてた。

初期はちゃんと?
何々をプロデュース!
といって企画を進めていたけど、段々とロケ先で面白いこと言う、やる、という単純だけどとにかくゲラゲラ笑ってられる番組になっていったと思う。
DVDも結構持ってた。急に終わってしまったのが残念でならないけど、その最終回に呼ばれた番組アシスタントは、やっぱり安めぐみさんだった。

安めぐみさんって人当たりがよさそうというか、あの乱痴気騒ぎのなかでもニコニコしちゃってるところが良かったんだろうね。
学校にも必ずいた
「俺たちにも優しい女子」
が、安めぐみさんだった。

さっきも書いたけど、こっちはクラスの主流の連中にはついていけず、その主流に絡む女子にも疎んじられ、流行りのギャグとか音楽とかテレビの話をせずに独自の面白い話をしてて。それはたまには内輪ネタとかひっどい下ネタとかもあるんだけど、なんかこうそれこそ内Pとか松本人志さんの一人ごっつみたいな、ひねった笑いとかその場の思い付きで面白いことをポンポン言って
ハハハハハ!
とか馬鹿笑いしてるところに、すっと入ってくる感じ。
この人に下ネタをぶつけちゃう奴もいれば、急にかしこまる奴もいて。
けど別に好きになったり付き合いたいってのとは、また違うなっていう。
美人だと思うし、おそらく同じクラスに居たら主流派のグループにもいられるし成績も悪くないと思うんだけど、なぜか俺たちにも優しいっていう。

そんな女子居なかったよ!
って人も居ると思うけど、だからこそ、
あんな女子が居ればなあ…
と思ったんじゃないかと。それをあの人が背負ってくれてたような気がするんだよな。
テレビに出てくる人たちは状況に応じて様々なケースにあてはめられたモデルだとするならば、モテない男にも優しい、けど決してバカとかブスじゃない。もう猛烈に美人で高嶺の花も通り越して土星でしか手に入らない珍しい球根がポッと咲いた、みたいな人でもないけど、チープでもない。
すごくいい塩梅の配役がなされていたと思うのだ。

あの時分にアイドルにハマることのなかった私だけど、安めぐみさんだけは好きだったなあ。
でもそれも、たぶんトリックの山田奈緒子と一緒で、内Pに出てる安めぐみさん、が好きだったんじゃないかなあ。
近頃の活躍はどうだとか、結婚したのしねえのとか、そういうことはあまり気にならないもの…。

あのとき俺たちにも優しかったあの女子が、今じゃ結婚して子供もいる、なんて聞いたらどう思うのかね。それと同じような感覚を持ったりするのだろうか。

みんなも内P見てた?
テレビの前でちゃんと
めぐのやすっ!!!!
って、言ってたかな?

めぐのやすっ!!!!
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

自習室の机の下で。

カゲ
恋愛
とある自習室の机の下での話。

処理中です...