不定期エッセイ キッドさんといっしょ。

第３１５回。中川ホメオパシー先生に捧ぐ

ずっと書こう、書こうと思っていた。
もはやきっかけすら覚えていない。
誰かのリツイートから何かを知る、そのきっかけになったのが
中川ホメオパシー先生
の「もっと！抱かれたい道場」の通販のお知らせだった。

おおかみ書房さんのツイートを、フォロワーさんがリツイートしていた。
そこには和室の畳の上に山積みになった「もっと！抱かれたい道場」が幾つもそびえたっていた。

何だか知らないがすげえ！
と思った私は、おおかみ書房さんと中川ホメオパシー先生ご両名のツイッターをフォローした。
だけどまだ、その漫画を買うまでには至っていなかった。
なんとなく途中からだったので、乗り損なった感じがしたのだ。
対岸の奇妙なお祭り騒ぎを眺める気分で毎日経過を追っていると、遂に完売を迎えたとツイートが。
あれだけの本が全てさばけてしまったのに驚いたと同時に、どんな漫画だったのかがものすごく気になってきた。

手に取った人からの感想が片っ端からリツイートされてくる。
凄まじい内容だ。また時折紹介される作中の画像も、なんかババアとか坊主刈りのニキビ面とかロクなものが出てこない。
これは買い逃すべきではなかったのではないか。
そう思っていたある日。
通販の注文が数冊キャンセルになった、というツイートをちょうど見つけた私は、そのまま速攻で注文を済ませてしまった。何も考えなかった。
あっ、あるんだ。買お。
これで終わりだった。

そうして届いた「もっと！抱かれたい道場」は予想をはるかに上回る面白さと、常識をはるかに下回る凄まじい描写の連続だった。
師範の先生はブッ飛んでいるようで肝心のところでは冷静に弟子のノボルくんを突き放し、
弟子のノボル君は常識にとらわれた凡人のようでありながら結局ブッ壊れてしまう。
ああ、大人と子供の差はココだな、と思わされる完璧に完全なぶっ壊れチーム。
そこに、なぜか入門してきてしまう美少年が居たり、大家のババアがノボル君の童貞をハントするために獅子奮迅。途中で落雷に遭ってもなおサイボーグ化して片腕をドリルディルドーに改造するなどなど。
どこから何を紹介したらいいのかサッパリわからない。
地獄のように濃くて、馬鹿みたいに笑える、最低サイコーのギャグマンガとなっております。

買ってよかった。
何度も読み返した。
ローラースケートを履いてクレープをクチャクチャ食うところがいちばんのお気に入りの場面です。

この二人組が再登場するのが
バトル少年カズヤ
という同じく中川ホメオパシー先生の、さらにイカれた凄まじいギャグマンガの冒頭。

このカズヤ。
私の本名と同じ名前を持つ少年が基本的にバトルを仕掛け、顔中の穴という穴でタバコを吸うヤンキーやクイズ番組の司会者（くさのひとし）ソックリの宇宙人や一見可愛いけど肥満体の元自衛官（ペットの白竜）を一瞬で骨にする凶暴な宇宙生物と戦っていくのだが。
その合間に出てくるキャラクターや物語が、完全に明後日どころか近未来の方向に向かってスッ飛んでしまっている。
テリー・ギリアム監督の超問題作（誉め言葉）であるところの
「ラスベガスをやっつけろ！」
っていうのがあるんだけど、あれに近い。どうかしている。基本ラインがどうかしているので、たまにマトモな展開になったと思っても、すでに謎の円盤に生えていた中年男性型の装置に小便を飲ませたり、途中で乗せた宇宙海賊ベッド・インの二人と白竜が猛烈なセックスをしていたりと完全にぶっ壊れていることを忘れてはいけない。

劇中なぜか日本を代表する歌手の夫婦が、神様やクローン人間としてサイレントマンガで描かれる。
あの「カブトムシ」には愛すべき悪意があるが、狂々丸（カズヤの友達でありライバルでもある忍者）が可愛いので全部ちゃんと丸く収まっている…と思う。それじゃ済まないだろっていうキャラも多いが。

最後はＦカップある美人で人類史上最強のヤリマンであるところのカズヤのお母さん（本名同じだって言った後だとこの紹介ちょっとヤだなあ）が太陽のセフレになってしまい、カズヤが自らとどめを刺す。
怒涛の展開は怒涛の強引さで決着が付き、最終的には気の遠くなるような長い間の尺八の練習によってカズヤと野々村ポルチオ君以外の登場人物が死滅し、太陽と同化した母親を息子が自ら…。
コレ別に私の頭がどうかしたわけじゃないからね！？本当にこの通り描いてあるんだもん。

本当なんです！信じてください！！
北斗、お前はしばらく謹慎だ！！！

とＴＡＣも真っ青な重症ぶり。ベロクロンの幻覚より強烈で、女ヤプールの歯医者より美人の女性がいっぱい出てくるマンガが信条の（たぶん）中川ホメオパシー先生が、このバトル少年カズヤの単行本と同時に発売したコミックス。
それが
「干支天使チアラット」
だ。現在の中川ホメオパシー先生の表の代表作といっていい。
その昔ヤングマガジン誌上で私の脳裏に強烈なインパクトとねじ曲がった性癖を植え付けた、サガノヘルマー先生の
「BLACK BRAIN」
のようで、可愛い女の子とブッ飛んでる展開とギャグ。あのマンガからグロテスクさを少し取り除いて、代わりに有名人のパロディを盛り込んであって。
BLACK BRAINと浦安鉄筋家族を足してテリー・ギリアムに監督させたようなマンガだ。

元はリイド社のLEED Cafeで連載されていて、抱かれたい道場からの勢いで今日までずっとチェックしている。欠かさず読んでいるが、毎回すごい。
すごい、しか言ってないけど、詳しいことは是非無料公開分だけでも読んでほしいし、気に入ったらぜひ単行本のご購入をお勧めします。

中川ホメオパシー先生の描く可愛い女の子、個性が煮詰まってミルクセーキの煮凝りみたいになった甘さもクドさも特濃のヒロインたちが大活躍し、毎回隅々までギャグが散りばめられて、緻密な伏線にうならされる。

リクルート仮面と抱かれたい道場の美青年は同一人物では…！？白パンツ好きだし…。
ああ、この子がショタコンなのにはこういう展開が用意してあったんだ！
くるみちゃん、いつの間にかしれっとレミちゃんの隣にいるのが自然になったなあ
めりのちゃんの眠たそうだけどノリのいい、このアンバランスさ、こういうお姉さんいいなあ。相手されないだろうけど

などなど。
全部書くと面白くないので是非、普通に読むだけでも笑えて可愛い爽快なギャグアクション作品です。

私はオリマンクレープの店長と、通りすがりに頭をぶった切られるサカナ君風の男が好き。
あの回はラストのミルキーデスパイクといい神がかっていた。あとシャノワールちゃんかわいい。
そんなわけでチアラットチームのヒロインでは断然くるみちゃんが好きな私。
ヤンデレ巨乳の可愛い子ちゃんに愛されるとか、男のロマンであり理想の死因１位じゃん。

チアラットの単行本は１＆２巻と、カズヤと合わせて、
マンを自慰して（ベッド・インさんぽく書いてみた）発売された。
迷わず全部買って、チアラットの３巻が出たときは即予約した。
中川ホメオパシー先生は、所定の方法で応募した人全員に、丁寧にサインやイラストを描いていた。
オトコだ！オトコの仕事だ…！
と思い、私もリクエストをして書いていただいた。
誰を書いてもらったのかは、本文中にヒントがあります。

思えばベッド・インのお二人についても、中川ホメオパシー先生のツイッターからさらに知ったのだった。
リツイートやツイートから情報を得て、さらに先へつながっていく。
一見するとツイッター社がさせたくてしょーがない、理想的な使い方をしているのに。
その情報が史上最強サイテー（誉め言葉）のアシッドギャグ漫画で、セクシー地下アイドルのおっぱい目当てだとは、お釈迦様でも思うまい。
でも、山下達郎似の神様なら、それもきっとお見通しかもしれない（ＦＬＹ）

今日はもう、中川ホメオパシー先生のマンガを読んでないと全然わけわからないと思うけど、読むともっとわけわからなくて、キッドがこの程度の紹介しかできないのもわかるわ！と思ってもらえること請け合いなので、マジで損はないので読んでくれ！！！

普段多くても２０００文字を少し超えるぐらいの私のエッセイが軽く３０００文字を突破していることからも、この熱が伝わってほしいのだ。

プロレスなら藤田あかね選手、青木いつ希選手
マンガならハヤシエリ先生、中川ホメオパシー先生
小説なら黄鱗きいろさん、入江弥彦さん
ネットを通じて素晴らしい作品と作者さん、選手に出会えて、良い時代になったなと思う。
メジャーな作品でなくても、選手、作家じゃなくても、良いものはいい！と思ったからには、ここでドンドンご紹介したい所存です。

さらに今はトラック雑誌ので連載や、なかよし番外地なるＢＬマンガの新境地（アニキと辰、かわいいよ！！！）を切り拓く作品も連載中。さらにチアラットは実写映画化もされた。
ネットで始まった物語が、着々と広がりを見せて根を張ってゆく。その物語に片足を突っ込んでしまった以上、私もこの先ずっと、この人たちについていこうと思っている。

中川ホメオパシー先生とベッド・インさん。
この４人、２：２の男女４人の作り出す愛の新世界で揺れる夜空のシャンデリアに照らされたゲバゲバな白昼夢が私の今なによりの楽しみなのです。
ゲバゲバってバブリーワードってわけじゃないのか。
じゃあ…
ぶっとびーーーーー！
こっちだな、うん。