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第303回。Candy storeのカンカンボーヤ
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みんなの家や学校や職場の近くに自販機ってたくさんあるかな?
あれってコカ・コーラとかサントリーとか、メーカーのものもあるけどさ。
なんか妙に安い自販機あるよね。
横っちょにちょっとだけお菓子も売ってるやつ。
まあそれもいろんな名前がついてるんだけど、コッチでよく見かける自販機があってさ。
それが今日のサブタイトルのCandy storeってやつで。
メーカー問わず大体100円、なぜかポカリスエットのペットボトルが120円。
私の行くお客の工場においてある自販機のラインナップは可もなく不可もなく。でも特別に欲しいものもなく。こないだ久しぶりにコカ・コーラでも飲もうと思って缶入りのを買ったら、なんかパッケージがシンプルで…なんとか缶って書いてあったから何かのセットになってたやつを安く仕入れているのかもしれない。
でね、このCandy storeの自販機には可愛いイラストが描いてあって。
それがアキカンザウルス、ペットボザウルス、カンカンボーヤ。
カンカンボーヤ!?
と思うけど、本当に男の子が一人紛れている。
アキカンザウルスもペットボザウルスもそれぞれ缶とペットボトルを無理やり恐竜にしたものなんだけど、そこに空き缶を頭にかぶってSlashみたいになった男の子が一人いる。
近頃は秋なので、ザウルス兄弟(かどうかは不明)とカンカンボーヤが仲良く運動会をしているイラストになった。
空き缶を頭から深々とかぶって、同じく空き容器の恐竜と遊ぶ小さな男の子。
率直に言う。
怖くね!?
心のSOSをビンビン感じるのは私だけだろうか。
あの自販機を見るたびに、カンカンボーヤは独りぼっちで、自ら作り出した友達の恐竜と楽しく遊んでいる夢想にふけっているのではないかと。そう思えてならないのだ。
いにしえのゴジラ映画にゴジラ・ミニラ・ガバラ_オール怪獣大進撃ってのがあって、これは歴代ゴジラシリーズでもおそらくもっとも低予算で作られている。で、その映画に出てくる主人公は怪獣ではなく、団地に住んでるカギっ子でいじめられっ子のイチロウ君。このイチロウ君は自分でガラクタを拾ってきて組み合わせた装置で、怪獣がいっぱい暮らしている怪獣島と通信する。やがて彼は眠ってしまうが、その夢の中で怪獣島のミニラと出会う。しかし、実はその島には自分をいじめている男の子と同じ
ガバラ
と呼ばれるいじめっ子怪獣が居て…。
とまあそういう映画。
この映画も相当アレなのだが、カンカンボーヤからも似たようなにおいを感じてしまう。
だいたいさ、わんぱく盛りの男の子が頭から深々と空き缶をかぶって
僕、カンカンボーヤ!
ってそりゃ心配にもなるだろ。
映画のイチロウ君も家には自分ひとりぼっち、学校じゃガバラにいじめられ、ついには自ら組み立てた…というか積み上げた装置で
怪獣島、応答せよ!
怪獣島、応答せよ!
って。心のSOSが衛星兵器よりキツい電波に乗ってビリビリ出てるっつーの。
あの運動会のイラストもさ、よく見るとトラックも三角の旗もちゃんと描いてあるんだ。
ということはだよ、あれ自分たちで準備して、終わったら自分たちで片づけるわけだろ?
あの子たち、いや、本当は手伝ってくれる恐竜なんていないわけで、あの子。
大丈夫じゃないんだろうな…。
なんでたかだか自販機のイラストでこんな「いらん想像」してるかといえば、私も昔、アタマの中に友達が沢山いたから。
今はその友達も一人減り、二人減り。そして
いらん想像
は
いんらん妄想
に変わり。
イマジナリーフレンドからイマジナリーセックスフレンドになり。
まあ簡単に言えばオナペットですわな。
何年ぶりに言ったかなオナペットなんて言葉。
いやきちんと書いたのは初めてじゃないか。
場末のエロ本以外で使ってるとこ見たことない言葉じゃねえのか。
で、まあ、そういう脳内友達がいつの間にかいなくなって。
気が付くと居なくても平気になってた。
カンカンボーヤも、いつか空き缶を脱いで前を向いて歩きだす日が来るのだろうか。
あの恐竜たちはどこに行ってしまうのか。
たぶん後ろでゆっくり歩きながら見守ってくれていると思うし、居なくなっても大丈夫になったときには、いつの間にか忘れていると思う。
炭酸のあぶくみたいに、消えてなくなっちゃうんだ。
不思議なもので、脳内友達の名前や、どんな話をしてどんな顔してて、どんな声で、どんな性格だったのか。今じゃかけらも思い出せなかったりする。で、なんか似てるな、って人に出会ったときに不意に思い出す。
似てるんじゃない、こういう人をかつて自分で作ってたんだ!
って。
それはそれで怖いな。けど、自分の中にある、いや居る人格がないと作り出せないだろうし。
私の中には、まだ何人のカンカンボーヤが眠っているのだろう。
それは記憶の自動販売機の中で、思い出のコインを投入されるときを待っているのかもしれない。
あれってコカ・コーラとかサントリーとか、メーカーのものもあるけどさ。
なんか妙に安い自販機あるよね。
横っちょにちょっとだけお菓子も売ってるやつ。
まあそれもいろんな名前がついてるんだけど、コッチでよく見かける自販機があってさ。
それが今日のサブタイトルのCandy storeってやつで。
メーカー問わず大体100円、なぜかポカリスエットのペットボトルが120円。
私の行くお客の工場においてある自販機のラインナップは可もなく不可もなく。でも特別に欲しいものもなく。こないだ久しぶりにコカ・コーラでも飲もうと思って缶入りのを買ったら、なんかパッケージがシンプルで…なんとか缶って書いてあったから何かのセットになってたやつを安く仕入れているのかもしれない。
でね、このCandy storeの自販機には可愛いイラストが描いてあって。
それがアキカンザウルス、ペットボザウルス、カンカンボーヤ。
カンカンボーヤ!?
と思うけど、本当に男の子が一人紛れている。
アキカンザウルスもペットボザウルスもそれぞれ缶とペットボトルを無理やり恐竜にしたものなんだけど、そこに空き缶を頭にかぶってSlashみたいになった男の子が一人いる。
近頃は秋なので、ザウルス兄弟(かどうかは不明)とカンカンボーヤが仲良く運動会をしているイラストになった。
空き缶を頭から深々とかぶって、同じく空き容器の恐竜と遊ぶ小さな男の子。
率直に言う。
怖くね!?
心のSOSをビンビン感じるのは私だけだろうか。
あの自販機を見るたびに、カンカンボーヤは独りぼっちで、自ら作り出した友達の恐竜と楽しく遊んでいる夢想にふけっているのではないかと。そう思えてならないのだ。
いにしえのゴジラ映画にゴジラ・ミニラ・ガバラ_オール怪獣大進撃ってのがあって、これは歴代ゴジラシリーズでもおそらくもっとも低予算で作られている。で、その映画に出てくる主人公は怪獣ではなく、団地に住んでるカギっ子でいじめられっ子のイチロウ君。このイチロウ君は自分でガラクタを拾ってきて組み合わせた装置で、怪獣がいっぱい暮らしている怪獣島と通信する。やがて彼は眠ってしまうが、その夢の中で怪獣島のミニラと出会う。しかし、実はその島には自分をいじめている男の子と同じ
ガバラ
と呼ばれるいじめっ子怪獣が居て…。
とまあそういう映画。
この映画も相当アレなのだが、カンカンボーヤからも似たようなにおいを感じてしまう。
だいたいさ、わんぱく盛りの男の子が頭から深々と空き缶をかぶって
僕、カンカンボーヤ!
ってそりゃ心配にもなるだろ。
映画のイチロウ君も家には自分ひとりぼっち、学校じゃガバラにいじめられ、ついには自ら組み立てた…というか積み上げた装置で
怪獣島、応答せよ!
怪獣島、応答せよ!
って。心のSOSが衛星兵器よりキツい電波に乗ってビリビリ出てるっつーの。
あの運動会のイラストもさ、よく見るとトラックも三角の旗もちゃんと描いてあるんだ。
ということはだよ、あれ自分たちで準備して、終わったら自分たちで片づけるわけだろ?
あの子たち、いや、本当は手伝ってくれる恐竜なんていないわけで、あの子。
大丈夫じゃないんだろうな…。
なんでたかだか自販機のイラストでこんな「いらん想像」してるかといえば、私も昔、アタマの中に友達が沢山いたから。
今はその友達も一人減り、二人減り。そして
いらん想像
は
いんらん妄想
に変わり。
イマジナリーフレンドからイマジナリーセックスフレンドになり。
まあ簡単に言えばオナペットですわな。
何年ぶりに言ったかなオナペットなんて言葉。
いやきちんと書いたのは初めてじゃないか。
場末のエロ本以外で使ってるとこ見たことない言葉じゃねえのか。
で、まあ、そういう脳内友達がいつの間にかいなくなって。
気が付くと居なくても平気になってた。
カンカンボーヤも、いつか空き缶を脱いで前を向いて歩きだす日が来るのだろうか。
あの恐竜たちはどこに行ってしまうのか。
たぶん後ろでゆっくり歩きながら見守ってくれていると思うし、居なくなっても大丈夫になったときには、いつの間にか忘れていると思う。
炭酸のあぶくみたいに、消えてなくなっちゃうんだ。
不思議なもので、脳内友達の名前や、どんな話をしてどんな顔してて、どんな声で、どんな性格だったのか。今じゃかけらも思い出せなかったりする。で、なんか似てるな、って人に出会ったときに不意に思い出す。
似てるんじゃない、こういう人をかつて自分で作ってたんだ!
って。
それはそれで怖いな。けど、自分の中にある、いや居る人格がないと作り出せないだろうし。
私の中には、まだ何人のカンカンボーヤが眠っているのだろう。
それは記憶の自動販売機の中で、思い出のコインを投入されるときを待っているのかもしれない。
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