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第287回。ケニー・オメガVSクリス・ジェリコのはなし

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日本最大手にして現在日本最古・さらには世界有数のプロレス団体でもある
新日本プロレス。
日本でプロレスラーをやるからには一度は上がりたいと思うが、その門は狭くて険しい。

私ではそもそも身長が足りず、入門テストすら受けられない。
他で実績があったりしないと足を踏み入れることすら出来ない。

そんな新日本プロレスの年明け一発目、恒例の
1.4東京ドーム大会に向けてひとつの対戦カードが発表された。
ケニー・オメガVSクリス・ジェリコ。
好試合間違いなしの鉄板カード、しかも超豪華ときたもんだ。

クリス・ジェリコは今やアメリカンプロレスの重鎮。
昔で言えばリック・フレアーのようなプロレスの達人の位置に居る選手だ。
そしてケニー・オメガは今が爛熟期だろう。

最高のタイミングかもしれない。
もしかすればこの先もあるかも知れない。
期待が膨らむカードだ。
プロレスを初めて見る人にも、ずっと見てきた人にも、誰が見てもきっと面白い。
凄い試合、いい試合、いいプロレス。
何が見れるかわからないけど、絶対何かある!
ドキドキワクワクする、これぞプロレス!って感じ。

で。
もうこの20年ぐらいプロレスを見続けてきたキッドさんは思うの。
この試合のルーツは日本の90年代インディープロレスにある。
そしてこの試合のムードは80年代アメリカンプロレスのもの。
日米のプロレスが結合し、一つの大きな、成熟しきった果実になるかも知れない。
20世紀のプロレスに21世紀のプロレスが混じり合って、本当に歴史的な一戦になるかも知れない。

私はそう思っている。

クリス・ジェリコが日本で試合をしていたのは、かつて90年代に雨後の筍のごとく現れたインディー団体だった。彼は各地でキャリアを積み米国最大の団体まで上り詰めた。つまりそれは世界最大の団体に所属したことにもなった。

ケニー・オメガを発掘した団体は、その雨後の筍の生えている竹藪からも離れた、プロレスという表街道からすれば路地裏のようなところから始まった団体だった。
やがて90年代の終わりから日本で保守本流を突き進む新日本プロレスも、その対抗団体と長らく目されてきた全日本プロレスも危機に陥って分裂を繰り返した。

同じころ、我が国のインディープロレスは
どインディ-
ローカルインディー
とさらに裾野を広げていった。

日本で唯一となったメジャーなプロレス団体である新日本プロレスは内部闘争と分裂の末に、本当に死ぬほどごたごたして、もう長年のファンも愛想尽かす寸前だったところから立ち直った。奇跡的に。
もうこの辺の、2000年代暗黒時代は完全に端折るけども。

新日本プロレスは世界に名だたる、日本最大にして最高のプロレス団体に返り咲いた。
そしてそこには新しい血が脈々と流れ込んだ。
その一人が、ケニー・オメガだった。
ユニークなキャラクターや破天荒な戦いぶりだけではなく、鍛え抜かれた肉体、激しい試合、ファンの支持は着々と広がった。そして今や新日本プロレスでもお馴染みの名物レスラーの仲間入りを果たした。


クリス・ジェリコは米国WWEでさらに磨き抜かれ、
頭から真っ逆さまに落とさなくてもいい
じっくりとレスリングを見せられる
どんな相手にも対応できるキャリアと頭脳を持つレスラーとして
かつての名人、達人の域に達しようとしている。

私はこの試合が点で終わってしまっては勿体ないので、どうにか細い線を、糸でもいいから残したいと思う。残ってほしい!
それは四天王プロレス、垂直落下2.99プロレスの衰退に繋がるからだ。
最早、あれをやらないとわからないような試合は、そもそもする意味のないものになってしまった。
三沢さんの事故から何年になる?
小橋さんが引退して何年になる?
もう、頭から落とし続けなくてもいいんだ、もっと面白くて、もっとスリリングで、もっと熱中できるプロレスが出来る人がアメリカからやってくる。久しぶりの日本に!

クリス・ジェリコは元々日本のインディー団体でも長いこと試合をしてたので、オールドファンにはそのあたりの親近感も懐かしい。
東京ドームを埋め尽くした観客の中に、かつての彼を知っている人は少数かも知れない。
しかし、溢れんばかりの歓声を縫うように、ジェリコの耳に届いた言葉を、彼は決して忘れていないだろう。

「ライオン道!」

と。

フレアーの域に達するか、ジェリコ!
時代をひとつ越えられるか、オメガ!

ああ、プロレスって素晴らしいな!
プロレスっておもしれえ!!

コレがあるから、プロレスってずっと見ていたいんだ。
プロレスが好きでよかった!
この試合の後でみんなが辿り着くであろう結論は、殆どコレだと思う。
ケニー・オメガVSクリス・ジェリコに大いに期待している。
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