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11月10日松山座 女子祭典観戦記第三幕
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11月10日松山座 女子祭典観戦記第三幕
第三幕「恐怖笑狭間」(きょうふとわらいのはざま)
シングルマッチ20分1本勝負
めぃりぃ選手VSアイガー選手
これまで数々の試練を乗り越えてきためぃりぃ選手。
アジャ・コング様に尾崎魔弓さん、松山みゆき選手も、ドレイク森松選手とも戦った…時に可愛く、時に悲惨に、己の現役冥土としての全てをぶつけていっためぃりぃ選手。
最近は現役看護師、時々自衛官!と名乗る通りメイドさんであるのはリングの上が主なようで。それでも私が5年前の田上プロレス祭で初観戦して以来その可愛さがちっとも変わらないのは凄いと思う。アジャ様や尾崎さんにボッコボコにされたこともあるのに…そんな無類のタフネスを誇るめぃりぃ選手に、またしても試練が。
それが日本有数の怪奇レスラー、アイガー選手。
その手があったか!!
と思わず膝を打つラインナップ。
まだまだ掘り起こしていない場所は幾らでもある、掘れば湧き出るプロレスの泉。
旗揚げ以来異彩しか放たず、異才しか属さない松山座に於いてもこれほどわかりやすく、そしてこれほど予測不可能な試合は久しぶりではないだろうか。
笑うのか、ビビるのか、それとも惨劇を目の当たりにするのか。
注目の第三幕はめぃりぃ選手の入場で始まった。いつもながら可愛らしく登場しリングイン。するや否や第三幕より代わってレフェリーを務めるフルスイング岩田さんにしがみつきそのままニュートラルコーナーで震え上がる二人。
そしてアイガー選手のテーマが鳴る。
なかなか出てこない。でも、アイガー選手の持っている鎖が
ジャリンッ
ジャリンッ
と鳴る音だけは響いて来る。私はちょうど入場口の反対側に座っていたので中々その姿を確認できなかったのだけれど、お客さんのざわめきが一層高くなったのを感じて
来た!
とわかった。
ゆっくりとリングイン。真っ黒な衣装に真っ白な顔。どこを見て、何を考えて、次に何をしでかすか全くわからない。選手にも、レフェリーにも、お客さんにも、そしておそらくアイガー選手本人にもわからないのだろう。
じっと鎖を手にして立っているアイガー選手。
被っていたフードを脱いだだけで、虚空を見つめて立ち尽くすアイガー選手。
フルスイング岩田さんがそのチェーンを取り上げようとするも、ビクともしない。すったもんだしていると突然
ジャラーン!
と大きな音がして鎖がマットに落っこちた。もうこれだけでちょっとした恐慌をきたす会場とリング上。まだ出てきて鎖を落っことしただけなのに、もう自分の世界に引きずり込んでしまう。
気を取り直し立ち向かおうとするめぃりぃ選手だが、握手を求めても反応がない。どうしよう…!と思っていると
スッ
と手を差し出すアイガー選手。握手だ!
けど今度は怖くて握手に行けないめぃりぃ選手。
まだこの試合、鎖を落っことして握手をしようとしているだけである。
握手を…握手を…どーーしても怖くて後ろを向いてしまっためぃりぃ選手に、アイガー選手がキック!背中から蹴飛ばされ吹っ飛ぶめぃりぃ選手。
そのままアイガー選手が一気呵成に攻め立てるか、と思ったがめぃりぃ選手が必死の制止。
得意の萌え萌えじゃんけんで勝負をしよう!と持ち掛けるも、萌え萌え♪とポーズを取ったところでキック!また萌え萌え、からのキック!
懲りずに萌え萌え…ここからの猛攻を掻い潜っためぃりぃ選手、思わず飛び出したアイガー選手の手のひらにチョキになった手をかざし
勝った!
と一方的にじゃんけんでの勝利を宣言。
が、当然蹂躙されアイガー選手は場外へ。観客席にも雪崩込みそのまま練り歩く。
松山みゆき選手みたく当たるを幸いとばかりに蹴散らしたり叫びながら駆けずり回ったりはしないまでも子供さんはキッチリ泣かせていた。松山座はお子様ファンを作りたいのか、子供に一生残るであろうトラウマを遺したいのかどっちなのか。もっとやれ。
将来、絶対にそういう子供はプロレスに帰ってくる。
プロレス会場での恐怖体験とは呪縛であり福音なのだ。
何故なら私も、かつてオリジナルのレザー・フェイスに電ノコをブンブンいわせながら会場中を追いかけ回されたことがあるからだ。入場してきたレザーフェイスがチェーンソーを振り上げて雄たけびを上げた。その瞬間の姿をカメラでとらえた!パシャっとフラッシュが光った。
どうもそれが気に食わなかったらしい。
結果このプロレスマニアの太ったクソガキ(私だ)は散々ぱら追いかけ回され、椅子があろうが荷物があろうがお構いなしに突進突進また突進。遂に蹴散らされた椅子の山まで追い詰められたときは本当にもうダメかと思った。
が、今日まで生きているしプロレスが大好きだ。
ほらな、だからあの子も大丈夫。たぶん。
そんな思い出に浸っていると、リング上ではめぃりぃ選手がマットに「のの字」を書いていぢけている。可愛い。が、じゃあちゃんと自分のために戻って来たら来たで、あのアイガー選手なんだけどな…相手がどんな奴でも自分のために、って思うと有難くなってしまうタイプなのか…?
そんなめぃりぃ選手の背後に忍び寄る影。そうアイガー選手。
両手を肩から突き出し相手の背後に憑りつく得意の怪奇現象(ムーヴ)だ。
後ろを振り返っても誰もいない、足の間から覗いてもいない。アイガー選手が自分の衣装をスーっと引き上げる芸の細かさ。
そして白い両手に気が付くと…!
ギャーーーー!
丸め込み、ミサイルキックと攻めるめぃりぃ選手。
がアイガー選手も反撃。それをキックアウトするも…アイガー選手が起き上がってこない。これは!?
現役看護師、時々自衛官めぃりぃ選手の出番だ!
気道確保!
脈!
脈…
脈!?
アイガー選手には脈拍が無かった!ある意味そりゃそうだと納得してしまうが事は急を要する。
そこのあなた!とお手本通りの指示を出すめぃりぃ選手。
そこのあなた!と数人目に指をさしたのはアイガー選手ご本人。
そのままとっ捕まって豪快なチョークスラムからの「呪縛(そういう意味じゃなくれっきとした複雑なサブミッションだ)」でアイガー選手の勝利に終わった。
とんでもないマッチアップだったが、終わってみればアタマからシッポまで見事な怪奇絵巻になっていた。それはすべて座長の予見通りだったのか、それとも…?
第三幕「恐怖笑狭間」(きょうふとわらいのはざま)
シングルマッチ20分1本勝負
めぃりぃ選手VSアイガー選手
これまで数々の試練を乗り越えてきためぃりぃ選手。
アジャ・コング様に尾崎魔弓さん、松山みゆき選手も、ドレイク森松選手とも戦った…時に可愛く、時に悲惨に、己の現役冥土としての全てをぶつけていっためぃりぃ選手。
最近は現役看護師、時々自衛官!と名乗る通りメイドさんであるのはリングの上が主なようで。それでも私が5年前の田上プロレス祭で初観戦して以来その可愛さがちっとも変わらないのは凄いと思う。アジャ様や尾崎さんにボッコボコにされたこともあるのに…そんな無類のタフネスを誇るめぃりぃ選手に、またしても試練が。
それが日本有数の怪奇レスラー、アイガー選手。
その手があったか!!
と思わず膝を打つラインナップ。
まだまだ掘り起こしていない場所は幾らでもある、掘れば湧き出るプロレスの泉。
旗揚げ以来異彩しか放たず、異才しか属さない松山座に於いてもこれほどわかりやすく、そしてこれほど予測不可能な試合は久しぶりではないだろうか。
笑うのか、ビビるのか、それとも惨劇を目の当たりにするのか。
注目の第三幕はめぃりぃ選手の入場で始まった。いつもながら可愛らしく登場しリングイン。するや否や第三幕より代わってレフェリーを務めるフルスイング岩田さんにしがみつきそのままニュートラルコーナーで震え上がる二人。
そしてアイガー選手のテーマが鳴る。
なかなか出てこない。でも、アイガー選手の持っている鎖が
ジャリンッ
ジャリンッ
と鳴る音だけは響いて来る。私はちょうど入場口の反対側に座っていたので中々その姿を確認できなかったのだけれど、お客さんのざわめきが一層高くなったのを感じて
来た!
とわかった。
ゆっくりとリングイン。真っ黒な衣装に真っ白な顔。どこを見て、何を考えて、次に何をしでかすか全くわからない。選手にも、レフェリーにも、お客さんにも、そしておそらくアイガー選手本人にもわからないのだろう。
じっと鎖を手にして立っているアイガー選手。
被っていたフードを脱いだだけで、虚空を見つめて立ち尽くすアイガー選手。
フルスイング岩田さんがそのチェーンを取り上げようとするも、ビクともしない。すったもんだしていると突然
ジャラーン!
と大きな音がして鎖がマットに落っこちた。もうこれだけでちょっとした恐慌をきたす会場とリング上。まだ出てきて鎖を落っことしただけなのに、もう自分の世界に引きずり込んでしまう。
気を取り直し立ち向かおうとするめぃりぃ選手だが、握手を求めても反応がない。どうしよう…!と思っていると
スッ
と手を差し出すアイガー選手。握手だ!
けど今度は怖くて握手に行けないめぃりぃ選手。
まだこの試合、鎖を落っことして握手をしようとしているだけである。
握手を…握手を…どーーしても怖くて後ろを向いてしまっためぃりぃ選手に、アイガー選手がキック!背中から蹴飛ばされ吹っ飛ぶめぃりぃ選手。
そのままアイガー選手が一気呵成に攻め立てるか、と思ったがめぃりぃ選手が必死の制止。
得意の萌え萌えじゃんけんで勝負をしよう!と持ち掛けるも、萌え萌え♪とポーズを取ったところでキック!また萌え萌え、からのキック!
懲りずに萌え萌え…ここからの猛攻を掻い潜っためぃりぃ選手、思わず飛び出したアイガー選手の手のひらにチョキになった手をかざし
勝った!
と一方的にじゃんけんでの勝利を宣言。
が、当然蹂躙されアイガー選手は場外へ。観客席にも雪崩込みそのまま練り歩く。
松山みゆき選手みたく当たるを幸いとばかりに蹴散らしたり叫びながら駆けずり回ったりはしないまでも子供さんはキッチリ泣かせていた。松山座はお子様ファンを作りたいのか、子供に一生残るであろうトラウマを遺したいのかどっちなのか。もっとやれ。
将来、絶対にそういう子供はプロレスに帰ってくる。
プロレス会場での恐怖体験とは呪縛であり福音なのだ。
何故なら私も、かつてオリジナルのレザー・フェイスに電ノコをブンブンいわせながら会場中を追いかけ回されたことがあるからだ。入場してきたレザーフェイスがチェーンソーを振り上げて雄たけびを上げた。その瞬間の姿をカメラでとらえた!パシャっとフラッシュが光った。
どうもそれが気に食わなかったらしい。
結果このプロレスマニアの太ったクソガキ(私だ)は散々ぱら追いかけ回され、椅子があろうが荷物があろうがお構いなしに突進突進また突進。遂に蹴散らされた椅子の山まで追い詰められたときは本当にもうダメかと思った。
が、今日まで生きているしプロレスが大好きだ。
ほらな、だからあの子も大丈夫。たぶん。
そんな思い出に浸っていると、リング上ではめぃりぃ選手がマットに「のの字」を書いていぢけている。可愛い。が、じゃあちゃんと自分のために戻って来たら来たで、あのアイガー選手なんだけどな…相手がどんな奴でも自分のために、って思うと有難くなってしまうタイプなのか…?
そんなめぃりぃ選手の背後に忍び寄る影。そうアイガー選手。
両手を肩から突き出し相手の背後に憑りつく得意の怪奇現象(ムーヴ)だ。
後ろを振り返っても誰もいない、足の間から覗いてもいない。アイガー選手が自分の衣装をスーっと引き上げる芸の細かさ。
そして白い両手に気が付くと…!
ギャーーーー!
丸め込み、ミサイルキックと攻めるめぃりぃ選手。
がアイガー選手も反撃。それをキックアウトするも…アイガー選手が起き上がってこない。これは!?
現役看護師、時々自衛官めぃりぃ選手の出番だ!
気道確保!
脈!
脈…
脈!?
アイガー選手には脈拍が無かった!ある意味そりゃそうだと納得してしまうが事は急を要する。
そこのあなた!とお手本通りの指示を出すめぃりぃ選手。
そこのあなた!と数人目に指をさしたのはアイガー選手ご本人。
そのままとっ捕まって豪快なチョークスラムからの「呪縛(そういう意味じゃなくれっきとした複雑なサブミッションだ)」でアイガー選手の勝利に終わった。
とんでもないマッチアップだったが、終わってみればアタマからシッポまで見事な怪奇絵巻になっていた。それはすべて座長の予見通りだったのか、それとも…?
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