上 下
280 / 1,299

第273回。カラオケボックス

しおりを挟む
私、この話したっけ?と思ってずっと書いてなかったんだけども。
したかな?してたらゴメン。たぶん全く同じには書かないから…。

で続けるけどさ、カラオケボックス。
この頃では複合施設のひとつにカラオケがあったり、お店自体もちゃんとした建物にちゃんとした部屋があるじゃん。私の友人に、自分の家がビルでカラオケ屋さんをやってた人がいるんだけど、昔は個人経営のカラオケ屋さんもあったんだよね。その家はエレベーターがあって、部屋もいわゆるカラオケボックスのそれで、ギター鳴らそうが大声出そうがほとんど聞こえなかったんでよく遊びに行っていた。というか後年その友人とはバンドも組むのでよく練習もした。

そういう風にカラオケ屋さんってどんどんちゃんとしていったじゃない。
でもその前の段階のお店ってのが、私が高校生ぐらいまではちょこちょこ残ってたんだ。
流石にこの田舎でもすっかり淘汰されたけども…。

それも二種類あって、一つは、まだちゃんとしてるんだ。
受付のコンテナと、カラオケボックスが幾つかあるお店。
もしくはコテージみたいになってて駐車場入って、まず受付に行って、渡り廊下で繋がってる部屋に入る。それが建物の中じゃなくて、外で。私の家の近所にあったのがそんなお店だった。
お店を増築するときはコンテナ型のカラオケボックスが新たに設置されてた気がする。

で、もうひと種類が凄かった。
これが当たり前の時代があったのかも知れないけど、トラックとか貨物のコンテナを空き地に並べて、中をカラオケボックスに改装してあるの。で受付もそういうコンテナで、渡り廊下なんてものはない。
完全屋外。コンテナ村って感じのところに行って、受付コンテナも書く方は外。庇ぐらいはあったけど雨の日とか完全にケツが濡れるぐらいだったもん。
そこでバインダーに挟んだ受付用紙に鉛筆で記入して、じゃあ何号室で、なんて言われると、そのコンテナを探して入る。外で、確か舗装もして無かった気がする。まあアスファルトなんか敷かれた日にゃ反射熱でえげつないことになりそうだけども。
途中でスナックとかアイスとかジュースの自販機もあった。フードメニューもあったかもしれないけど、頼んだことはなかった。
私が高校生のころ、近隣でも最後の最後ギリギリ現役って感じでそんな店があったんだ。

コンテナの中も凄くて、壁一面落書だらけ。
その近在の馬鹿なガキ様たちの熱いメッセージが迸っている。
学校へ行こう!からV6の皆さんを
力の限りゴーゴゴー!からネプチューンの3人を抜いたような青春を謳歌している連中が書く事と言ったら、まあセックスか喧嘩のことばかり。
でその落書が地層の様に折り重なって、もはやわけがわからなくなった部屋の中にふるーいカラオケが一台デンと置かれている。テレビ画面もブラウン管の垢抜けないやつ。っても当時、まだ薄型テレビなんてのもあんまなくて、普通に画面はフラットだけどブラウン管のテレビとかあったもんなあ。
で流れる映像も古いんだまたこれが。

一緒に行った子がTMRとか好きで歌ってたんだけど、雪山ので凍えそうだけど温めあおう、って謳ってるのに出てるのが80年代とおぼしき江の島の夏の海で、まあ画質も悪いし、しまいにはあの垢抜けないテロップで
江の島
とか
ワサビ沢を映しつつ
静岡県
とか出る始末。

ソファもテーブルもガタガタしてたし、それは一緒に行った子に連れてってもらったお店だったんだけど、あれ今考えたらカラオケとして使ってた奴居るのかな…。まあカメラぐらいあっただろうしそこまで荒れてる地域でもなかったけどなー。
あと値段も異様に安かった。
本当に空き地にコンテナ並べただけだったから、その辺も安く上がってたんだろうなあ。
いつの間にかなくなってたな。撤去も簡単だったんじゃないかな…。店員のやる気のなさといい、当時その周辺はガンガン開発されて古いボウリング場とそのカラオケ屋さんだけが昭和のエアポケットみたいな店だった。

そんなカラオケボックスの思い出話。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

50歳の独り言

たくやす
エッセイ・ノンフィクション
自己啓発とか自分への言い聞かせ自分の感想思った事を書いてる。 専門家や医学的な事でなく経験と思った事を書いてみる。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

6年生になっても

ryo
大衆娯楽
おもらしが治らない女の子が集団生活に苦戦するお話です。

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

処理中です...