不定期エッセイ キッドさんといっしょ。

ダイナマイト・キッド

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第270回。ブルマニア

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昔、そんな本が古本屋に置いてあった。
目立たない裏通りにたまにあった小さな本屋さんで、結構な面積をエロ本が占めていた。
今、エロ本メインで置いてそうな書店ったらDVDとかTENGAも置いてあって幟が立ってる国道沿いのでっかいお店じゃん。
ああいうのじゃなくて、そういう国道から少し裏に入ったところにあった
冬日書房
とか
文芸堂書店
とか
なんかそんな感じのお店。爺さんが一人でやっててさ。

何も知らないで入って、表にはマンガとかもそれなりに置いてあるんで立ち読みしてたんだ。
したら奥の方が、もうなんかちょっと空気の色がピンクになるぐらいどぎついオーラを発散してるんだよ。んでチラっと見てみると、あるわあるわ宝の山。
この世はデッカイ宝島、とは言ったもので、まさにそこはピンク色のエルドラド。
人妻、OL、女子大生、あと当時は規制前だったのでそういうブルマニアとかも。

幼稚園の頃から同級生のアミちゃんより担任のナカムラマサヨ先生の方が好きだった(いま写真で見てもかなりの美人で、怒ると怖いけど80年代後半っぽいホントキレイな人だった)リアル・クレヨンしんちゃんばりのマセガキだったキッドさん。
そりゃそっちが気になるけど、そこには楽園の番人たる爺さんが石油ストーブにあたって店番をしていて、覗こうとすると
ダメ
っていう。そりゃそうだ。

で、仕方がないんでチラチラ盗み見るしかないんだけど、裏通りにあるうえにうるさいBGMもない。静かな店内でじーっと石油ストーブの上でヤカンの水が熱される音だけがしている時間がずいぶん流れて。で、まあそんなに欲しくもないマンガの半端なところを買って帰るんだけどね。

伊集院光さんがラジオで
「兄貴のエロ本がヒノキの箪笥に入ってたのを毎回盗み出してたら、ヒノキの匂いを嗅ぐだけで甘く勃起する」
っていう話をしてて、わかるなあって。
私いま、石油ストーブの匂い、グッと来るもん。なんなら軽くあのときのピンク色のオーラを自前で発注して甘勃起するもん。

みんなもあるよな、思い出のフレーバー…ってそんないいもんじゃないか。

街角に置いてあったエロ本の自販機も、なんかポップなイラストだったり
こっそり堂
とか付けてたけどかえって悪目立ちして撤去させられたりしてんのかな。

エロ本メインの古本屋さんは、なんというか時代の変わり目でもあるし立ち行かなくなっちゃうんだろうなあ。コンビニでも結構エグそうなの置いてるとこあるけど、やっぱり風情が違うわな。
キッドさんがそういう本を堂々と買えるようになった頃には既にネットもあって、今ほどじゃないにしてもなんでもあった。でもやっぱたまにエロ本、ってもんが欲しくなってたし実際何度も買ってた。
まだVHSもギリギリ現役で、段ボールに幾つか入れて積み上げてた・・・のを当時付き合ってた人に開けて見られて
「私というものがありながら!」
というセリフを生きてる人間からリアルに聞かされたな。後にも先にもあれっきりだ。
ミキちゃん元気かな。

ねえ今、ミキちゃんて入力しようとしたら予測変換に
みきちゃんラーメン
って出たけどなにそれ???

ケンちゃんラーメンの親戚?

ケンちゃんラーメンてオマケに迷路のシール付いてたよな。
クジ付きの。
あれってなんかもらえたんだっけ。もう忘れちゃったな。

でね、そういう本屋さんて結構ちゃんとマンガ類も置いてあるから、まとめて安く売ってたりするわけ。メインじゃないしどうでもいいってことだったのかな。
それで私、自転車で新ジャングルの王者ターちゃんを全巻買って帰ったもん。重かったなあ…。
でまた別の古本屋にまとめて売るんだけどね。今度は帰りに軽くなるんでいいんだ。
でマンガやらゲームやら散々売ったお金で新しいエロ本を買う、と。

中学生ぐらいでさ、意を決してレジに持ってったらアッサリ買えて
アレ!?やった!!
と思って家で読んだらなんてことはない、普通の水着写真集だったりした事もあったな。
全然知らないアイドルの。
でも結構可愛くて、密かに暫く大事に持ってた。ついにテレビで見る事は無かったけどね。

そうそう、途中でゲームも扱い出したりしたんだよ。
それも普通のファミコンとかスーファミ、64、セガサターンにプレステ…ぐらいまでだったかな店があったの。
でもってセガサターンを扱ってるってことはですよ、そうギャルゲー。
当時からパソコンのソフトではエロいのもかなりあった。
それ専門の本も出てたしな。
18禁のゲームって今考えたら何だったんだろうな。今でも出てるんだろうけど、あれだけはやろうと思ってないなあ。一度やってみようかな。

エロFLASHはずいぶん見たけど、あれは見に行った先で如何に騙しリンクを踏まないかとか、そっちの勉強になったわなー。

エロ本の良いところは、アレを作ってる側のことがちゃんと見えることと、見せないようにしてくれてることの両方あったんだよな。
読者投稿ページとかよくあってさ、常連の投稿者とかいるわけだ。
何故かプロレスネタが多かったな。
ところが、もう何ていう本だったかも忘れたけど、あるエロ本の投稿ページに、各コーナー全部合わせて2通しかハガキが来なかったらしく
「オイオイオイずいぶん冷てえじゃねえかよ!」
っていう編集者の愚痴で見事に見開きが埋まってたことがあったな。
コレが見えてて面白い方。

で見えないようにするほうは、もう普通にそういう投稿ページとかなくって、でもイイ写真がちゃんと載ってて楽しめるやつ。
たまに大ハズレのがあってさ、なんかもうどっかから拾ってきたような写真だけ適当に印刷して作って、それを2千円も出して買っちゃった日にはかなわんかったけど。
AV撮影のついでに撮ったみたいな、イマドキギャルのハメ撮り!みたいなのは撮る側とか作る側が見え隠れしてて微妙だったなー…男の方がコ汚いとなんか嫌じゃない?
イケメンでもちょっと感情移入しにくいけども。

でもたまに本当に素人が応募してきて、それもすげえブスで性格悪くて、今日はランチとカラオケだけね。と言い放って本当にそれだけで帰りやがった!って断罪するコーナーが急きょ設けられてたりして(流石に目線は入ってたし名前もイニシャルだったけど)それはそれで大変なんだな。と思ったりして。

本屋さんの話するつもりだったのに内容の話になったら2500文字も書いてたよ。
どういうこった。
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