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第267回。サブタイトルがサブマネのはなし
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サブマネ。
サブミッションをマネキン人形にかけて腕をへし折って百貨店を出禁になった人、
でもなく
サブちゃんのモノマネをする人、
でもない。
サブマネージャー。副店長。
私が高校1年の春から2年の冬までバイトをしていたガソリンスタンドの副店長。
あの当時はサブマネージャー、とちゃんと呼んでたけど、なんか最近は専ら
サブマネ
と呼んでしまっている。良いんだろうか、と思うけど本人が気にして無さそうなのでしれっとそうしている。
バイトしてた時期ってのがもう15年ぐらい前で、その当時は結構おっかない人だった。
怒ると怖いうえにわりと短気だけど、でも根が優しくて何かあると頼りになる。
そんなオッサン。
旅行が好きであちこち出掛けてて、私が何処かに行くといえば、やれ美味しい店がある、名物のコレは大した事ねえぞ、と有難いアドバイスをくれる。
今日(2017年10月26日)、いつものように給油に行って、いつものようにサブマネに給油とボンネットのチェックをして頂きながら他の社員さんとアレコレ雑談をしていた。
この他の社員さんという人の名前を未だに知らないが、私がこの店とどういう関係なのかは知っているようで、向こうは私を把握してるけど私はイマイチつかめてない状態が少し前までちょっと違和感だった。
全然悪い人じゃないし、結構な激務で入れ替わりの激しいあのお店で長続きしてるくらいなので経営者たる白陽(ハクヨウ)ファミリーとの相性もいいのだろう。
でもなんか、最初から距離が近かったので、まあそういう人なのだろうけど面食らったという話。
というか意外と私はそういうところ気にするんだなってその時に思った。
自分は自分で距離の縮め方がヘタな自覚はあるのだが、自覚の及ばないところで何をしでかしてるか、周囲が如何に優しいかに後で気づく恐怖にずっと苛まれているので、やっぱ深く考えないことにする。
でバイト先。
今日は忙しかったらしく、サブマネいわく
「目が回るよ、今日は参ったなあ。これじゃイジメだ」
「老体に鞭打って…」
とすかさず私。
「そうだよ、もうダメだよホント」
「それ僕がここに居る時から言ってますよね」
「お前ここにおったの何年前だ」
「……15年ぐらい前っすね」
「そんなになるのか!」
「サブマネ年取らないっすね」
「お、そうか?そうかあー」
単純。
そっかもう15年か。
そりゃ社員さんでも結婚したり子供まで生まれたりするわなあ。
このお店に居た頃、15歳で初めて世の中に出て働き出したキッドさん。
このお店もみんなも本当好きだったし今でもそうだけど、なんか別のことしたくなっちゃったし、何となくやめてしまった。本当に、ナンで辞めたのかよくわからない。未だに。
ずっと居ればよかったじゃん、と思うけど…。次に入ったトイザらス、そのあと掛け持ちで入ったココストア(そういうコンビニがあったのだ)も楽しかったけど…やっぱり別に辞める必要はあったのだろうか。しかもバイトの辞め方もよくわからず、すげえ迷惑をかけてしまって。
思い出すと申し訳なさがこみ上げてしまうんでやめとこ。
今31歳でお客としてお店に居るけど、未だに忙しそうにしてるとソワソワしちゃうし、何だったら窓ガラスもタイヤの空気圧も自分でやる。
暇な時はバカな無駄話してたり、思い出話に花が咲いたりもする。
なんだったら今でもたまに、ものスゲエ忙しいさなかにとんでもないミスして猛烈に怒られる夢を見て飛び起きたりする。
良くも悪くも強烈な印象を残し続けてくれているこのお店がずっとある限り、私の記憶は上書きされてゆく。だから消えるものも忘れるものもあるけど、そこに「ある」んだよな。それって凄いことだ。
私が居た頃から数えて15年、たぶん30年はそこにあるお店。
お店、ってすげえな。
変わらないことと変わり映えもしないことって全然違うな!
変わらないなーって言われるってことは、変わってるってことで、しかもそれはその
変わらないなー
って言った人に寄り添うようにカーブしているわけで。それって幸せなことでもあるよな。
もちろん逸れてって欲しい場合もあるだろうし、変わらなきゃいけないのに変わらないのは勿体ないことや、よくない事だったりもするんで一概には言わないけどさ。
カッコ良く言うと、あのお店は私の心のカーブに寄り添う、心の支えでもあり。
カッコ悪く言うと、未だに昔の失敗を引きずる心の傷痕でもあるわけだ。
まだカッコ良い言い方してるか。
トラウマなんて今日び随分安っぽい言葉になっちゃって、安い使い方する奴も居るけどさ。
過去の失敗で生き死にや罪犯罪に問われないほうのは、そんな言い方しなくて良いよな。
お店でしてた話、出来事、色んな楽しかったことを思い出せばいい。
その良い方の思考を覆すほどの物事ってのは確かにトラウマというに値するけど、そんなものはそうそう存在するものじゃない。自分で、そのレベルの出来事だ、と決めつけてしまっている場合も少なくない。というか私がそうだった。
自分で自分のトラウマを作って、それに囚われているっておかしな状況だよな。
私はトラウマよりウマシカでありたい。
ウマシカであることに囚われるぶんには構わない。
賢いフリしているよりずっと楽だから。損もするけど。
お店とサブマネの話、どっか行っちゃったな。
まあいいか。
サブミッションをマネキン人形にかけて腕をへし折って百貨店を出禁になった人、
でもなく
サブちゃんのモノマネをする人、
でもない。
サブマネージャー。副店長。
私が高校1年の春から2年の冬までバイトをしていたガソリンスタンドの副店長。
あの当時はサブマネージャー、とちゃんと呼んでたけど、なんか最近は専ら
サブマネ
と呼んでしまっている。良いんだろうか、と思うけど本人が気にして無さそうなのでしれっとそうしている。
バイトしてた時期ってのがもう15年ぐらい前で、その当時は結構おっかない人だった。
怒ると怖いうえにわりと短気だけど、でも根が優しくて何かあると頼りになる。
そんなオッサン。
旅行が好きであちこち出掛けてて、私が何処かに行くといえば、やれ美味しい店がある、名物のコレは大した事ねえぞ、と有難いアドバイスをくれる。
今日(2017年10月26日)、いつものように給油に行って、いつものようにサブマネに給油とボンネットのチェックをして頂きながら他の社員さんとアレコレ雑談をしていた。
この他の社員さんという人の名前を未だに知らないが、私がこの店とどういう関係なのかは知っているようで、向こうは私を把握してるけど私はイマイチつかめてない状態が少し前までちょっと違和感だった。
全然悪い人じゃないし、結構な激務で入れ替わりの激しいあのお店で長続きしてるくらいなので経営者たる白陽(ハクヨウ)ファミリーとの相性もいいのだろう。
でもなんか、最初から距離が近かったので、まあそういう人なのだろうけど面食らったという話。
というか意外と私はそういうところ気にするんだなってその時に思った。
自分は自分で距離の縮め方がヘタな自覚はあるのだが、自覚の及ばないところで何をしでかしてるか、周囲が如何に優しいかに後で気づく恐怖にずっと苛まれているので、やっぱ深く考えないことにする。
でバイト先。
今日は忙しかったらしく、サブマネいわく
「目が回るよ、今日は参ったなあ。これじゃイジメだ」
「老体に鞭打って…」
とすかさず私。
「そうだよ、もうダメだよホント」
「それ僕がここに居る時から言ってますよね」
「お前ここにおったの何年前だ」
「……15年ぐらい前っすね」
「そんなになるのか!」
「サブマネ年取らないっすね」
「お、そうか?そうかあー」
単純。
そっかもう15年か。
そりゃ社員さんでも結婚したり子供まで生まれたりするわなあ。
このお店に居た頃、15歳で初めて世の中に出て働き出したキッドさん。
このお店もみんなも本当好きだったし今でもそうだけど、なんか別のことしたくなっちゃったし、何となくやめてしまった。本当に、ナンで辞めたのかよくわからない。未だに。
ずっと居ればよかったじゃん、と思うけど…。次に入ったトイザらス、そのあと掛け持ちで入ったココストア(そういうコンビニがあったのだ)も楽しかったけど…やっぱり別に辞める必要はあったのだろうか。しかもバイトの辞め方もよくわからず、すげえ迷惑をかけてしまって。
思い出すと申し訳なさがこみ上げてしまうんでやめとこ。
今31歳でお客としてお店に居るけど、未だに忙しそうにしてるとソワソワしちゃうし、何だったら窓ガラスもタイヤの空気圧も自分でやる。
暇な時はバカな無駄話してたり、思い出話に花が咲いたりもする。
なんだったら今でもたまに、ものスゲエ忙しいさなかにとんでもないミスして猛烈に怒られる夢を見て飛び起きたりする。
良くも悪くも強烈な印象を残し続けてくれているこのお店がずっとある限り、私の記憶は上書きされてゆく。だから消えるものも忘れるものもあるけど、そこに「ある」んだよな。それって凄いことだ。
私が居た頃から数えて15年、たぶん30年はそこにあるお店。
お店、ってすげえな。
変わらないことと変わり映えもしないことって全然違うな!
変わらないなーって言われるってことは、変わってるってことで、しかもそれはその
変わらないなー
って言った人に寄り添うようにカーブしているわけで。それって幸せなことでもあるよな。
もちろん逸れてって欲しい場合もあるだろうし、変わらなきゃいけないのに変わらないのは勿体ないことや、よくない事だったりもするんで一概には言わないけどさ。
カッコ良く言うと、あのお店は私の心のカーブに寄り添う、心の支えでもあり。
カッコ悪く言うと、未だに昔の失敗を引きずる心の傷痕でもあるわけだ。
まだカッコ良い言い方してるか。
トラウマなんて今日び随分安っぽい言葉になっちゃって、安い使い方する奴も居るけどさ。
過去の失敗で生き死にや罪犯罪に問われないほうのは、そんな言い方しなくて良いよな。
お店でしてた話、出来事、色んな楽しかったことを思い出せばいい。
その良い方の思考を覆すほどの物事ってのは確かにトラウマというに値するけど、そんなものはそうそう存在するものじゃない。自分で、そのレベルの出来事だ、と決めつけてしまっている場合も少なくない。というか私がそうだった。
自分で自分のトラウマを作って、それに囚われているっておかしな状況だよな。
私はトラウマよりウマシカでありたい。
ウマシカであることに囚われるぶんには構わない。
賢いフリしているよりずっと楽だから。損もするけど。
お店とサブマネの話、どっか行っちゃったな。
まあいいか。
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