上 下
216 / 1,301

第217回。イレイザーヘッド

しおりを挟む
掲載日2017年 09月09日 01時00分

鉛筆の頭についてる消しゴムのことらしい。
もしくは消しゴムのついてる鉛筆なのかな?

私の頭の中の消しゴムって映画がヒットしたっぽいけど、これは
私の頭が消しゴム
って感じ。

モノクロで、なんだか曖昧で憂鬱な顔をした男の顔。
不思議なモコモコの髪型をしていて、ヨレヨレの背広を着ている。
このモコモコ男ことスペンサーが今作の主人公だ。
いちおう仕事はしていて恋人のメアリーもいる。
古いアパートに住んでいて、毎日退屈そうだ。

メアリーはちょっとテンションがおかしいけど、悪い人ではない。
ある日スペンサーはメアリーから妊娠を告げられる。
彼女の両親のもとへ話をしに行く。
父親は自分の変な自慢話ばかりを嬉々として聞かせてくる。ひどく退屈で、聞くに堪えない話だ。
どこそこを怪我したがいかに自分が平気だったか、とか。そういうの。
母親は娘を引き取り結婚するように迫る。
洗濯場には老婆が一人。

そして2人は結婚、メアリーは赤ん坊を出産をするも…そこには見るも奇妙な赤ん坊が。
昼夜を問わず泣きわめく赤ん坊に精神を病んだ彼女は家を出ていく。
ひとり残されたスペンサーも次第に異常をきたし、ラジエーターの中に現れる頬に瘤のある踊り子の幻覚を見るようになり、天国に憧れを抱く。

そう言う映画の話を今からする。
本当にあるんだからしょーがない。
こないだ見たんだ。私の好きなデヴィッド・リンチが最初に世に出した長編映画作品。
それがこの「イレイザーヘッド」だ。

モノクロ画面のせいでなおさらシュールで不気味さの増した、まるで美しい悪夢のようなシーンが続く。
本当に寝ていて夢を見ているような、辻褄が合うようで合わない、話が続いているようで繋がらない。
ボケーっと見ているか、アレコレ推測しているか、どっちでもいい。
結局映画はそのうち終わる。

見終わった後に画面を消して寝る。
次の日の朝。目が覚めるとイレイザーヘッドって映画を見たような記憶が微かにある。
アレ?夢かな?でも手元には確かにイレイザーヘッドと書かれた映画のDVDが……
ない。

なんてことになったらどうしよう。
そんなことを想像するデヴィッド・リンチごっこにも最適。
というか、こんなん見た後でならどんなツマンナイ映画でもそれなりに
話の筋は通ってる
とか
ハッキリと何がどうなったのか表してある
とか
登場人物のキャラクターがわかりやすい
などの得点が加算されていくこと請け合いである。

こんな映画が好きなんて、オレなんてカッコいいんだろう!
ってやりたい奴にもおすすめだが、わかったふりをしていると絶対に痛い目に遭う。
デヴィッド・リンチの映画は、特にコレなんかはホントにもう見たままでしかない。
それ以上のなぞかけや、その奥の暗喩なんて無いと思ったほうがいい。
コレを見て、面白いと思ったこと、気持ち悪いと思ったこと、ずっと感じ続ける嫌な予感、そしてスペンサーの取った行動。それらをそのまま忘れてしまえばいい。
こんな奇妙な映画を見た。ような気がする。
夢だったのかもしれない。
それでいい。

この映画を人に進めようとは思わないけど、唯一あるとしたら、なんか普通の映画に飽きたからちょっと変わったの無い?って言われたら挙げるかも知れない。

本当に意味不明で、どこまでも不気味で不穏で、所々にグロテスクな描写が入る。モノクロ画面に飛び散る血液は想像以上にどす黒い。赤ん坊の泣き声とその姿に、見ているコッチも気が滅入ること。
どこまでも意味深長で思わせぶりながら、何一つ手がかりも種明かしもない。
見たままを抱えているしかない。

普通の映画に飽き飽きしたら触れてみるといいかも知れない。
私もあと3年ぐらいしてまだ生きてたら、もう一度見てみようと思います。
面白いかどうかはわからないけど、楽しめればいいな。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

カクヨムでアカウント抹消されました。

たかつき
エッセイ・ノンフィクション
カクヨムでアカウント抹消された話。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

男性向け(女声)シチュエーションボイス台本

しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。 関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください ご自由にお使いください。 イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...