135 / 1,301
第144回。#リプで来たものについて語る「観覧車」
しおりを挟む
掲載日2017年 06月28日 01時00分
#リプで来たものについて語る タグにて、雅 翼さんより頂いたお題です!
何もかも白く溶けた濃い霧雨の草原に茫然と立ち尽くす錆び付いた観覧車が、思い出すたびにゆっくり、ゆっくりと回り始めました。もう10年も昔になるのかあ。
元気かな。
観覧車のはなし
20歳の頃、横浜の女の子と付き合ってた。
あの当時は、桜木町の駅前もこんなに綺麗じゃなくて、あっちこっちで絶賛工事中だった。そんな横浜でデートするといえばコスモクロックだった。
みなとみらいのコスモワールドと、ワールドポーターズを一回りして、アイス食べたりするのが楽しかった。
あの観覧車は乗る前に写真を撮ってくれる。
あの子は自分の写真を自分で撮るのが好きだった。私は自分を写真に残すのはあまり好きじゃない。
それでも珍しく二人で並んで撮ってもらった写真。
当時100キロ以上あった私が鼻の下を伸ばしている写真。
よほどあの子が好きだったのだろう。
いつも、私は太っている人がキライだから痩せてくれ、と言われていた。
私はそれでもお構いなしに暴飲暴食を続けていた。
横浜に向かう新幹線でも、当時はこだま号にも車内販売があったし、駅弁もたんまり買い込んで食いまくってた。当然中華街もポーターズのコールドストーンでも食いまくり。
そのせいかどうか、その半年後くらいに話し合いの末別れてしまった。お互いの連絡先やケータイに残った写メの類(いかがわしい写真は…そもそも撮ってなかった。撮っとけばよかったかな?)も全部消した。いい思い出になるくらい、珍しく綺麗に別れることが出来た。
今でも忘れられない。未練ってわけじゃなくて、なんか、自分でも上手く別れられたなって。普段どんだけ修羅場だったり別れぎたないんだって話だけど。
あなたと過ごしたりあなたのことを考えるより、バイト先の人といる方が楽しいの。
そんな言われ方をしたのに、だ。私の方にも思うことはずっとあった。
だからこそ、余計に彼女を愛そうとしていた。
まあ、私が言うのは強がりに聞こえるか。
別れてから数か月後に、コスモクロックで撮ってもらった写真がひょっこり出てきた。現像したほうの写真を忘れてた。私と一緒に写真に納まってる彼女の顔は、まだ楽しそうだった。
あの頃の思い出が、頭の中でゆっくりぐるりぐるりと回っている。
そのコスモクロックのツーショットも、その少し後に捨ててしまった。
彼女は黒髪でメガネの似合う、いい子だったよ。
元気かな、ミキちゃん。
#リプで来たものについて語る タグにて、雅 翼さんより頂いたお題です!
何もかも白く溶けた濃い霧雨の草原に茫然と立ち尽くす錆び付いた観覧車が、思い出すたびにゆっくり、ゆっくりと回り始めました。もう10年も昔になるのかあ。
元気かな。
観覧車のはなし
20歳の頃、横浜の女の子と付き合ってた。
あの当時は、桜木町の駅前もこんなに綺麗じゃなくて、あっちこっちで絶賛工事中だった。そんな横浜でデートするといえばコスモクロックだった。
みなとみらいのコスモワールドと、ワールドポーターズを一回りして、アイス食べたりするのが楽しかった。
あの観覧車は乗る前に写真を撮ってくれる。
あの子は自分の写真を自分で撮るのが好きだった。私は自分を写真に残すのはあまり好きじゃない。
それでも珍しく二人で並んで撮ってもらった写真。
当時100キロ以上あった私が鼻の下を伸ばしている写真。
よほどあの子が好きだったのだろう。
いつも、私は太っている人がキライだから痩せてくれ、と言われていた。
私はそれでもお構いなしに暴飲暴食を続けていた。
横浜に向かう新幹線でも、当時はこだま号にも車内販売があったし、駅弁もたんまり買い込んで食いまくってた。当然中華街もポーターズのコールドストーンでも食いまくり。
そのせいかどうか、その半年後くらいに話し合いの末別れてしまった。お互いの連絡先やケータイに残った写メの類(いかがわしい写真は…そもそも撮ってなかった。撮っとけばよかったかな?)も全部消した。いい思い出になるくらい、珍しく綺麗に別れることが出来た。
今でも忘れられない。未練ってわけじゃなくて、なんか、自分でも上手く別れられたなって。普段どんだけ修羅場だったり別れぎたないんだって話だけど。
あなたと過ごしたりあなたのことを考えるより、バイト先の人といる方が楽しいの。
そんな言われ方をしたのに、だ。私の方にも思うことはずっとあった。
だからこそ、余計に彼女を愛そうとしていた。
まあ、私が言うのは強がりに聞こえるか。
別れてから数か月後に、コスモクロックで撮ってもらった写真がひょっこり出てきた。現像したほうの写真を忘れてた。私と一緒に写真に納まってる彼女の顔は、まだ楽しそうだった。
あの頃の思い出が、頭の中でゆっくりぐるりぐるりと回っている。
そのコスモクロックのツーショットも、その少し後に捨ててしまった。
彼女は黒髪でメガネの似合う、いい子だったよ。
元気かな、ミキちゃん。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説


会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる