不定期エッセイ キッドさんといっしょ。

ダイナマイト・キッド

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第144回。#リプで来たものについて語る「観覧車」

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掲載日2017年 06月28日 01時00分

#リプで来たものについて語る タグにて、雅 翼さんより頂いたお題です!
何もかも白く溶けた濃い霧雨の草原に茫然と立ち尽くす錆び付いた観覧車が、思い出すたびにゆっくり、ゆっくりと回り始めました。もう10年も昔になるのかあ。
元気かな。

観覧車のはなし

20歳の頃、横浜の女の子と付き合ってた。
あの当時は、桜木町の駅前もこんなに綺麗じゃなくて、あっちこっちで絶賛工事中だった。そんな横浜でデートするといえばコスモクロックだった。

みなとみらいのコスモワールドと、ワールドポーターズを一回りして、アイス食べたりするのが楽しかった。

あの観覧車は乗る前に写真を撮ってくれる。
あの子は自分の写真を自分で撮るのが好きだった。私は自分を写真に残すのはあまり好きじゃない。
それでも珍しく二人で並んで撮ってもらった写真。
当時100キロ以上あった私が鼻の下を伸ばしている写真。
よほどあの子が好きだったのだろう。

いつも、私は太っている人がキライだから痩せてくれ、と言われていた。
私はそれでもお構いなしに暴飲暴食を続けていた。
横浜に向かう新幹線でも、当時はこだま号にも車内販売があったし、駅弁もたんまり買い込んで食いまくってた。当然中華街もポーターズのコールドストーンでも食いまくり。

そのせいかどうか、その半年後くらいに話し合いの末別れてしまった。お互いの連絡先やケータイに残った写メの類(いかがわしい写真は…そもそも撮ってなかった。撮っとけばよかったかな?)も全部消した。いい思い出になるくらい、珍しく綺麗に別れることが出来た。
今でも忘れられない。未練ってわけじゃなくて、なんか、自分でも上手く別れられたなって。普段どんだけ修羅場だったり別れぎたないんだって話だけど。
あなたと過ごしたりあなたのことを考えるより、バイト先の人といる方が楽しいの。
そんな言われ方をしたのに、だ。私の方にも思うことはずっとあった。
だからこそ、余計に彼女を愛そうとしていた。
まあ、私が言うのは強がりに聞こえるか。

別れてから数か月後に、コスモクロックで撮ってもらった写真がひょっこり出てきた。現像したほうの写真を忘れてた。私と一緒に写真に納まってる彼女の顔は、まだ楽しそうだった。
あの頃の思い出が、頭の中でゆっくりぐるりぐるりと回っている。

そのコスモクロックのツーショットも、その少し後に捨ててしまった。
彼女は黒髪でメガネの似合う、いい子だったよ。
元気かな、ミキちゃん。
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