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恐るべしレジェンド、グレート小鹿さん の巻。
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グレート小鹿という男が居る
日本最古参、おそらく現役最年長のプロレスラーだ
そう聞くと現役晩年のハーリー・レイスみたいな長老として愛される、なんとなく緩くても許されちゃうおじいちゃんレスラーをイメージするけれどちょっと違う
今も第一線で活躍し、つい最近では新潟県のご当地団体・新潟プロレスでチャンピオンにもなったり様々な団体にも出場を続ける超現役バリバリの選手なのだ
大相撲を経て日本プロレスであの力道山先生の弟子として過ごし、全日本プロレス時代はジャイアント馬場さんの運転手も務めアメリカマットではロサンゼルスで大活躍したほかテキサス、テネシーにフロリダなど南部マットを転戦。ここでも大暴れをした記録が残っている
そして日本においては今や世界的なデスマッチ団体でもあり、関本大介選手や岡林裕二選手ら正統派マッチョマンも活躍する大日本プロレスを設立。旗揚げ当初は自らも出場し様々なアイデアで団体を盛り上げ、現在も各団体で持ち味を存分に発揮して戦っている……
と、書くだけでクラクラっとくる歩くプロレス大百科、生きる伝説とはこのことである
最早グレート小鹿さんと対戦する、タッグを組むなどして触れるだけでも、自分のレスラー生命やファン歴が、あの力道山時代と繋がってしまうと言うからすさまじい。日本のプロレスリングという文化の原点であり、全ての始まりの場所。モニュメント。力道山先生との交流は少なかったというけれど、最早その時代を生きて経験したというだけでも大変貴重であり、またそれを偉そうに語ったり押し付けずに自らの戦いで体現していくと言うところがカッコイイじゃないか
かく言う私は大日本プロレス初期のころからグレート小鹿さんを知り、そこからマニア特有の「遡る趣味」によってかつての歴史を学んでいきました
また当時
馬鹿モン!文句あっか!
という自伝も出版されており、これも大変に面白かったです。今でも大切に保管して、読み返すこともしばしばあります
そう、あれは大日本プロレスは当時旗揚げ十周年の年
我が町豊橋にも大日本プロレスがやってきた
私は当時、伊東竜二選手やアブドーラ小林選手、関本大介選手のファンでもあり当時現役で引っ張りだこだった金村キンタローさんも出場するので勿論観戦に行った
そしたら入場券売り場に座っていたのがグレート小鹿さんだった。当時も社長(現在は会長)であるにもかかわらず巡業に参加するだけじゃなく、モギリまでするとは……万が一と思って持参した馬鹿モン!文句あっか!にサインをお願いすると丁寧に書いてくださった(和哉さんへ、と名前まで入れていただいた)のを今でも覚えている。握手して頂いたときのゴツゴツした手。節くれだった指先。年輪を感じる握力。迫力満点の小鹿さんだが物腰が柔らかくて、決して威嚇するような雰囲気ではなかった。ちなみに天龍源一郎さんはそんな小鹿さんの手を
スルメのよう
と表し、その手でチョップを食らうと非常に痛いと言っていた。なるほど言い得て妙である
あと天龍源一郎さんが他人のチョップをそんな風に褒める?のは、やっぱりよほど効いたのだろうなー
あの頃だって選手としてはかなりのベテランでありながら、単純に試合をするだけでなくコスプレをしたり斬新なデスマッチを行うなどして注目を集めるアイデアマンでもあった。他の団体や選手が自らのスタイル、主義主張に固執するあまり衰退してゆくなか、大日本プロレスが生き残ったのは小鹿さんの柔軟さ・懐の広さも大きかったと思う
アレはやらない、コレは違うと言うだけでは縮小再生産を繰り返すだけでジリ貧だし、実際にそういう選手や団体もあった。それは何も正統派を名乗るプロレスだけではなく、デスマッチだろうが何だろうが同じことで、お客さんの信頼を掴みつつ常に良い意味で裏切り続けなくてはならない
そう言う意味では今現在の小鹿さんは、勝つだけ、試合に出るだけでも記録更新に注目が集まり、歴史に触れる貴重な機会でもあるため最早無敵である
またデジタル時代に対応するのも早かった。プロレス界にIT革命が持ち込まれたのは高木三四郎さんとTAKAみちのくさんがネット上でやり合った時だと思うけど、それと同時期か下手したら二人よりも早いくらいのころからブログを書き、それが人気になってブログ本が出版されるという、プロレス界ではかなり時代の先を行っていた
考えても見ればお役所や会社でも未だにハンコついてファックス、電話連絡を帳面に書くだけ、なんてなところがある一方で戦後まもなくプロレスデビューした小鹿さんが今やフェイスブックをはじめSNSを利用し発信し続けているってのは本当にすごいと思う
ところで天龍源一郎さんのインスタグラム、というのも凄いミスマッチを含むパワーワードだけど、グレート小鹿さんのフェイスブックってのも似た響きがあるよね。長州力さんのツイッターも
試合だけではなく、日常や思い出といったものまで幅広く発信している小鹿さんのSNSだけど、あんまり最近のプロレスについてあーだこーだ言わないのも凄い。だってそれが一番注目されるし、恐らくフェイスブック見てるプロレスが好きな人で小鹿さんの投稿を見る人にはいちばんウケるじゃん。だけどそうじゃなくて、今も第一線で活躍しているからこそ普通に
グレート小鹿の日常
を書き続けることが出来るのだと思うし、ファンもそれを楽しみにしているのではないかな、と自分では思う
自分がかつていた場所が遠い世界になってしまった、現役から遠ざかったからこそ見えてくるものも当然あると思うし、もどかしく、好きであるからこそ文句の一つも出てくるということもあるだろう。それがダメだとか言うなとかは思わない(まあ度を越されるとヤだ)けど、やっぱりそればかりだと不毛というか視野が狭くなるから…
テリー・ファンク、ミル・マスカラス、アブドーラ・ザ・ブッチャーから松山勘十郎座長まで国も時代も世代も超えて戦い続ける男、グレート小鹿さんに
老後
なんて言葉はないんだろうなあ
馬鹿モン!文句あっか!では大日本プロレスのこれからについても書かれていて、そこには現在も活躍する選手たちの若かりし頃の写真や小鹿さんによる当時の批評も載っている
そして驚くべきことにその4人の選手はみなそれぞれの道を行き成功を収めている。が、この本の中で一つだけ当たらなかった未来がある
それは
「もうグレート小鹿なんて出る幕なくてさ、オイラはノンビリと売店でグッズでも売ってるんだろうにィ」
という一文
ノンビリグッズ販売どころか、2019年現在もシングル王者でありバリバリ活躍中ですよ小鹿さん
記録更新は勿論だけど、戦う生き字引として末永くご健康でいてほしいものです
日本最古参、おそらく現役最年長のプロレスラーだ
そう聞くと現役晩年のハーリー・レイスみたいな長老として愛される、なんとなく緩くても許されちゃうおじいちゃんレスラーをイメージするけれどちょっと違う
今も第一線で活躍し、つい最近では新潟県のご当地団体・新潟プロレスでチャンピオンにもなったり様々な団体にも出場を続ける超現役バリバリの選手なのだ
大相撲を経て日本プロレスであの力道山先生の弟子として過ごし、全日本プロレス時代はジャイアント馬場さんの運転手も務めアメリカマットではロサンゼルスで大活躍したほかテキサス、テネシーにフロリダなど南部マットを転戦。ここでも大暴れをした記録が残っている
そして日本においては今や世界的なデスマッチ団体でもあり、関本大介選手や岡林裕二選手ら正統派マッチョマンも活躍する大日本プロレスを設立。旗揚げ当初は自らも出場し様々なアイデアで団体を盛り上げ、現在も各団体で持ち味を存分に発揮して戦っている……
と、書くだけでクラクラっとくる歩くプロレス大百科、生きる伝説とはこのことである
最早グレート小鹿さんと対戦する、タッグを組むなどして触れるだけでも、自分のレスラー生命やファン歴が、あの力道山時代と繋がってしまうと言うからすさまじい。日本のプロレスリングという文化の原点であり、全ての始まりの場所。モニュメント。力道山先生との交流は少なかったというけれど、最早その時代を生きて経験したというだけでも大変貴重であり、またそれを偉そうに語ったり押し付けずに自らの戦いで体現していくと言うところがカッコイイじゃないか
かく言う私は大日本プロレス初期のころからグレート小鹿さんを知り、そこからマニア特有の「遡る趣味」によってかつての歴史を学んでいきました
また当時
馬鹿モン!文句あっか!
という自伝も出版されており、これも大変に面白かったです。今でも大切に保管して、読み返すこともしばしばあります
そう、あれは大日本プロレスは当時旗揚げ十周年の年
我が町豊橋にも大日本プロレスがやってきた
私は当時、伊東竜二選手やアブドーラ小林選手、関本大介選手のファンでもあり当時現役で引っ張りだこだった金村キンタローさんも出場するので勿論観戦に行った
そしたら入場券売り場に座っていたのがグレート小鹿さんだった。当時も社長(現在は会長)であるにもかかわらず巡業に参加するだけじゃなく、モギリまでするとは……万が一と思って持参した馬鹿モン!文句あっか!にサインをお願いすると丁寧に書いてくださった(和哉さんへ、と名前まで入れていただいた)のを今でも覚えている。握手して頂いたときのゴツゴツした手。節くれだった指先。年輪を感じる握力。迫力満点の小鹿さんだが物腰が柔らかくて、決して威嚇するような雰囲気ではなかった。ちなみに天龍源一郎さんはそんな小鹿さんの手を
スルメのよう
と表し、その手でチョップを食らうと非常に痛いと言っていた。なるほど言い得て妙である
あと天龍源一郎さんが他人のチョップをそんな風に褒める?のは、やっぱりよほど効いたのだろうなー
あの頃だって選手としてはかなりのベテランでありながら、単純に試合をするだけでなくコスプレをしたり斬新なデスマッチを行うなどして注目を集めるアイデアマンでもあった。他の団体や選手が自らのスタイル、主義主張に固執するあまり衰退してゆくなか、大日本プロレスが生き残ったのは小鹿さんの柔軟さ・懐の広さも大きかったと思う
アレはやらない、コレは違うと言うだけでは縮小再生産を繰り返すだけでジリ貧だし、実際にそういう選手や団体もあった。それは何も正統派を名乗るプロレスだけではなく、デスマッチだろうが何だろうが同じことで、お客さんの信頼を掴みつつ常に良い意味で裏切り続けなくてはならない
そう言う意味では今現在の小鹿さんは、勝つだけ、試合に出るだけでも記録更新に注目が集まり、歴史に触れる貴重な機会でもあるため最早無敵である
またデジタル時代に対応するのも早かった。プロレス界にIT革命が持ち込まれたのは高木三四郎さんとTAKAみちのくさんがネット上でやり合った時だと思うけど、それと同時期か下手したら二人よりも早いくらいのころからブログを書き、それが人気になってブログ本が出版されるという、プロレス界ではかなり時代の先を行っていた
考えても見ればお役所や会社でも未だにハンコついてファックス、電話連絡を帳面に書くだけ、なんてなところがある一方で戦後まもなくプロレスデビューした小鹿さんが今やフェイスブックをはじめSNSを利用し発信し続けているってのは本当にすごいと思う
ところで天龍源一郎さんのインスタグラム、というのも凄いミスマッチを含むパワーワードだけど、グレート小鹿さんのフェイスブックってのも似た響きがあるよね。長州力さんのツイッターも
試合だけではなく、日常や思い出といったものまで幅広く発信している小鹿さんのSNSだけど、あんまり最近のプロレスについてあーだこーだ言わないのも凄い。だってそれが一番注目されるし、恐らくフェイスブック見てるプロレスが好きな人で小鹿さんの投稿を見る人にはいちばんウケるじゃん。だけどそうじゃなくて、今も第一線で活躍しているからこそ普通に
グレート小鹿の日常
を書き続けることが出来るのだと思うし、ファンもそれを楽しみにしているのではないかな、と自分では思う
自分がかつていた場所が遠い世界になってしまった、現役から遠ざかったからこそ見えてくるものも当然あると思うし、もどかしく、好きであるからこそ文句の一つも出てくるということもあるだろう。それがダメだとか言うなとかは思わない(まあ度を越されるとヤだ)けど、やっぱりそればかりだと不毛というか視野が狭くなるから…
テリー・ファンク、ミル・マスカラス、アブドーラ・ザ・ブッチャーから松山勘十郎座長まで国も時代も世代も超えて戦い続ける男、グレート小鹿さんに
老後
なんて言葉はないんだろうなあ
馬鹿モン!文句あっか!では大日本プロレスのこれからについても書かれていて、そこには現在も活躍する選手たちの若かりし頃の写真や小鹿さんによる当時の批評も載っている
そして驚くべきことにその4人の選手はみなそれぞれの道を行き成功を収めている。が、この本の中で一つだけ当たらなかった未来がある
それは
「もうグレート小鹿なんて出る幕なくてさ、オイラはノンビリと売店でグッズでも売ってるんだろうにィ」
という一文
ノンビリグッズ販売どころか、2019年現在もシングル王者でありバリバリ活躍中ですよ小鹿さん
記録更新は勿論だけど、戦う生き字引として末永くご健康でいてほしいものです
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