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平成プロレスの魅力と楽しみ方
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いやーまさか平成が終わるとはね
今まで懐かしいものといえば昭和だったのが、これからは平成が懐かしくて昭和はもっとその先にあるもの、って感じになるのでしょうね
それは何においてもそうで、プロレスもきっと同じ
昭和のプロレスとは何だったのかと言われれば
ビッグバンから地球が生まれたのが戦後
その後のカンブリア紀とかジュラ紀とかが昭和
人類誕生みたいなのが80年代の、いわゆる昔の人とその頃の話でメシ食ってる人が言う黄金時代になるんじゃないかなと思います。良くも悪くも
平成のプロレスって、そんな昭和の歴史から続いているものと、全くそうじゃない
新・種・誕・生
みたいな団体や選手が入り混じっていて面白い
新日本プロレスからUWFが。そしてそこから各団体が
全日本プロレスからはSWSと、その後の団体が
さらに全日本プロレスで引退した大仁田厚さんのFMWや、同じく全日本プロレスから元国際プロレスの高杉正彦さん、アポロ菅原さん、剛竜馬さんらの各団体が生まれ、UWFからさらにユニバーサルプロレスが出来てそこでデビューしたザ・グレート・サスケさんが独立してみちのくプロレスを旗揚げ
日本プロレス協会が出来たときも、全日本プロレス(ジャイアント馬場さんの団体とは別)と国際プロレス団というのがあったりアジアプロレスというのが出来て。この時は日本プロレス協会が独り勝ちしてその後の覇権と利権を握ったけれど、もうこの時期になると誰にも止められずにどんどん分派独立が進んで行って今日に至った
その背景には昭和の遺恨や利権の奪い合いもあっただろうし、また各団体を見てプロレスラーを志した人も多いと思う
上に挙げたような歴史がさらに進んでそこで生まれた団体、さらにそこでデビューした人が作った団体で、そこでデビューした人、そのまた……と最早書ききれないぐらいの団体と選手がある
平成のプロレスとは何だったのか
私に言わせれば極寒の黄金時代、だ
あらゆるスタイル、それも試合だけではなく団体や選手の在り方に至るまで、もうプロレスリングという文化との接し方の違い、としか言えないぐらいプロレスというものが浸透した時代
平成初期は、黄金の土壌で繁栄したまさに黄金時代のそのまた進化と細分化の進んだ時代
中期は昭和にプロレスを進化させ、世間に浸透させた人たちの醜い有様によってどん底まで信頼や景気が停滞した時代。あの頃に絶滅するか、最も大きな生態系が壊滅的なダメージを負うかしてもおかしくなかった。諸刃の剣で致命傷を負ったにもかかわらず、相変わらずその諸刃の剣とやらを振り回すしかなかった。いや、諸刃の剣ことアントニオ猪木に振り回されるしかなかった。アントニオ猪木にしがみついて甘い汁を吸うしかなかった連中の断末魔の時代だった
そして平成後期から末期は、そんな氷のような時代に芽吹いた新しい萌芽と、これまでとは全く違うアプローチの団体・選手が台頭した時代
新日本プロレスが創始者アントニオ猪木によって混迷を極める中、全日本プロレスも創始者ジャイアント馬場が逝去。その後にプロレスリング・ノアが誕生した。プロレスリング・ノアも一時は東京ドームで大会を行うなどし躍進してゆく。全日本プロレスも武藤敬司さんを迎え新たなカラーを打ち出し存続。
現在でも両団体は活動している。
またしても分離独立は進んだものの、選手や団体の垣根は失われつつある
昭和の歴史が平成に入って大きな意味合いを持つ味付けになったように、現在では平成期にまかれた種が新しい芽となり今日もすくすく育っているのだ
その最も大きな例が、新日本プロレスで行われたケニー・オメガVSクリス・ジェリコだった
彼らははじめ日本でも小さな団体で、地方のお客さんの少ないアリーナで試合をしていた選手だった。それがここまで来た、それも
「それでも業界の盟主だから」
とため息混じりに言われてた頃の新日本プロレスではなく、再び東京ドームをお客さんでいっぱいにし、今までプロレスを見て来なかった人たちをも取り込んで新しいファンを獲得し生まれ変わった新日本プロレスのリングで
私の思う平成のプロレスの魅力と楽しみ方は、こうしたこれまでの歴史の積み重ねがスパークする瞬間にあると思う。特に昭和のプロレスをかなりしっかりご覧になられてきた方には、あの団体のこの選手の弟子(のまたさらに弟子や生徒)の試合、とみると、戦国時代の大河ドラマを見るようでとても面白いと思います
長い歴史のある文化には、それなりの楽しみ方も増えて行くのだと思います
そこにスタイルや思想・主義が入り込むと野暮になる。というのを、ストロングスタイルなどという呪いの言葉でさんざん思い知った平成のプロレスファン、特に平成生まれで昭和もイケる私のようなマニアは痛感しているのです
80年代以降、数度の危機はあったとはいえWWEは今もなお米国・そして世界最大のプロレス団体であり続けていますし、日本のプロレス市場も虎視眈々と狙っています。しかし、今現在の日本マットがWWEに押されているかといえばそうではないと思います。
むしろWWEが手を出しても好みに合わず、そしてまた日本でもWWEみたいに……とやってみてもうまくいかなかったのが平成の日本マットだったのです。それは日本人の気質というのもありますし、最大の効力を発揮したのは
ストロングスタイル
という呪いの言葉でした。しかし、もはやそれも聞こえません。ストロングスタイルに呪われた連中より、若くて新しいファンが増え、お金もより多く使うようになったからです
そしてWWEは日本市場の開拓を根本から見直し、ただアメリカからWWEがやってくる!というだけではなく、現地選手を採用し育成することで今度こそ完全に狙いを定めていると思います
WWEに押されっぱなしになるのは、むしろこれからなのです
WWEは以前にも、アメリカ南部マットに侵攻を試みた際に同じミスを犯しています
現地で直接試合を行い、放送するだけではどうにもならないのが土壌というもので、それならばとWWEは全米から選手をかき集め、どこの誰が見ても面白い団体とし対戦カードもバラエティー豊かになりました
そうです、これと同じことが日本でも起こっているのです
そして私は、それが楽しみで仕方がありません
南部マット侵攻時に、そしてWWEが米国最大の団体になってもなお、昔を懐かしむ人や現状のマット界を軽蔑する人は多かったです
今の日本も同じです。きっとどこで誰が同じことをやってもそうなるでしょう
過去と唯一違うことは、そんな激動の時代を楽しむだけの素養が我々ファンに備わっていることです。歴史を知ってきた我々にとって、新たな歴史を目撃することは、それ自体がもう極上の娯楽なのではないでしょうか
平成のプロレスを楽しめば、きっと次なる時代のプロレスも面白く応援できると私は確信しております
歴史の結実と、新しい萌芽
これが平成プロレスの魅力と楽しみ方だと思います
今まで懐かしいものといえば昭和だったのが、これからは平成が懐かしくて昭和はもっとその先にあるもの、って感じになるのでしょうね
それは何においてもそうで、プロレスもきっと同じ
昭和のプロレスとは何だったのかと言われれば
ビッグバンから地球が生まれたのが戦後
その後のカンブリア紀とかジュラ紀とかが昭和
人類誕生みたいなのが80年代の、いわゆる昔の人とその頃の話でメシ食ってる人が言う黄金時代になるんじゃないかなと思います。良くも悪くも
平成のプロレスって、そんな昭和の歴史から続いているものと、全くそうじゃない
新・種・誕・生
みたいな団体や選手が入り混じっていて面白い
新日本プロレスからUWFが。そしてそこから各団体が
全日本プロレスからはSWSと、その後の団体が
さらに全日本プロレスで引退した大仁田厚さんのFMWや、同じく全日本プロレスから元国際プロレスの高杉正彦さん、アポロ菅原さん、剛竜馬さんらの各団体が生まれ、UWFからさらにユニバーサルプロレスが出来てそこでデビューしたザ・グレート・サスケさんが独立してみちのくプロレスを旗揚げ
日本プロレス協会が出来たときも、全日本プロレス(ジャイアント馬場さんの団体とは別)と国際プロレス団というのがあったりアジアプロレスというのが出来て。この時は日本プロレス協会が独り勝ちしてその後の覇権と利権を握ったけれど、もうこの時期になると誰にも止められずにどんどん分派独立が進んで行って今日に至った
その背景には昭和の遺恨や利権の奪い合いもあっただろうし、また各団体を見てプロレスラーを志した人も多いと思う
上に挙げたような歴史がさらに進んでそこで生まれた団体、さらにそこでデビューした人が作った団体で、そこでデビューした人、そのまた……と最早書ききれないぐらいの団体と選手がある
平成のプロレスとは何だったのか
私に言わせれば極寒の黄金時代、だ
あらゆるスタイル、それも試合だけではなく団体や選手の在り方に至るまで、もうプロレスリングという文化との接し方の違い、としか言えないぐらいプロレスというものが浸透した時代
平成初期は、黄金の土壌で繁栄したまさに黄金時代のそのまた進化と細分化の進んだ時代
中期は昭和にプロレスを進化させ、世間に浸透させた人たちの醜い有様によってどん底まで信頼や景気が停滞した時代。あの頃に絶滅するか、最も大きな生態系が壊滅的なダメージを負うかしてもおかしくなかった。諸刃の剣で致命傷を負ったにもかかわらず、相変わらずその諸刃の剣とやらを振り回すしかなかった。いや、諸刃の剣ことアントニオ猪木に振り回されるしかなかった。アントニオ猪木にしがみついて甘い汁を吸うしかなかった連中の断末魔の時代だった
そして平成後期から末期は、そんな氷のような時代に芽吹いた新しい萌芽と、これまでとは全く違うアプローチの団体・選手が台頭した時代
新日本プロレスが創始者アントニオ猪木によって混迷を極める中、全日本プロレスも創始者ジャイアント馬場が逝去。その後にプロレスリング・ノアが誕生した。プロレスリング・ノアも一時は東京ドームで大会を行うなどし躍進してゆく。全日本プロレスも武藤敬司さんを迎え新たなカラーを打ち出し存続。
現在でも両団体は活動している。
またしても分離独立は進んだものの、選手や団体の垣根は失われつつある
昭和の歴史が平成に入って大きな意味合いを持つ味付けになったように、現在では平成期にまかれた種が新しい芽となり今日もすくすく育っているのだ
その最も大きな例が、新日本プロレスで行われたケニー・オメガVSクリス・ジェリコだった
彼らははじめ日本でも小さな団体で、地方のお客さんの少ないアリーナで試合をしていた選手だった。それがここまで来た、それも
「それでも業界の盟主だから」
とため息混じりに言われてた頃の新日本プロレスではなく、再び東京ドームをお客さんでいっぱいにし、今までプロレスを見て来なかった人たちをも取り込んで新しいファンを獲得し生まれ変わった新日本プロレスのリングで
私の思う平成のプロレスの魅力と楽しみ方は、こうしたこれまでの歴史の積み重ねがスパークする瞬間にあると思う。特に昭和のプロレスをかなりしっかりご覧になられてきた方には、あの団体のこの選手の弟子(のまたさらに弟子や生徒)の試合、とみると、戦国時代の大河ドラマを見るようでとても面白いと思います
長い歴史のある文化には、それなりの楽しみ方も増えて行くのだと思います
そこにスタイルや思想・主義が入り込むと野暮になる。というのを、ストロングスタイルなどという呪いの言葉でさんざん思い知った平成のプロレスファン、特に平成生まれで昭和もイケる私のようなマニアは痛感しているのです
80年代以降、数度の危機はあったとはいえWWEは今もなお米国・そして世界最大のプロレス団体であり続けていますし、日本のプロレス市場も虎視眈々と狙っています。しかし、今現在の日本マットがWWEに押されているかといえばそうではないと思います。
むしろWWEが手を出しても好みに合わず、そしてまた日本でもWWEみたいに……とやってみてもうまくいかなかったのが平成の日本マットだったのです。それは日本人の気質というのもありますし、最大の効力を発揮したのは
ストロングスタイル
という呪いの言葉でした。しかし、もはやそれも聞こえません。ストロングスタイルに呪われた連中より、若くて新しいファンが増え、お金もより多く使うようになったからです
そしてWWEは日本市場の開拓を根本から見直し、ただアメリカからWWEがやってくる!というだけではなく、現地選手を採用し育成することで今度こそ完全に狙いを定めていると思います
WWEに押されっぱなしになるのは、むしろこれからなのです
WWEは以前にも、アメリカ南部マットに侵攻を試みた際に同じミスを犯しています
現地で直接試合を行い、放送するだけではどうにもならないのが土壌というもので、それならばとWWEは全米から選手をかき集め、どこの誰が見ても面白い団体とし対戦カードもバラエティー豊かになりました
そうです、これと同じことが日本でも起こっているのです
そして私は、それが楽しみで仕方がありません
南部マット侵攻時に、そしてWWEが米国最大の団体になってもなお、昔を懐かしむ人や現状のマット界を軽蔑する人は多かったです
今の日本も同じです。きっとどこで誰が同じことをやってもそうなるでしょう
過去と唯一違うことは、そんな激動の時代を楽しむだけの素養が我々ファンに備わっていることです。歴史を知ってきた我々にとって、新たな歴史を目撃することは、それ自体がもう極上の娯楽なのではないでしょうか
平成のプロレスを楽しめば、きっと次なる時代のプロレスも面白く応援できると私は確信しております
歴史の結実と、新しい萌芽
これが平成プロレスの魅力と楽しみ方だと思います
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