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第61回。映画館のはなし。
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掲載日2017年 04月05日 12時00分
溺れる魚。
最近、映画をよく見ている。
DVD借りてきて、夜寝る前に暗い部屋で一人、テレビは点けたまま(当たり前か)。
昔から映画が好きで、年に何度も映画館に行っていた。
まだ近所に映画館がたくさんあった頃だったけど、お客さんは入ったり入らなかったりしていたっけな。
一番近くて一番よく通ったのは、当時近所にあった西武百貨店の6階が映画館になっていた。ここは何といってもゴジラをやっていたので、正月や夏休みはそこいらじゅうの子供たちが集まって来ていた。あとドラえもんの映画もここだったな。
ここで雲の王国やブリキの迷宮(ラビリンス)を見た記憶がある。
ゴジラは大好きだったから、物心ついたときからVSシリーズは全部見に行った。
キングギドラ、モスラ、メカゴジラ、スペースゴジラにデストロイアだったかな。ビオランテはまだ小さくて見てなかった。
いやあースペゴジの最後でゴジラが赤くなって、それがデストロイアであんな結末に…ありゃ映画館で見れた人は幸せだよ。
あの
「これで我々の来年度の予算はゼロだ。来年度があれば、だが」
も見たわけだし(後年に見直すまで忘れてたけど)
この西部の映画館で受付をやってたオバさんの娘が同じ幼稚園のホナミちゃんという子で。
コロコロしてて可愛らしい子であった。
映画を見に行くと、よくモギリのブースに座ってたっけな。
その西武からほど近くに古びた映画館があって。
ここは普段はよくわからないムツカシイ映画がかかっている映画館だった。
けどたまにガメラをやっていたので、その時はみんなで見に行った。
いつ行ってもガラッガラで、近隣の映画館では早いうちになくなってしまった。
中は広くて天井が高くて、館内の独特の薄暗くて少し湿っぽい椅子の匂いが好きだったなあ。
その映画館と西武百貨店の間ぐらいの位置にユメックスというビルがある。うさんくさい雑居ビルと風俗街の入り口を明るく彩る商業ビルなのだが、この中にも映画館があった。もののけ姫をここで見た。
あと母親とジャッキー・チェンのラッシュアワーか何かを見に行ったのに、ドクター・ドリトルを
「ジャッキー出てこないねえ…?」
と言いながら全部見たこともあった。
二人してクリス・タッカーとエディ・マーフィーの区別がつかなかった10数年前。
そして極めつけが、駅前大通りのドン突きにあった銀座東映。
保険屋さんとか普通の会社が入ってるオフィスビルと、古い食堂の3階建てのビルの間に
銀 座 東 映
って赤いネオンサインのついた門があって、その奥の煤けて古びた暗いビルにあった映画館。
いつも往来に立て看板があって
「悶絶!真昼の団地妻」
だとか
「痴漢列車PART3~女子校生のもだえ~」
だとか
「浴場・混浴女将」
とか、まあそんなタイトルがばーんと書かれていまして。
今思えば、こんなにアカラサマでこんなに陰気なポルノ映画館が徒歩5分の場所にあったのですね。この銀座東映の前を通るのが好きなS君というのが居て、いつも決まっていた(私とはあまり仲良くなかったのでたまにハブられた)下校メンバーにこのS君がいると、必ず銀座東映の前を走って通過して、その一瞬に チラッ と映画館の入り口を見るのがお好きだったようです。
映画に興味があるというよりは、彼もまたそこに集うオトナタチに興味があったのだと思います。
今ここに書いた映画館は、今現在すべてなくなってしまった。
西武百貨店は閉店して随分そのままだったけど、今は中部ガスのこぎれいなビルになってしまったし、ガメラの映画館はフェンスに選挙ポスターがべたべた掲げてある駐車場になってた。
ユメックスの映画館はどうなったんだろ、まだあるのかな。確か飲み屋か何かになったような…あのビルは色々ごちゃごちゃしててわかりにくいんだよなあ、夜になると客引きが多くて…あまり通らなくなってわからないや。
思い出の映画は、今やご家庭でお気軽にみられるけれど。
思い出の映画館は、いつも記憶の中でセピア色。
えっ銀座東映?そりゃ当然ピンク色だろうよ。
溺れる魚。
最近、映画をよく見ている。
DVD借りてきて、夜寝る前に暗い部屋で一人、テレビは点けたまま(当たり前か)。
昔から映画が好きで、年に何度も映画館に行っていた。
まだ近所に映画館がたくさんあった頃だったけど、お客さんは入ったり入らなかったりしていたっけな。
一番近くて一番よく通ったのは、当時近所にあった西武百貨店の6階が映画館になっていた。ここは何といってもゴジラをやっていたので、正月や夏休みはそこいらじゅうの子供たちが集まって来ていた。あとドラえもんの映画もここだったな。
ここで雲の王国やブリキの迷宮(ラビリンス)を見た記憶がある。
ゴジラは大好きだったから、物心ついたときからVSシリーズは全部見に行った。
キングギドラ、モスラ、メカゴジラ、スペースゴジラにデストロイアだったかな。ビオランテはまだ小さくて見てなかった。
いやあースペゴジの最後でゴジラが赤くなって、それがデストロイアであんな結末に…ありゃ映画館で見れた人は幸せだよ。
あの
「これで我々の来年度の予算はゼロだ。来年度があれば、だが」
も見たわけだし(後年に見直すまで忘れてたけど)
この西部の映画館で受付をやってたオバさんの娘が同じ幼稚園のホナミちゃんという子で。
コロコロしてて可愛らしい子であった。
映画を見に行くと、よくモギリのブースに座ってたっけな。
その西武からほど近くに古びた映画館があって。
ここは普段はよくわからないムツカシイ映画がかかっている映画館だった。
けどたまにガメラをやっていたので、その時はみんなで見に行った。
いつ行ってもガラッガラで、近隣の映画館では早いうちになくなってしまった。
中は広くて天井が高くて、館内の独特の薄暗くて少し湿っぽい椅子の匂いが好きだったなあ。
その映画館と西武百貨店の間ぐらいの位置にユメックスというビルがある。うさんくさい雑居ビルと風俗街の入り口を明るく彩る商業ビルなのだが、この中にも映画館があった。もののけ姫をここで見た。
あと母親とジャッキー・チェンのラッシュアワーか何かを見に行ったのに、ドクター・ドリトルを
「ジャッキー出てこないねえ…?」
と言いながら全部見たこともあった。
二人してクリス・タッカーとエディ・マーフィーの区別がつかなかった10数年前。
そして極めつけが、駅前大通りのドン突きにあった銀座東映。
保険屋さんとか普通の会社が入ってるオフィスビルと、古い食堂の3階建てのビルの間に
銀 座 東 映
って赤いネオンサインのついた門があって、その奥の煤けて古びた暗いビルにあった映画館。
いつも往来に立て看板があって
「悶絶!真昼の団地妻」
だとか
「痴漢列車PART3~女子校生のもだえ~」
だとか
「浴場・混浴女将」
とか、まあそんなタイトルがばーんと書かれていまして。
今思えば、こんなにアカラサマでこんなに陰気なポルノ映画館が徒歩5分の場所にあったのですね。この銀座東映の前を通るのが好きなS君というのが居て、いつも決まっていた(私とはあまり仲良くなかったのでたまにハブられた)下校メンバーにこのS君がいると、必ず銀座東映の前を走って通過して、その一瞬に チラッ と映画館の入り口を見るのがお好きだったようです。
映画に興味があるというよりは、彼もまたそこに集うオトナタチに興味があったのだと思います。
今ここに書いた映画館は、今現在すべてなくなってしまった。
西武百貨店は閉店して随分そのままだったけど、今は中部ガスのこぎれいなビルになってしまったし、ガメラの映画館はフェンスに選挙ポスターがべたべた掲げてある駐車場になってた。
ユメックスの映画館はどうなったんだろ、まだあるのかな。確か飲み屋か何かになったような…あのビルは色々ごちゃごちゃしててわかりにくいんだよなあ、夜になると客引きが多くて…あまり通らなくなってわからないや。
思い出の映画は、今やご家庭でお気軽にみられるけれど。
思い出の映画館は、いつも記憶の中でセピア色。
えっ銀座東映?そりゃ当然ピンク色だろうよ。
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