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フェラチオはヒレカツのあとで
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バスルームを出て少し硬い茶色のバスタオルで体を拭く。彼女は小さい方のタオルで体を拭くとバスタオルを巻きつけてソファに腰かけた。テーブルにはさっき買ってきたヒレカツ弁当が置いてある。決して長く細くもないむっちりした足を組んでマルボロメンソールに火をつけて、フーっと煙を吐き出してひと息つく彼女を、とりあえずボクサーパンツとTシャツだけを身に着けてベッドに腰かけて見つめていた。組んだ足とタオルの隙間から彼女の濃い陰毛が見え隠れする。このあと、あの足を開いて顔をうずめてしまうのがウソのように、まるでそこに何もないかのように振舞っているのが猶更愛おしくて。
「じゃあ、お弁当いただくね」
「ええ、たんとお食べ」
「んふふっ」
よぼよぼのおばあさんのような口ぶりで冗談を言うと、彼女は笑ってくれた。いそいそと袋からお弁当と割りばしを取り出して、割りばしを両手の親指に挟んだまま「いただきます」をして蓋を開けて食べ始める。もくもくと小気味いいペースで食べている彼女の向こうに電子レンジが見えたが、何も言わずにヒレカツを今まさに頬張ろうとする彼女の口元を見ていた。お風呂でも顔は洗わなかったからメイクは殆どそのままだ。その赤い唇をぽかっと開いたところにヒレカツがひと塊すいっと運び込まれて、唇に挟まれて口の中で噛み砕かれてゆく。少し大きな塊の場合は噛み切られたほうが箸に残っている。このあと、彼女はあの口で、同じ口で違うものを咥えてくれる。フェラチオをしてくれる。これだからセックスは面白い。
どんなに澄ました顔をして食事をしていても、遊園地や動物園や美術館、ライブハウス、雑貨屋、映画館、ネズミと映画のオリエンタルスタジオ、図書館でも生野区民センターでもどこでもいい。そこにいる男女が、この後セックスをするならばそれはすべて前戯だ。そうして遊んでいる間にも下着の中は蒸れているし男はそれしか考えていない。女の子はそれを知っていながらも束の間だけ忘れて楽しんだり、また思い出してひと蒸れ増していたりするのだ。場合によっては既に下着の中にローターやプラグを仕込んでいる奴等だっている。わかりゃしない。この二人の男女がどんな関係で、この後どうするのかなんて。誰にもわかりゃしないことだ。そして案の定、僕たちもこれからここでセックスをする。ヒレカツを口いっぱい頬張ったあとで。これだからセックスは面白い。
お弁当をペロっと平らげた彼女が再びタバコに火をつけた。実は彼女これだけの可愛さに見合わずかなりのヘビースモーカーで、一緒にいるときは気を使って減らしてくれているそうだけれどそれでもよく吸う子だった。プカーーと煙を吐き出してひと息ついて、灰皿にタバコを押し付けたら冷蔵庫に入ってる無料のペットボトルのお茶を取り出して、フタを開けてひとくち飲みながら僕の隣に腰かけた。
「お待たせ!」
と明るくポンと座って来た彼女が可愛くて、そのままぎゅっと抱きしめた。フワっとタバコのにおいがして、その次に女の子特有の甘くて良い匂いがする。何もこれは女の子に限った話じゃなく、年齢や性別にカンケーなく可愛い人からは同じ系統の匂いがする。この子からもそれが爽やかに、しかしはっきりと薫る。
「くすぐったい」
そう言って笑う彼女のおとがいにそっと手を添えて引き寄せると、すっと笑顔を引っ込めて目を閉じる。唇を触れ合わせ、擦れ合う隙間から歯の奥の舌を吸い込みながら絡ませる。お茶で冷たくなった彼女の舌とタバコの苦味が唾液に混じって流れ込んでくる。くちゅ、くちゅと音を立てて数十秒。そのままベッドに倒れ込んで、彼女のタオルをずらして首筋から鎖骨、肩、そして腋の下へ唇を這わせてゆく。風呂上がりのお湯の匂いと味しかしないもちもちの素肌が、腋の下だけ少し湿っぽくていい匂い。それにこの子の腋は
「だいぶ伸びたね」
「うん、脱毛するためにね」
脱毛をするために伸ばしている、と彼女は言う。その辺の事はよくわからないけど、可愛いのに腋毛が生えているのはとてもいいと思う。ぐい、っと顔を突っ込んで思う存分堪能した。彼女はくすぐったい、と笑いながら僕をぎゅっと抱きしめて足を絡めてくる。肉付きのいいふとももが僕の股間に滑り込んで下着ごしに擦られる。思わず声が漏れそうになって吐きだした息を、また深く吸い込んだ。不意に鼻の奥から肺の隅々まで胸いっぱいに広がった彼女の腋の匂いで僕は最高に興奮してしまった。
「うふふ、やだあ」
そう言いながら彼女が大勢を入れ替えて、仰向けの僕の下着をそっと掴んで膝まで下ろした。僕はそっと腰を浮かせて彼女に任せると、そのまま硬くなったものをそっと右手で掴んで、ゆっくりと口に含んでいった。温かな唾液のぬめりと弾力の強い舌の感触、そして唇できゅっと絞られる。これを次々と、あるいは同時に仕掛けてくる。彼女が本当はどんな仕事をしていて、いつもどんなセックスをしているんだろう。そんなことを少しだけ考えてしまう。だけどすぐにどうでもよくなってしまう。
じゅっぷ、じゅっぱ、ぎゅっぱ、と擦れ合う音がする。
ぷはっ、
と口を離して、休む間もなく今度は先っぽを舌で舐めまわしつつまた口に含んで喉の奥まで沈めてゆく。時折苦しそうな吐息を漏らす彼女の横顔がたまらなくいやらしい。
「フェラでイっちゃったらごめんね」
と思わず僕が言うと
「えー、それじゃ楽しみがなくなっちゃうじゃん。うふふ」
と口に僕を咥えたまま笑った。
「ねえ、パンパンだよ?」
僕のを指でなぞりながら、先っぽを軽くつつきながら彼女がまた笑う。艶っぽくて意地悪な笑顔が、いつもの彼女に比べてぐっといやらしい。
「つけてあげる」
そう言って枕元に置いてあったコンドームの小袋を手に取って、慣れた手つきで開封する。破いた袋をゴミ箱にすい、と放って、水色のコンドームを口元に。そのまま僕のを咥えつつ吸い付いたゴムをかぶせてゆく。実に手際よく、しゅっしゅっと丸まった被膜を伸ばしてリングを根元にぐっと押し付けて一丁上がりだ。
「ありがと」
「うふふ」
「あ、でも」
「え、やだあ」
彼女にのしかかって、足をぐいっと広げさせて。そのままてっきり入れてしまうと思っていたところで素肌の上をスライドして彼女の股間に顔をうずめた。短く濃い陰毛が下腹部から肛門周辺までびっちり生い茂った彼女の陰部はすでに表面張力でぬるりとした雫が垂れるほど濡れていて、そこからもいつもの愛おしく塩辛い匂いが漂っていた。割れ目に舌を差し込んで穴の中をかき回し、下からクリトリスを舐め上げると彼女は激しく声を上げのけぞって、精一杯の感じるジェスチャーを見せてくれる。
だんだんと塩辛い、いかにも性器の匂いからもっと生々しくて身も蓋もない匂いが湧き出てくる。可愛い顔をゆがめて、澄んだ声をいびつに漏らして、生臭い粘液を溢れさせる。こんなに可愛い女の子なのに。これだからセックスは面白い。
「ね。もう入れて」
彼女が僕を見上げて、切なく潤んだ瞳でそう言った。足をすい、と開いて腰を浮かせて、僕をいざなうように両手を広げる。両腋の黒々した縮れ毛がモロに見えて、また硬くなる。僕は改めて彼女にのしかかって深く深くキスをしながら、腰を押し付け合って彼女のぬめりでコンドームを濡らしてゆく。自分の先っぽが触れるだけで彼女の形がわかるぐらい密着していると、そのままずるっと入っていった。彼女が苦し気に、だけど嫌じゃなさそうに吐息を漏らす。僕はシャツを脱ぎ捨て、彼女に抱き着いて体ごと動かした。汗ばんだ彼女のもちもちした素肌が心地よい。抱きしめれば抱きしめるほど吸い付いてくるようだ。彼女はネイリストを自称するだけのことはあって爪が長くて綺麗だ。今日はピンク色のパステルカラーに色々なデコレーションがなされている。
その爪が今、少し背中に食い込んで心地よい。
「ねえ、バックでしよ」
「うん、いいよ、入れてえ」
僕は一度彼女から離れてそっと腰のあたりに手を添えて、四つん這いになるように促した。むっちりした太ももからお尻にかけてのシルエットがなまめかしい。こちらに向かて突き出されたお尻がいやらしく割れて、中心部から覗くピンク色の肉襞と少し濃い茶色をした肛門がランダムにひくひくと動いている。まるで息をしているように。
「可愛いね」
「ひゃっ、やだ!」
僕は思わず彼女の肛門に口づけをして、改めてお尻を掴んでぐいっと引き寄せた。ずるちゅっ、とコンドームと粘膜の擦れる音がして、あとは淫靡な摩擦音と二人の吐息だけが響く空虚な部屋。セックスをするための部屋。思えば彼女と初めて会ったあの夜から、会うたびにこれだけが目当てで車を飛ばしてきていた。彼女の目当てはセックスではなく、前払いのお金だろうけど。それだけのことで色んなことをすっ飛ばして、後腐れもなく楽しめるのだから安いものだ。そうだ、ずっと今まで辛い思いをしたり、我慢をしてきたことに比べたら。
「ねえ、いくとき、言って」
彼女は枕に顔をうずめて言った。
「うん、もういきそう」
僕もそろそろ限界だった。腰を止めたくても止まらない、彼女のお尻に指先が食い込んで骨まで掴んでしまいそうだ。背中から覆いかぶさるようにして、だけど手はお尻から離さずに、そのまま二人してベッドに沈んでいくようにしながら僕はコンドームの中に果てた。どく、どく、と精液が流れ出ているのがわかる。彼女はその寸前に
「ああんいっちゃう!」
と叫んだが、はてさてどうなのやら。どきん、どきん、と心臓が高鳴ったまま不意に感覚だけがまともにもどってゆく。ラブホテルの部屋特有の匂い、彼女の髪の毛と体液の匂いが鮮明にかぎ分けられるようになって、空調の音がやけに近くで聞こえてくる。セックスが終わるといつもこうだ。そうして彼女からゆっくり体を離してティッシュを二、三枚とって手渡した。ありがと、と彼女が言って体を起こして、股間をカサカサと拭いている。その姿がまた愛おしくて、身も蓋もなくて。これだからセックスは面白い。そう思いながら僕もティッシュを取って、股間のコンドームを包んで引きはがすとそのまま丸めてゴミ箱に捨てた。彼女は僕に背中を向けてお茶をひとくち飲んで、慣れた手つきでタバコに火を点けた。
「じゃあ、お弁当いただくね」
「ええ、たんとお食べ」
「んふふっ」
よぼよぼのおばあさんのような口ぶりで冗談を言うと、彼女は笑ってくれた。いそいそと袋からお弁当と割りばしを取り出して、割りばしを両手の親指に挟んだまま「いただきます」をして蓋を開けて食べ始める。もくもくと小気味いいペースで食べている彼女の向こうに電子レンジが見えたが、何も言わずにヒレカツを今まさに頬張ろうとする彼女の口元を見ていた。お風呂でも顔は洗わなかったからメイクは殆どそのままだ。その赤い唇をぽかっと開いたところにヒレカツがひと塊すいっと運び込まれて、唇に挟まれて口の中で噛み砕かれてゆく。少し大きな塊の場合は噛み切られたほうが箸に残っている。このあと、彼女はあの口で、同じ口で違うものを咥えてくれる。フェラチオをしてくれる。これだからセックスは面白い。
どんなに澄ました顔をして食事をしていても、遊園地や動物園や美術館、ライブハウス、雑貨屋、映画館、ネズミと映画のオリエンタルスタジオ、図書館でも生野区民センターでもどこでもいい。そこにいる男女が、この後セックスをするならばそれはすべて前戯だ。そうして遊んでいる間にも下着の中は蒸れているし男はそれしか考えていない。女の子はそれを知っていながらも束の間だけ忘れて楽しんだり、また思い出してひと蒸れ増していたりするのだ。場合によっては既に下着の中にローターやプラグを仕込んでいる奴等だっている。わかりゃしない。この二人の男女がどんな関係で、この後どうするのかなんて。誰にもわかりゃしないことだ。そして案の定、僕たちもこれからここでセックスをする。ヒレカツを口いっぱい頬張ったあとで。これだからセックスは面白い。
お弁当をペロっと平らげた彼女が再びタバコに火をつけた。実は彼女これだけの可愛さに見合わずかなりのヘビースモーカーで、一緒にいるときは気を使って減らしてくれているそうだけれどそれでもよく吸う子だった。プカーーと煙を吐き出してひと息ついて、灰皿にタバコを押し付けたら冷蔵庫に入ってる無料のペットボトルのお茶を取り出して、フタを開けてひとくち飲みながら僕の隣に腰かけた。
「お待たせ!」
と明るくポンと座って来た彼女が可愛くて、そのままぎゅっと抱きしめた。フワっとタバコのにおいがして、その次に女の子特有の甘くて良い匂いがする。何もこれは女の子に限った話じゃなく、年齢や性別にカンケーなく可愛い人からは同じ系統の匂いがする。この子からもそれが爽やかに、しかしはっきりと薫る。
「くすぐったい」
そう言って笑う彼女のおとがいにそっと手を添えて引き寄せると、すっと笑顔を引っ込めて目を閉じる。唇を触れ合わせ、擦れ合う隙間から歯の奥の舌を吸い込みながら絡ませる。お茶で冷たくなった彼女の舌とタバコの苦味が唾液に混じって流れ込んでくる。くちゅ、くちゅと音を立てて数十秒。そのままベッドに倒れ込んで、彼女のタオルをずらして首筋から鎖骨、肩、そして腋の下へ唇を這わせてゆく。風呂上がりのお湯の匂いと味しかしないもちもちの素肌が、腋の下だけ少し湿っぽくていい匂い。それにこの子の腋は
「だいぶ伸びたね」
「うん、脱毛するためにね」
脱毛をするために伸ばしている、と彼女は言う。その辺の事はよくわからないけど、可愛いのに腋毛が生えているのはとてもいいと思う。ぐい、っと顔を突っ込んで思う存分堪能した。彼女はくすぐったい、と笑いながら僕をぎゅっと抱きしめて足を絡めてくる。肉付きのいいふとももが僕の股間に滑り込んで下着ごしに擦られる。思わず声が漏れそうになって吐きだした息を、また深く吸い込んだ。不意に鼻の奥から肺の隅々まで胸いっぱいに広がった彼女の腋の匂いで僕は最高に興奮してしまった。
「うふふ、やだあ」
そう言いながら彼女が大勢を入れ替えて、仰向けの僕の下着をそっと掴んで膝まで下ろした。僕はそっと腰を浮かせて彼女に任せると、そのまま硬くなったものをそっと右手で掴んで、ゆっくりと口に含んでいった。温かな唾液のぬめりと弾力の強い舌の感触、そして唇できゅっと絞られる。これを次々と、あるいは同時に仕掛けてくる。彼女が本当はどんな仕事をしていて、いつもどんなセックスをしているんだろう。そんなことを少しだけ考えてしまう。だけどすぐにどうでもよくなってしまう。
じゅっぷ、じゅっぱ、ぎゅっぱ、と擦れ合う音がする。
ぷはっ、
と口を離して、休む間もなく今度は先っぽを舌で舐めまわしつつまた口に含んで喉の奥まで沈めてゆく。時折苦しそうな吐息を漏らす彼女の横顔がたまらなくいやらしい。
「フェラでイっちゃったらごめんね」
と思わず僕が言うと
「えー、それじゃ楽しみがなくなっちゃうじゃん。うふふ」
と口に僕を咥えたまま笑った。
「ねえ、パンパンだよ?」
僕のを指でなぞりながら、先っぽを軽くつつきながら彼女がまた笑う。艶っぽくて意地悪な笑顔が、いつもの彼女に比べてぐっといやらしい。
「つけてあげる」
そう言って枕元に置いてあったコンドームの小袋を手に取って、慣れた手つきで開封する。破いた袋をゴミ箱にすい、と放って、水色のコンドームを口元に。そのまま僕のを咥えつつ吸い付いたゴムをかぶせてゆく。実に手際よく、しゅっしゅっと丸まった被膜を伸ばしてリングを根元にぐっと押し付けて一丁上がりだ。
「ありがと」
「うふふ」
「あ、でも」
「え、やだあ」
彼女にのしかかって、足をぐいっと広げさせて。そのままてっきり入れてしまうと思っていたところで素肌の上をスライドして彼女の股間に顔をうずめた。短く濃い陰毛が下腹部から肛門周辺までびっちり生い茂った彼女の陰部はすでに表面張力でぬるりとした雫が垂れるほど濡れていて、そこからもいつもの愛おしく塩辛い匂いが漂っていた。割れ目に舌を差し込んで穴の中をかき回し、下からクリトリスを舐め上げると彼女は激しく声を上げのけぞって、精一杯の感じるジェスチャーを見せてくれる。
だんだんと塩辛い、いかにも性器の匂いからもっと生々しくて身も蓋もない匂いが湧き出てくる。可愛い顔をゆがめて、澄んだ声をいびつに漏らして、生臭い粘液を溢れさせる。こんなに可愛い女の子なのに。これだからセックスは面白い。
「ね。もう入れて」
彼女が僕を見上げて、切なく潤んだ瞳でそう言った。足をすい、と開いて腰を浮かせて、僕をいざなうように両手を広げる。両腋の黒々した縮れ毛がモロに見えて、また硬くなる。僕は改めて彼女にのしかかって深く深くキスをしながら、腰を押し付け合って彼女のぬめりでコンドームを濡らしてゆく。自分の先っぽが触れるだけで彼女の形がわかるぐらい密着していると、そのままずるっと入っていった。彼女が苦し気に、だけど嫌じゃなさそうに吐息を漏らす。僕はシャツを脱ぎ捨て、彼女に抱き着いて体ごと動かした。汗ばんだ彼女のもちもちした素肌が心地よい。抱きしめれば抱きしめるほど吸い付いてくるようだ。彼女はネイリストを自称するだけのことはあって爪が長くて綺麗だ。今日はピンク色のパステルカラーに色々なデコレーションがなされている。
その爪が今、少し背中に食い込んで心地よい。
「ねえ、バックでしよ」
「うん、いいよ、入れてえ」
僕は一度彼女から離れてそっと腰のあたりに手を添えて、四つん這いになるように促した。むっちりした太ももからお尻にかけてのシルエットがなまめかしい。こちらに向かて突き出されたお尻がいやらしく割れて、中心部から覗くピンク色の肉襞と少し濃い茶色をした肛門がランダムにひくひくと動いている。まるで息をしているように。
「可愛いね」
「ひゃっ、やだ!」
僕は思わず彼女の肛門に口づけをして、改めてお尻を掴んでぐいっと引き寄せた。ずるちゅっ、とコンドームと粘膜の擦れる音がして、あとは淫靡な摩擦音と二人の吐息だけが響く空虚な部屋。セックスをするための部屋。思えば彼女と初めて会ったあの夜から、会うたびにこれだけが目当てで車を飛ばしてきていた。彼女の目当てはセックスではなく、前払いのお金だろうけど。それだけのことで色んなことをすっ飛ばして、後腐れもなく楽しめるのだから安いものだ。そうだ、ずっと今まで辛い思いをしたり、我慢をしてきたことに比べたら。
「ねえ、いくとき、言って」
彼女は枕に顔をうずめて言った。
「うん、もういきそう」
僕もそろそろ限界だった。腰を止めたくても止まらない、彼女のお尻に指先が食い込んで骨まで掴んでしまいそうだ。背中から覆いかぶさるようにして、だけど手はお尻から離さずに、そのまま二人してベッドに沈んでいくようにしながら僕はコンドームの中に果てた。どく、どく、と精液が流れ出ているのがわかる。彼女はその寸前に
「ああんいっちゃう!」
と叫んだが、はてさてどうなのやら。どきん、どきん、と心臓が高鳴ったまま不意に感覚だけがまともにもどってゆく。ラブホテルの部屋特有の匂い、彼女の髪の毛と体液の匂いが鮮明にかぎ分けられるようになって、空調の音がやけに近くで聞こえてくる。セックスが終わるといつもこうだ。そうして彼女からゆっくり体を離してティッシュを二、三枚とって手渡した。ありがと、と彼女が言って体を起こして、股間をカサカサと拭いている。その姿がまた愛おしくて、身も蓋もなくて。これだからセックスは面白い。そう思いながら僕もティッシュを取って、股間のコンドームを包んで引きはがすとそのまま丸めてゴミ箱に捨てた。彼女は僕に背中を向けてお茶をひとくち飲んで、慣れた手つきでタバコに火を点けた。
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