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Interlude03 ミチル is Love …
3 幻想桃尻伝
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師範代のお兄さんは、拳大の青い石を、一同が座るテーブルの上にコトリと置いた。
ジェイも、アニーも、エリオットも。それからミチルでさえも、その石が持つ重大な意味を瞬時に悟る。
「なんだ、これは」
事情を知らないジンは、怪訝な顔でその石を見ていた。
すると師範代のお兄さんが静かな声で報告する。
「は。先生が鐘馗会と思われる人影を追って行った後、我々は大会の会場を片付けておりました。すると先生達が戦っていた付近にこれが落ちていたのです。その場の誰にも覚えがありませんでしたので、町長様の許可をいただいて預かって参りました」
「うん? だが儂にも覚えはないぞ、こんなもの」
ヒョイと石を手に取って、ジンはそれをゆっくり眺めた。青い石は、部屋の緩い照明を受けたためか鈍く光っている。
「いや、それ、デスティニー・ストーンだろ!」
「です……何だって?」
アニーが派手な声を上げて、その手の石を指さしても、ジンは眉をひそめて首を傾げていた。
ちなみに、その中二全開の名称は、アニーの個人的なセンスである。
「……今のは正式な名前じゃねえ。忘れろ」
その隣で、エリオットは苦虫を噛み潰したような顔をしており、更に悔しそうに続ける。
「その石は、特殊なベスティアを倒すと現れる正体不明の石だ。その石があるという事は、てめえが特殊なベスティアに遭遇し、更にはミチルの力を借りて倒したってことを物語ってる。どうだ?」
ジンとミチルに起こった出来事について、澱みなく語ってみせたエリオットに、ミチルは感心してしまった。
「さすがエリオット! 頭いいっ!」
いつもならミチルが褒めれば調子に乗るような性格だが、今のエリオットは真面目な顔を崩さずに、ジンだけを睨んでいた。
その様子に、ミチルは思わず肩を竦めて黙る。
「ふむ、ベスティアとは黒獣のことだったな。確かにその通りだ、驚いたぞ」
「こくじゅう?」
素直に驚きながら答えたジンの言葉に、エリオットが少し首を傾げるので、ミチルはおずおずと付け足した。
「先生はベスティアのことをそう呼んでたんだ。多分、黒い獣って意味だと思うけど……」
「ふうん、所変われば、ってことか」
難しい顔のままで考え続けるエリオットの表情は、少し怖い。ミチルはやや不安になった。
「何故貴様は、儂とシウレンに起こった出来事をそんなに正確にわかったのだ?」
ジンの疑問は当然で、ミチルがどう答えようか考えている間に、エリオットはジェイとアニーにも目配せをする。
そして三人のイケメン達は揃って各々が持つ青い石を、テーブルの上に出した。
「なっ……! それは、同じ石か?」
更に驚くジンを見据えて、エリオットは尚も憎らしそうに顔を歪めて言う。
「そうだよ。おれ達は全員、特殊なベスティアと戦い、ミチルに武器を再生成してもらってそれを倒してる。この石は、おれ達とミチルを繋ぐ『絆』だ」
「……」
ジンが言葉を見失っていると、アニーがまた派手な声で項垂れた。
「勘弁してくれよお! 第四の男じゃねえかあ! 俺達が目を離してる隙に新しいライバル出来ちゃってるじゃあん!」
「なんだと? どういう事だ?」
突っ伏して足をバタバタさせて悔しがるアニーの横で、ジェイがくそ真面目な顔でジンに言う。
「つまり、貴殿と我ら三人──この四人は、今、この場からミチルに対して対等だと言うことだ」
あれ? そういう結論で良かったんだっけ?
もっとさあ、チル一族とか、ベスティアとか、世界の危機とか、そういう事の方が大事じゃない?
ミチルはそんな疑問を浮かべていたけれど、本当の重大さの方で議論するのは怖いので、つい黙ってしまった。
「クソ魔ジジイの言ってたことが、本当になりやがった……」
唯一事態を正確に把握していたように見えたエリオットも、新たな恋敵の出現を悔しがるだけ。
ミチルはますます、考えるべき話題を言えなくなっていた。
だって、結局、オレって何者なのってことになるんでしょ。そんなの怖いよ。
「なるほど。そういう事か……」
ミチルの隣でジンは少し考えた後、対面する若者三人を見比べて不敵に笑う。
「ふ。儂の敵がこのような若造だとはな、これでは勝負にならん」
それは遥か高みから見下ろす百戦錬磨の強者の余裕の笑みだった!
「なな、何だとぉ!? てめえ、おれがミチルにキス30回で上書きしたのを知らねえな!?」
「おおい、エリオットぉ!」
負けじと反論する小悪魔プリンスのエロ発言に、ミチルは慌てて釘を刺そうとした。
だがしかし。
「ふざけんなよ! 俺だってミチルを毎晩抱いて寝てたからなあ!?」
「アニィイ!」
ホストアサシンも参戦し、ミチルは羞恥で真っ赤になって叫んだ。
だが更に。
「毎晩抱くのは当然だ」
「それはデフォルトだろ、アニー」
ジンもエリオットもしれっと言ってのける。そこでアニーは追撃を試みた。
「お、おお、俺なんか、ミチルの腰のきわどーい所まで触ったからなあ!」
「キャアアアア!」
苦し紛れに物凄い告白をするなあ! 思い出してムズムズするぅ!
その前に、毎晩同衾がデフォとか言わないでえ!
「ふっ、ぬるいな、小僧ども」
アニーの負け惜しみを一笑に付して、高みを極めしスーパー・テクニシャンはその美しい指先を見せつけ、トドメの一言を放った。
「シウレンは儂のマッサージで毎晩ヨがっていたぞ」
「え……」
アニーもエリオットも、揃って石化したように固まった。
「儂の指に翻弄されて、朝まで××まくりだ」
「コラアァア!!」
オレだけじゃなくて、イケメンにまで伏せ字を披露するなぁ!
あながち間違いでもないから始末が悪く、ミチルの顔はマグマのように燃え上がる。
「ミチルゥ! おしりは、おしりは守ったよね!? 俺のために守ってくれたんだよね!?」
アニーは号泣の果てに大混乱!
「ミチル! 我が妻よ! 心配するな、すぐにおれがNTRで清めてやるからな!」
エリオットもサレ夫気分に酔いしれる!
「もう、やだあ! 助けてえ、ジェイ!」
こうなったらエロ思考などに左右されない、鉄壁のアホだけが頼りだ。
だが、彼も。
「むうぅう……! 胸が、胸が焦げるッ!」
苦悶してブルブル震えるぽんこつナイトに、ミチルは思わずしがみついた。
「せめてジェイはしっかりしてぇ!」
「ミチルゥ! おしりの具合だけでも教えてえ!」
泣き叫ぶアニーの問いに、ミチルは思わず大声で答えてしまった。
「オレのおしりは無傷に決まってんだろぉおお!!」
ジェイも、アニーも、エリオットも。それからミチルでさえも、その石が持つ重大な意味を瞬時に悟る。
「なんだ、これは」
事情を知らないジンは、怪訝な顔でその石を見ていた。
すると師範代のお兄さんが静かな声で報告する。
「は。先生が鐘馗会と思われる人影を追って行った後、我々は大会の会場を片付けておりました。すると先生達が戦っていた付近にこれが落ちていたのです。その場の誰にも覚えがありませんでしたので、町長様の許可をいただいて預かって参りました」
「うん? だが儂にも覚えはないぞ、こんなもの」
ヒョイと石を手に取って、ジンはそれをゆっくり眺めた。青い石は、部屋の緩い照明を受けたためか鈍く光っている。
「いや、それ、デスティニー・ストーンだろ!」
「です……何だって?」
アニーが派手な声を上げて、その手の石を指さしても、ジンは眉をひそめて首を傾げていた。
ちなみに、その中二全開の名称は、アニーの個人的なセンスである。
「……今のは正式な名前じゃねえ。忘れろ」
その隣で、エリオットは苦虫を噛み潰したような顔をしており、更に悔しそうに続ける。
「その石は、特殊なベスティアを倒すと現れる正体不明の石だ。その石があるという事は、てめえが特殊なベスティアに遭遇し、更にはミチルの力を借りて倒したってことを物語ってる。どうだ?」
ジンとミチルに起こった出来事について、澱みなく語ってみせたエリオットに、ミチルは感心してしまった。
「さすがエリオット! 頭いいっ!」
いつもならミチルが褒めれば調子に乗るような性格だが、今のエリオットは真面目な顔を崩さずに、ジンだけを睨んでいた。
その様子に、ミチルは思わず肩を竦めて黙る。
「ふむ、ベスティアとは黒獣のことだったな。確かにその通りだ、驚いたぞ」
「こくじゅう?」
素直に驚きながら答えたジンの言葉に、エリオットが少し首を傾げるので、ミチルはおずおずと付け足した。
「先生はベスティアのことをそう呼んでたんだ。多分、黒い獣って意味だと思うけど……」
「ふうん、所変われば、ってことか」
難しい顔のままで考え続けるエリオットの表情は、少し怖い。ミチルはやや不安になった。
「何故貴様は、儂とシウレンに起こった出来事をそんなに正確にわかったのだ?」
ジンの疑問は当然で、ミチルがどう答えようか考えている間に、エリオットはジェイとアニーにも目配せをする。
そして三人のイケメン達は揃って各々が持つ青い石を、テーブルの上に出した。
「なっ……! それは、同じ石か?」
更に驚くジンを見据えて、エリオットは尚も憎らしそうに顔を歪めて言う。
「そうだよ。おれ達は全員、特殊なベスティアと戦い、ミチルに武器を再生成してもらってそれを倒してる。この石は、おれ達とミチルを繋ぐ『絆』だ」
「……」
ジンが言葉を見失っていると、アニーがまた派手な声で項垂れた。
「勘弁してくれよお! 第四の男じゃねえかあ! 俺達が目を離してる隙に新しいライバル出来ちゃってるじゃあん!」
「なんだと? どういう事だ?」
突っ伏して足をバタバタさせて悔しがるアニーの横で、ジェイがくそ真面目な顔でジンに言う。
「つまり、貴殿と我ら三人──この四人は、今、この場からミチルに対して対等だと言うことだ」
あれ? そういう結論で良かったんだっけ?
もっとさあ、チル一族とか、ベスティアとか、世界の危機とか、そういう事の方が大事じゃない?
ミチルはそんな疑問を浮かべていたけれど、本当の重大さの方で議論するのは怖いので、つい黙ってしまった。
「クソ魔ジジイの言ってたことが、本当になりやがった……」
唯一事態を正確に把握していたように見えたエリオットも、新たな恋敵の出現を悔しがるだけ。
ミチルはますます、考えるべき話題を言えなくなっていた。
だって、結局、オレって何者なのってことになるんでしょ。そんなの怖いよ。
「なるほど。そういう事か……」
ミチルの隣でジンは少し考えた後、対面する若者三人を見比べて不敵に笑う。
「ふ。儂の敵がこのような若造だとはな、これでは勝負にならん」
それは遥か高みから見下ろす百戦錬磨の強者の余裕の笑みだった!
「なな、何だとぉ!? てめえ、おれがミチルにキス30回で上書きしたのを知らねえな!?」
「おおい、エリオットぉ!」
負けじと反論する小悪魔プリンスのエロ発言に、ミチルは慌てて釘を刺そうとした。
だがしかし。
「ふざけんなよ! 俺だってミチルを毎晩抱いて寝てたからなあ!?」
「アニィイ!」
ホストアサシンも参戦し、ミチルは羞恥で真っ赤になって叫んだ。
だが更に。
「毎晩抱くのは当然だ」
「それはデフォルトだろ、アニー」
ジンもエリオットもしれっと言ってのける。そこでアニーは追撃を試みた。
「お、おお、俺なんか、ミチルの腰のきわどーい所まで触ったからなあ!」
「キャアアアア!」
苦し紛れに物凄い告白をするなあ! 思い出してムズムズするぅ!
その前に、毎晩同衾がデフォとか言わないでえ!
「ふっ、ぬるいな、小僧ども」
アニーの負け惜しみを一笑に付して、高みを極めしスーパー・テクニシャンはその美しい指先を見せつけ、トドメの一言を放った。
「シウレンは儂のマッサージで毎晩ヨがっていたぞ」
「え……」
アニーもエリオットも、揃って石化したように固まった。
「儂の指に翻弄されて、朝まで××まくりだ」
「コラアァア!!」
オレだけじゃなくて、イケメンにまで伏せ字を披露するなぁ!
あながち間違いでもないから始末が悪く、ミチルの顔はマグマのように燃え上がる。
「ミチルゥ! おしりは、おしりは守ったよね!? 俺のために守ってくれたんだよね!?」
アニーは号泣の果てに大混乱!
「ミチル! 我が妻よ! 心配するな、すぐにおれがNTRで清めてやるからな!」
エリオットもサレ夫気分に酔いしれる!
「もう、やだあ! 助けてえ、ジェイ!」
こうなったらエロ思考などに左右されない、鉄壁のアホだけが頼りだ。
だが、彼も。
「むうぅう……! 胸が、胸が焦げるッ!」
苦悶してブルブル震えるぽんこつナイトに、ミチルは思わずしがみついた。
「せめてジェイはしっかりしてぇ!」
「ミチルゥ! おしりの具合だけでも教えてえ!」
泣き叫ぶアニーの問いに、ミチルは思わず大声で答えてしまった。
「オレのおしりは無傷に決まってんだろぉおお!!」
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