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Meets03 小悪魔プリンス
6 王子だからではなく
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エリィは大きな瞳を輝かせて聞いた。
「なあなあ、ミチルのいたチキュウってどんなとこなんだ?」
「そこから話すの!?」
ミチル的には今は地球の話なんかどうでもいい。早くこの城から出る方法を知りたい。それと、監禁という意味も。
だがエリィはワクワクしながら催促する。
「ジャパンてどんな国なんだ? ミチルの生まれた所が知りたい!」
そんなに無邪気に聞かれては無下にする訳にもいかない。
ミチルは観念して話し始めた。
「うん、じゃあちょっとだけね……」
「へー! 500年後の未来かあ!」
エリィはただただ感心しきりでミチルの話を聞いていた。
「……っぽいってだけだよ。それくらいの時代の地球にこの世界が似てるってこと!」
「ふーむ。で、それよりも似てるのが、お前達の御伽話……ふぁんたじぃっていう設定? なんだな」
「そうだね。オレも実際の500年前を知ってる訳じゃないから、それよりもゲームの世界観って印象が強いよ」
「ふんふん。なんか知らんエネルギーで動く箱で見るというヤツだな。魔法より面白いんじゃないか?」
エリィの興味はつきない。根掘り葉掘り聞きたがるので、ミチルは少し疲れてしまった。
「あのぅ……そろそろここの話をしてもいい?」
「ん? 何だっけ!?」
「だからね、オレは元々連れが二人いるの。彼らもこの国に向かってるはずなんだ。だからすぐにでもここから出たいんだけど……」
ミチルがそう切り出すと、エリィは途端に顔を顰める。
「連れって?」
「ええと、一人はジェイっていってカエルレウムの騎士。それとアニーっていってマ……じゃなくて居酒屋経営? みたいな人」
「男だな。それも若い男」
「そうだけど」
ミチルが頷くと、エリィはさらに顔を歪めた。
「ダメ」
「何が!?」
「ミチル、お前は今、僕に公然と浮気してもいいですかって聞いたんだぞ!?」
「そんなこと聞いてないよ!」
飛躍し過ぎたエリィの考えにミチルは驚いた。まだ続くの正妻ごっこ?
「聞いたも同然だろ! しかも二人も男をひっかけるだと? えっちなのは体だけじゃなくて心もか! この魔性が!!」
カッチーン
ミチルは怒りのあまり言葉が出なかった。いくらなんでもそんな言い方はない。
「あ、そう。わかったよ、それならオレはすぐ出て行く」
ミチルは完全に頭に来て立ち上がった。
引き止めるかと思ったらエリィはそっぽを向いて吐き捨てるように言う。
「無駄だ」
プッチーン!
もうダメ、もう無理!美少年だと思ってたら、こいつは性格最悪のブ少年だった!
「もういい! じゃあね、サヨナラ!」
後のことなんか知るもんか。とにかくこの部屋を出て一目散に走ればなんとかなるかもしれない。
「無駄だって言ってるのに」
「サ、ヨ、ナ、ラ!」
意地っ張り王子! もう知らん!
ミチルはドアの前までずんずん進んで、ノブに手をかけた。
ガチッ!
だがノブはほんの少ししか降りず、ミチルは何度か力を入れたが動かなかった。
「か、鍵かかってる!?」
「な。無駄だろ」
「なんで!?」
慌てるミチルに、エリィはすっかりシラけた顔で言った。
「言ったろ、僕は監禁されてるって」
「誰に!?」
エリィは苦々しい顔で答えた。
「アルブスの王。僕の父親に、だ」
そう言うエリィの表情には、すでに何の感情も表れていなかった。
「なんでこんな事になったの?」
ミチルがもう一度椅子に座って問いただすと、エリィはすっかりヘソを曲げていた。
「言いたくない」
「はあ!?」
ミチルはエリィの我儘加減に呆れたが、そこは年下のたわごと。歩み寄ろうと試みた。
「ねえ、エリィ。親から監禁されてるなんてただ事じゃないよ。理由がわからないとどうしようもないでしょ?」
「わかった所で、お前に何が出来るんだ?」
「それは……聞いてみないとわかんないけど」
ミチルが口ごもると、エリィは大袈裟に息を吐いて言った。
「話になんないな。ミチルだってどうせここから出たいだけなんだろ? 僕のことなんかどうでもいいんだろ?」
何ソレ。何でそんなに拗ねてんの?
「早く脱出して若い男に会いたいんだろ? どっちとデキてるんだ? ああ、両方か、魔性だもんなお前」
バチコーン!!
「──あっ!」
先に驚いたのはミチルの方だった。考えるより先に手が動いていた。
「……」
エリィは呆然としていた。真珠のような白い肌が、ミチルにぶたれた頬の部分だけピンク色に染まる。
「ご、ごごご、ごめん!」
「……え?」
エリィが呆けているのも構わずに、ミチルは思いっきり謝った。それもほぼ反射的だった。
「ごめんね、エリィ! ムカついたからって年下に手をあげるなんてサイテーじゃん! ほんとごめんね!」
ミチルは自己嫌悪で恥ずかしくなった。言葉に暴力で対抗するなんて……! しかも年下に!
「……たじゃない」
「え?」
エリィは何か呟いたようだったが、ミチルには聞こえなかった。
「……何でもない。それよりお前は僕が年下だから謝ったのか?」
「そうだけど……」
ミチルが頷くと、エリィはまた瞳に光を宿してにまぁと笑う。
「やっぱりお前は愛いヤツだ! いいぞ、許してやる!」
「えええー?」
抱きつかれて頬ずりされて、普段のミチルなら心臓破壊案件だが、今は不可解の方が勝っていた。
ていうか、謝るならまずお前の方だろがい!
「僕もごめんな! 言い過ぎた、反省してる!」
おお、自発的に謝った。王子様のくせに見込みあるじゃねえか。
ならば許してやろうかとミチルはエリィと目を合わせる。そこには……
「……許して、くれる?」
ウルウルと潤んだ瞳で、愛に震える美少年!!
「にょほー!」
……完全に鼻血案件です。
ミチルの心臓はやっぱり砕け散る運命にある。
「なあなあ、ミチルのいたチキュウってどんなとこなんだ?」
「そこから話すの!?」
ミチル的には今は地球の話なんかどうでもいい。早くこの城から出る方法を知りたい。それと、監禁という意味も。
だがエリィはワクワクしながら催促する。
「ジャパンてどんな国なんだ? ミチルの生まれた所が知りたい!」
そんなに無邪気に聞かれては無下にする訳にもいかない。
ミチルは観念して話し始めた。
「うん、じゃあちょっとだけね……」
「へー! 500年後の未来かあ!」
エリィはただただ感心しきりでミチルの話を聞いていた。
「……っぽいってだけだよ。それくらいの時代の地球にこの世界が似てるってこと!」
「ふーむ。で、それよりも似てるのが、お前達の御伽話……ふぁんたじぃっていう設定? なんだな」
「そうだね。オレも実際の500年前を知ってる訳じゃないから、それよりもゲームの世界観って印象が強いよ」
「ふんふん。なんか知らんエネルギーで動く箱で見るというヤツだな。魔法より面白いんじゃないか?」
エリィの興味はつきない。根掘り葉掘り聞きたがるので、ミチルは少し疲れてしまった。
「あのぅ……そろそろここの話をしてもいい?」
「ん? 何だっけ!?」
「だからね、オレは元々連れが二人いるの。彼らもこの国に向かってるはずなんだ。だからすぐにでもここから出たいんだけど……」
ミチルがそう切り出すと、エリィは途端に顔を顰める。
「連れって?」
「ええと、一人はジェイっていってカエルレウムの騎士。それとアニーっていってマ……じゃなくて居酒屋経営? みたいな人」
「男だな。それも若い男」
「そうだけど」
ミチルが頷くと、エリィはさらに顔を歪めた。
「ダメ」
「何が!?」
「ミチル、お前は今、僕に公然と浮気してもいいですかって聞いたんだぞ!?」
「そんなこと聞いてないよ!」
飛躍し過ぎたエリィの考えにミチルは驚いた。まだ続くの正妻ごっこ?
「聞いたも同然だろ! しかも二人も男をひっかけるだと? えっちなのは体だけじゃなくて心もか! この魔性が!!」
カッチーン
ミチルは怒りのあまり言葉が出なかった。いくらなんでもそんな言い方はない。
「あ、そう。わかったよ、それならオレはすぐ出て行く」
ミチルは完全に頭に来て立ち上がった。
引き止めるかと思ったらエリィはそっぽを向いて吐き捨てるように言う。
「無駄だ」
プッチーン!
もうダメ、もう無理!美少年だと思ってたら、こいつは性格最悪のブ少年だった!
「もういい! じゃあね、サヨナラ!」
後のことなんか知るもんか。とにかくこの部屋を出て一目散に走ればなんとかなるかもしれない。
「無駄だって言ってるのに」
「サ、ヨ、ナ、ラ!」
意地っ張り王子! もう知らん!
ミチルはドアの前までずんずん進んで、ノブに手をかけた。
ガチッ!
だがノブはほんの少ししか降りず、ミチルは何度か力を入れたが動かなかった。
「か、鍵かかってる!?」
「な。無駄だろ」
「なんで!?」
慌てるミチルに、エリィはすっかりシラけた顔で言った。
「言ったろ、僕は監禁されてるって」
「誰に!?」
エリィは苦々しい顔で答えた。
「アルブスの王。僕の父親に、だ」
そう言うエリィの表情には、すでに何の感情も表れていなかった。
「なんでこんな事になったの?」
ミチルがもう一度椅子に座って問いただすと、エリィはすっかりヘソを曲げていた。
「言いたくない」
「はあ!?」
ミチルはエリィの我儘加減に呆れたが、そこは年下のたわごと。歩み寄ろうと試みた。
「ねえ、エリィ。親から監禁されてるなんてただ事じゃないよ。理由がわからないとどうしようもないでしょ?」
「わかった所で、お前に何が出来るんだ?」
「それは……聞いてみないとわかんないけど」
ミチルが口ごもると、エリィは大袈裟に息を吐いて言った。
「話になんないな。ミチルだってどうせここから出たいだけなんだろ? 僕のことなんかどうでもいいんだろ?」
何ソレ。何でそんなに拗ねてんの?
「早く脱出して若い男に会いたいんだろ? どっちとデキてるんだ? ああ、両方か、魔性だもんなお前」
バチコーン!!
「──あっ!」
先に驚いたのはミチルの方だった。考えるより先に手が動いていた。
「……」
エリィは呆然としていた。真珠のような白い肌が、ミチルにぶたれた頬の部分だけピンク色に染まる。
「ご、ごごご、ごめん!」
「……え?」
エリィが呆けているのも構わずに、ミチルは思いっきり謝った。それもほぼ反射的だった。
「ごめんね、エリィ! ムカついたからって年下に手をあげるなんてサイテーじゃん! ほんとごめんね!」
ミチルは自己嫌悪で恥ずかしくなった。言葉に暴力で対抗するなんて……! しかも年下に!
「……たじゃない」
「え?」
エリィは何か呟いたようだったが、ミチルには聞こえなかった。
「……何でもない。それよりお前は僕が年下だから謝ったのか?」
「そうだけど……」
ミチルが頷くと、エリィはまた瞳に光を宿してにまぁと笑う。
「やっぱりお前は愛いヤツだ! いいぞ、許してやる!」
「えええー?」
抱きつかれて頬ずりされて、普段のミチルなら心臓破壊案件だが、今は不可解の方が勝っていた。
ていうか、謝るならまずお前の方だろがい!
「僕もごめんな! 言い過ぎた、反省してる!」
おお、自発的に謝った。王子様のくせに見込みあるじゃねえか。
ならば許してやろうかとミチルはエリィと目を合わせる。そこには……
「……許して、くれる?」
ウルウルと潤んだ瞳で、愛に震える美少年!!
「にょほー!」
……完全に鼻血案件です。
ミチルの心臓はやっぱり砕け散る運命にある。
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