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僕たちのハッピーエンド
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数年前に災害で流されたという僕たちの廃村には当然人の気配はなく、藁葺きの家屋は全て跡形もなかった。ただ、祠のあった小さな洞穴は崩れずに残っていて、奥には壊れた祠の残骸らしきものもいくつか見えた。
奴隷狩り以来の久しい故郷は僕たちを高揚させるには十分だった。
「懐かしいね、幼馴染くん」
「僕の幼馴染くん、夢見茸に夢見草も生えてるよ」
幼馴染くんも口元を綻ばせて茸と草を採取している。こんなに浮かれている様子を見るのも珍しい。ご機嫌で可愛いなあ。
「僕の幼馴染くんはどっちから食べたい?」
幼馴染くんに問われ思案する。
夢見茸は東椎茸によく似たキノコで、生えている間はぬめりけを帯びてツヤツヤとしているが、抜いた途端に急速に萎びて乾燥してしまう。生えているままで食べると栄養満点の美味しいキノコなのだが、抜くと強い幻覚作用を帯びる不思議なキノコなのだ。腐った豆のような味がして癖になる美味しさだ。
対して夢見草は東白詰草をごく小さくしたような花で、幾重にも並んだ小さな花弁が愛らしい。その花粉に興奮作用と筋肉弛緩作用があるらしいが、花と草まで一緒に食べるのが村の決まりだった。
村にいた頃は分からなかったけど、魔界にある石鹸の味がして美味しい。懐かしくて寮の石鹸を舐めていたら幼馴染くんが「美味しい?」とにこにこしていた思い出がある。
それから夢見草は結婚の儀に使われる冠でも、あるのだ。
「えっとね、夢見草……」
「ふふ、そうだよね」
ぽすりと頭の上に夢見草の花冠を乗せられた。器用な幼馴染くんは、気付けば冠を二つ完成させていたらしい。
もう一つを受け取り幼馴染くんの頭に乗せてやる。幼馴染くんが屈んで、同じ高さで目が合った。甘い蜂蜜色の視線を熱っぽく注がれる。
幼馴染くんの手が僕の後頭部に回った。目を逸らせない。動けない。頭を固定されたまま柔く口付けられる。
「やっと、成人できるね」
「ん……」
もっとしてほしくて幼馴染くんの唇をじいと見つめるけれど、幼馴染くんは離れてしまう。
「たくさんしてあげたいけれど、儀の順番は守らないとね」
「むー……」
僕たちは祠の残骸の横で壁に背をくっつけて座り込み、足を投げ出した。互いの花冠を交換しプチプチと花を千切り少しずつ口に含む。石鹸の味がして美味しい! 幼馴染くんの「美味しいね。たんとお食べ」という声が優しい。
「結婚したら僕たちも成人だね」
「神さまの供物じゃなくなるの、変な感じ」
僕たちの村では結婚したら成人だ。子どもの間はいつ神さまの贄として捧げられるか分からないのだけど、伴侶を持てば成人とみなされ供物を生産する側となるので神さまの供物ではなくなるのだ。結婚の儀は同時に元服の儀でもある。
「そしたらさあ、僕たちの名前もクモツじゃなくなるね」
「そうだね。僕の幼馴染くん」
「成人の名を与える司祭もいないし、どうしようか」
もしゃもしゃと草を食みながら問う。本来ならば神託で僕たちの名は神さまから与えられるところなのだ。
「名はいらないよ。僕たちは幼馴染なんだから。それだけでいい。個別の名を与えられたら魂が離れ離れになってしまう」
「えへへ。うん。幼馴染くんと僕はずっと一緒、ずっと同じだよ」
幼馴染くんの熱烈な愛の告白に照れてしまう。これってプロポーズってやつ?
洞穴の壁はひんやりと背中に冷たい。苔に覆われていて柔らかく少し湿っている。
夢見草を食べ終わり、お腹をさする。効き目が出るまでまだ時間はある。
隣に座っている幼馴染くんを見やる。幼馴染くんも僕を見ていて、視線がかち合った。
「握って」
幼馴染くんの手がそうっと差し出される。僕は慎重に手をあげて、割れ物でも扱うかのようにてのひらを重ねた。
幼馴染くんの手は夜目にも白い。星屑の光を全部集めたみたいにほんのりと光っているようにさえ見えた。
「ぎゅって」
幼馴染くんの要望に応え指を絡ませてきゅうと握る。白魚のような細く滑らかな指に存外力強く握り返された。
手だけでなく身体を抱き締めたいと思ったが、夢見草が回ってきた体はずっしりと重く動かせない。
握った手の熱からじんわりと多幸感が全身に巡る。『聞き耳』は行使しようとせずとも発動されているようで、てのひらから聞こえる筋肉の収縮も血潮の流れる音も心地よく耳に響いた。容易に幼馴染くんの肉の底、心臓の奥、心中にまで潜り込める。
幼馴染くんの中は僕同様に多幸感に満ちていて、僕は悠々自適にぬるい水のようなそこを揺蕩った。
いつもどこか憂いている気配も今日ばかりは穏やかだ。撫でてやると、とろりと溶けながら覆い被さってくる。
心配性の塊も、僕を柔く飲み込みながらじゃれつく程度で、歓喜に満ちているのがわかる。
深く深く、魂の奥にまで潜り込めば手足を絡め取られ、窒息しそうなほど強く抱き締められる。全身の力で抱き返せば、じきに力が混ざり合って、同じ質量になって、境界が綻び始める。僕たちの魂は混ざり合い、区別できなくなっていく。
僕の意識が浮上した時、幼馴染くんは僕を正面から抱き込んでいた。どちらのものともつかない荒い息遣いが洞穴に響く。
僕たちはすでに衣服を纏っていなかった。
幼馴染くんの瞳孔は全開で、僕の一挙手一投足を見逃さないとばかりに強く僕を見下ろしている。
そして瞳孔が開ききっているのは僕も同じようで、夜にも関わらず世界は明るい。星々の異様な輝きは全て幼馴染くんに集束し、白い肌が眩く輝いている。後光が差している幼馴染くんは間違いなく天の使いに見えた。
幼馴染くんのしなやかな指先がゆっくりと僕の頬に触れ、次いでてのひらまでぴたりとくっつく。
柔らかいてのひらに包まれると言いようのない多幸感に包まれ頬が緩む。頬を擦り寄せると、幼馴染くんが微笑した。
幼馴染くんの指先に唇をなぞられ、小さく口を開ける。人差し指をあむりと口腔に招き入れた。幼馴染くんの指は蜂蜜みたいに甘くて、それから夢見草の石鹸の風味が混ざっていて美味しい。
よしよしと擽られる舌がくすぐったくて気持ちいい。ちゅうと吸い上げ甘噛みすると、甘さが増すから不思議だ。
「れぅ、ん、ちゅ、んん……」
「美味しいね。たんとお食べ」
『聞き耳』を行使した僕の耳に響かぬよう幼馴染くんの声はひそやかで、いっとう甘い。耳元で感じる熱い息に身体が跳ね、幼馴染くんの胸に抱き縋る。
「幼馴染くん、みみ……っ」
「ん、気持ちいいね。能力を使った後だから、いっとう優しくしてあげようね」
唇が柔く挟んだ耳朶をちゅうと吸い上げられ、もう片方は耳殻をすりすりと撫でられる。溶けてしまいそうな甘い痺れが全身に回っていく。
ビクビクと肩を跳ねさせながら幼馴染くんの首に腕を回し、頬を擦り付けた。
「ふぁ、あ、あ、んんう」
「いい子だね。可愛い、可愛い」
熱に浮かされたような幼馴染くんの声を聞きながらよしよしと頭を撫でられて、くったりと脱力する。
耳から首、鎖骨、胸、腹へと降りていく指先がくすぐったい。かと思えば脇腹から脇の下まで撫で上げられて、そのまま脇に手を差し込むと抱き起こされる。幼馴染くんの腕に任せていれば、向かい合って抱き込まれた。
次は肩、肩甲骨、背中、腰へと指先が降りていって、幼馴染くんが満足するまで身体中を撫でられた。
幼馴染くんのてのひらはあたたかく僕の体温に馴染んで、触れられると心地よくて安心する。同時にくすぐったくて気持ちよくて、震える身体を幼馴染くんに押し付ければ強く強く抱き返された。
肉体の境界をなくさんとするばかりに抱き合う。
いよいよ夢見草の効きもピークに達しているようで、世界は幼馴染くんを中心に光り輝いている。
強く触れているはずの皮膚の感触も曖昧で、肉の蠢きや血潮の流れが僕のものなのか幼馴染くんのものなのか区別できない。皮膚が癒着して、とろとろと溶けていく。僕と幼馴染くんが混ざり合う。夢の中に入り込んでいくような甘美な痺れが共鳴する。
「あっ、ん、幼馴染く、んうう、んぁ」
「っふ、僕の、幼馴染くん……っ」
世界が眩しい。視界が白く塗り潰される。最後に視界に入れたのは幼馴染くんのふつふつと沸騰するような蜂蜜色の瞳だ。唇を合わせると甘ったるい蜂蜜の味がして美味しかった。きゅうと眩しい世界から目を閉じる。目を閉じてもサイケデリックな幾何学模様から逃れられない。
とちゅ、と下腹部から水音がして、どうやらいつの間にか挿入されていたらしいことをしる。けれどその感覚も曖昧で、ただ甘やかな熱と痺れが全身を支配するばかり。僕は本当に挿入されているのか、それとも挿入でもしているのかもわからなかった。
「幼馴染くん」と呼び合う声が、呼んだのか呼ばれたのかも分からない。僕たちの声は輪郭を崩しながら曖昧に洞穴に反響して飲み込まれていく。僕たちの意識はもはや僕たちの区別がつかなかった。
暗い洞穴の奥、崩れた祠の横で僕たちはぬるい羊水の中を揺蕩うように、あるべき場所へ還るように、区別のつかない肉体で永遠と錯覚するような時間を交わい続けるのだった。
奴隷狩り以来の久しい故郷は僕たちを高揚させるには十分だった。
「懐かしいね、幼馴染くん」
「僕の幼馴染くん、夢見茸に夢見草も生えてるよ」
幼馴染くんも口元を綻ばせて茸と草を採取している。こんなに浮かれている様子を見るのも珍しい。ご機嫌で可愛いなあ。
「僕の幼馴染くんはどっちから食べたい?」
幼馴染くんに問われ思案する。
夢見茸は東椎茸によく似たキノコで、生えている間はぬめりけを帯びてツヤツヤとしているが、抜いた途端に急速に萎びて乾燥してしまう。生えているままで食べると栄養満点の美味しいキノコなのだが、抜くと強い幻覚作用を帯びる不思議なキノコなのだ。腐った豆のような味がして癖になる美味しさだ。
対して夢見草は東白詰草をごく小さくしたような花で、幾重にも並んだ小さな花弁が愛らしい。その花粉に興奮作用と筋肉弛緩作用があるらしいが、花と草まで一緒に食べるのが村の決まりだった。
村にいた頃は分からなかったけど、魔界にある石鹸の味がして美味しい。懐かしくて寮の石鹸を舐めていたら幼馴染くんが「美味しい?」とにこにこしていた思い出がある。
それから夢見草は結婚の儀に使われる冠でも、あるのだ。
「えっとね、夢見草……」
「ふふ、そうだよね」
ぽすりと頭の上に夢見草の花冠を乗せられた。器用な幼馴染くんは、気付けば冠を二つ完成させていたらしい。
もう一つを受け取り幼馴染くんの頭に乗せてやる。幼馴染くんが屈んで、同じ高さで目が合った。甘い蜂蜜色の視線を熱っぽく注がれる。
幼馴染くんの手が僕の後頭部に回った。目を逸らせない。動けない。頭を固定されたまま柔く口付けられる。
「やっと、成人できるね」
「ん……」
もっとしてほしくて幼馴染くんの唇をじいと見つめるけれど、幼馴染くんは離れてしまう。
「たくさんしてあげたいけれど、儀の順番は守らないとね」
「むー……」
僕たちは祠の残骸の横で壁に背をくっつけて座り込み、足を投げ出した。互いの花冠を交換しプチプチと花を千切り少しずつ口に含む。石鹸の味がして美味しい! 幼馴染くんの「美味しいね。たんとお食べ」という声が優しい。
「結婚したら僕たちも成人だね」
「神さまの供物じゃなくなるの、変な感じ」
僕たちの村では結婚したら成人だ。子どもの間はいつ神さまの贄として捧げられるか分からないのだけど、伴侶を持てば成人とみなされ供物を生産する側となるので神さまの供物ではなくなるのだ。結婚の儀は同時に元服の儀でもある。
「そしたらさあ、僕たちの名前もクモツじゃなくなるね」
「そうだね。僕の幼馴染くん」
「成人の名を与える司祭もいないし、どうしようか」
もしゃもしゃと草を食みながら問う。本来ならば神託で僕たちの名は神さまから与えられるところなのだ。
「名はいらないよ。僕たちは幼馴染なんだから。それだけでいい。個別の名を与えられたら魂が離れ離れになってしまう」
「えへへ。うん。幼馴染くんと僕はずっと一緒、ずっと同じだよ」
幼馴染くんの熱烈な愛の告白に照れてしまう。これってプロポーズってやつ?
洞穴の壁はひんやりと背中に冷たい。苔に覆われていて柔らかく少し湿っている。
夢見草を食べ終わり、お腹をさする。効き目が出るまでまだ時間はある。
隣に座っている幼馴染くんを見やる。幼馴染くんも僕を見ていて、視線がかち合った。
「握って」
幼馴染くんの手がそうっと差し出される。僕は慎重に手をあげて、割れ物でも扱うかのようにてのひらを重ねた。
幼馴染くんの手は夜目にも白い。星屑の光を全部集めたみたいにほんのりと光っているようにさえ見えた。
「ぎゅって」
幼馴染くんの要望に応え指を絡ませてきゅうと握る。白魚のような細く滑らかな指に存外力強く握り返された。
手だけでなく身体を抱き締めたいと思ったが、夢見草が回ってきた体はずっしりと重く動かせない。
握った手の熱からじんわりと多幸感が全身に巡る。『聞き耳』は行使しようとせずとも発動されているようで、てのひらから聞こえる筋肉の収縮も血潮の流れる音も心地よく耳に響いた。容易に幼馴染くんの肉の底、心臓の奥、心中にまで潜り込める。
幼馴染くんの中は僕同様に多幸感に満ちていて、僕は悠々自適にぬるい水のようなそこを揺蕩った。
いつもどこか憂いている気配も今日ばかりは穏やかだ。撫でてやると、とろりと溶けながら覆い被さってくる。
心配性の塊も、僕を柔く飲み込みながらじゃれつく程度で、歓喜に満ちているのがわかる。
深く深く、魂の奥にまで潜り込めば手足を絡め取られ、窒息しそうなほど強く抱き締められる。全身の力で抱き返せば、じきに力が混ざり合って、同じ質量になって、境界が綻び始める。僕たちの魂は混ざり合い、区別できなくなっていく。
僕の意識が浮上した時、幼馴染くんは僕を正面から抱き込んでいた。どちらのものともつかない荒い息遣いが洞穴に響く。
僕たちはすでに衣服を纏っていなかった。
幼馴染くんの瞳孔は全開で、僕の一挙手一投足を見逃さないとばかりに強く僕を見下ろしている。
そして瞳孔が開ききっているのは僕も同じようで、夜にも関わらず世界は明るい。星々の異様な輝きは全て幼馴染くんに集束し、白い肌が眩く輝いている。後光が差している幼馴染くんは間違いなく天の使いに見えた。
幼馴染くんのしなやかな指先がゆっくりと僕の頬に触れ、次いでてのひらまでぴたりとくっつく。
柔らかいてのひらに包まれると言いようのない多幸感に包まれ頬が緩む。頬を擦り寄せると、幼馴染くんが微笑した。
幼馴染くんの指先に唇をなぞられ、小さく口を開ける。人差し指をあむりと口腔に招き入れた。幼馴染くんの指は蜂蜜みたいに甘くて、それから夢見草の石鹸の風味が混ざっていて美味しい。
よしよしと擽られる舌がくすぐったくて気持ちいい。ちゅうと吸い上げ甘噛みすると、甘さが増すから不思議だ。
「れぅ、ん、ちゅ、んん……」
「美味しいね。たんとお食べ」
『聞き耳』を行使した僕の耳に響かぬよう幼馴染くんの声はひそやかで、いっとう甘い。耳元で感じる熱い息に身体が跳ね、幼馴染くんの胸に抱き縋る。
「幼馴染くん、みみ……っ」
「ん、気持ちいいね。能力を使った後だから、いっとう優しくしてあげようね」
唇が柔く挟んだ耳朶をちゅうと吸い上げられ、もう片方は耳殻をすりすりと撫でられる。溶けてしまいそうな甘い痺れが全身に回っていく。
ビクビクと肩を跳ねさせながら幼馴染くんの首に腕を回し、頬を擦り付けた。
「ふぁ、あ、あ、んんう」
「いい子だね。可愛い、可愛い」
熱に浮かされたような幼馴染くんの声を聞きながらよしよしと頭を撫でられて、くったりと脱力する。
耳から首、鎖骨、胸、腹へと降りていく指先がくすぐったい。かと思えば脇腹から脇の下まで撫で上げられて、そのまま脇に手を差し込むと抱き起こされる。幼馴染くんの腕に任せていれば、向かい合って抱き込まれた。
次は肩、肩甲骨、背中、腰へと指先が降りていって、幼馴染くんが満足するまで身体中を撫でられた。
幼馴染くんのてのひらはあたたかく僕の体温に馴染んで、触れられると心地よくて安心する。同時にくすぐったくて気持ちよくて、震える身体を幼馴染くんに押し付ければ強く強く抱き返された。
肉体の境界をなくさんとするばかりに抱き合う。
いよいよ夢見草の効きもピークに達しているようで、世界は幼馴染くんを中心に光り輝いている。
強く触れているはずの皮膚の感触も曖昧で、肉の蠢きや血潮の流れが僕のものなのか幼馴染くんのものなのか区別できない。皮膚が癒着して、とろとろと溶けていく。僕と幼馴染くんが混ざり合う。夢の中に入り込んでいくような甘美な痺れが共鳴する。
「あっ、ん、幼馴染く、んうう、んぁ」
「っふ、僕の、幼馴染くん……っ」
世界が眩しい。視界が白く塗り潰される。最後に視界に入れたのは幼馴染くんのふつふつと沸騰するような蜂蜜色の瞳だ。唇を合わせると甘ったるい蜂蜜の味がして美味しかった。きゅうと眩しい世界から目を閉じる。目を閉じてもサイケデリックな幾何学模様から逃れられない。
とちゅ、と下腹部から水音がして、どうやらいつの間にか挿入されていたらしいことをしる。けれどその感覚も曖昧で、ただ甘やかな熱と痺れが全身を支配するばかり。僕は本当に挿入されているのか、それとも挿入でもしているのかもわからなかった。
「幼馴染くん」と呼び合う声が、呼んだのか呼ばれたのかも分からない。僕たちの声は輪郭を崩しながら曖昧に洞穴に反響して飲み込まれていく。僕たちの意識はもはや僕たちの区別がつかなかった。
暗い洞穴の奥、崩れた祠の横で僕たちはぬるい羊水の中を揺蕩うように、あるべき場所へ還るように、区別のつかない肉体で永遠と錯覚するような時間を交わい続けるのだった。
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