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意地悪陰険腹黒ダリルの告白 - 1
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ダリルにとって、ルクレーシャはかけがえのない存在だ。彼女を初めて見た時から、ダリルの心には恋の花が咲き続けている。
入学の儀でルクレーシャの姿を目にした時、ダリルはあまりの衝撃にしばらく呆けることしかできなかった。少女は淡くも、鮮烈な色彩を以て彼の目に飛び込んできたのだ。
ふわふわと揺れる薄桃色の髪。透き通った紅水晶のような瞳に、華奢な体つき。目を細めて注視すれば、少女の体から発される膨大な魔力が、まるで桜の花びらのように周囲を舞っているのが見える。
綺麗だ。目が離せない。あの女の子はあまりにも可愛らしい……。彼女はきっと花の妖精なのだ、ここで捕まえなければすぐに消えてしまうだろう。
そう思ったダリルは、少女を呼び止め必死に話しかけた。どこから来たのかと訊けば、ルクレーシャはふっくらとした桃色の唇を動かし、遠い田舎村からやって来たのだと微笑んだ。
……可愛い。笑顔に目が釘付けになる。
声も、顔も、名前も、体から溢れ出る魔力も全部全部好ましかった。
聞きたいことが次々に溢れ出てくる。自分に初恋を芽吹かせた少女のことはなんでも知りたい。どんなに話しても話し足りない。
ダリルはルクレーシャの手を握りながら考えた。将来、絶対にこの女の子を妻に迎えようと。
貧しい田舎村からやって来たというルクレーシャは、名家の専属錬金術士になって高給を貰い、両親に恩返しがしたいのだと言った。
それなら、貴族である自分に可愛がられたらいいではないか。きっと親は喜んでくれるし、今まで体験したこともない贅沢な暮らしをさせてやれる。高慢だったダリルは、貧乏な田舎者のお前を貴族の俺様が貰ってやろうと言い放った。
……心から良かれと思ってしたその提案は、呆気なく断られてしまったが。
名家の嫡子として何不自由なく育てられてきたダリルは、貧民のルクレーシャがなぜ高貴な生まれである自分の誘いを断るのか、全く理解できなかった。
おずおずと自分を見つめながらも、しっかりと首を横に振るルクレーシャに怒りと羞恥が込み上げる。初めての告白を断られ感情の行き場を失くしたダリルは、その場を去ろうとする少女をしつこく追いかけ、ふわふわした桃色の髪を引っ掴んで逃げられなくした。
「や、やめてよダリルくん。私をいじめないで……」
潤む薄紅色の目に、そこからぽろぽろと流れる涙の雫。好きな女の子を泣かせてしまったショックにダリルは狼狽し何度も謝罪したが、同時に、彼の心に闇が覗いた。
ルクレーシャの弱々しい泣き顔が目に焼き付いて離れない。この女の子は泣き顔まで可愛いのか。もう一度見たい。もっと見たい。可愛すぎるその顔が、自分によって変化するところを見たい。
最悪な出逢いになってしまったが、花の妖精を逃がす訳にはいかない。ルクレーシャは自分の運命だ。彼女には、何が何としても自分の傍にいてもらわなければ!
それからダリルは、ルクレーシャに毎日ちょっかいを出した。
一つに結ばれた髪を馬の尻尾のようだとからかい、彼女お気に入りの赤いスカートを、田舎村に咲く野花みたいだと評する。すべすべした手を握り込み、逃げられないようにしながら少女の感情を刺激する言葉を連ねていく。
こんなことをしてはまた泣かれてしまうのに。自分でも何をしているんだろうという気持ちはあったが、とにかくルクレーシャに自分を見てほしかったダリルは、ひねくれた少年の心のまま彼女に接した。
やがてルクレーシャは、ダリルに激しく反抗するようになった。
「いい加減にしてよダリル! 貧民の私にばかり話しかけないで他の女の子のところに行ったらどう? もしかして嫌味なお貴族様の相手をしてくれる子は誰もいないのかしら? とにかくあっちに行って。意地悪陰険腹黒ダリルに構ってる暇なんてないの!」
可愛らしい顔を真っ赤にしながら、自分にちょっかいを出す男を打ち負かそうとする。眉を寄せながら一生懸命に言い返すその姿は、きゃんきゃん吠える仔犬のようだ。
怒った顔も魅力的だ。けれど、胸がちりちりするような不快感がある。
……生意気だ。
そんな風に俺を遠ざけようとしなくてもいいだろ。こっちはルクレーシャと話したくて堪らないのに、どうして他の女のところへ行けだなんて言うんだ。君に見てもらいたくて、日々一生懸命頑張っているのに。
クラスメイトたちが「レーシャ」と呼ぶから、俺はわざと「ルクス」と呼んで君の印象に少しでも残ろうとしているのに。
錬金術で作り上げた人形を操って、二十四時間三百六十五日ルクスを見守り続けているのに。休みの日は欠かさず君の後を追って、危険がないか確かめているのに。君に近づこうとする男がいれば如何なる手段を用いてでも排除しているのに。
大切なルクスに異常がないか、毎日毎日密かに写真を撮って欠かさず確かめているのに。君に似合う装身具を夜遅くまで起きて作り続けているのに。枯れない花束も、恋心を込めた魔法の首飾りも一生懸命錬金術を学んで作って手渡してきたのに。君の為なら、どんなものも手に入れるし、どんな試練にも耐えてみせるのに……。
もう両親には将来を決めた女の子がいると伝えたんだ。今度君の親御さんにも手紙を出そうと思ってる。結婚式でどんなドレスを着てもらうかいつも妄想してるんだ。君の写真を壁中に貼って毎日話しかけてるし、寝る前には欠かさず大好きだって囁いてるんだぞ。
狭い学生寮で過ごすくらいなら、俺の家に来て暮らせばいいじゃないか。俺の専属錬金術士になって、一緒に錬金術の神秘を追求してほしい。君と共にならどんなに難しい問題も、秘められた世界の謎も解き明かせそうな気がする。お願いだから逃げずに俺の傍にいてくれよ。
定期試験の度に勝負を仕掛けるのは君の様々な表情を見たいからなんだ。俺の挑発にすぐ乗る君の怒り顔が可愛くて仕方ない。勝ちを譲った時の得意げな笑みは生意気で可愛いし、俺に負けた時の悔しそうな顔は見ていてムラムラする。一ヶ月間言う事を聞かせる権利を得られた時は、口元の緩みが止められない。
材料採集の際に君に怪我を負わせることがないようにと、必死に魔物を追い払う力だって身に着けた。常に学年一位の成績でいられるよう努力した。
大好きだルクス。君との日々は俺の宝物だ。これからもずっと君と過ごしていきたい。
俺はライバルのままでいたくない。でもはっきり拒絶されてしまうのが怖くて、君に好きだって言えないんだよ。君に対する愛おしい感情が止まらなくて苦しいから、何とか態度で示そうとしてるんだ。
早く俺の気持ちに気がついてくれ!
こっちは君のことが好きで好きで大好きなのに、報われなくて頭がおかしくなりそうなんだ!
なのにルクスは、いつまでも逃げようとする。俺がどんな気持ちで君を引き止めているかも知らずに。だから、もっとからかっていじめて嫌味を言って振り回して泣かせてやりたくなるんだ。君のことが好きなのに、君が俺のせいで傷付くと胸がすく。君の怒った顔や戸惑った顔が可愛くて、苦しい。
他の奴の前で浮かべるような笑顔を俺にも向けてくれたら、もう少し素直になれるのに……。
「ルクスの馬鹿。あんなにアピールしているのに、嫌味男だとか腹黒だとか言って俺から逃げようとする。普通、あそこまで態度で示せば分かるだろ? 俺も報われない、なんであんな鈍感女を好きになってしまったのか……」
ダリルはルクレーシャを想い、切なく溜息を吐く生活を送った。
可憐で儚い外見を持つルクレーシャだが、意外にもその性格は大胆で、悪く言えばがさつだ。寮の部屋は常に散らかっているし、真面目に座学に取り組もうとしない。ルクレーシャが作るものは雑で粗が目立つが、本人はそれをちっとも悪いと思っていない。如何なる困難もすべて魔力でどうにかする、それが彼女の信念だからだ。
真面目に勉学に取り組み、細かさこそ美学と思っている自分とは正反対だ。なのに愛おしさが止まらない。ルクレーシャの浅はかさすら愛してる。
重症だ。いつもルクレーシャのことばかり考えている。彼女への恋心が膨れ上がって自分ではどうしようもできないのに、こんなことをもう六年も続けてしまっている。
お互いもう十八歳だ。そろそろ結婚したいのに、自分はまだ彼女の恋人にすらなれていない。
ルクレーシャは自分のことを嫌味たらしいライバルとしか認識していない。そう仕向けてしまったのは自分だが、彼女に男として認識してもらえないのは悲しい……。
「はあ……。馬鹿なのは、俺か……」
ライバルという関係でもいいから傍にいたい。でもそれでは決して満足できない。
ダリルは壁に貼られたルクレーシャの写真を見つめながら、己の滑稽さを嘲笑った。
*
「ほっほっほっ、これはこれは青春じゃのう! レーシャ、君は恋をしているのじゃな」
掲示板の前で教師と話すルクレーシャを見た時、ダリルは胸が抉られたような気持ちになった。
……恋。
ルクレーシャの表情には、確かに恋の色が滲んでいた。
色づいた頬。僅かに開いた唇に、潤む目。やや下がった眉。
見ていると、胸が切なく締め付けられるような顔だ。
ああ、可愛い。
確かにあの女は恋をしている。
自分もその感情をずっと抱えてきたからよく分かるのだ。
……一目見ただけで、はっきりと分かってしまった。
(俺はずっと君のことを見ていたのに。好きな奴がいるだなんて、全く気が付かなかった……)
背筋が冷え、胸に不快な澱みが溜まっていく。ルクレーシャが自分ではない男の隣に立っている想像をすると、みっともなく足が震えてしまう。
ルクレーシャに憧れを向ける男は多い。ダリルはそれら全てを裏で潰し、彼女の隣に立つ男は自分以外にいないのだと、己に向けて必死に言い聞かせてきた。
それなのに。
この目を掻い潜って彼女の心を手に入れた男がいる……!
(妬ましい。君が好きな男はいったい誰なんだ? ルクス!)
ルクレーシャはかけがえのない宝物。それを失うことになってしまったら、自分はどんな行動に出るか分からない。ルクレーシャが好きな男を骨まで滅し、彼女の自由を奪って嬲って洗脳して、永遠に自分の部屋に監禁しておく……。そんな怖ろしいことをしてしまいそうだ。
(ルクス、俺から離れないでくれ……。どうか、どうかお願いだ……!)
好きなんだ。好き、好き。好き。大好き。君と過ごす日々は明るくて幸せだった。ルクレーシャと会う前、どのように過ごしていたか思い出せない。もう元には戻れないくらいに愛している。心を埋め尽くす恋情は醜く膨れ上がって、それを向ける相手に掬い取ってもらわなければどうしようもできない。
好きな奴を教えろと縋る自分を、ルクレーシャは嫌そうな顔をして跳ね除ける。彼女に拒絶されるたび、胸の澱みはどす黒く、汚いものになっていく。必死に追いかけ続けても、ルクレーシャは決して口を割らない。
それなら、無理やり言わせてしまおう。
次の定期試験は何としても勝ってやる。勝って、自分の言うことを聞かせる大義名分を手に入れるのだ。ルクレーシャが好きな男を潰し、彼女を自分の専属錬金術士として囲い込む。そして近い内に結婚式を挙げ、一生逃げられないようにする。
妄想し続けたルクレーシャとの素晴らしい日々を、絶対に現実のものにする!
狂気的な執念を秘め、ダリルは「仲良しの薬」の作成に取り掛かった。
*
何よりも大切で、誰よりも愛おしいルクレーシャから無視された時、ダリルは更に傷つけられた。今までどんなに嫌がられても、目も合わせてもらえないほど拒絶されたことはなかったからだ。
好きな女から触れられたくないと言われ、胸の内に抱える愛が暴走していくのが分かる。
もう限界だ。ふらふらとした足取りで逃げる花の妖精を捕まえ、そのまま自分の部屋で飼ってしまおう。華奢な体を激情迸るまま抱きしめれば、ルクレーシャは自分に縋りついた後、気絶してしまった。
そして看病をするうちに気がついたのだ、彼女の股間の膨らみに。
(こんなもの今までなかったはずだぞ。ルクスのことは毎日見てるからよく分かる。一体どうしたんだ?)
ダリルは気を失ったルクレーシャのスカートをぺろりとめくり上げ、可愛らしい桃色の下着を押し上げる屹立を凝視した。
「これは……」
ルクレーシャが纏う桜の花びらのような魔力とは別に、どこか淫らさを帯びた、濃桃色の魔力が秘部に集まっている。体に変化を引き起こした原因はこの魔力塊かと呟きながら、ダリルはまじまじと股間の膨らみを見つめた。
(それにしても……。これは、刺激が強い)
体液によって下着が濡れそぼっているせいで、ルクレーシャの秘部の色や形が布越しに見えてしまう。ダリルは良心の呵責を覚えながらも、劣情に己のものを固くさせた。
「ぐ、こんなの生殺しだっ……! 落ち着け、ルクスは気を失ってるんだぞ!? ここで手を出したら男として最低だろ……」
一度気になってしまえば最後。ついルクレーシャの体をちらちらと見てしまう。
赤いスカートから覗く太ももの白さに、上下する胸の膨らみ。ふっくらとした桃色の唇、林檎のように色づいた頬。
ルクレーシャが微かにこぼす吐息が、やけに淫らに聞こえる……。
(触れたい。心にも体にも、俺の存在を刻みつけたい)
ルクレーシャを見下ろし、ダリルは素直な気持ちを紡いだ。
「好きだ、ルクス。君のことが大好きなんだ。他の男なんか見るなよ、俺のことを好きになってくれ」
弱々しい己の囁き声にダリルは自嘲した。自分はどうしようもない腰抜けだ。気を失った彼女の前でなら、こうして素直に告白できるのに。
(……君に、直接好きだと伝える勇気が欲しい)
桃色の唇をそっとなぞる。刺激にひくりと震える瞼を愛おしく思い、ダリルはルクレーシャの額にキスを落とした。
*
目を覚ましたルクレーシャは、自分の体に起きた変化についてぽつぽつと説明をした。
ライバルに勝とうとして仲良しの薬にオスの実を丸ごと入れたこと。そしてその薬を何度も味見したせいで、おそらくこの肉棒が生えてしまったこと……。
ダリルはルクレーシャの浅はかさに頭を抱えながらも、思わず唇を歪めた。
(もしかしたら俺は、とんでもないチャンスを手にしたのではないか?)
ルクレーシャに触れたい。自分の存在を深く刻みつけたい。他の男になんか渡したくない。愛しいルクレーシャを自分だけのものにしたい。
それなら、そのために何をすればいいだろうか……?
薄暗い欲望を叶えるための計画が、頭の中で素早く組み立てられていく。ダリルは涙目で震えるルクレーシャを見下ろし、笑顔で言い放った。
「何度も性的快楽を与えて体の魔力を循環させる。体に宿る異質な魔力を霧散してしまえば、その股間の盛り上がりが元に戻るはず! 喜べルクス。この俺が、君の体を隅々まで丹念に可愛がってやろう!」
性的快楽を与えてオスの実の魔力を霧散させてしまえばいいだなんて、よくもそんな大嘘を吐けたものだ。ルクレーシャが言った通り、魔力消し草を一束でも煎じて飲めば、体の異常は全て治る。
(許せルクス。俺は、嘘を吐いてでも君が欲しいんだ)
錬金術材料に詳しい自分が「魔力消し草は効果がない」と言い切ってしまえば、ルクレーシャはあっさりと信じてくれるだろう。案の定、彼女は首を傾げながらも身を委ねることを選んでくれた。
それからは止まらなかった。
焦がれ続けた女に触れることができて、胸が歓喜に脈打っている。ルクレーシャの体は小さく華奢なのに、どこを触っても柔らかい。自分とは大違いだ。
快楽に震え、喘ぎ泣く女の涙を舐め取る。ルクレーシャの滑らかな頬に舌を這わせ、ダリルはうっとりと微笑んだ。
(涙が甘い、まるで蜂蜜みたいだ)
好きだ、好きなんだルクス。愛しい俺のルクレーシャ。君の体に男のものがあってもなくても、俺は君のことが好きなままだ。
(君は本当に花の妖精なんじゃないか? ふわふわしていて、いい匂いがして。ずっと綺麗で、ずっと可愛い……)
万感の思いを込めながら甘い甘い唇を奪う。そしてそのまま彼女の腔内に入り込み、薄い舌を己のもので犯す。弱々しく縋りついてくる女の姿に、ダリルは背が震えるほど興奮した。
こんなに素晴らしいことを、たった一度きりで終わらせてやるものか。
自分が、自分だけがルクレーシャに触れ続ける。ファーストキスも、それ以上のことも。彼女の初めては全て自分が奪ってみせる。他の男なんかに絶対渡さない。彼女の心に根付いた恋は、自分が千切って枯らして綺麗に塗り替えてやる。
オスの実の魔力に蝕まれたルクレーシャの肉体は、幾度絶頂しても貪欲に快楽を求め続けた。このまま治療と称して彼女の体に触れ続けることは可能だろう……。
騙してやるのだ。
その心が俺に堕ちるまで、快楽の海に沈めてやる。
ダリルはルクレーシャの肉棒に嵌めた銀の輪をなぞり、口角を上げた。
「これは治療の対価だ。俺がオスの実の魔力をどうにかしてやる代わりに、君には俺の言う事を絶対に聞いてもらう。いいか、言う事を聞いてくれなかったらこの輪を激しく震わせてやるぞ」
ルクレーシャの瞳が潤む。
追い打ちをかけるように、更に残酷な言葉を続ける。
「君は俺が望んだら、すぐに体を差し出すこと。この言いつけを破ったらどうなるか分かるよな? どこにいても関係ない、授業中だろうと放課後だろうと、好きな奴の前だろうと……。この輪を遠慮なく震わせてやる。そうされたくなければ俺に従え。君は大勢の前で醜態を晒したくないだろ?」
銀の輪は自分しか取り外せない。ルクレーシャにはどうにもできない。
この脅しを怖れ、彼女はきっとこれからも体を預けてくれるはず。
「……俺の言う事、聞いてくれるよな」
念押しすれば、ルクレーシャはまなじりから涙を溢しつつも頷いた。
(ああ、神に感謝を。ルクスとこれからも触れ合えるなんて……!)
歓喜と罪悪感がないまぜになった複雑な感情を抱きながら、ダリルはルクレーシャを抱き締めた。
入学の儀でルクレーシャの姿を目にした時、ダリルはあまりの衝撃にしばらく呆けることしかできなかった。少女は淡くも、鮮烈な色彩を以て彼の目に飛び込んできたのだ。
ふわふわと揺れる薄桃色の髪。透き通った紅水晶のような瞳に、華奢な体つき。目を細めて注視すれば、少女の体から発される膨大な魔力が、まるで桜の花びらのように周囲を舞っているのが見える。
綺麗だ。目が離せない。あの女の子はあまりにも可愛らしい……。彼女はきっと花の妖精なのだ、ここで捕まえなければすぐに消えてしまうだろう。
そう思ったダリルは、少女を呼び止め必死に話しかけた。どこから来たのかと訊けば、ルクレーシャはふっくらとした桃色の唇を動かし、遠い田舎村からやって来たのだと微笑んだ。
……可愛い。笑顔に目が釘付けになる。
声も、顔も、名前も、体から溢れ出る魔力も全部全部好ましかった。
聞きたいことが次々に溢れ出てくる。自分に初恋を芽吹かせた少女のことはなんでも知りたい。どんなに話しても話し足りない。
ダリルはルクレーシャの手を握りながら考えた。将来、絶対にこの女の子を妻に迎えようと。
貧しい田舎村からやって来たというルクレーシャは、名家の専属錬金術士になって高給を貰い、両親に恩返しがしたいのだと言った。
それなら、貴族である自分に可愛がられたらいいではないか。きっと親は喜んでくれるし、今まで体験したこともない贅沢な暮らしをさせてやれる。高慢だったダリルは、貧乏な田舎者のお前を貴族の俺様が貰ってやろうと言い放った。
……心から良かれと思ってしたその提案は、呆気なく断られてしまったが。
名家の嫡子として何不自由なく育てられてきたダリルは、貧民のルクレーシャがなぜ高貴な生まれである自分の誘いを断るのか、全く理解できなかった。
おずおずと自分を見つめながらも、しっかりと首を横に振るルクレーシャに怒りと羞恥が込み上げる。初めての告白を断られ感情の行き場を失くしたダリルは、その場を去ろうとする少女をしつこく追いかけ、ふわふわした桃色の髪を引っ掴んで逃げられなくした。
「や、やめてよダリルくん。私をいじめないで……」
潤む薄紅色の目に、そこからぽろぽろと流れる涙の雫。好きな女の子を泣かせてしまったショックにダリルは狼狽し何度も謝罪したが、同時に、彼の心に闇が覗いた。
ルクレーシャの弱々しい泣き顔が目に焼き付いて離れない。この女の子は泣き顔まで可愛いのか。もう一度見たい。もっと見たい。可愛すぎるその顔が、自分によって変化するところを見たい。
最悪な出逢いになってしまったが、花の妖精を逃がす訳にはいかない。ルクレーシャは自分の運命だ。彼女には、何が何としても自分の傍にいてもらわなければ!
それからダリルは、ルクレーシャに毎日ちょっかいを出した。
一つに結ばれた髪を馬の尻尾のようだとからかい、彼女お気に入りの赤いスカートを、田舎村に咲く野花みたいだと評する。すべすべした手を握り込み、逃げられないようにしながら少女の感情を刺激する言葉を連ねていく。
こんなことをしてはまた泣かれてしまうのに。自分でも何をしているんだろうという気持ちはあったが、とにかくルクレーシャに自分を見てほしかったダリルは、ひねくれた少年の心のまま彼女に接した。
やがてルクレーシャは、ダリルに激しく反抗するようになった。
「いい加減にしてよダリル! 貧民の私にばかり話しかけないで他の女の子のところに行ったらどう? もしかして嫌味なお貴族様の相手をしてくれる子は誰もいないのかしら? とにかくあっちに行って。意地悪陰険腹黒ダリルに構ってる暇なんてないの!」
可愛らしい顔を真っ赤にしながら、自分にちょっかいを出す男を打ち負かそうとする。眉を寄せながら一生懸命に言い返すその姿は、きゃんきゃん吠える仔犬のようだ。
怒った顔も魅力的だ。けれど、胸がちりちりするような不快感がある。
……生意気だ。
そんな風に俺を遠ざけようとしなくてもいいだろ。こっちはルクレーシャと話したくて堪らないのに、どうして他の女のところへ行けだなんて言うんだ。君に見てもらいたくて、日々一生懸命頑張っているのに。
クラスメイトたちが「レーシャ」と呼ぶから、俺はわざと「ルクス」と呼んで君の印象に少しでも残ろうとしているのに。
錬金術で作り上げた人形を操って、二十四時間三百六十五日ルクスを見守り続けているのに。休みの日は欠かさず君の後を追って、危険がないか確かめているのに。君に近づこうとする男がいれば如何なる手段を用いてでも排除しているのに。
大切なルクスに異常がないか、毎日毎日密かに写真を撮って欠かさず確かめているのに。君に似合う装身具を夜遅くまで起きて作り続けているのに。枯れない花束も、恋心を込めた魔法の首飾りも一生懸命錬金術を学んで作って手渡してきたのに。君の為なら、どんなものも手に入れるし、どんな試練にも耐えてみせるのに……。
もう両親には将来を決めた女の子がいると伝えたんだ。今度君の親御さんにも手紙を出そうと思ってる。結婚式でどんなドレスを着てもらうかいつも妄想してるんだ。君の写真を壁中に貼って毎日話しかけてるし、寝る前には欠かさず大好きだって囁いてるんだぞ。
狭い学生寮で過ごすくらいなら、俺の家に来て暮らせばいいじゃないか。俺の専属錬金術士になって、一緒に錬金術の神秘を追求してほしい。君と共にならどんなに難しい問題も、秘められた世界の謎も解き明かせそうな気がする。お願いだから逃げずに俺の傍にいてくれよ。
定期試験の度に勝負を仕掛けるのは君の様々な表情を見たいからなんだ。俺の挑発にすぐ乗る君の怒り顔が可愛くて仕方ない。勝ちを譲った時の得意げな笑みは生意気で可愛いし、俺に負けた時の悔しそうな顔は見ていてムラムラする。一ヶ月間言う事を聞かせる権利を得られた時は、口元の緩みが止められない。
材料採集の際に君に怪我を負わせることがないようにと、必死に魔物を追い払う力だって身に着けた。常に学年一位の成績でいられるよう努力した。
大好きだルクス。君との日々は俺の宝物だ。これからもずっと君と過ごしていきたい。
俺はライバルのままでいたくない。でもはっきり拒絶されてしまうのが怖くて、君に好きだって言えないんだよ。君に対する愛おしい感情が止まらなくて苦しいから、何とか態度で示そうとしてるんだ。
早く俺の気持ちに気がついてくれ!
こっちは君のことが好きで好きで大好きなのに、報われなくて頭がおかしくなりそうなんだ!
なのにルクスは、いつまでも逃げようとする。俺がどんな気持ちで君を引き止めているかも知らずに。だから、もっとからかっていじめて嫌味を言って振り回して泣かせてやりたくなるんだ。君のことが好きなのに、君が俺のせいで傷付くと胸がすく。君の怒った顔や戸惑った顔が可愛くて、苦しい。
他の奴の前で浮かべるような笑顔を俺にも向けてくれたら、もう少し素直になれるのに……。
「ルクスの馬鹿。あんなにアピールしているのに、嫌味男だとか腹黒だとか言って俺から逃げようとする。普通、あそこまで態度で示せば分かるだろ? 俺も報われない、なんであんな鈍感女を好きになってしまったのか……」
ダリルはルクレーシャを想い、切なく溜息を吐く生活を送った。
可憐で儚い外見を持つルクレーシャだが、意外にもその性格は大胆で、悪く言えばがさつだ。寮の部屋は常に散らかっているし、真面目に座学に取り組もうとしない。ルクレーシャが作るものは雑で粗が目立つが、本人はそれをちっとも悪いと思っていない。如何なる困難もすべて魔力でどうにかする、それが彼女の信念だからだ。
真面目に勉学に取り組み、細かさこそ美学と思っている自分とは正反対だ。なのに愛おしさが止まらない。ルクレーシャの浅はかさすら愛してる。
重症だ。いつもルクレーシャのことばかり考えている。彼女への恋心が膨れ上がって自分ではどうしようもできないのに、こんなことをもう六年も続けてしまっている。
お互いもう十八歳だ。そろそろ結婚したいのに、自分はまだ彼女の恋人にすらなれていない。
ルクレーシャは自分のことを嫌味たらしいライバルとしか認識していない。そう仕向けてしまったのは自分だが、彼女に男として認識してもらえないのは悲しい……。
「はあ……。馬鹿なのは、俺か……」
ライバルという関係でもいいから傍にいたい。でもそれでは決して満足できない。
ダリルは壁に貼られたルクレーシャの写真を見つめながら、己の滑稽さを嘲笑った。
*
「ほっほっほっ、これはこれは青春じゃのう! レーシャ、君は恋をしているのじゃな」
掲示板の前で教師と話すルクレーシャを見た時、ダリルは胸が抉られたような気持ちになった。
……恋。
ルクレーシャの表情には、確かに恋の色が滲んでいた。
色づいた頬。僅かに開いた唇に、潤む目。やや下がった眉。
見ていると、胸が切なく締め付けられるような顔だ。
ああ、可愛い。
確かにあの女は恋をしている。
自分もその感情をずっと抱えてきたからよく分かるのだ。
……一目見ただけで、はっきりと分かってしまった。
(俺はずっと君のことを見ていたのに。好きな奴がいるだなんて、全く気が付かなかった……)
背筋が冷え、胸に不快な澱みが溜まっていく。ルクレーシャが自分ではない男の隣に立っている想像をすると、みっともなく足が震えてしまう。
ルクレーシャに憧れを向ける男は多い。ダリルはそれら全てを裏で潰し、彼女の隣に立つ男は自分以外にいないのだと、己に向けて必死に言い聞かせてきた。
それなのに。
この目を掻い潜って彼女の心を手に入れた男がいる……!
(妬ましい。君が好きな男はいったい誰なんだ? ルクス!)
ルクレーシャはかけがえのない宝物。それを失うことになってしまったら、自分はどんな行動に出るか分からない。ルクレーシャが好きな男を骨まで滅し、彼女の自由を奪って嬲って洗脳して、永遠に自分の部屋に監禁しておく……。そんな怖ろしいことをしてしまいそうだ。
(ルクス、俺から離れないでくれ……。どうか、どうかお願いだ……!)
好きなんだ。好き、好き。好き。大好き。君と過ごす日々は明るくて幸せだった。ルクレーシャと会う前、どのように過ごしていたか思い出せない。もう元には戻れないくらいに愛している。心を埋め尽くす恋情は醜く膨れ上がって、それを向ける相手に掬い取ってもらわなければどうしようもできない。
好きな奴を教えろと縋る自分を、ルクレーシャは嫌そうな顔をして跳ね除ける。彼女に拒絶されるたび、胸の澱みはどす黒く、汚いものになっていく。必死に追いかけ続けても、ルクレーシャは決して口を割らない。
それなら、無理やり言わせてしまおう。
次の定期試験は何としても勝ってやる。勝って、自分の言うことを聞かせる大義名分を手に入れるのだ。ルクレーシャが好きな男を潰し、彼女を自分の専属錬金術士として囲い込む。そして近い内に結婚式を挙げ、一生逃げられないようにする。
妄想し続けたルクレーシャとの素晴らしい日々を、絶対に現実のものにする!
狂気的な執念を秘め、ダリルは「仲良しの薬」の作成に取り掛かった。
*
何よりも大切で、誰よりも愛おしいルクレーシャから無視された時、ダリルは更に傷つけられた。今までどんなに嫌がられても、目も合わせてもらえないほど拒絶されたことはなかったからだ。
好きな女から触れられたくないと言われ、胸の内に抱える愛が暴走していくのが分かる。
もう限界だ。ふらふらとした足取りで逃げる花の妖精を捕まえ、そのまま自分の部屋で飼ってしまおう。華奢な体を激情迸るまま抱きしめれば、ルクレーシャは自分に縋りついた後、気絶してしまった。
そして看病をするうちに気がついたのだ、彼女の股間の膨らみに。
(こんなもの今までなかったはずだぞ。ルクスのことは毎日見てるからよく分かる。一体どうしたんだ?)
ダリルは気を失ったルクレーシャのスカートをぺろりとめくり上げ、可愛らしい桃色の下着を押し上げる屹立を凝視した。
「これは……」
ルクレーシャが纏う桜の花びらのような魔力とは別に、どこか淫らさを帯びた、濃桃色の魔力が秘部に集まっている。体に変化を引き起こした原因はこの魔力塊かと呟きながら、ダリルはまじまじと股間の膨らみを見つめた。
(それにしても……。これは、刺激が強い)
体液によって下着が濡れそぼっているせいで、ルクレーシャの秘部の色や形が布越しに見えてしまう。ダリルは良心の呵責を覚えながらも、劣情に己のものを固くさせた。
「ぐ、こんなの生殺しだっ……! 落ち着け、ルクスは気を失ってるんだぞ!? ここで手を出したら男として最低だろ……」
一度気になってしまえば最後。ついルクレーシャの体をちらちらと見てしまう。
赤いスカートから覗く太ももの白さに、上下する胸の膨らみ。ふっくらとした桃色の唇、林檎のように色づいた頬。
ルクレーシャが微かにこぼす吐息が、やけに淫らに聞こえる……。
(触れたい。心にも体にも、俺の存在を刻みつけたい)
ルクレーシャを見下ろし、ダリルは素直な気持ちを紡いだ。
「好きだ、ルクス。君のことが大好きなんだ。他の男なんか見るなよ、俺のことを好きになってくれ」
弱々しい己の囁き声にダリルは自嘲した。自分はどうしようもない腰抜けだ。気を失った彼女の前でなら、こうして素直に告白できるのに。
(……君に、直接好きだと伝える勇気が欲しい)
桃色の唇をそっとなぞる。刺激にひくりと震える瞼を愛おしく思い、ダリルはルクレーシャの額にキスを落とした。
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目を覚ましたルクレーシャは、自分の体に起きた変化についてぽつぽつと説明をした。
ライバルに勝とうとして仲良しの薬にオスの実を丸ごと入れたこと。そしてその薬を何度も味見したせいで、おそらくこの肉棒が生えてしまったこと……。
ダリルはルクレーシャの浅はかさに頭を抱えながらも、思わず唇を歪めた。
(もしかしたら俺は、とんでもないチャンスを手にしたのではないか?)
ルクレーシャに触れたい。自分の存在を深く刻みつけたい。他の男になんか渡したくない。愛しいルクレーシャを自分だけのものにしたい。
それなら、そのために何をすればいいだろうか……?
薄暗い欲望を叶えるための計画が、頭の中で素早く組み立てられていく。ダリルは涙目で震えるルクレーシャを見下ろし、笑顔で言い放った。
「何度も性的快楽を与えて体の魔力を循環させる。体に宿る異質な魔力を霧散してしまえば、その股間の盛り上がりが元に戻るはず! 喜べルクス。この俺が、君の体を隅々まで丹念に可愛がってやろう!」
性的快楽を与えてオスの実の魔力を霧散させてしまえばいいだなんて、よくもそんな大嘘を吐けたものだ。ルクレーシャが言った通り、魔力消し草を一束でも煎じて飲めば、体の異常は全て治る。
(許せルクス。俺は、嘘を吐いてでも君が欲しいんだ)
錬金術材料に詳しい自分が「魔力消し草は効果がない」と言い切ってしまえば、ルクレーシャはあっさりと信じてくれるだろう。案の定、彼女は首を傾げながらも身を委ねることを選んでくれた。
それからは止まらなかった。
焦がれ続けた女に触れることができて、胸が歓喜に脈打っている。ルクレーシャの体は小さく華奢なのに、どこを触っても柔らかい。自分とは大違いだ。
快楽に震え、喘ぎ泣く女の涙を舐め取る。ルクレーシャの滑らかな頬に舌を這わせ、ダリルはうっとりと微笑んだ。
(涙が甘い、まるで蜂蜜みたいだ)
好きだ、好きなんだルクス。愛しい俺のルクレーシャ。君の体に男のものがあってもなくても、俺は君のことが好きなままだ。
(君は本当に花の妖精なんじゃないか? ふわふわしていて、いい匂いがして。ずっと綺麗で、ずっと可愛い……)
万感の思いを込めながら甘い甘い唇を奪う。そしてそのまま彼女の腔内に入り込み、薄い舌を己のもので犯す。弱々しく縋りついてくる女の姿に、ダリルは背が震えるほど興奮した。
こんなに素晴らしいことを、たった一度きりで終わらせてやるものか。
自分が、自分だけがルクレーシャに触れ続ける。ファーストキスも、それ以上のことも。彼女の初めては全て自分が奪ってみせる。他の男なんかに絶対渡さない。彼女の心に根付いた恋は、自分が千切って枯らして綺麗に塗り替えてやる。
オスの実の魔力に蝕まれたルクレーシャの肉体は、幾度絶頂しても貪欲に快楽を求め続けた。このまま治療と称して彼女の体に触れ続けることは可能だろう……。
騙してやるのだ。
その心が俺に堕ちるまで、快楽の海に沈めてやる。
ダリルはルクレーシャの肉棒に嵌めた銀の輪をなぞり、口角を上げた。
「これは治療の対価だ。俺がオスの実の魔力をどうにかしてやる代わりに、君には俺の言う事を絶対に聞いてもらう。いいか、言う事を聞いてくれなかったらこの輪を激しく震わせてやるぞ」
ルクレーシャの瞳が潤む。
追い打ちをかけるように、更に残酷な言葉を続ける。
「君は俺が望んだら、すぐに体を差し出すこと。この言いつけを破ったらどうなるか分かるよな? どこにいても関係ない、授業中だろうと放課後だろうと、好きな奴の前だろうと……。この輪を遠慮なく震わせてやる。そうされたくなければ俺に従え。君は大勢の前で醜態を晒したくないだろ?」
銀の輪は自分しか取り外せない。ルクレーシャにはどうにもできない。
この脅しを怖れ、彼女はきっとこれからも体を預けてくれるはず。
「……俺の言う事、聞いてくれるよな」
念押しすれば、ルクレーシャはまなじりから涙を溢しつつも頷いた。
(ああ、神に感謝を。ルクスとこれからも触れ合えるなんて……!)
歓喜と罪悪感がないまぜになった複雑な感情を抱きながら、ダリルはルクレーシャを抱き締めた。
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