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最終話
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レインの朝は早い。
陽が昇らぬうちに起きるのが彼の習慣だった。
暗い部屋の中、隣で眠る少女をじっと見つめる。己の汗と精液のにおいをたっぷりと纏ったニコルに嬉しさが込み上げる。昨日の情事を思い出すと興奮が止まらない。自分はニコルに受け入れられ、彼女の中に溜め込んだ欲望を存分に放ったのだ。
「ふふっ。ニコとしちゃった。たくさんたくさんしちゃった。ふふ。んふふふふっ」
ニコルの胸の柔らかさや、繋がった時の快楽を思い出すと鼻血が出てしまいそうになる。レインはふわふわした両手で顔を覆いながら、幸せそうに照れ笑いをした。
「ニコ、僕の花嫁。昨日はとっても素敵だったね」
その問いかけに答えはない。唇を半開きにしながら寝息を立てるニコルは、深く深く眠っている。レインが頭を撫でると、彼女は嬉しそうに頬を緩ませた。
「ああ可愛い。大好き、大大大大大好きだよ僕のニコ。今日も素晴らしい一日を過ごそうね」
すやすやと眠る少女を起こさないように気をつけながら、今日を始める準備を素早く進めていく。
ニコルにいい匂いと言ってもらえるように白樺のサウナに入り、ニコルに撫でてもらうために全身の毛に櫛を通し、ニコルに格好いいと言ってもらうために糊のきいた白シャツを着て、ニコルが好きなコケモモのジャムを仕込み、ニコルのコートを仕立てるために毛を抜き、ニコルを暖めるための薪を割り、ニコルが転ばないよう雪かきをする。最後は家のポストを念入りに確認することも忘れない。
ポストの扉を開けたレインは、手紙の山を見て大きな舌打ちをした。
「……ちっ。今日も届いてる」
ニコルはとっても可愛い。本人に自覚はないが、その可愛さはここら一帯で噂になるほど有名だ。さらさらした金髪に深紅色の目、華奢だが女らしい柔らかさも併せ持つ可憐な容姿。ニコルの外見に惹かれた男たちが、どうにかお近づきになりたいとこうして手紙を送ってくる。愛の言葉が綴られた手紙は毎日大量に届けられ、束の状態で積み重ねられていた。
「クソ、忌々しい! なに僕の女に手ぇ出そうとしてるわけ? いい加減にしろよ虫どもが、潰しても潰しても次々に湧いて出るんだから!」
レインは歯ぎしりしながらひとつひとつの手紙を検分した。差出人の名前を確かめた後、ぐしゃりと握り潰す。こんな汚い欲望に塗れた不純な手紙をニコルの目に入れる訳にはいかない。
「ニコは僕の番なんだよ。身の程知らずめ、お前らの名前は覚えたからな」
獣人の男は強い苛立ちのままびりびりと手紙を破り、薪と一緒に燃やしてしまうことにした。
可愛いサンタクロースの少女は知らない。今まで何百通もの恋文が自分宛に送られていることを。その手紙を己に仕えるトナカイがひとつ残らず燃やしていることも、手紙の差出人を追い払っていることも、主の耳に噂を入れないように努力していることも知らない。
この醜い行動を知ったらニコルはきっと目を真ん丸にして驚くのだろうと想像し、レインは機嫌良さそうに笑った。
「ニコには僕の愛だけあればいいんだ。僕を見て、ニコ。僕だけを永遠に見て。そしたら僕は、いつまでも温厚なトナカイのままでいられるからさ」
ふんふんと鼻歌を紡ぎながら薄暗い空を見る。お寝坊さんのサンタクロースが起きるまでに、まだまだ時間はあるだろう。
レインは家の横に置いてある大きなそりを見て、にぃっと大きな口を歪めた。
「ちょっと運動してこようっと」
*
空高い昼時。燦々とした陽光が銀世界に柔らかく降り注ぐ。もう少しで新年を迎えるユッカ村は、一層明るい雰囲気に包まれている。澄んだベルの音が響く大通りを、不機嫌な顔で突き進む銀髪の女がいた。
「あり得ない。あり得ないっ、あり得ない! わたくしがあの子に負けたですって!?」
深緑のコートを翻しながらリザがぶつぶつと呟く。村の住民が手を振ったが、リザはそれを無視して広場を突っ切った。
今まで手に入らないものなんてなかった。莫大な富も美しさも持っている自分は強者で、望めば何でも手にすることができた。自分は他人より優れていて、微笑みを向けるだけで馬鹿な男共が勝手にかしずく。少しねだってみせれば、欲しいものは全て自分の手の中に。それがリザという女の生き方だった。
そんなリザの姿勢を狂わせたのは、ユッカ村に住む少女――ニコルだった。
ニコルの存在を知ったのは数ヶ月前だ。「ドジのニコル」と呼ばれるその少女は、サンタクロースになってから一度もプレゼントを届けたことがないらしい。しかも人間に害を与える獣人を、トナカイとして傍に置いているという。それは自分が住む隣町にも噂として流れてくるほどに広まっていて、リザは落ちこぼれのサンタクロースとやらを一目見てみようとユッカ村へ出向いたのだった。
針葉樹に囲まれた田舎村。
綺羅びやかなものも心惹かれるものもない、小さくて貧しい田舎村。
初めて訪れたユッカ村で見たものは、何にもない道で転びそうになる間の抜けた少女と、そんな少女をしっかりと支える獣人の男だった。
「ニコ、大丈夫? 僕の手をしっかりと握って。ふふ、君は僕がいないと駄目だなあ」
男の声は優しい。色違いの目は慈愛に満ちていて、少女への好意を全面に表している。そして獣人の手を取る可愛らしい少女もまた、うっとりとした顔で目を細めた。
「ありがとうレイン! 本当よね。あなたがいないとやっていけないわ」
微笑み合うふたりを見て胸がちりりと痛む。
確かに過ぎった羨望の感情にリザは戸惑った。
獣人という生き物は決して人間に靡かぬものではなかったか。それならあの男はなぜ、ニコルを大切に扱っているのだろう?
道の真ん中で立ち竦むリザのもとに、ふたりが近づいてくる。誰よりも美しいと称賛され、出歩けば必ず男から声を掛けられるリザだったが、獣人は彼女に目を向けぬまま通り過ぎていった。初めからリザの姿なんて見えていないような、そんな様子だった。
「ニコ。君って本当に可愛いね。唇も耳も鼻も背もちっちゃくて可愛い。ねえニコ、君を食べてもいい? 特に唇なんてとっても美味しそうだ」
「もう、駄目だよ。人間は食べられないって言ったでしょ」
「ふふっ。鈍感なニコ、つれないことを言わないでよ。試しにくっつけてみない? 大きな僕の口と小さな君の口はきっと相性がいいはずだよ。ね、ちょっとだけ。ちょっとだけでいいからさ」
男の甘い言葉と、必死にキスから逃れようとする少女の声が背後から聞こえてくる。ふたりのやり取りを耳にしながら、リザはそっと唇を噛み締めた。
(そんな子より、わたくしの方が遥かに魅力的でしょう? なのにどうしてあの獣人は、わたくしの方を見なかったのかしら?)
その理由は分かっている。あの獣人は他の女に目もくれないほど、少女のことしか見ていないからだ。きっとニコルのことを深く愛しているのだろう。
噂になるほど間抜けなサンタクロースと、人間たちから怖れられているトナカイもどき。嫌われ者の彼らは周囲に怯えながら暗い顔で過ごしているに違いない、そう思ってこの村に来たのに。ふたりの間に漂う雰囲気は初々しくも幸福に満ち溢れている。
宝石のような黄と青の瞳が、コケモモを思わせる深紅の瞳が、はっきりと物語っていた。
あなたのことが好きだ。
あなたさえ傍にいてくれたらいいのだと。
(……どうして、胸が苦しいの?)
哀しみ混じりの苛つきが込み上げる。
自分にはあのように笑いかけてくれる男はいない。群がる男は皆、下劣な欲を抱いてやってきた。美しい女と遊んだという実績か、あるいは自分が持つ富を目当てに近づいてくるのだ。真っ直ぐな愛情を向けてくれる男は、誰ひとりとしていなかった。
愛するとは、愛されるとは何なのか分からぬまま適当に遊び、日々の退屈を紛らわせる。つまらない男と過ごす度に内に抱える空虚はどんどん大きくなって、いつの間にか何も感じなくなってしまった。
自分は空っぽだ。純粋にお互いを求め合う彼らの姿が眩しい。
羨ましい。
妬ましい。
愛に彩られた温かな世界を、無性に壊してやりたくなった。
自分の富と美貌を見せつけ、あの獣人を手に入れてみせよう。男の愛なんてものは簡単に揺らぐ下らないものなのだと、無垢な笑みを浮かべるサンタクロースに見せつけてやるのだ。そうしてこそ、空っぽの自分が慰められる気がするから。
顔を合わせる度にレインを誘惑する。取り巻きの男たちにニコルの陰口を叩かせる。仕事ができないニコルを馬鹿にするような言葉を吐く。大量の金貨をちらつかせながら、獣人の男を寄越すよう執拗に迫る。
自分が何をしても、ニコルは決してレインを渡そうとはしない。おっとりとした深紅色の目に一生懸命力を入れて、必死に自分を追い返そうとする。
「レインは大切な家族なの。あなたなんかに渡さない! さっさとユッカ村から出ていって!」
ああ、気に入らない。本当に気に入らない。たかが男ひとりにそこまで一生懸命になれるなんて、一体どうして? 自分はそこまで愛せる存在に出逢ったことがないのに。一緒に笑い合えるような男に出逢ったことがないのに!
もううんざりだ。ふたりの世界に止めを刺してやる。
手紙を送った子供にプレゼントを届けることができれば、ニコルの勝ち。届けることができなかったら、ニコルの負け。
自分が提案したその賭け事に、落ちこぼれのサンタクロースは怯えた様子を見せた。
どうせニコルは贈り物を届けることなんてできやしない。そうしたら下僕を引き連れて、ニコルとレインを引き離してしまおう。無理やり攫ってしまえば、いつかレインも美しい自分のことを好きになる。
その時になったら嘲笑ってやるのだ。
所詮、愛なんてこんなものなのだと。
早く悲しむニコルの顔が見たい。好きな男を自分に取られ、可愛らしい顔を絶望に歪ませる少女の顔が見たい。あのふたりの関係を徹底的に壊してやったら、この胸の痛みは消えるはず。
それが計画だった。
自分は勝利を確信していた。
……なのに。
「レイン君!!」
ニコルの家に着いたリザは、獣人の姿を認め大声を出した。その声に、そりの手入れをしていたレインがゆっくりと振り向く。黄と青の目を瞬かせ、彼は少しだけ首を傾げた。
「だれ?」
「誰って、リザよ。あなたに何度も声を掛けたことがあるでしょ? この辺りで一番美しい女よ!」
ふうん、とどうでも良さそうな返事をした後、レインはぽつりと呟いた。
「人間の美醜って不思議だね」
ニコルはリザを華やかだと称していたが、自分はそうは思わない。他の人間と同じくリザも色褪せた棒人間に見える。ニコルの方がずっと色鮮やかで、華やかで、可愛い。自分が愛する女こそ世界一美しい存在なのだ。
リザが荒々しい足取りで近づいてくる。レインはそりから手を放し、じっと彼女を見据えた。
「君のことは知ってるよ、僕を巡ってニコと賭けをしたんだろ。でも、村の人間から何も聞いてない? ニコはプレゼントを届けたんだよ。だから君は、ユッカ村にやってくる理由がないはずだ」
どうしてここに来たんだいと不思議そうに言う男に、リザはぐっと拳を握りしめながら訊ねた。
「ねえ、あの子は本当にプレゼントを届けたの?」
「うん、確かにね。ニコが務めを果たすのを僕は近くで見ていたよ」
「……あの子を庇おうと嘘を吐いてるんじゃないの」
「違うよ、そんなことをして何になるんだい。それに嘘を吐いたってバレるさ。サンタクロースが役目を果たしたかどうかは、あの鳥が教えてくれるからね」
レインは空を指差した。真っ白なライチョウの群れが悠々と青空を征く。鳥を見上げ微笑むレインに、リザはとうとう激昂した。
「わたくしと来なさいよ! あの子よりもわたくしの方が、ずっとずっといい暮らしをさせてあげられるわ!!」
必死な顔で叫んだリザに、レインはすっと目を細めた。
「……あんまり大きな声を出さないで。ニコが起きてしまうだろ。それに君は僕が欲しいっていうより、何か他の目的があってこんなことをしたんだろ? 君、僕のこと全然好きじゃないって顔してる」
リザの目からは己に対する愛情や欲望を感じない。ニコルを傷付けたかったか、あるいは己が持つ権力を誇示したかったか。理由は何でもいいが、この女が自分とニコルの仲を引き裂こうとしたのは確かだ。
レインはぎり、と歯ぎしりをした。
「君のせいでニコは不安定になった。自分から離れて他の女のもとに行った方がいいんじゃないかって聞かされた僕の気持ちが分かる? ずっとずっと好きだったニコにそんなことを言われたんだよ。心臓が止まってしまうかと思った!」
獣人の怒りに呼応するように寒風が吹き込み、空気が揺れる。
レインが放つ刺々しい雰囲気に、リザはぞっと背筋が震えるのを感じた。
「許せないよ。本当に許せない。許せない、許せない……可愛い僕のニコを、愛するニコルをあんな風に苦しませて悩ませるだなんて! 追い詰められたニコは鉱山の中で死にかけたんだぞ。君との下らない賭けのために、あの凍りついた岩の中をひたすら進み続けたんだ! 角を飲ませなければニコは目を覚まさなかった!」
「あ、の。レイン君……?」
「ニコはいつだって笑っていなくちゃいけない。時々見る怒り顔も泣き顔も、それ以外の顔も見るのは僕だけでいい。僕以外の人間に少しも心を動かしてほしくない。ニコのどんな顔も、僕以外の奴には見せちゃいけないんだ!」
リザは後ずさり、自分を睨む男から距離を取った。よく見ると、レインの白シャツに赤い斑点が付着している。血痕を思わせるそれに、リザは顔を引き攣らせた。
「ああこれ、気になる? 自主サンタクロースしてきたんだ」
「……自主、サンタクロース?」
「大きなそりの上に荷物を乗せてね、山に送り届けたんだよ」
レインはわざとらしく、にっこりと笑った。
「ニコの悪口を言った奴らをひとり残らず探し出して、程々に調教した上でそりに乗せたんだ。ふふふっ。奴らは今頃、僕の同族たちに弄ばれてるんだろうなあ」
リザははっとした。
そういえば、村に顔を出すといつもやって来る下僕たちが今日は姿を見せなかった。もしかして彼らはレインに襲われてしまったのだろうか……。
残酷に笑うレインを見て、リザの胸に恐怖と後悔が込み上げる。
やはり獣人は怖ろしい。
人間に害を為すという話は正しかったのだ。
「自分も獣人を手懐けられるだって? 上等だ、やってみなよ。君のためにとっておきの奴を呼んでるよ」
「――ひっ!?」
突然、リザの首元が何かに掴まれる。
悲鳴を上げた彼女は背後から力強く捕らわれた。
「……へえ、この子が例の? 可愛いじゃん」
いつの間にかリザの後ろに、もうひとり獣人の男が立っている。
漆黒の毛、軽薄な声、刺青が施された枝角、そして平たい耳に開けられた幾つものピアス。リザをにたにたと見下ろすその獣人は、レインよりもずっと悪辣なようだ。
男は怯えるリザをじっと見つめ、楽しそうにかちかちと歯を鳴らした。
「いいね。銀髪の女は好きだ」
「気に入った?」
「ああ、如何にも高慢ちきだって顔してる。すっげえ虐め甲斐がありそう」
レインとやり取りしながら笑う獣人の男を見上げ、あなたは誰だとリザは訊ねた。
「俺? 俺はね、こいつの知り合い。獣人の男が好きな女がいるって聞いてわざわざ山奥からやって来たの。お前、トナカイを飼いたいんだって? オーケー、それなら俺が傍にいてやるよ」
「あっ、あなたはトナカイじゃないでしょ!?」
「細けえこたぁ気にすんな! 行くぞ!」
男はそう言うなりリザを勢い良く担ぎ上げた。抵抗する女に構わず、大きな笑い声を上げながら雪道を走り抜ける。男が口笛を吹くとあちこちからたくさんのオストナカイが現れ、彼らの後を追いかけていった。
「死ぬまで俺たちが可愛がってやるよ、リザ!」
リザの悲鳴が遠のいていく。
喧騒の後訪れた静寂に、レインはふうと息を吐いた。
「あーあ、これから大変だろうな。あいつは獣人の中でも一等性格が悪い。きっと散々弄ばれて、たくさんのオストナカイに家をめちゃくちゃに荒らされるんだろう。彼女は二度とユッカ村にやってこれないぞ」
他人事のように呟き、レインはくすりと笑った。
「ま、いっか。あの人間がどうなろうと、僕には関係ない」
自分はニコルと幸せに暮らせれば、それでいいのだから。
「さて、もう昼だ。そろそろニコを起こしてあげないと……」
白樺茶を淹れて、コケモモのジャムパイを焼いて。愛しい少女が火傷することがないように、焼き上がったらパイを小さく切り分けておこう。そうだ、異国から持ち帰ったレモンを使うのもいいかもしれない。爽やかで甘酸っぱいレモンパイも一緒に用意したらニコルはきっと大喜びしてくれる。
ニコルの蕩けた顔を想像しながら、レインは幸せに顔を綻ばせた。
「僕たちはいつまでも一緒だよ、ニコ。これからも同じベッドで寝て、死んだら同じ棺桶に入って、天国に行っても仲良く暮らそうね。何度生まれ変わったとしても、いつまでも君につきまとうよ」
つきまとって、受け入れられて、また結ばれて。
獣人の呪いを祝福と言ってくれたニコルに、永遠の幸せをもたらすのだ。
「ふふ……今日はよく晴れてるね。こんな日はお星さまも綺麗に見えるはずだ」
今夜は久しぶりに屋根に登って、ニコルと共に夜空を見ようか。運が良ければオーロラだって見えるかもしれない。
愛しい少女が手に持つ分光石の、あの七色の輝きを思い出す。
あれはニコルと過ごした日々のように美しかったと呟いて、レインは暖かな家の中に入った。
陽が昇らぬうちに起きるのが彼の習慣だった。
暗い部屋の中、隣で眠る少女をじっと見つめる。己の汗と精液のにおいをたっぷりと纏ったニコルに嬉しさが込み上げる。昨日の情事を思い出すと興奮が止まらない。自分はニコルに受け入れられ、彼女の中に溜め込んだ欲望を存分に放ったのだ。
「ふふっ。ニコとしちゃった。たくさんたくさんしちゃった。ふふ。んふふふふっ」
ニコルの胸の柔らかさや、繋がった時の快楽を思い出すと鼻血が出てしまいそうになる。レインはふわふわした両手で顔を覆いながら、幸せそうに照れ笑いをした。
「ニコ、僕の花嫁。昨日はとっても素敵だったね」
その問いかけに答えはない。唇を半開きにしながら寝息を立てるニコルは、深く深く眠っている。レインが頭を撫でると、彼女は嬉しそうに頬を緩ませた。
「ああ可愛い。大好き、大大大大大好きだよ僕のニコ。今日も素晴らしい一日を過ごそうね」
すやすやと眠る少女を起こさないように気をつけながら、今日を始める準備を素早く進めていく。
ニコルにいい匂いと言ってもらえるように白樺のサウナに入り、ニコルに撫でてもらうために全身の毛に櫛を通し、ニコルに格好いいと言ってもらうために糊のきいた白シャツを着て、ニコルが好きなコケモモのジャムを仕込み、ニコルのコートを仕立てるために毛を抜き、ニコルを暖めるための薪を割り、ニコルが転ばないよう雪かきをする。最後は家のポストを念入りに確認することも忘れない。
ポストの扉を開けたレインは、手紙の山を見て大きな舌打ちをした。
「……ちっ。今日も届いてる」
ニコルはとっても可愛い。本人に自覚はないが、その可愛さはここら一帯で噂になるほど有名だ。さらさらした金髪に深紅色の目、華奢だが女らしい柔らかさも併せ持つ可憐な容姿。ニコルの外見に惹かれた男たちが、どうにかお近づきになりたいとこうして手紙を送ってくる。愛の言葉が綴られた手紙は毎日大量に届けられ、束の状態で積み重ねられていた。
「クソ、忌々しい! なに僕の女に手ぇ出そうとしてるわけ? いい加減にしろよ虫どもが、潰しても潰しても次々に湧いて出るんだから!」
レインは歯ぎしりしながらひとつひとつの手紙を検分した。差出人の名前を確かめた後、ぐしゃりと握り潰す。こんな汚い欲望に塗れた不純な手紙をニコルの目に入れる訳にはいかない。
「ニコは僕の番なんだよ。身の程知らずめ、お前らの名前は覚えたからな」
獣人の男は強い苛立ちのままびりびりと手紙を破り、薪と一緒に燃やしてしまうことにした。
可愛いサンタクロースの少女は知らない。今まで何百通もの恋文が自分宛に送られていることを。その手紙を己に仕えるトナカイがひとつ残らず燃やしていることも、手紙の差出人を追い払っていることも、主の耳に噂を入れないように努力していることも知らない。
この醜い行動を知ったらニコルはきっと目を真ん丸にして驚くのだろうと想像し、レインは機嫌良さそうに笑った。
「ニコには僕の愛だけあればいいんだ。僕を見て、ニコ。僕だけを永遠に見て。そしたら僕は、いつまでも温厚なトナカイのままでいられるからさ」
ふんふんと鼻歌を紡ぎながら薄暗い空を見る。お寝坊さんのサンタクロースが起きるまでに、まだまだ時間はあるだろう。
レインは家の横に置いてある大きなそりを見て、にぃっと大きな口を歪めた。
「ちょっと運動してこようっと」
*
空高い昼時。燦々とした陽光が銀世界に柔らかく降り注ぐ。もう少しで新年を迎えるユッカ村は、一層明るい雰囲気に包まれている。澄んだベルの音が響く大通りを、不機嫌な顔で突き進む銀髪の女がいた。
「あり得ない。あり得ないっ、あり得ない! わたくしがあの子に負けたですって!?」
深緑のコートを翻しながらリザがぶつぶつと呟く。村の住民が手を振ったが、リザはそれを無視して広場を突っ切った。
今まで手に入らないものなんてなかった。莫大な富も美しさも持っている自分は強者で、望めば何でも手にすることができた。自分は他人より優れていて、微笑みを向けるだけで馬鹿な男共が勝手にかしずく。少しねだってみせれば、欲しいものは全て自分の手の中に。それがリザという女の生き方だった。
そんなリザの姿勢を狂わせたのは、ユッカ村に住む少女――ニコルだった。
ニコルの存在を知ったのは数ヶ月前だ。「ドジのニコル」と呼ばれるその少女は、サンタクロースになってから一度もプレゼントを届けたことがないらしい。しかも人間に害を与える獣人を、トナカイとして傍に置いているという。それは自分が住む隣町にも噂として流れてくるほどに広まっていて、リザは落ちこぼれのサンタクロースとやらを一目見てみようとユッカ村へ出向いたのだった。
針葉樹に囲まれた田舎村。
綺羅びやかなものも心惹かれるものもない、小さくて貧しい田舎村。
初めて訪れたユッカ村で見たものは、何にもない道で転びそうになる間の抜けた少女と、そんな少女をしっかりと支える獣人の男だった。
「ニコ、大丈夫? 僕の手をしっかりと握って。ふふ、君は僕がいないと駄目だなあ」
男の声は優しい。色違いの目は慈愛に満ちていて、少女への好意を全面に表している。そして獣人の手を取る可愛らしい少女もまた、うっとりとした顔で目を細めた。
「ありがとうレイン! 本当よね。あなたがいないとやっていけないわ」
微笑み合うふたりを見て胸がちりりと痛む。
確かに過ぎった羨望の感情にリザは戸惑った。
獣人という生き物は決して人間に靡かぬものではなかったか。それならあの男はなぜ、ニコルを大切に扱っているのだろう?
道の真ん中で立ち竦むリザのもとに、ふたりが近づいてくる。誰よりも美しいと称賛され、出歩けば必ず男から声を掛けられるリザだったが、獣人は彼女に目を向けぬまま通り過ぎていった。初めからリザの姿なんて見えていないような、そんな様子だった。
「ニコ。君って本当に可愛いね。唇も耳も鼻も背もちっちゃくて可愛い。ねえニコ、君を食べてもいい? 特に唇なんてとっても美味しそうだ」
「もう、駄目だよ。人間は食べられないって言ったでしょ」
「ふふっ。鈍感なニコ、つれないことを言わないでよ。試しにくっつけてみない? 大きな僕の口と小さな君の口はきっと相性がいいはずだよ。ね、ちょっとだけ。ちょっとだけでいいからさ」
男の甘い言葉と、必死にキスから逃れようとする少女の声が背後から聞こえてくる。ふたりのやり取りを耳にしながら、リザはそっと唇を噛み締めた。
(そんな子より、わたくしの方が遥かに魅力的でしょう? なのにどうしてあの獣人は、わたくしの方を見なかったのかしら?)
その理由は分かっている。あの獣人は他の女に目もくれないほど、少女のことしか見ていないからだ。きっとニコルのことを深く愛しているのだろう。
噂になるほど間抜けなサンタクロースと、人間たちから怖れられているトナカイもどき。嫌われ者の彼らは周囲に怯えながら暗い顔で過ごしているに違いない、そう思ってこの村に来たのに。ふたりの間に漂う雰囲気は初々しくも幸福に満ち溢れている。
宝石のような黄と青の瞳が、コケモモを思わせる深紅の瞳が、はっきりと物語っていた。
あなたのことが好きだ。
あなたさえ傍にいてくれたらいいのだと。
(……どうして、胸が苦しいの?)
哀しみ混じりの苛つきが込み上げる。
自分にはあのように笑いかけてくれる男はいない。群がる男は皆、下劣な欲を抱いてやってきた。美しい女と遊んだという実績か、あるいは自分が持つ富を目当てに近づいてくるのだ。真っ直ぐな愛情を向けてくれる男は、誰ひとりとしていなかった。
愛するとは、愛されるとは何なのか分からぬまま適当に遊び、日々の退屈を紛らわせる。つまらない男と過ごす度に内に抱える空虚はどんどん大きくなって、いつの間にか何も感じなくなってしまった。
自分は空っぽだ。純粋にお互いを求め合う彼らの姿が眩しい。
羨ましい。
妬ましい。
愛に彩られた温かな世界を、無性に壊してやりたくなった。
自分の富と美貌を見せつけ、あの獣人を手に入れてみせよう。男の愛なんてものは簡単に揺らぐ下らないものなのだと、無垢な笑みを浮かべるサンタクロースに見せつけてやるのだ。そうしてこそ、空っぽの自分が慰められる気がするから。
顔を合わせる度にレインを誘惑する。取り巻きの男たちにニコルの陰口を叩かせる。仕事ができないニコルを馬鹿にするような言葉を吐く。大量の金貨をちらつかせながら、獣人の男を寄越すよう執拗に迫る。
自分が何をしても、ニコルは決してレインを渡そうとはしない。おっとりとした深紅色の目に一生懸命力を入れて、必死に自分を追い返そうとする。
「レインは大切な家族なの。あなたなんかに渡さない! さっさとユッカ村から出ていって!」
ああ、気に入らない。本当に気に入らない。たかが男ひとりにそこまで一生懸命になれるなんて、一体どうして? 自分はそこまで愛せる存在に出逢ったことがないのに。一緒に笑い合えるような男に出逢ったことがないのに!
もううんざりだ。ふたりの世界に止めを刺してやる。
手紙を送った子供にプレゼントを届けることができれば、ニコルの勝ち。届けることができなかったら、ニコルの負け。
自分が提案したその賭け事に、落ちこぼれのサンタクロースは怯えた様子を見せた。
どうせニコルは贈り物を届けることなんてできやしない。そうしたら下僕を引き連れて、ニコルとレインを引き離してしまおう。無理やり攫ってしまえば、いつかレインも美しい自分のことを好きになる。
その時になったら嘲笑ってやるのだ。
所詮、愛なんてこんなものなのだと。
早く悲しむニコルの顔が見たい。好きな男を自分に取られ、可愛らしい顔を絶望に歪ませる少女の顔が見たい。あのふたりの関係を徹底的に壊してやったら、この胸の痛みは消えるはず。
それが計画だった。
自分は勝利を確信していた。
……なのに。
「レイン君!!」
ニコルの家に着いたリザは、獣人の姿を認め大声を出した。その声に、そりの手入れをしていたレインがゆっくりと振り向く。黄と青の目を瞬かせ、彼は少しだけ首を傾げた。
「だれ?」
「誰って、リザよ。あなたに何度も声を掛けたことがあるでしょ? この辺りで一番美しい女よ!」
ふうん、とどうでも良さそうな返事をした後、レインはぽつりと呟いた。
「人間の美醜って不思議だね」
ニコルはリザを華やかだと称していたが、自分はそうは思わない。他の人間と同じくリザも色褪せた棒人間に見える。ニコルの方がずっと色鮮やかで、華やかで、可愛い。自分が愛する女こそ世界一美しい存在なのだ。
リザが荒々しい足取りで近づいてくる。レインはそりから手を放し、じっと彼女を見据えた。
「君のことは知ってるよ、僕を巡ってニコと賭けをしたんだろ。でも、村の人間から何も聞いてない? ニコはプレゼントを届けたんだよ。だから君は、ユッカ村にやってくる理由がないはずだ」
どうしてここに来たんだいと不思議そうに言う男に、リザはぐっと拳を握りしめながら訊ねた。
「ねえ、あの子は本当にプレゼントを届けたの?」
「うん、確かにね。ニコが務めを果たすのを僕は近くで見ていたよ」
「……あの子を庇おうと嘘を吐いてるんじゃないの」
「違うよ、そんなことをして何になるんだい。それに嘘を吐いたってバレるさ。サンタクロースが役目を果たしたかどうかは、あの鳥が教えてくれるからね」
レインは空を指差した。真っ白なライチョウの群れが悠々と青空を征く。鳥を見上げ微笑むレインに、リザはとうとう激昂した。
「わたくしと来なさいよ! あの子よりもわたくしの方が、ずっとずっといい暮らしをさせてあげられるわ!!」
必死な顔で叫んだリザに、レインはすっと目を細めた。
「……あんまり大きな声を出さないで。ニコが起きてしまうだろ。それに君は僕が欲しいっていうより、何か他の目的があってこんなことをしたんだろ? 君、僕のこと全然好きじゃないって顔してる」
リザの目からは己に対する愛情や欲望を感じない。ニコルを傷付けたかったか、あるいは己が持つ権力を誇示したかったか。理由は何でもいいが、この女が自分とニコルの仲を引き裂こうとしたのは確かだ。
レインはぎり、と歯ぎしりをした。
「君のせいでニコは不安定になった。自分から離れて他の女のもとに行った方がいいんじゃないかって聞かされた僕の気持ちが分かる? ずっとずっと好きだったニコにそんなことを言われたんだよ。心臓が止まってしまうかと思った!」
獣人の怒りに呼応するように寒風が吹き込み、空気が揺れる。
レインが放つ刺々しい雰囲気に、リザはぞっと背筋が震えるのを感じた。
「許せないよ。本当に許せない。許せない、許せない……可愛い僕のニコを、愛するニコルをあんな風に苦しませて悩ませるだなんて! 追い詰められたニコは鉱山の中で死にかけたんだぞ。君との下らない賭けのために、あの凍りついた岩の中をひたすら進み続けたんだ! 角を飲ませなければニコは目を覚まさなかった!」
「あ、の。レイン君……?」
「ニコはいつだって笑っていなくちゃいけない。時々見る怒り顔も泣き顔も、それ以外の顔も見るのは僕だけでいい。僕以外の人間に少しも心を動かしてほしくない。ニコのどんな顔も、僕以外の奴には見せちゃいけないんだ!」
リザは後ずさり、自分を睨む男から距離を取った。よく見ると、レインの白シャツに赤い斑点が付着している。血痕を思わせるそれに、リザは顔を引き攣らせた。
「ああこれ、気になる? 自主サンタクロースしてきたんだ」
「……自主、サンタクロース?」
「大きなそりの上に荷物を乗せてね、山に送り届けたんだよ」
レインはわざとらしく、にっこりと笑った。
「ニコの悪口を言った奴らをひとり残らず探し出して、程々に調教した上でそりに乗せたんだ。ふふふっ。奴らは今頃、僕の同族たちに弄ばれてるんだろうなあ」
リザははっとした。
そういえば、村に顔を出すといつもやって来る下僕たちが今日は姿を見せなかった。もしかして彼らはレインに襲われてしまったのだろうか……。
残酷に笑うレインを見て、リザの胸に恐怖と後悔が込み上げる。
やはり獣人は怖ろしい。
人間に害を為すという話は正しかったのだ。
「自分も獣人を手懐けられるだって? 上等だ、やってみなよ。君のためにとっておきの奴を呼んでるよ」
「――ひっ!?」
突然、リザの首元が何かに掴まれる。
悲鳴を上げた彼女は背後から力強く捕らわれた。
「……へえ、この子が例の? 可愛いじゃん」
いつの間にかリザの後ろに、もうひとり獣人の男が立っている。
漆黒の毛、軽薄な声、刺青が施された枝角、そして平たい耳に開けられた幾つものピアス。リザをにたにたと見下ろすその獣人は、レインよりもずっと悪辣なようだ。
男は怯えるリザをじっと見つめ、楽しそうにかちかちと歯を鳴らした。
「いいね。銀髪の女は好きだ」
「気に入った?」
「ああ、如何にも高慢ちきだって顔してる。すっげえ虐め甲斐がありそう」
レインとやり取りしながら笑う獣人の男を見上げ、あなたは誰だとリザは訊ねた。
「俺? 俺はね、こいつの知り合い。獣人の男が好きな女がいるって聞いてわざわざ山奥からやって来たの。お前、トナカイを飼いたいんだって? オーケー、それなら俺が傍にいてやるよ」
「あっ、あなたはトナカイじゃないでしょ!?」
「細けえこたぁ気にすんな! 行くぞ!」
男はそう言うなりリザを勢い良く担ぎ上げた。抵抗する女に構わず、大きな笑い声を上げながら雪道を走り抜ける。男が口笛を吹くとあちこちからたくさんのオストナカイが現れ、彼らの後を追いかけていった。
「死ぬまで俺たちが可愛がってやるよ、リザ!」
リザの悲鳴が遠のいていく。
喧騒の後訪れた静寂に、レインはふうと息を吐いた。
「あーあ、これから大変だろうな。あいつは獣人の中でも一等性格が悪い。きっと散々弄ばれて、たくさんのオストナカイに家をめちゃくちゃに荒らされるんだろう。彼女は二度とユッカ村にやってこれないぞ」
他人事のように呟き、レインはくすりと笑った。
「ま、いっか。あの人間がどうなろうと、僕には関係ない」
自分はニコルと幸せに暮らせれば、それでいいのだから。
「さて、もう昼だ。そろそろニコを起こしてあげないと……」
白樺茶を淹れて、コケモモのジャムパイを焼いて。愛しい少女が火傷することがないように、焼き上がったらパイを小さく切り分けておこう。そうだ、異国から持ち帰ったレモンを使うのもいいかもしれない。爽やかで甘酸っぱいレモンパイも一緒に用意したらニコルはきっと大喜びしてくれる。
ニコルの蕩けた顔を想像しながら、レインは幸せに顔を綻ばせた。
「僕たちはいつまでも一緒だよ、ニコ。これからも同じベッドで寝て、死んだら同じ棺桶に入って、天国に行っても仲良く暮らそうね。何度生まれ変わったとしても、いつまでも君につきまとうよ」
つきまとって、受け入れられて、また結ばれて。
獣人の呪いを祝福と言ってくれたニコルに、永遠の幸せをもたらすのだ。
「ふふ……今日はよく晴れてるね。こんな日はお星さまも綺麗に見えるはずだ」
今夜は久しぶりに屋根に登って、ニコルと共に夜空を見ようか。運が良ければオーロラだって見えるかもしれない。
愛しい少女が手に持つ分光石の、あの七色の輝きを思い出す。
あれはニコルと過ごした日々のように美しかったと呟いて、レインは暖かな家の中に入った。
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面白くて一気読みしましたー!
レインとニコの結婚後、子供が生まれる頃の話もあれば読んでみたいです!
tefu様
こんにちは!橙乃紅瑚です。温かいご感想ありがとうございます。面白いと言っていただけてとっても嬉しいです!レインとニコルの番外編は、また来年のクリスマスにでも投稿しようかなと考えております〜!本作を読んでいただきありがとうございましたmm