ヤンデレトナカイと落ちこぼれサンタクロースの十二月二十四日

橙乃紅瑚

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第十四話 ★

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 レインのものを受け入れてからどれくらいが経っただろうか。自分の上に覆い被さる男と密着しながら、ニコルはじんわりと伝わってくる秘部の快楽に目を潤ませた。

 一回では終わらせられない。
 そう言ったレインは、あれから何度も自分の中で絶頂を迎えている……。

「あぁ、あっ、はぁっ、れっ、レイン……。もっ、もうお腹が……お腹のおくがたぷたぷしてるのぉっ……」

「はあっ、はっ、にこっ、ニコ! ごめんっ、きみのなかっ、本当に気持ちよくて……! 僕だめだ、腰が止められない……! はあぁっ、くるっ、うっ! あぁっ、あ、ああぁ……!」

 色気のある男の声が耳に注がれると同時に、またびゅるびゅると奥に熱い子種が放たれる。粘っこい獣の精はニコルの膣壁にどろりとこびりつくが、小さな彼女の腹では全て飲み切ることができない。大量の精液は逆流し、掻き出された愛液と共に結合部からとろとろと流れ落ちていってしまう。レインはぐしょぐしょに濡れた互いの秘部を満足そうに見つめた後、再び腰を動かし始めた。

「あっ、はあぁ……れいっ、ん! まってっ、こんなに出されたらっ、いっぱい赤ちゃんできちゃうよおっ……!」

「うんっ、うん……。いっぱい赤ちゃんトナカイを作ろうね、こうやって子作りしてっ、もこもこの赤ん坊をたくさん産んでねっ、僕のニコ……!」

 弱々しい女の懇願が上擦った男の声に掻き消される。やや正気を失った様子で、レインはニコルの頬をぺろぺろと舐め回した。

 ぐぽ、ぐぽと繋がった場所からねちっこい水音が響く。レインの抱き方は優しく、そして執拗だ。彼は腰を速く動かすことはせず、抱いている女の秘部の形を確かめるかのように肉棒を上下左右に動かしたり、腰を巧みに蠢かしてニコルが悦ぶ場所を探り当てようとする。

 逞しく盛り上がった肉傘が、よく解された少女の膣内をぐりぐりと刺激する。獣特有の陰茎に浮き出たこぶがざらざらした膣天井を擦り上げ、濃厚な愛液の分泌を促す。長時間男のものを受け入れ続けた秘腔はすっかり拡がり、獣の巨大な生殖器も難なく飲み込めるようになった。

 穏やかで包みこまれるような膣の悦楽。それが、ゆっくりと着実にニコルの身を蝕んでいく。彼女は積み重なり続けた鈍い快楽が、少しずつ大きなものになっていくのを感じ取っていた。

「ふぁっ、はっ、はひっ、いやあっ……おっ、おくぅ、とんとんするのひゃめっ……」

「はあっ、にこっ、にこるっ……分かる? 僕のあそこと君の大切なところ、粘っこく絡みあってひとつになってる……! ふふっ、そのうち本当にくっついちゃうかもね? はあっ、あうっ、僕のものが溶けちゃいそう……。あっ、またイく……! うっ、くううぅ……!」

 ふーっ、ふーっと荒い鼻息をこぼすレインは、その毛布のような体毛をニコルに擦り付けながらじりじりと腰を動かし続けている。ふわふわの毛に撫で摩られる肌が気持ちいい。男根を突き立てられている秘部が悦い……。そのアンバランスな感覚に、ニコルもまた自分の体が溶けてしまいそうな気がした。

 下半身から淫ら極まりない音が絶えず聞こえてくる。金色の陰毛と白い陰毛がべっとりと濡れ、絡みあう。後頭部に大きな手を回され、耳たぶを啄まれながら掠れた声で「好きだ」「愛してる」と囁かれる。濃密な交合に秘部が収縮して、新たな雫がこぼれ落ちていってしまう。

 終わりが見えない淫楽の時間。
 そうやってレインにしつこく抱かれているうちに、はっきりとした変化が現れた。

「あぁぁっ……。あ、やあんっ……あはあぁぁぁっ……あ、ああっ、あぁんっ……んっ、あ、あぁ、あっ、あっ、あっ……あっあっ……」

 規則的な律動と共に悩ましい女の声が上がる。穿たれているところがじくじくと疼き、ぼうっと熱を持つ。レインの肉竿にとんとんと突かれるたび身を捩りたくなるような快感に襲われる。腹から迫り上がるような、感じ入った淫らな嬌声を止めることができない。

「あっ、はあっ、はひっ、あ、へ……ひっ、きもちっ、いいよおぉ……!」

 脂汗を滲ませながらやや低い声で喘ぐニコルに、レインはうっとりとした視線を向けた。

「君のなかっ、すごいうねってきた……。僕のものをきゅうきゅう締め付けて搾り取ろうとしてくる……! にこっ、ニコも気持ちいいんだねっ……!? ふふふっ、嬉しいなあ……。もっとこのふっくらした部分を擦ってあげる……」

「うっ、ううぅううううっっ!? やぁんっ、まっへぇ! そこだめっ、そここすられるとすぐいっちゃう……! んやぁっ、おなかのおくっ、じくじくするのぉっ! ああっ、あんっ、いくっ、いぐぅっ、ああっ、――あああああぁぁぁん……!!」

 鈍い快楽しか得られなかった膣から、はっきりとした性感が込み上げる。敏感な場所をしつこくつつかれ、ニコルはぶるぶると臀部を震わせながら深く深く絶頂してしまった。

「はっ、はひ……」

 全身の力が奪われる耽溺の快楽に、ニコルはあえかな吐息を漏らした。

 絶頂の余韻が長引いている。下腹の熱がいつまでも引かない。穿たれたところから拡がった悦楽は未だ最奥に滞っていて、消えない情欲の炎をニコルの内側に燈している。何かに引きずり込まれ、そのまま落ちていってしまうような抗い難く暴力的な快感。大き過ぎる快楽が少し怖くて、ニコルは生理的な涙をぶわりと溢れさせた。

「ふっ、ふあっ、わたし……なんかへん……。全身がぞくぞくしてっ、まだお腹のおくがずきずきするっ……」

 膣を擦られることで得られた深い絶頂は、陰核から伝わる即時的で鋭い快感とはまた異なっている。女の肉芽を弄られ続けるのは辛いけれど、膣内で迎えるこの快楽は幸福感が入り交じっていて、何度でも味わえそうな感じがする。ニコルは己を抱く男に縋りつき、弱々しい困惑の視線を向けた。

「れ、れいん……わっ、たし。なかでイっちゃった……最初はほとんど感じなかったのにっ、どうして、いきなり……?」

「ふふっ……それはニコの大事なところが、僕のものにようやく慣れてきたからだよ。ふぅっ……腰をじっくりゆっくり動かした甲斐があった」

 まなじりから溢れた涙を指で掬い取られる。自分のぬかるみになお深く肉棒を突き入れる男をニコルは遠ざけようとしたが、レインは彼女の腰のくびれをがっしり掴み、そのまま腰の動きを速めた。

「はっ、はっ、にこっ、ニコっ……。君も気持ちよくなってくれて嬉しいよっ……もう、激しく動いても良さそうだね? ほらっ、この少しざらざらしたところを僕の瘤でしつこくこすってあげる。ここは舌でぺろぺろした時もっ、すごく気持ちよさそうだったよね……?」

「ああああっ!? やだやだぁっ、またさっきみたいにいっちゃう! はぁぁぁぁんっ……んはぁっ、はあっ、ああ! あっそこぉっ、そことんとんされるのいやぁっ……!」

「ねえっニコ、一緒にイこう? 僕だけが気持ちよくなるのは寂しいからっ、イくなら、ふたり一緒にっ……! ねっ? いっぱいキスしながら気持ちよくなろうよっ……うっ、はあっ、にこっ、にこぉ……!」

「んむうぅっ、あくうっ、んああああっ! やっ、れいんのぉっ、びゅるびゅるしてぇっ……! んひいっ、わたしもいくっ、いく、いっちゃう! ……ああああああぁぁぁぁぁあっ!!」

 脳天まで突き抜ける程の快感に情けない大声を出してしまう。愛しい男の生殖器を締め付けながら、ニコルは幸せそうな顔でレインに足を絡ませた。
 
 痙攣する女の最奥に、ひときわ濃厚な精液が勢い良く叩きつけられる。足指を丸めて壮絶な絶頂を迎えたニコルを、レインはうっとりと蕩けた目で見下ろした。乱れきった少女の可愛さと淫らさに赤面してしまう。レインは秘部を密着させたまま、心地よい射精の余韻に浸った。

「綺麗だ、僕のニコル。僕に散々汚されて、マーキングされた末に何度もイく君の姿は本当に綺麗だ……」

「う……ぁ、れい、ん……」

「幸せだね、ニコ。お互いの体を擦り付けるだけで堪らなく気持ちがいい。君の無垢だった体はすっかり僕専用に作り変えられてしまったね。ふふ……嬉しいなあ。もっと君を食べさせて、可愛い花嫁。君のことを深く深く愛してるよ」

 貪られるようなキスをされる。
 ぬめぬめと唇を這う舌の感触を味わいながら、ニコルはゆっくり目を閉じた。


 *


 膝裏に手を差し込まれ、片足を高く持ち上げられている。
 やや苦しい体勢のまま、剛直をぬかるみに勢い良く突き込まれている。

「ぁっ、あっ、あんっ、あぁっ! ああああっ、あはぁあっ」

 レインの大きな身体にすっぽり包まれながら、ニコルは側位の体勢で獣の肉竿を受け入れていた。背後から貫かれると今までとは異なった場所に男根が当たり、ひと突きされる毎に悶えたくなるような快感が込み上げてくる。

「ふあっ、あぐっ、れいんっ……も、むりっ……いくっ、いくのおっ! きもひよすぎてえっ、さっきからいくのとまんないっ……」

「うん、気持ちいいねニコ……挿れる時は軟らかいのに、抜く時はぎゅって締め付けてきてっ……ニコが僕を欲しがってくれてるのを感じるよ。はあっ、んぐっ、ぼ、僕もイきそうだ……!」

「ふうっ、んんんんんっ……っ、ふ、ううう……!」

「う、ぐうっ、はあっ、ああっ……! はっ、はぁ、にこ……にこ。ふふ、奥がぴくぴくしてる。僕と一緒にイってくれたんだね? ああ、かわいい……汗に濡れた君の肌はとっても美味しいよ、ニコ」

 もう大声を上げる体力もない。ただ快楽の海を揺蕩うような、強くも優しい快感に身を任せるだけ。ニコルはぽろぽろと涙を流しながらも、幸せな絶頂感に口角を上げた。

 毛布の中は湿り気と、淫らな臭気に満ちている。青臭い獣の精液と女の潮が混じり合うそれは決して良い匂いではなかったが、ふたりにとってはお互いの存在を感じられる心地よいものに思えた。繋ぎ合わせている性器はお互いの体液に濡れそぼり、レインの輝く瞳に照らされててらてらといやらしく光っている。ニコルが荒い息を吐きながら俯くと、レインは彼女の顎を掴んで上を向かせた。

「だめだよニコ、下向かないで。僕とキスをして」

 後ろから伸びてくる長い舌に自分の舌を掬い取られ、じゅうじゅうと吸われる。ニコルは一生懸命キスに応えながらも喘ぎ泣いた。ぐちゅぐちゅに濡れた結合部からは大量の白濁がぼたぼたと垂れている。もう何度絶頂を迎えたのか分からない。力が入らないニコルはそのまま倒れ、枕に顔を埋めさせた。

「ぁぁっ、あっ……」

 ずっと気持ちよさが続いている。いつまでも続く快楽の余韻に、四肢を満足に動かすことすらできない。
 
 うつ伏せになったニコルにレインが伸し掛かってくる。彼はつやつやすべすべとした少女の尻を嬉しそうに撫で回した後、ぐっとその肉を割り開いた。

「にこ、ニコっ……まだ寝ちゃだめ。僕は君が欲しくてっ、まだ欲しくて堪らないんだ。ね、収まりがつかないトナカイにご褒美をちょうだい、可愛い可愛いサンタクロース……」

 獣欲滲む男の掠れ声。更なる被虐の予感にニコルの胸がときめく。肉付きのいい尻肉をぐにぐにと揉まれながら、蕩けきった膣口に生殖器をぴとりとあてがわれる。ほんのり桃色に染まった女の尻に指を沈めながら、レインはゆっくり己のものをニコルの膣内に押し込ませた。

「ふっ、ぐっ……。んっ、ああ、ああぁぁぁあああっ……!?」

 背後から押し入ってきた衝撃にニコルは大きく目を見開いた。震える背筋を押さえつけられ、逞しい男根に串刺しにされる。足を閉じているせいか、肉棒の温かみや盛り上がった瘤の感触をくっきりと感じ取ってしまう。狭い膣内を無理やり拓いてくるそれに、ニコルは枕に顔を押し付けながらくぐもった喘ぎを漏らした。

「んんんっ、んーっ! うあっ、だえっ、だめぇえっ……。しょれだめっ、おくがごつごつあたってぇっ、さっきよりすごいのぉ……! んぅううぅっ……う、ぐぅっ……」

「ああぁ……。ニコっ、この体勢もいいね……? 中のひだが僕のものをぎゅっと締め付けて、扱いてくるっ……! は、はあっ、にこっ、ニコ。上から押さえつけたら動けないよね。このまま気持ちよくしてあげるね……」

 そう言うなり、レインは激しく腰を打ち下ろしてきた。重力を加えた力強い抽挿が、ニコルの痙攣する膣壁を勢い良く穿ち、擦り上げる。決して逃げられない体勢のまま自分の泣き所を激しく摩擦される快楽に、ニコルは大声を上げて枕をぎゅっと握った。
 
「はひっ!? はっひいぃ! ああっ、あっ! あっ、あっ、ゆるしへっ、ゆるしてぇぇ……! いやあぁっ! 上からごりごりされるのむりっ、変なところに当たってるのおっ、うっ、っ、……っ! うあっ、――あああああああああぁぁぁぁあぁっ!!」

 呆気なく絶頂を迎えさせられる。だが射精を堪えたレインはニコルに構うことなくそのまま腰の動きを加速させた。ばちゅばちゅと激しい音を立てて互いの体がぶつかり合う。既に汚しきった女の膣に自分の体液を塗り込めるように、レインは腰を蠢かせぐりぐりとニコルの内を掻き回してきた。どくどくと放たれる熱い飛沫が、ニコルをたちまち次の高みに押し上げていく。

「やぁあああああっ! せーえきっ、ずりずりってぬっちゃいやぁあああ……。んふうっ、んぐっ、んぐ、いくうっ……。やあっ、もうぬかないでっ、もう突かないれえっ……。あっもうだめっ、だめっ……あっ、い――いやああああぁあああああっ……!!」

 甲高い絶頂の悲鳴を上げる。背を仰け反らせながら乱れ泣くニコルは、そのままくたりと体を弛緩させた。
 
 すっかり膣内なかでイけるようになったね、と嬉しそうな男の声が落ちてくる。力が入らない腰を持ち上げてくるレインはまだまだやる気のようだ。大好き、愛してる、孕んで、いっぱいご褒美ちょうだいという声を聞きながら、ニコルはぼんやりとリザの言葉を思い出していた。

 ――獣人は絶倫だと聞くの、夜もわたくしを満足させてくれそうよね?

 絶倫。その言葉を身を以て経験すると何も言えなくなってしまう。こんな凄まじい交合を繰り出す獣人についていける人間の女はきっといない。幾多の男と遊ぶというリザでさえ、あっという間に持て余してしまうだろう。

「はあっ、にこぉ……。大好き、大好きだよ……。こんなものじゃ語りきれないくらい君のことを愛してる。僕の花嫁、愛しいつがい、これからもずっとこんなことをしようね……!」

 レインの重すぎる愛と性欲に目眩がする。
 ニコルは、自分がふわふわもこもこした沢山の仔トナカイに囲まれる未来を想像した。


 *


 尻だけを高く持ち上げられ、背後から激しく男根を突き挿れられる。獣の交尾のような格好で、自分では決して届かない奥の部分をレインにぐりぐりと抉られてしまう。優しくて、しつこくて、逃れようのない残酷な愛撫。何回も、何十回も気持ちよくさせられたそこはもう震えて仕方ないのに、獣人の男は相変わらず嬉しそうに擦り上げてくる。

「あっ、あっ、あっ、ああぁぁっ! やっ……おくっ、とんとんしないでぇっ、ひっ、ひぃん! ぐりぐりかき回すのもいやっ、あっ、ひぁうっ、ひっ……んううううううぅぅ!」

 引き攣れた叫び声を上げてしまいそうになるのを、すんでのところで我慢する。唇を噛み締めるニコルの頬を撫で、レインは声を出すように促した。

「ニコ、そんなに強く唇を噛んじゃだめだ。どうして声を我慢してるの? 君のイく声を聞かせて」

「やっ、やあ……。だってっ、こんな大声ばっかり上げてたら誰か来ちゃうかもしれないじゃないっ! あなたにご褒美をあげてから、ずっと悲鳴みたいな声を出してるのに……!」

「誰も来ないよ。僕たちの家は村の離れにあるし、玄関にはしっかり鍵をかけてる」

 それに、誰かやって来たとしても君の声を聞かせてやればいいじゃないか。
 君は僕の女なんだって村の奴らに知らしめてやればいい……。 

 仄暗い声で囁き、レインはニコルの乳房に手を伸ばした。男根を突き立てながらぴんと尖りきった薄紅色の飾りをくりくりと捏ね、ニコルの嬌声を引き出そうとする。片方だけ乳輪の中に隠れていた陥没乳首は、度重なる絶頂によってその先端を覗かせていた。

「ふふっ、ようやく顔を出してくれた。はあっ、ニコはおっぱいも陰核も恥ずかしがり屋で可愛いね……。この可愛い乳首を、僕のふわふわの指で擦ってあげるね。もうかくれんぼしないように、いっぱい摘んで大きくしてあげないとね」

「ふあっ、んんんぅっ、やあっ、ち、くびだめぇ……! やっ、そんな風にひっぱらないでよぉっ! あっ、あうっ、あはぁっ、あぁぁぁぁあああああっ……」

 敏感な乳首を爪でかりかり引っ掻かれると堪らない。下半身に加えられる重い衝撃と共に胸を弄られると、切ない快感が込み上げてきて声を抑えられなくなる。我慢できなくなったニコルが擦り切れた嬌声を上げると、レインは満足そうに微笑んだ。

 腰の動きが再び速まる。尻だけを高く上げた体勢で抱かれるのも堪らなく気持ちいいけれど、どこかに落ちてしまいそうな感覚がして不安だ。自分を優しく、力強く支えてくれるものが欲しい……。 
 
 自分を貫く剛直に乱れながらも、ニコルは一生懸命背後にいるレインに腕を伸ばした。

「ああぁあっ、あっ、れいんっ、レイン……。ねえっ、後ろから突かれるのもいいけどっ、あなたに抱きしめてほしいのっ……! おねがっ、あなたの顔をみたいっ、あなたに見られながらイきたい……!」

 伸ばしたニコルの手がしっかりと握られ、そのまま体を優しく横たえられる。
 レインは愛する女の顔を真っ直ぐに見つめ、その唇を奪った。

「にこ……。僕のニコルっ、なんて可愛いんだ……。すきっ、大好き、大好きだよ……! 君の全部が好きだ、ニコ……!」

「んっ、んん……ふふっ、うれしい……わたしもっ、レインのことが好きよ……!」

 お互いの舌と足を絡ませながら、ひとつに溶け合うかのように体を擦り合わせる。両頬に手を添えられながらキスをされ、ニコルは幸福のなか蕩けるような絶頂に浸った。

「ふあっ、んぅっ、ああっ……あ、いっちゃう……! れいんっ、もうだめっ、もうだめぇえっ……! あっ、ひあっ、んんんっ――んはあああああああああぁぁぁっ……!」

 強烈な性的絶頂に痙攣する体をぎゅうと抱きしめられる。もふもふ、ふさふさとした体毛に全身をすっぽりと包みこまれ、毛布の隙間から流れ込む冷気に晒されないよう温められる。男の真っ白い胸毛に顔を寄せ、ニコルはふにゃりと頬を緩ませた。

「……もこもこ。レインのむなげ、きもちいい」

 十年以上を共に過ごしてきた不可思議なトナカイの獣人。彼の襟巻きのような胸毛は、いつ触ってもふかふかもふもふ気持ちよくて、深い安らぎを与えてくれる。ほんのりと汗のにおいがする胸毛に顔を埋め、ニコルは幸せそうに深呼吸を繰り返した。

「ね、レインにこんなことしていいのは私だけよね」

「ふふ……。うん、ニコだけだよ」

「あなたの胸毛を撫でるのも、背に乗るのも、一緒に仕事するのも、こんなことをするのも、全部全部私だけよ。他の女の子になんて絶対渡さないわ!」

 レインの広い背に腕を回し、負けじと力を込めて抱きしめる。
 疲労に朦朧とする意識のなか、ニコルは笑みを浮かべながら独占欲が滲む言葉を囁いた。

「愛してるわ、レイン。優しくて格好いい私だけのトナカイさん。いつまでもいつまでも一緒にいてね」

 深紅色の瞳がとろりと眠たそうに光る。彼女はもう限界のようだ。レインが「ご褒美ありがとう」と囁くと、ニコルはひとつ頷いてゆっくり目を閉じた。

 ニコルの様子を窺いながら、角のかけらを煎じたものを飲ませる。レインが艷やかな金髪を撫で梳くと、彼女はすぐに穏やかな寝息を立て始めた。

「愛してるよ、ニコ。僕だけの可愛いサンタクロース。これまでも、これからも、僕は君と共にいる」

 大好きな少女と結ばれた、その強い幸福が胸を満たしている。

 ニコルと自分の身体を毛布で包み込む。
 温かいふたりだけの世界の中、レインはすやすやと眠る少女の顔を眠くなるまで見つめ続けた。
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