5 / 12
伊達メガネ
しおりを挟む
達也はいつもメガネをかけていた。
視力は両方とも「1.5」で、悪くはない。
達也がかけていたのは、伊達メガネ。
フレームが太い黒ぶちのメガネ。
このメガネは、
昨年のクリスマスの日に
道に落ちていたのだ。
普通は気持ち悪くて拾ったりはしないんだけど、そのメガネはハイブランドのような
高級感と金持ちがいかにもつけていそうな
品があったのだ。
だから、達也はそれを拾い警察には届けず
自分が使っていたのだ。
周りからの評判も良かった。
大学1年の達也は六畳一間のアパートを
借りて1人暮らしをしていた。
「お腹すいたなあ…何か買いに行こうか。」
達也はお気に入りのメガネをかけ、駅前のスーパーに出掛けた。
で、帰り道に迷ってしまった。
「嘘だろう…あれ…いつもの駅前のスーパーに行っただけなのに、迷うか?普通…。今日は疲れているのかなあ。」
空を見上げた。
夕方の景色はとても綺麗だが、
達也の住む街の夕焼けはちょい不気味に感じていた。
理由は上手く言えないけど、
左側にある公園と右側に並ぶボロアパートの隙間から見える夕焼けがとても奇妙な不気味な色に見えた。赤黒い色。
「お兄ちゃん、迷子になったの?」
9歳位のおかっぱで白いワンピースを着た
女の子が話しかけてきた。
「あっ…いや別に。」
子供は苦手だ。
「迷子になったらあかんで。帰れなくなるよ。」
そう言って走っていった。
「何だったんだろう。あの子…
まあ、いいや、真っ直ぐに歩いていれば
いずれ家につくでしょう。」
でも、何時間歩いても家には辿り着けない。
むしろ、どんどん遠ざかっているような気さえする。
「…何だってこんな事に。
そうだ!スマホ!スマホでみんなに聞いてみよう…」
昔からよくある都市伝説みたいな事を
ふっと思い出した。
都市伝説では、知らない街に行ってしまい
snsで呼びかけるというもの。
まさか、自分がこんな目に合うとは。。
「圏外!!うそだろう。」
スマホを投げ捨てたくなる気分だった。
また、何時間も歩く。近所をぐるぐる回っている感覚、だけど一向に家にはつかない。
もう、夜になってしまった。
伊達メガネのレンズが曇って、視界が真っ白になる。
「あっー!邪魔だ!」
達也はメガネを取った、瞬間、後ろから
「振り返っちゃダメだからね。」
小さな女の子の声が聞こえた。
背中がゾッと凍りつくのを感じた。
「振り返るなって、よくお化けの話に出てくる、あれかよ…」
達也は前からドラマや映画を見ながら「振り向く奴はバカだ、」と画面越しでいつも思っていた。
とうとう、自分にそんな時がこようとは。
「ふっ…振り向かないよ…
俺…本当に霊界の中に迷い込んだのかなあ…」
一歩ずつ噛み締めるように前に進んだ。
右手で持ってる、メガネが汗でじっとりしている。
一歩…
一歩…
どれくらい歩いただろう。
ようやく見慣れたアパートが見えてきた。
達也は安堵と共に持っていた伊達メガネを
かけた。
その瞬間
「君のアパートじゃないよ…きゃははは」
耳元で確かにはっきり聞こえた。
「いいかげんしろよ!俺のアパートだよ!」
振り向いてしまった…
そこには、9歳位のおかっぱの女の子が
ニヤリと笑みを浮かべながら立っていた。
「振り向くなって言ったよね」
女の子はそう言うとすごい速さで達也に近づき腕を掴んだかと思うとみるみる顔がシワシワの老婆の顔に変わっていき、
そして…俺は…
メガネだけが道に転がり落ちた。
次の持ち主を待つかのように…
………
「振り向くなって言ったのに…」
視力は両方とも「1.5」で、悪くはない。
達也がかけていたのは、伊達メガネ。
フレームが太い黒ぶちのメガネ。
このメガネは、
昨年のクリスマスの日に
道に落ちていたのだ。
普通は気持ち悪くて拾ったりはしないんだけど、そのメガネはハイブランドのような
高級感と金持ちがいかにもつけていそうな
品があったのだ。
だから、達也はそれを拾い警察には届けず
自分が使っていたのだ。
周りからの評判も良かった。
大学1年の達也は六畳一間のアパートを
借りて1人暮らしをしていた。
「お腹すいたなあ…何か買いに行こうか。」
達也はお気に入りのメガネをかけ、駅前のスーパーに出掛けた。
で、帰り道に迷ってしまった。
「嘘だろう…あれ…いつもの駅前のスーパーに行っただけなのに、迷うか?普通…。今日は疲れているのかなあ。」
空を見上げた。
夕方の景色はとても綺麗だが、
達也の住む街の夕焼けはちょい不気味に感じていた。
理由は上手く言えないけど、
左側にある公園と右側に並ぶボロアパートの隙間から見える夕焼けがとても奇妙な不気味な色に見えた。赤黒い色。
「お兄ちゃん、迷子になったの?」
9歳位のおかっぱで白いワンピースを着た
女の子が話しかけてきた。
「あっ…いや別に。」
子供は苦手だ。
「迷子になったらあかんで。帰れなくなるよ。」
そう言って走っていった。
「何だったんだろう。あの子…
まあ、いいや、真っ直ぐに歩いていれば
いずれ家につくでしょう。」
でも、何時間歩いても家には辿り着けない。
むしろ、どんどん遠ざかっているような気さえする。
「…何だってこんな事に。
そうだ!スマホ!スマホでみんなに聞いてみよう…」
昔からよくある都市伝説みたいな事を
ふっと思い出した。
都市伝説では、知らない街に行ってしまい
snsで呼びかけるというもの。
まさか、自分がこんな目に合うとは。。
「圏外!!うそだろう。」
スマホを投げ捨てたくなる気分だった。
また、何時間も歩く。近所をぐるぐる回っている感覚、だけど一向に家にはつかない。
もう、夜になってしまった。
伊達メガネのレンズが曇って、視界が真っ白になる。
「あっー!邪魔だ!」
達也はメガネを取った、瞬間、後ろから
「振り返っちゃダメだからね。」
小さな女の子の声が聞こえた。
背中がゾッと凍りつくのを感じた。
「振り返るなって、よくお化けの話に出てくる、あれかよ…」
達也は前からドラマや映画を見ながら「振り向く奴はバカだ、」と画面越しでいつも思っていた。
とうとう、自分にそんな時がこようとは。
「ふっ…振り向かないよ…
俺…本当に霊界の中に迷い込んだのかなあ…」
一歩ずつ噛み締めるように前に進んだ。
右手で持ってる、メガネが汗でじっとりしている。
一歩…
一歩…
どれくらい歩いただろう。
ようやく見慣れたアパートが見えてきた。
達也は安堵と共に持っていた伊達メガネを
かけた。
その瞬間
「君のアパートじゃないよ…きゃははは」
耳元で確かにはっきり聞こえた。
「いいかげんしろよ!俺のアパートだよ!」
振り向いてしまった…
そこには、9歳位のおかっぱの女の子が
ニヤリと笑みを浮かべながら立っていた。
「振り向くなって言ったよね」
女の子はそう言うとすごい速さで達也に近づき腕を掴んだかと思うとみるみる顔がシワシワの老婆の顔に変わっていき、
そして…俺は…
メガネだけが道に転がり落ちた。
次の持ち主を待つかのように…
………
「振り向くなって言ったのに…」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

【短編】怖い話のけいじばん【体験談】
松本うみ(意味怖ちゃん)
ホラー
1分で読める、様々な怖い体験談が書き込まれていく掲示板です。全て1話で完結するように書き込むので、どこから読み始めても大丈夫。
スキマ時間にも読める、シンプルなプチホラーとしてどうぞ。
【本当にあった怖い話】
ねこぽて
ホラー
※実話怪談や本当にあった怖い話など、
取材や実体験を元に構成されております。
【ご朗読について】
申請などは特に必要ありませんが、
引用元への記載をお願い致します。



クマの短編ホラー小説
クマミー
ホラー
ふと思いついたミステリー、ホラー系の内容を書いています。出来るだけ短編ものを目指して書きたいと思っていますが、たまに長くなっているものもありますので、ご容赦ください。もし来てくださったら、楽しんでいってくださいね!
たまにほっこりホラーも書いてます!
この世には人智の及ばない超常現象が存在する…
それを信じるか…
信じないかは…
読んだあなた次第…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる