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第16話 夢見獏先生の夢講座
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「……ごちそうさま」
すべてを平らげ、箸を揃えて置く。
人間に化けた夢を食うバクに人間の素晴らしさについて語られながら手作り料理を振る舞われる――なんていうよく分からない状況だというのに、久々のまともな食事のおかげで、すっかり気持ちが落ち着いてしまった。
「お粗末さまでした。さて……では、本題に入りましょうか」
そう言って夢見が俺の前に置いたのは、大粒の苺が載ったミルフィーユだった。
夜の生クリームはそろそろキツくなってくるお年頃だが、幸い今日は疲れていたのでいくらでも入りそうだ。
俺はいそいそとテーブルに備え付けられていたトレーから小さなフォークを取り出す。
「食後のデザートまであったのか。いただきま――」
「おっと。まだ食べてはいけません」
反対側から皿を引っ張られたせいで、俺のフォークは見事に空振りした。
「は?」
「これは、夢の構造を説明するための教材です」
「教材……?」
「私にとっては当たり前のことでも、人間である昭博にとっては未知の世界ですからね。どう説明するのがいいのか一晩考えて、たどり着いたのがこのミルフィーユです」
夢見はカウンターから身を乗り出し、ミニチュアの指示棒のようなものでミルフィーユを示した。
……よく見たら先を細く削ったシナモンスティックだった。器用な奴だ。
「まず、この一番上に載っている苺……これは人間の表層意識です。いわゆる、自分で自覚できる心の部分ですね。そして、生クリームを挟んだそれ以下……このパイ生地でできた層が、夢の領域となる深層意識です」
「深層意識……この、生クリームとパイの層がか?」
「その通りです。人間の心とはとっても複雑なものなんですよ」
出来の良い生徒を前にしたように満足そうな顔をした夢見が、一瞬ムツゴロウさんと重なる。
さては、さっきの家畜だのネコチャンだのの話のせいだな……。
今この時も、夢見は無知なネコチャンに懇切丁寧に説明をしてあげているような気分なのかもしれない。
腹が立つが、うらやましい。俺もふわふわのネコチャンと言語で意思疎通を図りたいし、その夢の中に入ってみたい。でっかい魚の夢とか見てんのかなぁ。可愛いなぁ。
「昭博、聞いてますか?」
「あ、うん」
「深層意識でも、この一番上の層……上層部分は、ふとした拍子に自覚できるものになります。しかし下の層は違います。
誰にも知られたくない、なかったことにしたいような出来事や思いは――深層意識の下層に沈んでいき、やがては本人でさえ忘れ去ってしまいます」
シナモンスティックの支持棒が、3つの層を重ねたミルフィーユの一番下を指す。
そこには小さなラズベリーが潜んでいるらしく、瑞々しい赤がちらりと覗いていた。
「夢に入るときも、まずは上層からです。先日のマイさんの夢も上層部分でした。一方で”傷んだ悪夢”は、下層から発生し、上層へと少しずつ意識を蝕んでいきます」
夢見が、シナモンスティックを一番下の層から上へと、ゆっくり動かす。
「一番上の層が侵され尽くしたその時――”傷んだ悪夢”は、やがてその人間の表層意識を蝕み始めます。そしてその耐え難い絶望は人の心身を蝕み、喰いつくしてしまうのです」
「それじゃあ、下層がそのままだと、いずれまたマイの深層意識の上層も傷んだ悪夢に侵されちまうってことか?」
「その通りです。ですが先日の夢の中での出来事はは大きな第一歩でしたよ。
あなたの言葉のおかげでマイさんの深層意識は私達を受け入れました。次は初めからひとつ下の層にたどり着けます」
「つまり、最下層にたどり着くまで、この間みたいなことを繰り返さなきゃなんねえのか」
「そうなりますね。ちなみに、何層まであるかは人によります。2層までしか持っていない人間も、10層まで持っているような人間もいます。深層意識の構造は、その人自身の現在の精神の在り方が反映されるので」
深層意識の構造は、そのまま夢の構造となるらしい。
人間としてはただ眠っているだけに過ぎないが、意識のない間にずいぶんと複雑なことになっているようだった。
「改めて、あなたに協力をお願いします。私と一緒に、マイさんを救ってはくれませんか?」
「……俺にとってのメリットは?」
無論、ここまで関わっておいて「後のことは知らん」と突き放すつもりもない。
これはこいつを手伝うかどうかじゃなくて、マイを助けるかどうかという話だ。
夢の中での様子や、昨日の撮影現場での様子を見て、なお何も思わないほど冷血な人間ではない。
マイは気が強いが、その実、芸能界の荒波にもまれて一生懸命に生きているだけの女の子だった。
”傷んだ悪夢”なんていう得体の知れないものにその命を奪われて良い存在じゃない。
しかし、危険な橋を渡る以上は、目の前のバクの誘いに簡単に頷いてやるのも癪だ。
それに――
「確か最初は、『明晰夢をどうにかしてやる代わりに手伝え』って話だったよな」
だからこそ、話を聞く気にもなったのだ。
「実を言いますと、私があなたの明晰夢自体をどうこうすることは出来ないのです。明晰夢は夢の質のひとつですが、これはあなたのストレスや肉体の状況に左右されているので、私が介入できるものではありません」
「あれは口から出まかせだったのか?」
「いいえ。ひとつだけ方法があります。あなたもここで眠ればいいのです」
「……は?」
思わずきょとんとした俺に、夢見がにっこりとほほ笑む。
「私のテリトリーで眠ってくだされば、私があなたの夢を食べることが可能になります。しかもあなたはあのお気に入りのウォーターベッドで眠れますし、なかなかの名案だと思うのですが」
…………。
「手伝ってくださっている間は、いくらでもここで寝泊まりしてください。翌朝のすっきりしたお目覚めを約束しますよ。もちろん、2階のお風呂や空き部屋も使い放題です」
つまり設備付きのアパートが家賃タダで借りれるようなものか。
思った以上の好条件だった。けれど、ここは――
「……もう一声」
「朝食と夕食もお付けしましょう。基本的にはカフェのメニューと同じですが」
「乗った」
「ありがとうございます。……では、どうぞ召し上がれ」」
夢見は、俺の方に改めてミルフィーユの皿を押し出す。
待てをしていた犬に対するような仕草に抗議したいところだが、しかしちょうど甘いものが欲しかったところでもある。
俺は黙ってサクサクのパイにフォークを突き刺し、崩れてしまいそうなミルフィーユに苦戦しながら一口食べた。
甘さ控えめのカスタードクリームは滑らかな舌触りで、奥に隠れていたラズベリーが甘酸っぱく口の中を満たしていく。
……うまっ。
「ふふ、美味しそうに食べていただけて、作った甲斐がありますね。他に何か疑問があれば、お答えしますよ」
「それじゃ、ひとつ。”傷んだ悪夢”っていうのは、いったい何なんだ? 病気の一種みたいなものか?」
そこが今ひとつ分からない。
バクたちとしては食べ物が傷むのと同じニュアンスで言っているのだと推測できるが、そもそも不可解な現象だ。
夢は有機物として存在しているわけでもないから、腐敗も発酵もしないだろう。
「それは、私達バクにもわかりません。一説には、人間に元から備わった自己防衛機能だとも考えられています。耐え難い絶望を抱えて生き続けるのは、死ぬよりも辛いことですから」
生き物が死ぬ直前に痛みを和らげるための脳内麻薬を出すのと同じですね、と夢見が続ける。
「死ぬより辛いからって、本当に殺しにかかることはないだろ。嫌なシステムだな」
「本人の意思を無視することもあるという点では、確かに欠陥のあるシステムですね」
夢見は困ったように苦笑して、言葉を続ける。
「もう一説には……バクの他に、悪夢に干渉し悪さをする生き物がいると説く者もいます。その結果、悪夢が傷み、悪夢の持ち主である人間に害を為している、という説ですね。まあもっとも、バクの間でも笑い話になるほど根拠のない話ですが」
「へえ……」
バク社会にも、都市伝説みたいなものがあるのか。
いまいちピンとこない相槌を打ちながら、ミルフィーユを食べ、こうして俺はしばらくこのカフェで暮らすことになったのだった。
すべてを平らげ、箸を揃えて置く。
人間に化けた夢を食うバクに人間の素晴らしさについて語られながら手作り料理を振る舞われる――なんていうよく分からない状況だというのに、久々のまともな食事のおかげで、すっかり気持ちが落ち着いてしまった。
「お粗末さまでした。さて……では、本題に入りましょうか」
そう言って夢見が俺の前に置いたのは、大粒の苺が載ったミルフィーユだった。
夜の生クリームはそろそろキツくなってくるお年頃だが、幸い今日は疲れていたのでいくらでも入りそうだ。
俺はいそいそとテーブルに備え付けられていたトレーから小さなフォークを取り出す。
「食後のデザートまであったのか。いただきま――」
「おっと。まだ食べてはいけません」
反対側から皿を引っ張られたせいで、俺のフォークは見事に空振りした。
「は?」
「これは、夢の構造を説明するための教材です」
「教材……?」
「私にとっては当たり前のことでも、人間である昭博にとっては未知の世界ですからね。どう説明するのがいいのか一晩考えて、たどり着いたのがこのミルフィーユです」
夢見はカウンターから身を乗り出し、ミニチュアの指示棒のようなものでミルフィーユを示した。
……よく見たら先を細く削ったシナモンスティックだった。器用な奴だ。
「まず、この一番上に載っている苺……これは人間の表層意識です。いわゆる、自分で自覚できる心の部分ですね。そして、生クリームを挟んだそれ以下……このパイ生地でできた層が、夢の領域となる深層意識です」
「深層意識……この、生クリームとパイの層がか?」
「その通りです。人間の心とはとっても複雑なものなんですよ」
出来の良い生徒を前にしたように満足そうな顔をした夢見が、一瞬ムツゴロウさんと重なる。
さては、さっきの家畜だのネコチャンだのの話のせいだな……。
今この時も、夢見は無知なネコチャンに懇切丁寧に説明をしてあげているような気分なのかもしれない。
腹が立つが、うらやましい。俺もふわふわのネコチャンと言語で意思疎通を図りたいし、その夢の中に入ってみたい。でっかい魚の夢とか見てんのかなぁ。可愛いなぁ。
「昭博、聞いてますか?」
「あ、うん」
「深層意識でも、この一番上の層……上層部分は、ふとした拍子に自覚できるものになります。しかし下の層は違います。
誰にも知られたくない、なかったことにしたいような出来事や思いは――深層意識の下層に沈んでいき、やがては本人でさえ忘れ去ってしまいます」
シナモンスティックの支持棒が、3つの層を重ねたミルフィーユの一番下を指す。
そこには小さなラズベリーが潜んでいるらしく、瑞々しい赤がちらりと覗いていた。
「夢に入るときも、まずは上層からです。先日のマイさんの夢も上層部分でした。一方で”傷んだ悪夢”は、下層から発生し、上層へと少しずつ意識を蝕んでいきます」
夢見が、シナモンスティックを一番下の層から上へと、ゆっくり動かす。
「一番上の層が侵され尽くしたその時――”傷んだ悪夢”は、やがてその人間の表層意識を蝕み始めます。そしてその耐え難い絶望は人の心身を蝕み、喰いつくしてしまうのです」
「それじゃあ、下層がそのままだと、いずれまたマイの深層意識の上層も傷んだ悪夢に侵されちまうってことか?」
「その通りです。ですが先日の夢の中での出来事はは大きな第一歩でしたよ。
あなたの言葉のおかげでマイさんの深層意識は私達を受け入れました。次は初めからひとつ下の層にたどり着けます」
「つまり、最下層にたどり着くまで、この間みたいなことを繰り返さなきゃなんねえのか」
「そうなりますね。ちなみに、何層まであるかは人によります。2層までしか持っていない人間も、10層まで持っているような人間もいます。深層意識の構造は、その人自身の現在の精神の在り方が反映されるので」
深層意識の構造は、そのまま夢の構造となるらしい。
人間としてはただ眠っているだけに過ぎないが、意識のない間にずいぶんと複雑なことになっているようだった。
「改めて、あなたに協力をお願いします。私と一緒に、マイさんを救ってはくれませんか?」
「……俺にとってのメリットは?」
無論、ここまで関わっておいて「後のことは知らん」と突き放すつもりもない。
これはこいつを手伝うかどうかじゃなくて、マイを助けるかどうかという話だ。
夢の中での様子や、昨日の撮影現場での様子を見て、なお何も思わないほど冷血な人間ではない。
マイは気が強いが、その実、芸能界の荒波にもまれて一生懸命に生きているだけの女の子だった。
”傷んだ悪夢”なんていう得体の知れないものにその命を奪われて良い存在じゃない。
しかし、危険な橋を渡る以上は、目の前のバクの誘いに簡単に頷いてやるのも癪だ。
それに――
「確か最初は、『明晰夢をどうにかしてやる代わりに手伝え』って話だったよな」
だからこそ、話を聞く気にもなったのだ。
「実を言いますと、私があなたの明晰夢自体をどうこうすることは出来ないのです。明晰夢は夢の質のひとつですが、これはあなたのストレスや肉体の状況に左右されているので、私が介入できるものではありません」
「あれは口から出まかせだったのか?」
「いいえ。ひとつだけ方法があります。あなたもここで眠ればいいのです」
「……は?」
思わずきょとんとした俺に、夢見がにっこりとほほ笑む。
「私のテリトリーで眠ってくだされば、私があなたの夢を食べることが可能になります。しかもあなたはあのお気に入りのウォーターベッドで眠れますし、なかなかの名案だと思うのですが」
…………。
「手伝ってくださっている間は、いくらでもここで寝泊まりしてください。翌朝のすっきりしたお目覚めを約束しますよ。もちろん、2階のお風呂や空き部屋も使い放題です」
つまり設備付きのアパートが家賃タダで借りれるようなものか。
思った以上の好条件だった。けれど、ここは――
「……もう一声」
「朝食と夕食もお付けしましょう。基本的にはカフェのメニューと同じですが」
「乗った」
「ありがとうございます。……では、どうぞ召し上がれ」」
夢見は、俺の方に改めてミルフィーユの皿を押し出す。
待てをしていた犬に対するような仕草に抗議したいところだが、しかしちょうど甘いものが欲しかったところでもある。
俺は黙ってサクサクのパイにフォークを突き刺し、崩れてしまいそうなミルフィーユに苦戦しながら一口食べた。
甘さ控えめのカスタードクリームは滑らかな舌触りで、奥に隠れていたラズベリーが甘酸っぱく口の中を満たしていく。
……うまっ。
「ふふ、美味しそうに食べていただけて、作った甲斐がありますね。他に何か疑問があれば、お答えしますよ」
「それじゃ、ひとつ。”傷んだ悪夢”っていうのは、いったい何なんだ? 病気の一種みたいなものか?」
そこが今ひとつ分からない。
バクたちとしては食べ物が傷むのと同じニュアンスで言っているのだと推測できるが、そもそも不可解な現象だ。
夢は有機物として存在しているわけでもないから、腐敗も発酵もしないだろう。
「それは、私達バクにもわかりません。一説には、人間に元から備わった自己防衛機能だとも考えられています。耐え難い絶望を抱えて生き続けるのは、死ぬよりも辛いことですから」
生き物が死ぬ直前に痛みを和らげるための脳内麻薬を出すのと同じですね、と夢見が続ける。
「死ぬより辛いからって、本当に殺しにかかることはないだろ。嫌なシステムだな」
「本人の意思を無視することもあるという点では、確かに欠陥のあるシステムですね」
夢見は困ったように苦笑して、言葉を続ける。
「もう一説には……バクの他に、悪夢に干渉し悪さをする生き物がいると説く者もいます。その結果、悪夢が傷み、悪夢の持ち主である人間に害を為している、という説ですね。まあもっとも、バクの間でも笑い話になるほど根拠のない話ですが」
「へえ……」
バク社会にも、都市伝説みたいなものがあるのか。
いまいちピンとこない相槌を打ちながら、ミルフィーユを食べ、こうして俺はしばらくこのカフェで暮らすことになったのだった。
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