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第二六章 「俺が、相手だ」
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Ⅰ
アチラが念には念をと、あらゆる場所に出向き、対策を練りつつ協力を申し出たのが、すでにひと月以上前のこと。
あれからすでにひと月半は経過して、すでにふた月目に差しかかろうとしていた。
一通り仕事が落ち着いたアチラは、自身の仕事場で、自身の玉座に腰かけたまま首を傾げる。椅子の上で胡座をかくなど良くないのかもしれないが、癖になっている部分もあった。特に、考える時や思考を巡らせる時にできてしまった癖であった。
うーんと唸りつつ、何もないことに喜べずにいた。
「……今のところは何も異変がない。それどころか、音沙汰すらないし、連絡の一つもない。異変のいの字も起きていないんだもんねえ……」
本来、喜ぶべきことなのだろうが、アチラからしたら喜べない。
現在の状況は、「平和」という一言に尽きるものであった。毎日の転生者の数は多いものの、普段と同等の業務内容である。
大鎌を振るうことは多々あるものの、転生者自体に何か変わった様子もなく、普段通りという状況であった。
今のところは「奈落」もとい清算部のほうからも連絡はないため、同様の状態なのだろう。
ふむ、とアチラは一人頷くものの、それ以上何か動こうとはしなかった。今から何か動こうとは思わないし、アチラなりにできることはしたからであった。
ただ、気になることといえば、アチラの中の嫌な予感のこと。これだけ何も起きていないというのに、彼の中の嫌な予感が消える気配は一向にない。
……嵐の前の静けさ、ってやつなのかねえ。今の今まで特に変化はないし、緊急の連絡とかもないしなあ……。
アチラはローブのポケットに眠っていたスマートフォンを取り出して弄ってみる。目に飛び込んできたのは、通常通りに送られてくる転生者の情報で、これらはアチラがすでに対応したものだった。それ以外の情報はまったくなく、スマートフォンが鳴り響くこともない。
転生局で異常が発生すれば、おそらく転生局全体でサイレンがなるはずだ。ただ、こればかりはアチラも推測でしかなかった。
なんと言っても、今の今までそのような異常事態が起こったことなどないのだから――。
……さーて、これから吉と出るか、鬼と出るか。
アチラはスマートフォンの画面を黒く染める。これ以上、画面とにらめっこしていても仕方がないと判断したからであった。
現在、アチラの仕事は落ち着いている。久しぶりにここまで落ち着いており、アチラは少しばかり退屈を覚えていた。もっとも、そんなことを考えて良いとは思っていないのだが。
俺の元に連絡が来るとなれば、局長か「奈落」にいるソウウンか、はたまた地獄の王か……。まあ、局長だけは部類が違うんだけどねえ。
局長であるレイには、何か異常事態が発生した時の連絡を依頼してはいない。おそらく、異常事態が発生したら後々連絡はあるのだろうが、それとは別案件だ。後にあげた二人の連絡に関しては、アチラが事前に頼み込んだことによって、異常事態があれば真っ先に連絡が届くようになっていた。
アチラは内密で二人に頼み込んでいる。
つまり、局長であるレイはアチラが独自で根回ししていることなど知らないのだ。
アチラは玉座に背を預けて力を抜く。スマートフォンはまだ手の中に収まっていた。
「……取り越し苦労なら、それで良いんだけどねえ。けど、残念ながら俺の勘が外れたことがないっていうのが現実なんだよなあ」
アチラはこうしていても仕方がないと判断し、新たに届いた仕事に取りかかることにした。玉座を指を鳴らしてしまい込み、立ち上がった、その時――。
――何の因果か、無情にも転生局内で異常事態を知らせる警報音が轟いたのであった。
Ⅱ
警報音と共に、部屋も赤く点滅し始めた。転生局に勤めて相当長いが、こんなことは転生局史上初めてのことであった。
警報音が鳴り響く中、アチラのスマートフォンが数秒遅れて振動する。電話がかかってきていた。アチラはそれを瞬時に理解して、電話先の相手を確認することなく通話ボタンを押す。
「もしもし」
応答すれば、耳に当てたスマートフォンからは慌てた声が飛んできた。
『アチラさん、ソウウンです! たった今、清算部で異常事態が発生しました!』
電話の相手は、清算部部長であるソウウンであった。
普段落ち着いている彼とは違い、相当慌てているのか、普段よりも幾分か早口で捲し立てる。緊迫感が電話の向こうからひしひしと伝わってきていた。
アチラはそれを耳にしながら、大鎌を担ぎ上げる。
「『奈落』での異常が先か……。何があった」
アチラの声音は落ち着いていた。冷静に物事を判断しようとしている。
だが、その声音ですら、ソウウンを落ち着かせることはできなかった。
『転生者たちの謀反です! 局員たちに意図を合わせたかのように次々と襲いかかり――、あろうことかさらに下へと向かおうとしています!』
「……そういうことか」
……嫌な予感が、的中した。
アチラは蒼い瞳を細めた。スマートフォンを耳と肩で挟みながら、大鎌を構えて床に向かって振るう。床には人が二人ほど余裕で入れる大きな穴が空いた。暗く深いそれは、アチラが飛び込んで来るのを今か今かと待っているかのようであった。
アチラは大鎌を床に着けてソウウンの言葉に耳を傾けながら思考を巡らせる。
……考えられることは、二つ。
一つは、転生者たちが逃げ出すために確実に逃げられそうな場所として下に向かうことを選択したこと。
もう一つは、「奈落」もとい清算部よりもさらに下に存在している、地獄へと向かい、仲間を集めて結託しようとしていること。
どう考えても、後者だろうなあ……。
アチラはそう考えて、先にソウウンへと指示を出す。
「ソウウン、後は任せて。局長に連絡を頼む。それと、『奈落』の局員の避難を優先、ソウウンも含めて全員で避難すること。『奈落』は放棄して」
『で、ですが――』
ソウウンはさすがにそんなことはできないと言い淀んでいる様子であった。
だが、アチラはソウウンへ言い聞かせる。
「ここからは俺の仕事だ。ソウウンはまず局員を優先、怪我している者がいれば手当もね。それから、万が一にも上に上がってこないように、下にしか逃げられないと奴らに思わせておいて。バリケードでもなんでも良いからさ」
『あ、アチラさん……!』
「早く」
『……分かりました、ご武運を!』
アチラはソウウンとの通話を着る。それから、今度は地獄の王宛に電話をかけた。
……あらかじめ電話番号を聞いておいて正解だったなあ。
アチラは頭の片隅でそう思う。少し前の自分を褒めたたえてやりたいものだ。
地獄の王の元にはスマートフォンなんてハイテクなものは存在していなかったが、それでも昔ながらの黒電話が存在感を主張していた。地獄の王に頼み込んで、いざという時のために電話番号を登録させて貰ったのである。
数コールの呼出音を耳にしてから、ようやく電話が繋がったらしく、重たいガチャリという音が耳に届いた。
それから、さらに威厳のある重たい声が耳に届く。
『どうした』
名乗りはしなかったものの、相手が誰だかは声を聞けば理解できた。アチラは淡々と告げる。
「地獄の王、こちらは死神のアチラです。悪いけど、すぐに地獄で緊急体制を強いて。『奈落』で謀反が起こった」
『何……!』
地獄の王は声を荒らげる。
予想外だったのかもしれない、アチラが告げていたことが本当に起こるとも予想していなかったのだろう。
アチラは気にすることなく会話を続ける。
「おそらく、奴らが向かう先は地獄と予測される。そうなれば、結託すると考えるのが妥当。俺も『奈落』をある程度鎮圧させたらそっちに向かうから、それまでは任せて良い?」
アチラは一応伺いを立てる。だが、その声音は「任せた」と言っているようなもので。
電話口で地獄の王が笑う。その笑いは自信を持っているもので。
『お主に言われるまでもない。我らの強さを侮るなよ』
アチラは電話越しで地獄の王が口角を上げているのを感じ取った。
まあ、そうだよねえ……!
アチラも思わず口角を上げて応える。
「もちろん、知っているって!」
アチラは嬉々として答えてから、通話を切った。
そして、大鎌を担いだまま、指を一つパチンと鳴らす。
すると、アチラの目の前に武器が一斉に現れたではないか。宙に浮かんで主の命令を待つ彼らは、今か今かと指令を待っているかのようであった。
そんな武器たちは、よく見てみると見覚えのあるものばかりで。
ユウが使用している、聖剣。
シノビが使用している、刀。
カズネが使用している、二丁の拳銃。
そして、「執行人」であるユクトが使用している、薙刀。
それらが、アチラの目の前に姿を現しているのだ、現主から離れて――。
アチラは武器たちを順番に見回し、それから誰にも届かぬ言葉を吐く。
「……悪いけど、返してもらうよ」
アチラは武器たちを指を鳴らしてどこかにしまい込む。大鎌以外が姿を消す中、アチラは重たい息を一つついた。
部屋の中では今もサイレンが響き渡り、赤い点滅を繰り返している。この部屋だけではなく、転生局全体でこの状態なのだろう。誰もが異常事態が発生していることを理解するはずだ。
アチラは大鎌を担ぎ上げる。そして、そこにはいないはずの彼らに向けて言葉を紡いだ。
「……ごめん、局長、皆」
そして、穴の中に飛び込みつつ、最後の言葉を告げて去って行った。
「――さよならだ」
Ⅲ
時は、少しばかり遡る――。
アチラがソウウンたちと話していたその頃、ユウたちはといえば局長であるレイの元に集っていた。
サイレンが鳴り響き、赤く景色が染まる中、局員たちを避難させたユウ、シノビ、カズネの三人は、一直線に局長の元へと向かったのである。
緊急事態とばかりに局長室に飛び込めば、そこには眉間の皺を深くした局長であるレイが腕を組んで渋い顔をしていた。確実に苛立っていることが見て取れる。
ユウたちが集まったのをちらと見た局長は、ため息混じりに報告された内容を繰り返した。
「……『奈落』にいるソウウンからの報告では、転生者たちの謀反が起こったという。それが本当であるならば、ここもこのままでは済まないだろう」
「確かにそうですね……。けど、何のために……?」
ユウはレイに素直な質問をする。不思議そうに、だが異常事態であることを受け止めて、ユウは事態を収束させることを考えていた。
局長であるレイは重々しく口を開く。
「……以前から、アチラには異変が起きていることを聞いてはいたが……、まさかこれほどとはな」
「……え?」
ユウたちは局長の言葉に耳を疑う。聞き逃せない内容が頭の中に入ってきて、理解に時間がかかった。だが、自分たちが知らない何かが起こっていることだけは理解できて、言葉が勝手に零れ落ちていく。
ユウは代表して問いかけた。
「どういう、ことですか……?」
ユウの声はかすれており、微かに震えていた。だが、気になっていることを言葉にしようとしていることが、きちんと伝わってくる。
シノビやカズネもその言葉に頷いた。
だが、レイは目を見開いていた。こちらも初耳だと言わんばかりの反応である。三人を順番に見渡してから、愚痴を零した。
「あいつは、何を考えている……!」
「局長!」
ユウがレイを強い口調で促す。それは、「話してくれ」と懇願しているかのように思えた。
局長は長く息を吐いてから、言いにくそうに告げた。
「……以前、アチラは転生先で問題を起こした元転生者を回収しに行った。それが異変の引き金ではないかと気にしていたのだ。……てっきり、お前たちにも話していたかと思ったが」
局長の言葉に、三人は顔を見合わせる。全員の顔が初耳だと語っていた。
「そんな話、一度も……!」
「奴め、こそこそしていたのはこのことだったのか……!」
「帰ってきたら問い質してやるんだから!」
三者三様に言葉を紡ぐ。
カズネが思わず懐に手を伸ばしたその時、彼女は目を見開いた。何かに気が付き、懐だけではなく、自分の周囲すべてを確認する。
だが、あるはずのものが、確かに消えていた。
「ない、ないっ……!」
カズネが急に慌て始めたことに全員が気が付く。
ユウたちが黙ってその様子を眺めていれば、カズネはさあっと顔を青ざめさせた。そして、泣きそうな声で、半ば叫ぶように告げる。
「二丁の拳銃が、どこにもっ……! 確かに持ってきたはずなのにっ……!」
その言葉に、ユウとシノビもハッとして自分の周囲を確認し始めた。
だが、ユウの背中に携えていたはずの聖剣も、シノビの腰を彩っていた刀も、すべてが消滅している。
あったはずのものが、姿を消していたのであった。
「いつの間に……!」
「何故……! 確かに手にしてから、ここに……!」
ユウとシノビも戸惑いの声を上げて、自分たちにも異常事態が発生していたことを理解する。
その会話を聞いていたレイが、突然顔を青ざめさせた。それから、震える声で何かを呟く。
「……ま、さか……、っ!」
局長は急に慌て始めた。珍しく冷静さを欠いて、三人へ言葉を投げかける。
「アチラは!? 当の本人はどこに行った!?」
「そういえば……」
「……一度も見ておらぬな」
「アチラ、避難の時もいなかったはずよ……?」
ユウもシノビもカズネも、記憶を手繰り寄せるものの、異常事態が発生してからアチラの姿を見かけた者は誰一人としていなかった。視界に入れるどころか、名前を聞いたこともなかった気がする。この場所に来てから、初めて名前を聞いたのではなかろうか。今の今まで、自分たちも異常事態に直面したことがなかったため、他人のことまで気にしていられなかったという理由も大きいだろう。
三人の言葉を聞いて、レイはついに取り乱した。机を勢いよく叩く。
その音に、ユウたちは目を見張った。
「止めろ、アチラを……!」
「きょ、くちょう……?」
レイの言葉を耳にし、ユウは思わず上司を呼んでいた。普段冷静な局長しか目にしてこなかったユウは、何が起きているのか理解できていなかった。
ただ、確かであったことは、レイの声が震えていたこと。
何かを恐れているかのように局長は頭を抱える。そして、いまだに冷静さを欠いたまま、彼女は叫ぶように告げた。
「止めるんだ、アチラをっ……! このままでは、アチラが消える……!」
その言葉に、ユウたち三人は凍りつく。
時が止まったかのように衝撃で、あれだけ轟くかのように鳴り響いていたサイレンの音が、急に遠ざかったかのように思えてしまったのであった――。
IV
アチラは穴に飛び込んでスピードを徐々に上げて、ようやく「奈落」へと辿り着いていた。中心地に音を立てて降り立てば、暴れていた転生者たちが一斉に視線を自分へと向けてくる。転生者たちの目は、確実にアチラを敵視しているものであった。
局員たちの姿はない。大方、アチラの指示通りにソウウンが局員たちを避難させたのだろう。
アチラの周囲には転生者しかいなかった。
彼らは思い思いに武器になりそうなものを手にしている。出口を探しているのだろうか、一箇所に集まっている様子はない。何かで叩き、大声で騒ぎ、苛立ちをぶつけるかのように行進していた。
彼らはアチラを見つけると、武器になりそうなものを手にしたまま、一歩ずつ距離を詰めてくる。徐々に人数も増え、アチラを取り囲んで痛めつけようとしているようであった。
アチラはこれ幸いとばかりに大鎌を構える。
……向こうから近寄ってきてくれるなら、好都合。ここで全員ねじ伏せてやる。
アチラは好戦的な思いを抱え、蒼い目を細めた。
「……誰が考えたのか、誰が指示したのかは知らねえが、てめえらをここから出すわけにはいかねえ」
アチラが言葉を紡げば、それと同時に何人かの転生者が襲いかかってくる。「奈落」に送り込まれていた者たちだ、犯罪に手を染めた者も多いだろう。だからこそ、吹っ切れたかのように問答無用でアチラへと武器を振り下ろす。
だが、アチラはそれを簡単に避けると、すぐに大鎌を振り下ろした。襲いかかってきた数人の転生者たちを地に叩きのめす。
それを見た多くの転生者たちが、アチラから距離を取るかのように、一歩後退りした。さらに、何歩か下がる者も中には存在していた。
アチラは自身の周囲をざっと確認し、再度大鎌を構え直す。
まずはここを鎮圧させる必要がある。転生者たちが二度も同じ過ちを繰り返すような、転生だけは行ってはいけない。それを、俺たちは止めなくてはいけないんだ……。
アチラは決意を胸に秘める。そして、冷たく地を這うような声で、彼らを挑発した。
「――全員、かかってこい。俺が、相手だ」
アチラはそれだけ告げると、「奈落」を鎮圧するために、大鎌を握る手を強くして足を踏み出したのであった。
鎮圧させようと動いているアチラは、それに集中している。
彼のローブのポケットの中で、スマートフォンの悲痛な声が上がり続けていたが、届くことはなかったのであった――。
アチラが念には念をと、あらゆる場所に出向き、対策を練りつつ協力を申し出たのが、すでにひと月以上前のこと。
あれからすでにひと月半は経過して、すでにふた月目に差しかかろうとしていた。
一通り仕事が落ち着いたアチラは、自身の仕事場で、自身の玉座に腰かけたまま首を傾げる。椅子の上で胡座をかくなど良くないのかもしれないが、癖になっている部分もあった。特に、考える時や思考を巡らせる時にできてしまった癖であった。
うーんと唸りつつ、何もないことに喜べずにいた。
「……今のところは何も異変がない。それどころか、音沙汰すらないし、連絡の一つもない。異変のいの字も起きていないんだもんねえ……」
本来、喜ぶべきことなのだろうが、アチラからしたら喜べない。
現在の状況は、「平和」という一言に尽きるものであった。毎日の転生者の数は多いものの、普段と同等の業務内容である。
大鎌を振るうことは多々あるものの、転生者自体に何か変わった様子もなく、普段通りという状況であった。
今のところは「奈落」もとい清算部のほうからも連絡はないため、同様の状態なのだろう。
ふむ、とアチラは一人頷くものの、それ以上何か動こうとはしなかった。今から何か動こうとは思わないし、アチラなりにできることはしたからであった。
ただ、気になることといえば、アチラの中の嫌な予感のこと。これだけ何も起きていないというのに、彼の中の嫌な予感が消える気配は一向にない。
……嵐の前の静けさ、ってやつなのかねえ。今の今まで特に変化はないし、緊急の連絡とかもないしなあ……。
アチラはローブのポケットに眠っていたスマートフォンを取り出して弄ってみる。目に飛び込んできたのは、通常通りに送られてくる転生者の情報で、これらはアチラがすでに対応したものだった。それ以外の情報はまったくなく、スマートフォンが鳴り響くこともない。
転生局で異常が発生すれば、おそらく転生局全体でサイレンがなるはずだ。ただ、こればかりはアチラも推測でしかなかった。
なんと言っても、今の今までそのような異常事態が起こったことなどないのだから――。
……さーて、これから吉と出るか、鬼と出るか。
アチラはスマートフォンの画面を黒く染める。これ以上、画面とにらめっこしていても仕方がないと判断したからであった。
現在、アチラの仕事は落ち着いている。久しぶりにここまで落ち着いており、アチラは少しばかり退屈を覚えていた。もっとも、そんなことを考えて良いとは思っていないのだが。
俺の元に連絡が来るとなれば、局長か「奈落」にいるソウウンか、はたまた地獄の王か……。まあ、局長だけは部類が違うんだけどねえ。
局長であるレイには、何か異常事態が発生した時の連絡を依頼してはいない。おそらく、異常事態が発生したら後々連絡はあるのだろうが、それとは別案件だ。後にあげた二人の連絡に関しては、アチラが事前に頼み込んだことによって、異常事態があれば真っ先に連絡が届くようになっていた。
アチラは内密で二人に頼み込んでいる。
つまり、局長であるレイはアチラが独自で根回ししていることなど知らないのだ。
アチラは玉座に背を預けて力を抜く。スマートフォンはまだ手の中に収まっていた。
「……取り越し苦労なら、それで良いんだけどねえ。けど、残念ながら俺の勘が外れたことがないっていうのが現実なんだよなあ」
アチラはこうしていても仕方がないと判断し、新たに届いた仕事に取りかかることにした。玉座を指を鳴らしてしまい込み、立ち上がった、その時――。
――何の因果か、無情にも転生局内で異常事態を知らせる警報音が轟いたのであった。
Ⅱ
警報音と共に、部屋も赤く点滅し始めた。転生局に勤めて相当長いが、こんなことは転生局史上初めてのことであった。
警報音が鳴り響く中、アチラのスマートフォンが数秒遅れて振動する。電話がかかってきていた。アチラはそれを瞬時に理解して、電話先の相手を確認することなく通話ボタンを押す。
「もしもし」
応答すれば、耳に当てたスマートフォンからは慌てた声が飛んできた。
『アチラさん、ソウウンです! たった今、清算部で異常事態が発生しました!』
電話の相手は、清算部部長であるソウウンであった。
普段落ち着いている彼とは違い、相当慌てているのか、普段よりも幾分か早口で捲し立てる。緊迫感が電話の向こうからひしひしと伝わってきていた。
アチラはそれを耳にしながら、大鎌を担ぎ上げる。
「『奈落』での異常が先か……。何があった」
アチラの声音は落ち着いていた。冷静に物事を判断しようとしている。
だが、その声音ですら、ソウウンを落ち着かせることはできなかった。
『転生者たちの謀反です! 局員たちに意図を合わせたかのように次々と襲いかかり――、あろうことかさらに下へと向かおうとしています!』
「……そういうことか」
……嫌な予感が、的中した。
アチラは蒼い瞳を細めた。スマートフォンを耳と肩で挟みながら、大鎌を構えて床に向かって振るう。床には人が二人ほど余裕で入れる大きな穴が空いた。暗く深いそれは、アチラが飛び込んで来るのを今か今かと待っているかのようであった。
アチラは大鎌を床に着けてソウウンの言葉に耳を傾けながら思考を巡らせる。
……考えられることは、二つ。
一つは、転生者たちが逃げ出すために確実に逃げられそうな場所として下に向かうことを選択したこと。
もう一つは、「奈落」もとい清算部よりもさらに下に存在している、地獄へと向かい、仲間を集めて結託しようとしていること。
どう考えても、後者だろうなあ……。
アチラはそう考えて、先にソウウンへと指示を出す。
「ソウウン、後は任せて。局長に連絡を頼む。それと、『奈落』の局員の避難を優先、ソウウンも含めて全員で避難すること。『奈落』は放棄して」
『で、ですが――』
ソウウンはさすがにそんなことはできないと言い淀んでいる様子であった。
だが、アチラはソウウンへ言い聞かせる。
「ここからは俺の仕事だ。ソウウンはまず局員を優先、怪我している者がいれば手当もね。それから、万が一にも上に上がってこないように、下にしか逃げられないと奴らに思わせておいて。バリケードでもなんでも良いからさ」
『あ、アチラさん……!』
「早く」
『……分かりました、ご武運を!』
アチラはソウウンとの通話を着る。それから、今度は地獄の王宛に電話をかけた。
……あらかじめ電話番号を聞いておいて正解だったなあ。
アチラは頭の片隅でそう思う。少し前の自分を褒めたたえてやりたいものだ。
地獄の王の元にはスマートフォンなんてハイテクなものは存在していなかったが、それでも昔ながらの黒電話が存在感を主張していた。地獄の王に頼み込んで、いざという時のために電話番号を登録させて貰ったのである。
数コールの呼出音を耳にしてから、ようやく電話が繋がったらしく、重たいガチャリという音が耳に届いた。
それから、さらに威厳のある重たい声が耳に届く。
『どうした』
名乗りはしなかったものの、相手が誰だかは声を聞けば理解できた。アチラは淡々と告げる。
「地獄の王、こちらは死神のアチラです。悪いけど、すぐに地獄で緊急体制を強いて。『奈落』で謀反が起こった」
『何……!』
地獄の王は声を荒らげる。
予想外だったのかもしれない、アチラが告げていたことが本当に起こるとも予想していなかったのだろう。
アチラは気にすることなく会話を続ける。
「おそらく、奴らが向かう先は地獄と予測される。そうなれば、結託すると考えるのが妥当。俺も『奈落』をある程度鎮圧させたらそっちに向かうから、それまでは任せて良い?」
アチラは一応伺いを立てる。だが、その声音は「任せた」と言っているようなもので。
電話口で地獄の王が笑う。その笑いは自信を持っているもので。
『お主に言われるまでもない。我らの強さを侮るなよ』
アチラは電話越しで地獄の王が口角を上げているのを感じ取った。
まあ、そうだよねえ……!
アチラも思わず口角を上げて応える。
「もちろん、知っているって!」
アチラは嬉々として答えてから、通話を切った。
そして、大鎌を担いだまま、指を一つパチンと鳴らす。
すると、アチラの目の前に武器が一斉に現れたではないか。宙に浮かんで主の命令を待つ彼らは、今か今かと指令を待っているかのようであった。
そんな武器たちは、よく見てみると見覚えのあるものばかりで。
ユウが使用している、聖剣。
シノビが使用している、刀。
カズネが使用している、二丁の拳銃。
そして、「執行人」であるユクトが使用している、薙刀。
それらが、アチラの目の前に姿を現しているのだ、現主から離れて――。
アチラは武器たちを順番に見回し、それから誰にも届かぬ言葉を吐く。
「……悪いけど、返してもらうよ」
アチラは武器たちを指を鳴らしてどこかにしまい込む。大鎌以外が姿を消す中、アチラは重たい息を一つついた。
部屋の中では今もサイレンが響き渡り、赤い点滅を繰り返している。この部屋だけではなく、転生局全体でこの状態なのだろう。誰もが異常事態が発生していることを理解するはずだ。
アチラは大鎌を担ぎ上げる。そして、そこにはいないはずの彼らに向けて言葉を紡いだ。
「……ごめん、局長、皆」
そして、穴の中に飛び込みつつ、最後の言葉を告げて去って行った。
「――さよならだ」
Ⅲ
時は、少しばかり遡る――。
アチラがソウウンたちと話していたその頃、ユウたちはといえば局長であるレイの元に集っていた。
サイレンが鳴り響き、赤く景色が染まる中、局員たちを避難させたユウ、シノビ、カズネの三人は、一直線に局長の元へと向かったのである。
緊急事態とばかりに局長室に飛び込めば、そこには眉間の皺を深くした局長であるレイが腕を組んで渋い顔をしていた。確実に苛立っていることが見て取れる。
ユウたちが集まったのをちらと見た局長は、ため息混じりに報告された内容を繰り返した。
「……『奈落』にいるソウウンからの報告では、転生者たちの謀反が起こったという。それが本当であるならば、ここもこのままでは済まないだろう」
「確かにそうですね……。けど、何のために……?」
ユウはレイに素直な質問をする。不思議そうに、だが異常事態であることを受け止めて、ユウは事態を収束させることを考えていた。
局長であるレイは重々しく口を開く。
「……以前から、アチラには異変が起きていることを聞いてはいたが……、まさかこれほどとはな」
「……え?」
ユウたちは局長の言葉に耳を疑う。聞き逃せない内容が頭の中に入ってきて、理解に時間がかかった。だが、自分たちが知らない何かが起こっていることだけは理解できて、言葉が勝手に零れ落ちていく。
ユウは代表して問いかけた。
「どういう、ことですか……?」
ユウの声はかすれており、微かに震えていた。だが、気になっていることを言葉にしようとしていることが、きちんと伝わってくる。
シノビやカズネもその言葉に頷いた。
だが、レイは目を見開いていた。こちらも初耳だと言わんばかりの反応である。三人を順番に見渡してから、愚痴を零した。
「あいつは、何を考えている……!」
「局長!」
ユウがレイを強い口調で促す。それは、「話してくれ」と懇願しているかのように思えた。
局長は長く息を吐いてから、言いにくそうに告げた。
「……以前、アチラは転生先で問題を起こした元転生者を回収しに行った。それが異変の引き金ではないかと気にしていたのだ。……てっきり、お前たちにも話していたかと思ったが」
局長の言葉に、三人は顔を見合わせる。全員の顔が初耳だと語っていた。
「そんな話、一度も……!」
「奴め、こそこそしていたのはこのことだったのか……!」
「帰ってきたら問い質してやるんだから!」
三者三様に言葉を紡ぐ。
カズネが思わず懐に手を伸ばしたその時、彼女は目を見開いた。何かに気が付き、懐だけではなく、自分の周囲すべてを確認する。
だが、あるはずのものが、確かに消えていた。
「ない、ないっ……!」
カズネが急に慌て始めたことに全員が気が付く。
ユウたちが黙ってその様子を眺めていれば、カズネはさあっと顔を青ざめさせた。そして、泣きそうな声で、半ば叫ぶように告げる。
「二丁の拳銃が、どこにもっ……! 確かに持ってきたはずなのにっ……!」
その言葉に、ユウとシノビもハッとして自分の周囲を確認し始めた。
だが、ユウの背中に携えていたはずの聖剣も、シノビの腰を彩っていた刀も、すべてが消滅している。
あったはずのものが、姿を消していたのであった。
「いつの間に……!」
「何故……! 確かに手にしてから、ここに……!」
ユウとシノビも戸惑いの声を上げて、自分たちにも異常事態が発生していたことを理解する。
その会話を聞いていたレイが、突然顔を青ざめさせた。それから、震える声で何かを呟く。
「……ま、さか……、っ!」
局長は急に慌て始めた。珍しく冷静さを欠いて、三人へ言葉を投げかける。
「アチラは!? 当の本人はどこに行った!?」
「そういえば……」
「……一度も見ておらぬな」
「アチラ、避難の時もいなかったはずよ……?」
ユウもシノビもカズネも、記憶を手繰り寄せるものの、異常事態が発生してからアチラの姿を見かけた者は誰一人としていなかった。視界に入れるどころか、名前を聞いたこともなかった気がする。この場所に来てから、初めて名前を聞いたのではなかろうか。今の今まで、自分たちも異常事態に直面したことがなかったため、他人のことまで気にしていられなかったという理由も大きいだろう。
三人の言葉を聞いて、レイはついに取り乱した。机を勢いよく叩く。
その音に、ユウたちは目を見張った。
「止めろ、アチラを……!」
「きょ、くちょう……?」
レイの言葉を耳にし、ユウは思わず上司を呼んでいた。普段冷静な局長しか目にしてこなかったユウは、何が起きているのか理解できていなかった。
ただ、確かであったことは、レイの声が震えていたこと。
何かを恐れているかのように局長は頭を抱える。そして、いまだに冷静さを欠いたまま、彼女は叫ぶように告げた。
「止めるんだ、アチラをっ……! このままでは、アチラが消える……!」
その言葉に、ユウたち三人は凍りつく。
時が止まったかのように衝撃で、あれだけ轟くかのように鳴り響いていたサイレンの音が、急に遠ざかったかのように思えてしまったのであった――。
IV
アチラは穴に飛び込んでスピードを徐々に上げて、ようやく「奈落」へと辿り着いていた。中心地に音を立てて降り立てば、暴れていた転生者たちが一斉に視線を自分へと向けてくる。転生者たちの目は、確実にアチラを敵視しているものであった。
局員たちの姿はない。大方、アチラの指示通りにソウウンが局員たちを避難させたのだろう。
アチラの周囲には転生者しかいなかった。
彼らは思い思いに武器になりそうなものを手にしている。出口を探しているのだろうか、一箇所に集まっている様子はない。何かで叩き、大声で騒ぎ、苛立ちをぶつけるかのように行進していた。
彼らはアチラを見つけると、武器になりそうなものを手にしたまま、一歩ずつ距離を詰めてくる。徐々に人数も増え、アチラを取り囲んで痛めつけようとしているようであった。
アチラはこれ幸いとばかりに大鎌を構える。
……向こうから近寄ってきてくれるなら、好都合。ここで全員ねじ伏せてやる。
アチラは好戦的な思いを抱え、蒼い目を細めた。
「……誰が考えたのか、誰が指示したのかは知らねえが、てめえらをここから出すわけにはいかねえ」
アチラが言葉を紡げば、それと同時に何人かの転生者が襲いかかってくる。「奈落」に送り込まれていた者たちだ、犯罪に手を染めた者も多いだろう。だからこそ、吹っ切れたかのように問答無用でアチラへと武器を振り下ろす。
だが、アチラはそれを簡単に避けると、すぐに大鎌を振り下ろした。襲いかかってきた数人の転生者たちを地に叩きのめす。
それを見た多くの転生者たちが、アチラから距離を取るかのように、一歩後退りした。さらに、何歩か下がる者も中には存在していた。
アチラは自身の周囲をざっと確認し、再度大鎌を構え直す。
まずはここを鎮圧させる必要がある。転生者たちが二度も同じ過ちを繰り返すような、転生だけは行ってはいけない。それを、俺たちは止めなくてはいけないんだ……。
アチラは決意を胸に秘める。そして、冷たく地を這うような声で、彼らを挑発した。
「――全員、かかってこい。俺が、相手だ」
アチラはそれだけ告げると、「奈落」を鎮圧するために、大鎌を握る手を強くして足を踏み出したのであった。
鎮圧させようと動いているアチラは、それに集中している。
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